ネックリセット

ボディ割れ修理、ネックリセット他 / Martin O-17


ボディサイドが割れています。

くっ付けてやれば良い事なのですが、ズレない様に…、ズレてないか…、なかなか大変なのです。


ズレてる所を直すと、良かったところがずれたり、あちらを立てればこちらが立たずのようになる事が間々あります。


昔の修理跡から延長して割れた様で、古いクリートは取り除きました。

 

どーやっても、ちょっとずれちゃうときがありますが、絶対ズレたくないと思ってやってますから、順番を考えたり、接着剤を変えたり、ジグを作ったり…

毎回同じような事をやっているようで、違う物に対峙しているようでもあります。

基本的に一人でやって来た仕事ですから、2本腕でやれるようにいつも考えていますが、先日は山口に手を借りて4本腕が無ければ出来ない酷いテイラーに関わってしまいました。

それはいずれこのブログで見て頂きます。

 


線は消えませんが、良いと思います。


色が濃いボディなら目立ち難くなったかと思いますが。


そしたら、ネックリセットします。


理想的な高さです。

 


リフレット。


一瞬、突板が分厚いのかと見えますが、ナットの溝が掘り込んであります。


長年の修理で指板が薄くなっています。

いつもサドルはこの位になる様にイメージしていますが、なかなかジャストな感じにはならないものです。

これより1mm高くなっても我慢できますが、これよも1mmも低くなった場合は、「う~ん…くやし~!」と叫びながらもう一度ネックを取ってやり直さなければなりません。

なかなか計算通りに行かないものですから、どっちに転んでも良い位の所を狙って作業しますが、何故いつも同じに出来ないか、計算通りに出来ないかと多少言い訳しますと…

弦の張力が掛かってない状態 → チューニング完了状態で0.何ミリ弦高が上がるか、ネックの左右の反りの違い等々調べられること分かる事全て用いて計算(図る事が出来ない部分はイメージ)します。

リセット前は何度も仮止めしてサドルの高さやセンター等確認調整を繰り返しますが、接着剤を付けて本セットした際に仮止めの時と若干角度が変わる事があります。

いつもそうであればそうすれば良いのですが、あと一擦りしようか迷って、「前回思いの外サドルが出過ぎ気味だったしな~」等と思っていると「やっぱりあと一擦りすりするべきだった。」となる事もあり、この場合はもう一回ネックを取らなくてはならない事態になる事も…。

 

指板修正する場合は、第1フレット部分が0.何ミリ削れて…第12フレット部分が0.何ミリ削れて…、等と数字に出来ないのでイメージで(経験で)進めなければなりません。

12フレット部分の修正が多めの場合は、気持ち弦高が高くなる事を予想します。

1フレット部分の修正が多めの場合は、弦高が下がる事もありますが、12フレット部分もある程度削れますから弦高は、変わらずキープなイメージでいきます。

指板修正(リフレット)で簡単に弦高に下がらないもう一つの理由は、新しい第1フレットの高さが弦高を図る際の第12フレットよりフレットのすり合わせの性質上、微妙に高くなるからです。

 


 


 


 

第1フレットが高くなると言う事は、その分ナットの弦溝の底が上がります。

その分弦高が高くなります。

このギターのローフレット側(第1フレットの位置)が薄いのはネック角度の辻褄を合わせる為に、過去このギターのリフレットの際か、もしくはそれ目的で薄く削られた証です。

いいギターはどの時代のオーナーも何とかして弾き易くして使いたいんですが、良いギターではありますが近年まではスチューデントモデルと言う位置付けの印象が強いギターですから、出来るだけコストは掛けなかったのだと思います。

 

ネックリセット / Taylor GC8


サドルは、この位までが下げられる限界、バランスを無視すれば6弦側は下げられます。

ブリッジのデザインはもうちょっと1弦側が低ければ(薄ければ)良いのにといつも思います。


1弦の弦高…3.1~3.2mm


6弦の弦高…4.2mm位

 

当方では、ギターの使用が終わったら弦は緩めてください。と言っております。

一部の製作家のギターやテイラーギター等のように、「弦を緩めないでください。」と言っている例もありますが、おそらくネックの角度が狂ったりはしませんと言っているのではなくて、狂っても大丈夫、と言っているのだと思います。

アコースティックの構造である限り張りっぱなしで大丈夫なワケが無いのです。

 

シムの厚みのバランスを変えてネック角度を修正します。

牛骨で交換。

 

私が思うに大丈夫と言っている根拠はこれだと思います。

ネックジョイントはボルトオンなのでリセットはダブテールジョイントと比較すれば大幅な時間短縮が可能です。

特にテイラーは非常に考えられており、見習う他のメーカーもあるのではないでしょうか。

これならセットネックのような高い修理代が掛かりません。

 

 

1弦の弦高…1.9mm位

6弦弦高…2.4mm位

 


ヒール。ギターを構えて見える側


ヒール。見えない側


指板エンド

 

私がやったテイラーギターのネックリセットは、最初の頃の1~2本位はネックがはまる窪み周りの見た目がいまいちっだったと思います。

良いシムの作り方に気付くのはその後になってしまいました。

ヒールは窪みにはまっているので隙間が出来てしまうような事は無いのですが、シムの厚みのバランスが悪いとネック角度に問題が無くても、ヒールとボディの際の見た目が悪くなるのと指板エンド(画像拡大)に隙間が出来てしまいます。

 

ネックリセットは最初のうちはこのようにシムの厚みで調整が可能ですがリセットを繰り返していると、シムの厚みだけでは調整出来なくなってきます。

そうなったら他のメーカーのギターの様にヒールを削って調整するしかなくなります。

いずれにしてもそのたびに修理代が掛かってしまうより、ネックの角度が狂わない管理をすることが先決なのだと思います。

 

Gibson L-00 指板再接着&ネックリセット


スタッフの山口です。今回もこれまた渋いギター、Gibson L-00の指板剥がれとネックリセットをサクッと見ていこうと思います。


いきなり分解されている写真ですが、順番としては指板剥がし→ネック外しです。指板が浮いている程度にもよりますが今回はネックリセットも伴いますのでダブテイルジョイントを露出させる為にも全部剥がしてしまった方が都合も良いです。また古い接着剤も綺麗に除去できますので指板の再接着もより強固になります。


指板は剥がす前にダボ用の穴を開けてあります。これを忘れると後々面倒くさくなります。色は薄めの綺麗なハカランダですね!


指板を再接着します。ネックの矯正も少しできることを期待してあの手この手でシュミレーション。指板がネックに理想の形で接着できればフレットも指板修正も最小限で済みます。ビンテージギターを後世に永く残す為に師匠もそういった観点にこだわっております。


ネックリセットは弦を張った時にセンターがズレないように写真のように少しずつヒールを削ります。元々ズレているものであれば(そこそこそういう個体もあります)左右の削り具合を調整してできる限りセンターを正してあげます。


ネックリセットによってサドルの高さが復活です。ロングサドルは尚更なのですが、サドルが高ければ良いというわけではありません。この点に関してはネックリセットを何百本も経験してきた当工房オーナーのこだわりであります。

今回も名器が無事蘇りました♫男臭くてカッコいい、ナイスギターですね!

今回のような指板を剥がす修理+ネックリセットや、ネックリセット+フレット交換など、同時に行う修理の組み合わせによって作業効率が上がる場合に若干コストを抑えられることもあります。組み合わせによって手間が変わらない場合は修理料金も変わらないと思います(^^;

お見積りの際は気になるところはぜひご相談いただければと思います。

今回もありがとうございました。

 

 

 

ネックリセット Martin OOO-21 (1945)


スタッフの山口です。アコースティックギターはボディーが空洞になっていますので、エレキギターなどのソリッドタイプよりもトラブルが多いです。特に弦を長時間張りっぱなしにするとネックが弦の張力で起き上がることがあります。この写真では分かりずらいですね。


弦の張力でネックが順反りしただけならアジャストロッドがあるから大丈夫、な時ももちろんありますが、ロッドも決して万能ではありませんのでやはり弦の張りっぱなしは厳禁です。


順反り+元起きともなると今回のようなネックリセットという大掛かりな修理をしなければ改善できない場合がほとんどです。

あ、写真は指板を温めてトップ板から剥がしています。


ネックリセット用のジグを当てながらダブテイルジョイントと呼ばれる接続部を温めていきます。


今回は温めてから20分程で外れてくれました♫


今回のギターは1945年製、太平洋戦争中ですのでアメリカも金属は枯渇していました。そのために写真のようなエボニーの角材がロッドとして代用されています。所謂エボニーロッド。もちろんアジャストはできません。


今回は訳あって先にドリル穴を埋めました。


地道にヒールを削ってネック角度を修正していきます。何度もシュミレーションします。


接着剤を付ける前ですがクランプを外して弦を張っても大丈夫な程度までジョイントの木工精度を高めます。接着剤頼みのジョイントでは師匠のOKは出ません。


センターがズレないようにネック角度は縦方向だけでなく左右のバランスも見ながら行います。何も意識せずに進めると大抵左右が傾いてセンターがズレてしまいます。


今回はフレットすり合わせとナット調整、サドルを交換して完了です。


エボニーロッドのマーチンは質量が軽いため音もそういう音に感じます。好き嫌いが分かれるかもしれませんがいい音には変わりありません。正面から見ても迫力がありますが、、、


 

、、、バックのハカランダの木目の迫力はさらに凄いですね。

僕には燃え上がる炎のように見えますが皆さんはどうでしょうか。

アコースティックギターは構造上、弦の張力で歪みが出やすいです。演奏時以外は弦を緩めていればこのギターもまた何十年もネックリセットしなくても大丈夫。

また新しい個体は弦の張力がなくても時間と共に木が動いてしまうことがあります。木は時間が経てば経つほど水分が抜け硬くなり、安定するので、保管方法さえ間違えなければ古い楽器の方が安定していると言えます。この「安定している」というのは、古い木製楽器が高額になる理由の一つだと思います。ただ新しいギターでも長時間しっかりシーズニングがされている材を使っていれば安定しているものもありますね。

木材のことを語り始めると長くなってしまいますので今日はこの辺で。

今回もご覧いただきありがとうございました。

 

 

ネックリセット / D-18 Golden Era


 

半田ごてでネックジョイントを温めますので、以前のように隙間から蒸気が噴き出すことが無く、数年前から塗装のダメージを心配しなくてすむ様になりました。

ですが多少、ジョイント内部へ蒸気の効果も欲しいので途中で穴に水を差し込みます。

見えているスポイトで満タンに準備して半分~1/3余る位です。

マーチンであれば然程時間が掛からずネックが抜けてくれますが、他のギターでは時間が掛かりますので注意が必要です。

蒸気の様に直接塗装に熱は掛かりませんが、中から熱がかかって来ます。

あせらず、じっくり、もたもたせず、きをつけて、やります。

※指板に空いている穴は、ダブテールジョイントの底部につながります。ボディトップに空いている穴とは関係はありません。

 

 

 


サドルは、高過ぎず、低過ぎないように。


半田ごてを突っ込む穴が大きいのですが、エボニーであれば目立たなくなって好いです。


リフレットしてませんが、ナット交換。

 


 


 


 

メンテナンスやネックリセット等、時計のオーバーホールの様にやらなければならないと思い込んでいる人もいるようですが、日頃弾いていて気になる事が無ければ、無理にお金をかけなくても良いです。

それを弾く人によって、不満や不具合が無ければそれで良いのです。

みんなそれぞれ、十人十色ですから。

 

ネックリセット Martin D-28 (1965)


スタッフの山口です。D-28のネックリセットを見ていきます。いつも通り15フレットを抜きダブテイルジョイントを温める為の穴を開けたところの写真です。


指板をトップから剥がすために接着剤を温めます。温める為のライトはLEDではない山田照明の旧型Zライトです。LEDはエコかもしれませんがこのような用途には使えません。ちなみにこの工程はラーバーヒーターを使う人もいます。


ダブテイルジョイントを温めるのはヒートスティックと呼ばれる専用工具。この工程は蒸気を使う方法もあります。


接着剤が温められ軟化し、少しずつヒールが動いていきます。


無事にネックが外れました。写真はベタベタの古い接着剤を綺麗に取り除いた後です。


ヒールを削って仕込み角度が決まったら指板を少し足してあげます。これをしないと角度がついた分ハイフレットが下がってしまいます。


ネックが元通り接着できたらサドルも新しく作ります。サドルが高ければ高いほど弦高が下げられる余地があるのでその方が良い、と思われる方もいると思いますが、出過ぎたサドルは少々残念なネックリセット例の一つと見る人もいます。

程良く、さりげなく、丁度いい高さがやはりカッコよく、そして音もいいのではないかと思います。


「しばらく弾かない時、もう今日は弾かないと思ったら弦は必ず緩めましょう!」とお客様にはご案内します。師匠の長年の経験上、修理が必要になる原因の多くは弦の張力に負けてしまったことによるもので、弦を緩めておいたことに起因する不具合の方が圧倒的に少ないとのこと。

僕も短い経験上ですが本当にそう思います。

一回一回チューニングするのが面倒くさいというデメリットもありますが、チューニングの腕が上がるという意外なメリットもあります。チューニングが素早く手慣れている人はミュージシャンぽくてカッコイイですね。

 


 

ハカランダのサイドバック。いつかは欲しいと思いつつ、相場は上がり続けどんどん手が出しづらくなって、最近は一生買えないのではないかとまで思うようになってきました。

もちろん、ナイスギター!

 

 

 

 

ピックガード交換&ネックリセット Martin D-28 1983年製


スタッフの山口です。今回は自分のギター、1983年製のD-28の修理です。PG交換とネックリセット。ブリッジが浮いていた為、ブリッジ貼り直しも行いました。


ピックガードも剥がれかけていましたのできれいに剥がします。ネックリセットも並行して行います。


いつものようにダブテイルジョイントを温めて接着剤を軟化させます。


うにょっとネックが外れました♪やはりGibsonより短い時間で外れてくれます。


続いてピックガード作製。オリジナルは黒ですが余っていた素材がありましたので今回は鼈甲柄にチェンジしました。自分の好みでもあります。


それっぽいディティールで成形したら表面を水研ぎします。これをやることで下敷きっぽい質感がちゃんとピックガードっぽくなります。


ブリッジ貼り直しもピックガード交換も無事に完了。


ネック角度の修正によって指板の14フレット以降が下がらないように指板の底を足しました。指板材と同じエボニーですが足した部分は縞が入っていますね。


接着剤無しで何度もシュミレーションします。センターズレはないか、仕込み角度は適正か確認してからいざ接着。写真のように数日間クランプをかけて寝かせておきます。


せっかくリセットしましたのでもう少しサドルの出しろが欲しい気がしますが今回は自分のギターですのでまあこれでヨシ。


 


 

1983年はMartin社創業150周年。そして自分の生まれ年でもあります。生まれ年のニッパチが欲しくてしばらく探してたのですが、80年代は生産本数も少なく、特に1983年はメモリアルイヤーということもあってレギュラーライン(スタンダードシリーズ)の個体が中々市場に出てきませんでした。2年ほどかけてやっとネットオークションで見つけて手に入れることができて「これは一生ものだー!」、、と思っていたのですが、どうしてもしっくり来なくて実はこの後早々に売ってしまいました(^^;;

結局のところ製造年は関係なく、弾き易くて自分好みの音を奏でるギターが一番!だと教えてくれたギターでした。とは言いつつ生まれ年のMartinを見つけるとつい欲しくなってしまいます。次は生まれ年の「自分好みの」Martinを買いたいなと思います。

今回も読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m

 

 

 

Martin D-28 ブリッジ交換&ネックリセット


こんにちは。スタッフの山口です。

今回はMartin D-28のブリッジ交換とネックリセットです。写真のように弦高を下げきれなくなりブリッジを削ってありますね


ハロゲンライトでブリッジをゆっくりと温めて接着剤を軟化させます。


ブリッジ周りを傷つけずに剥がさなくてはいけませんのでマスキングテープを使用したりヘラの角度などに気をつけます。


エボニー材はまだ辛うじて輸入OKの木材です。ただ写真のような真っ黒なエボニーも中々貴重になってきています。


擦ったり削ったりで成型して行きます。個人的にはローズウッドよりエボニーの材質の方が作り易いです。


マーチンのブリッジ交換はショップから依頼される頻度が高いです。Gibsonのオールドはアジャスタブルサドルの個体がたくさんありますので、今回のギターのようにブリッジを削って弦高を下げている個体が少ない印象です。


元々がオーバーサイズですので今回もそのサイズで。

ブリッジを作り替える時にちゃんと元のサイズで作る職人さんと、少し大きめで作っちゃう職人さんがいます。


接着面を整えたら接着です。ボンドは綺麗に拭き取ります。


いつの間にかピックガードが無くなっていますね。今回はそれも依頼されていましたので剥がしたのです。


弦長を測ってマーキング。ルーターで溝を掘ります。


元のブリッジと並べた一枚。溝も綺麗に掘れました。


ブリッジの高さもついたのでネックリセットに移ります。サドルをもっと出してあげないといけません。


15フレットを抜いて、、


指板をトップから剥がして、、


専用の道具でダブテイルジョイントを温めていきます。


MartinはGibsonよりも素直に抜けてくれます。ネックリセット料金はメーカーによって変わるのはその為です。

ちなみに国産メーカーなどはダブテイルジョイントではないものもザラに有りますので、その際はすごく手間がかかり費用がかさんでしまう場合も有ると思います。


恒例となった記念撮影。

綺麗に分離しました♪接着剤が軟化しているうちに綺麗にしてあげます。


仕込み角度を調整する工程は必死にやっているため写真を撮り忘れることが多いです

(*´ω`*)


ヒールを削った分、指板にも厚みをつけてあげます。エボニーも枯渇してきているので縞のある黒檀も増えています。


後半は早足でしたがネックリセットも完了。

ブログでは1日で終わった修理のように見えるかもしれませんが、接着の工程を何度も挟んだりするので実際は数日〜数週間、内容によっては1年単位でお預かりする場合もあります。納期に追われて急いで修理してもろくなことがありませんので、お預かりする期間が長くなってしまってもご理解いただけるとありがたいです。

自分はせっかちな性格なので、セカセカと熱くなって作業していると「急いでやっても失敗するよ、急がず慎重に。」と師匠皆川氏の一言。ふと我に返りクールダウンします。

 

 

ネックリセット / YAMAHA FG-250J

 

 

ヒールが途中から分かれてしまっています。

 

ヤマハのネックを外す時は、想定内と言えば想定内ですが…

温めるから、接着部が剥がれちゃうんです。

 

大概、分かれた後ろの方は中々緩まずにくっ付いていますので、外すのが大変です。

以前の蒸気を使っていた方法も現在の半田ごてを使う方法も同じですが、高熱を扱いますのでなるべく早く外してやる事が大事です。

特に蒸気だった頃は、熱湯が噴出してきますので出来るだけ早く外さないと塗装へダメージをきたします。

少々の火傷ならガマンガマン、隙間からボディに噴き出す蒸気を布で拭きフキふきフキしながらやらねばなりません。

熱を掛けているだけではジョイントが緩んでくるまでに時間が掛かってしまいますので、ジョイント部が緩む時間を短縮出来るようにネックをつかんでヒールを押す方向以外からも力を入れます。

ただし、こんなふうにヒールが途中から分かれて、ネックが外れてしまうと持つところが無くなっちゃうから、こうなると残った方を取るのがけっこう大変なんです。

蒸気が吹き出ない半田ごてで熱する方法なら、時間が掛かっても押す方向だけの力で外せば良いかとも思うのですが、いずれもジョイント内部から高温で温めていますが、こちらは気を付けないとヒール塗装面がアッチッチになるので(塗装面を冷まし冷まし)こっちはこっちでなるべく早く外してやる必要があります。

 

「あ、でも時間が掛かって塗装がやられても、早く外そうと思ってヒールが分かれちゃっても、いずれにしても何らかの修正が必要なんだな。」

 

 


 


 


 

「でも、蒸気がボディにはかからないからそこは心配いらない。」

「なら、時間をかけてやればよいのか⁉ 」

「いや、押す方向のみの力では、いつ外れるか分かんないよなー。」

「この厚くて固い塗装修正するのはめんどいよ~、ギブソンみたいなわけいかないんだから。」

いつもブログは、まとめてから書き始めるわけでは無いので書きながらいろいろ気付いたり、分かんなくなったりします。

ヤマハにはヤマハなりの良い方法がきっとある、と思いながら…

つづく

 


 


 

 

 

ネックリセット / Martin OOO-18


 

 

現在修理進行中のギターで、Martin のDSTGと言うモデルがあるのですが、それのネックを抜く必要がありまして、私はまた新しいタイプのマーチン式ジョイントに出会いました。

そんなに突拍子もない感じでは無く、「あれ?」と言う感じ。

いずれまた、ブログで見て頂く機会があると思います。

 

←こちらは大定番のOOO-18でございます。

ネックの角度直して、指板修正(リフレット)します。

 

 

 


指板修正後の弦高は、ネックリセット直後の弦高より多少高くなりがちですので、サドルが低くなり過ぎない様に、かと言って出過ぎないように、計算しなければなりませんが、数値的に測れないので難しいのです。


指板修正しましたので、フレットも新しくなります。

 


新しい第1フレットに合わせたナットを作ります。

 

 


 


 

このヒール部分の接着は、あまり重要ではありません。

ヒール下にある、蟻組(ダブテールジョイント)の精度が大事です。

きつ過ぎては奥までしっかり収まりませんし、緩くて接着だけに頼ったジョイントでは、いずれヒールが浮いてしまいます。

奥までしっかり収まって、テンションが掛かってもヒールが浮かない様に調整します。