ネックリセット

Kay Guitar arch top / ネックリセット&リフレット

なじみの乏しいメーカーではネックのジョイントがどうなっているのかしっかり調べて作業を進める必要があります。

アコースティックだからと何でもダブテールジョイントと決め打ちしてはいけません。

15フレット上から空けた穴はあり溝の底とダブテールの底の部分を通っている事が分かります。

蒸気は使いませんがスポイトでちょっとだけ水を差す為、少し湿っています。

(ごめんなさい、このジョイント内部の画像はこのKeyのものでは無いです。間違いました。)

 

 

今現在作業しているギターもどんなジョイントか分からず、調べても一向に分からず、仕方が無いので指板を剥がしてジョイントを確かめるしかありませんでしたが、ダブテールジョイントでした。

但しダブテールジョイントだと知っていても恐らくこちらのギターように、開けたいところに穴は開かなかったと思うので、結果それでもよかったかもしれません。

 

亀裂があります。

いろいろ見落とさない様に。

フラットトップのギター等はこのジョイント下の力木の剥がれは絶対に見落としてはいけません。

 

 


 


 

この指板サイド(バインディング)が削り落とされてしまうと非常にやり難いです。

何も考えずにこれに合わせてやればそれでも良いのですが、出来る事ならオーバーバインディングにしたいのです。

したいのですが、これはならないなー。

 


 


 

なら、出来る限りフレットエッヂを立てて(いつも通りですが。)仕上げたい。

触り心地がチクチクしない様に、1ヶ所1ヶ所、確かめてはやり直しやり直し仕上げていきます。

 

 


 


 


 


 


 

ネックリセットするのはダブテールジョイントならどのメーカーも似たようなもんでしょ。

と思いがちですが、構造は同じでも作りが違うと言いますか、慣れないメーカーは面倒なものです。

なれているメーカーであっても、これのようにカッタウェイがあれば外しずらいし、指板の下にエクステンションがあれば合わせるのも手間が増えて勝手も違います。

自分がプロの修理屋になる前は、車や時計や何でもプロの修理屋って当たり前にサクッとさらっと、ビシっとセオリーに則って修理が出来るのだろうと思ったりしてました。

勉強すれば出来るようになるもんだと思ったりしましたし、いずれそう出来るようになるんだろうと思っていました。

流石にこの歳になりますと出会う壁は少なくなってきましたが、そんな風に昔思い描いたようにはならずにずっと同じなのだろうと思います。

私の尊敬する諸先輩方も、きっといろいろ試行錯誤されたのだろうと想像しますが、果たして先輩方は、境地にたどり着いたのだろうか…。

 

 

 

ブリッジ交換&ネックリセット / Gibson J-50 1960s


スタッフの山口です。

前回と同じギターの修理、今回はブリッジ交換とネックリセットのコンボです。画像も多いのでサクサク行きましょう!

・・・

その前に謎のゴツすぎるブリッジプレートを発見してしまい、、、。急遽こちらも対応することになりました。


ブリッジプレート交換は場所が場所だけに苦労します。見づらいですがブリッジプレートを温める専用工具を使っています(使わない時もある)。ストーブにのせて温めて熱熱の状態で固定しますが、サウンドホールに当たらないように中に入れる時は「電流イライラ棒」を思い出します。


多少強引さが必要になることもあります。

必死だったためこの後の画像はありませんが、なんとかして分厚いのもその下の本来のプレートも剥がしました。

あきらめたらそこで試合終了デス。


ブリッジプレートを剥がしたら今度はヘンテコな形になっているブリッジ。こちらも温めてナイフを入れていきます。


そこそこ綺麗に剥がれました。


インディアンローズウッドですがなるべく似た色味を選択します。良い感じになりそうです。


まずはボール盤で元のブリッジの穴を写します。


少し大きめにカット。


穴を基準に、ある程度大きさを決めます。それでもまだ大きめです。


後はビンテージGibsonぽく成型していきます。腕の見せ所。


この辺で一度「師匠チェック」が入ります。


トップの膨らみに底面を合わせ、


ピッタリ底面が密着したらいざ接着。


ブリッジがついたらブリッジプレートも新しくしていきましょう。大きさ、形、ヨシ!


穴も綺麗に開きました。


Gibson特有のボルトナットで固定し、白蝶貝でインレイを入れます。


サドル溝はまだ掘りません。ネックリセットをしてから正確な弦長を測定する為です。


満を持してお馴染みのネックリセット。

 


そして恒例の記念撮影。


60年代初頭はまだロッドエンドがここにあるんですね!60年代中盤以降のロッドエンドはここに顔を出しません。こっちのロッドの方が仕込むのに手間がかかると思います。


ヒールを削った角度分、指板を足して


いざ接着。


ダブテイルジョイントを温める為の穴を塞ぎ、フレットを戻し、すり合わせます。


ブリッジプレートも新しくなり、


 ブリッジも新しくなり、

ネックリセットでサドルの出しろもバッチリ。


センターズレはご法度です。


 

Gibsonでも特に人気のある年代のナイスギターです。最近は値札をぶら下げるなり、すぐに売れてしまうようで価格も上がる一方。ギターに限らずですが、「ビンテージ」と言われるモノは基本的に数が増えることはありませんので、リーマンショックのような事態や大恐慌にでもならない限り中々値段が下がりません。ワインは飲んでしまったら無くなってしまいますが、ギターは弾いてもフレットが減るくらいですし、実用性のあるビンテージ楽器は資産としてもとても優秀だと僕は思います。それに気づいた人たちが買いに走ってるのでしょうか、、本当に手が届きにくい(届かない!?)ものになってしまいました。

それでもアコギはエレキギターに比べたらまだまだお買い得感がありますので僕も引き続き目を光らせてアンテナを張っていたいと思います( ̄∀ ̄)

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

ネックリセット/ Martin C-1


スタッフの山口です。

今回もネックリセットです。得意先のショップさんからご依頼いただく修理の45%くらい(体感です)がこのネックリセット修理、ということで基本的にショップ担当の僕のブログの回はネックリセットが多いのです。どうかご容赦ください。

珍しく修理に取り掛かる前に弦高を測りました。6弦12フレットで4mmありますね。これではリンゴを握り潰せる握力の持ち主でも弾いていて疲れてしまいます。


いつも通り指板とトップ板の間にナイフを入れて引き離しますがそのために温めているところ。温めるためにLEDではなく消費電力の大きい100Wのハロゲン電球ですので昨今の電気代の値上げの影響をモロに食らっております。


ダブテイルジョイントも温めて分離します。100年近く前のギターですが今まで何回この姿になったのでしょうか。0回かもしれないし3回かもしれません。

とりあえず恒例の記念撮影。


ジョイント部分に古いシムが貼り付いているので最低一回はネックリセットしている可能性が高いです。たぶん。


修正角度に比例して指板を足してあげます。そうしないとヘッド側から見た時にハイフレット(14フレット以降)がお辞儀してしまいます。


クランプで固定している画像。タイトボンドやニカワは最低一日以上圧着固定が鉄則です。


ギターがリフレッシュして喜んでいるような笑っているような顔に見えますね。

さあ、接着です。


ネックをつける前に何度も仕込み角度の加減を確認します。


左右のズレがないかも大切です。


ヒールを横から見てボディと隙間ができていないかも要注意ですね。


無事にネックがついたらフレットのすり合わせと調整、最後にクリーニングして完了です。


日本にアコギのネックリセットまで請け負っている工房はインターネットで検索しても数えられるくらいしかありません。そんな中でも当工房オーナーの皆川は今まで何百本とネックリセットをしてきた謂わば「プロのネックリセッター」。

そんな師匠から教わったネックリセットのノウハウはとても貴重で、自分は大変恵まれた環境にいるのだ、と思います。

感謝🙏

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

ネックリセット+リフレット / Guild F212


 

12弦ギター。

弦は2倍に、手間は3倍以上に感じるのは何故でしょう。

実際にナット等、作製時間は3倍位かかっている気がします。

そしてギルド!このモデルはそんなにヒールが太く無いので心配は少ないですが、昔からネックが外し難い苦手意識が強くあります。

蒸気を使って外していた頃は、その蒸気で塗装が焼けちゃったり、2ピースや3ピースの接着部分が剥がれてしまったりする位時間が掛かる事もある為、塗装の修正(主にヒール横、ボディサイド)はする前提、塗装修正の必要が無いようにネックが外せればラッキー(ギブソンもその類)そんな感じでマーチンと比べると大分苦労が掛かります。

現在では蒸気は使わずネックを外しますので、熱による塗装へのダメージは無くなりました。

蒸気は噴出しませんが、中から熱せられますので時間が掛かればそのうち塗装にも影響を及ぼしますので、長期戦になった場合はそれなりに対処しなければなりません。

 

しかし、但し、尚、大き目の塗装クラックが入っている場合は、どうしても塗装が欠けたりします。

ポロポロいきます。パズルのピースのように。

 


 


 


 

サドルがいい感じの高さになりました。

トップ上の指板はエクステンション的な板が最初から足されて、指板より厚みがあります。

そしてリフレット(指板修正、フレット交換、ナット交換)

 


 


 


 


 

ナットは元のデザインに似せて作りますが、これは割と角張った感じ。

ナット作製で難しい部分は何か所もあるのですが、見た目が悪いだけではなく程度によっては演奏性にも影響するので6本の間隔が変にならない様に、12弦ギターでは各主弦の間隔、そして主弦に対して各副弦の間隔、バランスよく。

ちょっとのズレで 見た目が気持ちが悪くなります。

主弦と副弦の間がうんと狭いのが好きな方もいますが、私はあまり好きではないのでリクエストが無ければノーマルな雰囲気にします。

 

そしてヒール周りは、無事です。

塗装修正は無く出来ました。

ネックリセット&ブリッジ交換 / Martin O-18K(1930s)


スタッフの山口です。今回はご依頼いただくことが多い修理、ネックリセットとブリッジ交換のコンボです。ネックの元起きが進んでしまいサドルを限界まで低くしても弦高が下げられない場合、写真のようにブリッジを削ってサドルの出しろをを確保するのです。


ネックリセットでネック角度は修正されるのでこのタイミングで不恰好になったブリッジを交換する、というのはよくあります。

ブリッジの端が裂けて残ってしまいましたが今回は御役御免になるため問題なし。

それよりもブリッジ周りの塗装面を傷つけない方が大切。


ブリッジを剥がしたら続いて指板を剥がしていきましょう。この時もトップの塗装に気を遣ってナイフを入れます。


ダブテイルジョイントを温めてネックを外します。ニカワは熱で接着力を失うという素晴らしい特性があります。修理やメンテナンスをして永く使う木工製品(楽器や家具)の強い味方ですね。


恒例の記念撮影。

 


ネックの角度はブリッジの高さを目安にするためここで一旦ブリッジ作製に移ります。

最近は本当に黒々したエボニー(黒檀)も大変入手しづらくなってきました。例外なく価格も高騰しています。


エボニーはローズウッドよりも加工しやすいです。マーチンのブリッジの特徴を頭で描きながら成形していきます。


ブリッジ接着完了。


新しいブリッジを目安にネック角度を適正に調整。


ネック角度は4方向で調整しなければいけません。闇雲にヒールを削ってしまうと6弦と1弦のラインのバランスがおかしくなりカッコ良くありません。


フレットをすり合わせ、もしくはフレット交換。今回はすり合わせ、、、だった気がします。


ネックリセットが終わったら弦長を測定しルーターでサドル溝を掘ります。


ピンホールの径を調整し、


面取りをすれば、、


オールドマーチンらしいブリッジになりました♪


ナットはすり合わせなら調整のみ。

リフレットの場合は1フレットの高さに合わせて作り直します。


ナットの微調整が終わってからサドルを作り、高さ(弦高)を決めます。


新旧ブリッジを並べてみました。ブリッジを削ればその時はネックリセットより安く済みますが、いずれネックリセットするであろう場合は削らない方が安く済みます。


 

歴代のオーナーたちの手を渡りそして恐らく数々の修理人たちのリレーによって今ここにある90年前に作られたギター。ナイスギターでないわけがありません。

今回も最後までありがとうございました。

 

ネックリセット Martin D-28 1967


スタッフの山口です。遅ればせながら今年もよろしくお願いいたします。

今回はアメリカのどこかで長年眠っていたであろうハカランダのD-28のネックリセットです。甦らせます。

ダブテイルのポケットに通じる穴を開けた所。


指板の14フレット以降をトップ板から剥がすために温めます。


指板周りを傷つけないように慎重にナイフを入れていきます。

 


ダブテイルジョイントを温めて接着剤を軟化させます。最近はすっかり蒸気ではなくヒートスティック(専用のハンダゴテみたいな道具)の熱で行っています。


4〜5年前まで蒸気にまみれて拭き拭きしながら奮闘していました。

本当にMartinは良い子です。(比較的素直にネックが取れるという意味)


今回は角度を直して仕込み前に記念撮影♪

 


リセットのみの場合は再接着後はフレットのすり合わせを行います。


今回は明らかに長年使われていなかった為ペグを外して磨きます。ヘッドの突板もペグがなければ綺麗に磨けますね。


ラッカー塗装はデリケートなので磨き用の溶剤選びには注意が必要です。

 


ボディも磨いて一丁上がりです。


サドルはもうちょっと高さがあっても良かったかもしれません。しかし先日、夏にネックリセットした個体が冬になって弦高が下がりすぎたと戻ってきてしまいましたので修理する季節も考慮しなければならないのだと思い知りました。サドルはあくまでも高すぎず低すぎず。日々勉強です。


いつも書いていますがセンターズレはご法度。元々ズレている個体もたくさんありますがその場合はできる限りネックリセット時に修正します。

ズレているからといって音の良し悪しにはあまり関係ありませんが。


アコースティックギターと聞いてほとんどの人がイメージするのがこのギターだと思います。


ハカランダ特有の木目ですね。

イカしてます。


サイドもこんな感じ。素晴らしい。

音も言うまでもなく。

今回もありがとうございました。

 

Neck Reset / Gibson Dove (画像のみ)


 

本年もよろしくお願いいたします。

ブログに上げるものがいつも同じ内容ばかりで、書く事がもうないので同じことを何度も書いているかもしれませんが、そこはご了承くださいませ。

何を書いたら良いのか最近はホントにわからなくなっていますが、私のこの仕事へ携わる切っ掛けは、1987~1988年この頃にクロサワ楽器のお茶の水駅前店にアルバイトで雇ってもらった事です。

この頃のこのお店はアコースティックギターが中心で、それが今の私の仕事に繋がっています。

そこには、当時のクロサワの1番良いアコースティックギター(クラシックギター、フォークギター)が在庫されていたと思います。(新大久保店が出来るまで。)

そこには連日クラシックギターマニアのお金を持ってそうな、おじ様達がこぞって店長らとギター談議に花を咲かせておりました。

 

 

 

 

常連さん方から度々聞こえてきたのが、オールドギターの良し悪しについて。

製作されてから何年後位がピークで、何年後以降は落ちていく…そんな話。

パワーが無くなる。とか

100年で寿命だとか…

(ギターの歴史位だと思うんだが、材がどーのこーのだったような…記憶の遥か彼方)

そんなようなことを断片的に何度か聞く事がありました。

 


 


 

バイオリンってなんで寿命が長いのかなと?ふと思ったりしたことがあったのです。

バイオリンの寿命等聞いたことが無いし、バイオリンの100年物はまだオールド等とは呼ばれず、モダンと呼ばれてしまうそうなのですが、「なるほど。」

バイオリンはあの大きさに対してあの位の板の厚みがあるので強度も違い、楽器の成熟する時間も違うのかと自分なりに考えたりしました。

古くてどうしようもないバイオリンは一旦バラシて組み直すなんて事も聞いたことがありますので、だから永遠に寿命が来る事が無いのかと。

組み直せるんです。

 

 


 


 

アコースティックの弦楽器は接着でいろんなパーツが組み合わさって出来上がっています。

古くなり音が枯れる原因は、そこなんだと思っています。

接着剤のニカワがカスカスになってしまう物があります。

ギターは力木でバランスは取れているとは言え、あの板の厚みしか無く楽器はあの大きさがありますから、100年もしたらそれは枯れ具合は相当なものでしょう。

この仕事を始めた頃は、それが出来ればギターも寿命知らずになるなと考えたりしましたが、バイオリンの様には出来ないからギターはバイオリンのようには残って行かい結論なのか。・・・確かに。

おじ様達の100年寿命説はどっから来たのか、今考え始めてしまいました。

あの時のおじさん達の雑談に今、振り回されております。

そうなると100年物のギターなんてそれこそトーレスだったりは、かなり頑張って直しながらそこまで来たかと思いますので、寿命と言う表現を使う時期はもっと早いのかもしれません。

クラシックギター(スペイン式)はネックを外して直す事が出来ないので、弾き辛いギターはそのまま諦められて、弾き辛いまま音がどーのこーの、なのか・・・それならそれを寿命と言われるのは忍びない気がする。

 

今思えば、あの当時のクロサワに来てたクラシックギターマニアおじ様達の100年寿命説は、その常連さん達の話では無く、度々暇つぶしに来るあの声のでかい常務が言っていた事が「おじさん達談議」として私の中に残っていたのかなとも思ったりもします。

100年なんてどっから出して来たのだろうか、書きながら今思っていますが、きっとそれ位のギターを弾かれた経験がある方が言った事なのでしょう。

いずれにしよ、何年物だって枯れた音が良いし、その音が好きなら寿命などではないし、物足りなければそれを寿命と言う人もいる。

何につけ、言い切る事は出来ないのだと改めて思うのでありました。

 

 

年初めから画像とは関係のない話になってしまい、取り留めのない感じになってしまいました…。

こんな感じですが、本年もよろしくお願いいたします。

ネックリセット ネックリフィニッシュ / Martin M-36


 

ネックリセットやネック折れ、ボディ破損等はビフォーアフターの絵面が良いので修理ブログでは、ついつい多くなってしまいます。

実際、当方ではネック折れとネックリセットは多い事は多いのですが、力木剥がれやトップクラック等、アコギに多い修理もいかんせん、画が地味…。

それに対して、このネックを取っちゃってるところなんて、”えぢから”あるもの!

それとかネックが折っ欠けちゃってる画なんて怖いでしょ。

絶対に自分のギターで想像しないもん。

幅広く画像残さないと…とは思ってはいるのですがつい・・・申し訳ないです。

 

 


1


2


3


4

1. この位が個人的に理想的なサドルの高さ、リフレットの際に指板を削り直したり、使用する弦の張力によってどんなネックの反り方、起き方になるか計算しなければならない(実際に計算式があるわけでは無い)のですがなかなか思い通りなサドルの高さにする事は難しく、少々どっちに転んでも良い感じなる様に調整します。いずれにしろ出っ張り過ぎないように気を付けています。

2.薄板で指板の厚みを足しているのですが、バインディングがあるのでバインディングも足さなければなりません。

3.フレット交換していますが、バインディングがありますので、フレットのエッヂ部の足はカットしてバインディングの上に乗るように加工しなければなりません。バインディングが巻いてあると何かと面倒になります。

4.新しいフレットなので、基本ナットも新しく。

 


 


 


 

ラッカー塗装にありがちなベタベタ劣化は、大分ひどい場合はリフィニッシュ。

リフィニッシュしないまでもの場合は、劣化したベタベタを辞去してオーバーラッカーします。

但しその場合、着色部分も往々にして剥げてしまう事があります。

 


 


 


 


 

サドルの話に戻りますが、折角ネックリセットするのだからサドルが低くてはお得感が無いとお思いの方が多ございます。

私の場合、出っ張っているサドルがカッコ悪く見えてしまうのでサドルは高く無くて弦高も低いのが理想なのです。

サドルは高く無くても弦高が低いのでそれでよいのです。

あとは弦をちゃんと緩めて管理すればネックの角度が狂ってしまう事は無いのですから。

 

ネックリセット / Gibson J-45

スタッフの山口です。今回もネックリセット、Gibson J-45です。

ネックリセット依頼の多くはビンテージギターです。その理由は長い年月が経ってネック角度が狂うから、というよりも修理費をある程度かけても採算が取れるから、だと思います。新しいギターでも保管方法によっては数年でネック角度は狂ってしまいます。

 

写真だと非常に分かりづらいですが元起き+順反り。

色んなケースがありますので一概には言えませんが、ネックが起きることで弦の力がかかる方向が上に向かいネックも反りやすくなるのではないかと思われます。ネック角度を元通りに直してあげれば弦の力もネックと平行気味にかかるようになり、反りにくくなることが多い。ちょっと説明が分かりづらいですが、、、ネックリセットして角度が元通りになるとネックの反りもいくらかマシになる、ということが多い気がします。


指板とトップ板から切り離してから専用ジグをかけます。


ダブテイルジョイントのあるヒール内部を温めて接着を弱めます。


無事スポっと抜けました!

記念撮影。

ヒールを削ってはネックを戻して角度を見ていきます。

アジャスタブルサドルとノーマルサドルでは仕込み角度が異なります。

センターズレはないように。


塗装のクラックがあるとヒール部分のラッカー塗装が欠け(剥がれ)易く、欠けてしまったら修正することもあります。今回はラッカーを盛る修理方法で直す工程が必要でした。


Gibsonの60年代、たまに写真のように指板側面まで色がついちゃってる個体があります。当時のGibson工場の塗装担当がマスキングを忘れちゃったのか、これがかっこいいと思ったのか、単に手抜きなのかは分かりませんが、こういうところが「Gibsonらしい!」という人もいますね。


ノーマルサドル同様アジャスタブルサドルの出しろも出過ぎるとカッコ悪いです。このくらいの出しろで標準弦高になれば理想的ではないかと思います。

ハカランダサドルは好き嫌いが分かれますが、僕は最近好きになってきました。


 

ネックリセットは時間も費用もかかりますが効果も抜群です。一度ネックリセットしたギターは当工房オーナーが推奨する「弾かないときは弦を緩める」を守っていただければまたリセットが必要になることはほとんどないと思います。

ちなみに今現在僕が担っているギターは少し変わったネックリセットをしています。一度ネックリセットした際に角度を付けすぎてしまったらしく、サドルが恐ろしく高くなってしまった状態を適正に戻す、言うなれば逆リセット。ヒールを削りすぎてしまっているため逆にヒールを足すという修理です。いつかそちらもアップしたいと思いますが写真のストックがまだまだあるので忘れた頃にアップすると思います。

最後に一応、、ネックリセットは経験豊富な当工房、皆川ギター工房にお任せください。

今回も閲覧いただきありがとうございました。

 

 

ネックリセット / Ovation 1885-NBBG


 

ネックの角度が狂えばリセットしなければなりません。

角度が狂ってしまう原因は大きく二つあります。

ひとつは製造不良、もう一つはチューニングのしっぱなしで放置。

このOvation は後者。

張力が掛かり続けボディが分かり易く歪んで(つぶれて)います。

歪んだ分角度が狂いますが、これはセンターもかなりずれちゃって、1弦がはみ出しちゃってます。

 

 

見える穴はジョイントボルトが入る穴で、アジャストナットは木で補修してあるその上に来ます。

剥がれと元からある隙間は補修します。

 


 


 

剥がれを直して、隙間を補強して、アジャストナットはグリスアップしてついでにワッシャーも足しておきます。

ネックをセットしたらすり合わせをします。


 


 


 


 

ネックの角度、センター良くなりました。

昔はそんなことは無かったのですが、Ovationの弦高が数値の割りに高く感じたり見えたりするようになりました。

感覚も時の流れとともに変わっていくのでしょうか。

ですので、Ovation は通常の弦高よりも少し低めに調整します。

若い時はJ-45よりもTexsan、B-25よりCortezが好きでしたが現在は逆です。

多分に年齢的に聞こえる音が変わったので、好きな音が今はギブソン寄りなのかなと思ったりします。