スタッフブログ

ネックリセット Martin D-28 (1965)


スタッフの山口です。D-28のネックリセットを見ていきます。いつも通り15フレットを抜きダブテイルジョイントを温める為の穴を開けたところの写真です。


指板をトップから剥がすために接着剤を温めます。温める為のライトはLEDではない山田照明の旧型Zライトです。LEDはエコかもしれませんがこのような用途には使えません。ちなみにこの工程はラーバーヒーターを使う人もいます。


ダブテイルジョイントを温めるのはヒートスティックと呼ばれる専用工具。この工程は蒸気を使う方法もあります。


接着剤が温められ軟化し、少しずつヒールが動いていきます。


無事にネックが外れました。写真はベタベタの古い接着剤を綺麗に取り除いた後です。


ヒールを削って仕込み角度が決まったら指板を少し足してあげます。これをしないと角度がついた分ハイフレットが下がってしまいます。


ネックが元通り接着できたらサドルも新しく作ります。サドルが高ければ高いほど弦高が下げられる余地があるのでその方が良い、と思われる方もいると思いますが、出過ぎたサドルは少々残念なネックリセット例の一つと見る人もいます。

程良く、さりげなく、丁度いい高さがやはりカッコよく、そして音もいいのではないかと思います。


「しばらく弾かない時、もう今日は弾かないと思ったら弦は必ず緩めましょう!」とお客様にはご案内します。師匠の長年の経験上、修理が必要になる原因の多くは弦の張力に負けてしまったことによるもので、弦を緩めておいたことに起因する不具合の方が圧倒的に少ないとのこと。

僕も短い経験上ですが本当にそう思います。

一回一回チューニングするのが面倒くさいというデメリットもありますが、チューニングの腕が上がるという意外なメリットもあります。チューニングが素早く手慣れている人はミュージシャンぽくてカッコイイですね。

 


 

ハカランダのサイドバック。いつかは欲しいと思いつつ、相場は上がり続けどんどん手が出しづらくなって、最近は一生買えないのではないかとまで思うようになってきました。

もちろん、ナイスギター!

 

 

 

 

バインディングはがれ / Martin D-28

バインディング剥がれは割と気が付き難かったりしますが、このようなケースもあります。

外れてしまったり欠けてしまったパーツは出来るだけ取って置いてください。

こうやって戻ります。

バインディングから剥がれずに一緒に剥がれているトリム(内側の細い黒白)であればそのまま付けたまま作業すれば良いのですが、トリムがバインディングから剥がれている場合は、縮み具合が違うので、それぞればらして貼り直さなければなりません。

 


縮んで足りなくなった部分は後から足します。


無くしてしまった部分は後から足します。


足りなくなった部分は足します。

隙間になった分、縮んでいます。

バックのバインディングは、ヒール下で継いであり、トップ側は指板の下まで入っています。

トップのバインディングが剥がれてしまった場合は、ネックを外さなければ剥がして詰められないので出来る限り頑張って圧着します。

ですが、無理な場合は、ネックを外すか、ボトム部まで剥がして切り離します。

その後は、バック側でやったように隙間の部分に足します。

 


 


 


 

 

バインディング剥がれ / Martin OOO-28EC


分かり難いですが、バインディングはがれです。


バックも剥がれています。


反対側も。

 


圧着しました。


バック側も

圧着しました。
 

 

セルバインディングは、経年劣化で縮んでしまうので、接着の弱いバインディングはボディのくびれ部分が引っ張られて剥がれてしまいます。

そのまま圧着できれば頑張って貼り付けます。

短くなっていますのでそのままでは無理な場合は、ヒール下まで剥がして、詰めて貼り直します。

 

各メーカーいろいろあると思いますが、マーチンはこのバインディングも悩みどころではないでしょうか。

しかし至る所までガッチリ作られてしまいますと修理屋としては、やり難いギターになってしまうかと思ったりします。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正あり)+リフレット / Gibson LP


 


 

塗装修正ありプランで仕上げます。

その後、リフレットします。

塗装修正する場合、色が剥げた部分をピンポイントに修正して、その後に修理箇所周りまで少しだけ色を濃く付けて馴染ませるのですが、修理箇所が濃くなってしまうのは個人的にあまり好きでは無いので割れ跡等も多少見えても出来るだけ薄くと心掛けてます。

割れを隠すためにその周辺を濃く塗装するリクエストがあればそれもありですが、おまかせ頂ければ私が最良と思う感じでやらせていただきます。

ナチュラルや色味が明るいシースルー等は、割れ跡が見えてしまっても出来る限り色は付ない方が正解ではないでしょうか。

出来るだけきれいに仕上げる為に塗装修正するプランがありますが、”とことん”出来る限りきれいに仕上げるのであればネック全体を一旦剥がして塗り直すしかないでしょう。

但し、時間もお金も掛けてトコトンやったとして、理想通りになるかはやってみなければ分かりません。

折れてしまったのだから、元には戻らないのです。

あくまで、折れて、修理したものなのです。

ストーリーは、ずっと続いて行くんだぜ!

 


 


 


 

 


 


 


 


 

リフレットしました。

プレーントップで色合いも、カッコいいレスポールです!

ピックガード交換&ネックリセット Martin D-28 1983年製


スタッフの山口です。今回は自分のギター、1983年製のD-28の修理です。PG交換とネックリセット。ブリッジが浮いていた為、ブリッジ貼り直しも行いました。


ピックガードも剥がれかけていましたのできれいに剥がします。ネックリセットも並行して行います。


いつものようにダブテイルジョイントを温めて接着剤を軟化させます。


うにょっとネックが外れました♪やはりGibsonより短い時間で外れてくれます。


続いてピックガード作製。オリジナルは黒ですが余っていた素材がありましたので今回は鼈甲柄にチェンジしました。自分の好みでもあります。


それっぽいディティールで成形したら表面を水研ぎします。これをやることで下敷きっぽい質感がちゃんとピックガードっぽくなります。


ブリッジ貼り直しもピックガード交換も無事に完了。


ネック角度の修正によって指板の14フレット以降が下がらないように指板の底を足しました。指板材と同じエボニーですが足した部分は縞が入っていますね。


接着剤無しで何度もシュミレーションします。センターズレはないか、仕込み角度は適正か確認してからいざ接着。写真のように数日間クランプをかけて寝かせておきます。


せっかくリセットしましたのでもう少しサドルの出しろが欲しい気がしますが今回は自分のギターですのでまあこれでヨシ。


 


 

1983年はMartin社創業150周年。そして自分の生まれ年でもあります。生まれ年のニッパチが欲しくてしばらく探してたのですが、80年代は生産本数も少なく、特に1983年はメモリアルイヤーということもあってレギュラーライン(スタンダードシリーズ)の個体が中々市場に出てきませんでした。2年ほどかけてやっとネットオークションで見つけて手に入れることができて「これは一生ものだー!」、、と思っていたのですが、どうしてもしっくり来なくて実はこの後早々に売ってしまいました(^^;;

結局のところ製造年は関係なく、弾き易くて自分好みの音を奏でるギターが一番!だと教えてくれたギターでした。とは言いつつ生まれ年のMartinを見つけるとつい欲しくなってしまいます。次は生まれ年の「自分好みの」Martinを買いたいなと思います。

今回も読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m

 

 

 

ネック折れ修理 (塗装修正無し) / Gibson Explorer

 

このシリアルナンバーは研きの際に消えてしまうと思います。

 

 

やはり消えました。

昔、ヘッドを作り直した際にシリアルナンバーも同じく再現しようと似たような数字のゴム印を入手しまして、それが似て非なる感じが否め無いのですが出来上がってみると「こーだったかもしれない。」という雰囲気に見えたのを思い出します。

 

 

 

 

「ネック折れ修理例 増やし期間」をひとまずここまでにしてみます。

また通常の間隔で、ブログを更新していきたいと思います。

沢山、修理例が上がっていますので、見て頂ければ幸いです。

フレット交換 / AB Manson


AB Mansonという上品な感じのギターで

ございます。


フレットに高さが無く、浮いています。


フレット交換いたします。

 

 


 


 

フレットの減りは、ローフレット側がより大きく削れている事が多く、減りが大きいロー側のみ交換をご希望の方もおられます。

そうすれば交換本数は少なく、料金も通常のリフレットよりも安くはなるのですが、本数や作業内容を比較すると割高になると思います。

全フレット交換の6.5~7割くらいの料金ですが、その他にもリフレットの際のご要望には出来る限り対応していますので、その際にはお伝えください。

(このギターは通常のリフレット。)

 


 


 


 

リフレットの際に、指板は現状維持したい、ナットは交換したくない、等々。

部分交換の場合や指板の修正をしない場合では、指板の状態によっては新しく打ったフレットを沢山削って調整しなくてはならない状況が考えられたり、部分交換の場合には新しいフレットと古いフレットの差に違和感を感じる事もあります。

そのような不都合があるか否かよく見て、ご検討頂きます。

 

個人的には演奏中、大分違和感があるなと感じた例があります。→ フレット部分交換

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Gibson Les Paul


 


 


 


 


 

こちらのネック折れ修理は、出来るだけきれいに仕上げる為に塗装修正をして仕上げました。

見た目は気にしない方は多いですが、折角気に入ったギターきれいに直したい心情も分かります。

塗装修正した仕上げも仕上がり具合が同じではありません。

「塗装修正あり」の場合も見比べて頂ければ、得意不得意などがあるかもしれません。

見るだけでなく、読んでいただける方は、古い記事の方が一所懸命何か書いてますので、読んでいただければ幸いです。

 

 

 

 

トップ割れ修理、リフレット / Ovation 1117-4

直線で割れる場合は大概乾燥が原因なのですが、ぶつけた跡もあります。

両方が原因でしょうか。

こちらは乾燥で割れたのだと思います。

 

 


 

割れは大概、外側(上側)に盛り上がっているのですが、Ovation の場合はそれが固くて平らな感じには戻りません。

塗装膜がポリウレタンで分厚い為か、なぜかは分からないのですが平らな感じにはなりません。

力木もファンブレイシングで、C型のクランプでは挟むところが限定されることが多く、このように上から押しつぶして接着します。

Ovationの場合、ボディが木ではない為に歪みがトップに出やすいと聞いたことがあります。

詳しく考えたことが無いので、鵜呑みにしています。

多分そうなんだと思います。

多湿度の季節と乾燥の季節があり、膨張と収縮を繰り返し、木は居心地の良い方へ動いてしまいます。

全体が木であれば、トップやサイドバックがお互いの変化にある程度合わせられるが、Ovationではそうはいかない…

 

 

画像では分かり辛いですが, 盛り上がっています。

平にはなり難いです。

塗装が分厚いので、ある程度研げる為、助かります。

 

そしてこのギターは、リフレットも行いました。


 


 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson J-45


 


 


 

 


 


 


 

 

 


 

当方のネック折れ修理は、塗装修正をしないで仕上げるプランと、出来るだけきれいに仕上げるよう塗装修正をして仕上げるプラン、2通りです。

沢山見て頂くために、特に塗装修正無しプランは仕上がり具合の違いがいろいろありますので、ネック折れ修理例をペースアップして更新しています。

ネック折れ修理ブログでは現状、ビフォーアフターの簡素なものがほとんどですが、R3年7月以前のネック折れ修理ブログでは考え方や説明等、何か書いていると思います。

古い方が一所懸命書いていると思いますので、そちらもご覧いただければ幸いです。