フレット

フレット交換(指板、サドルのアールの変更)/ Martin D-45


 

D-45のリフレット(フレット交換)です。

指板を修正して、新しいフレットを打ちます。

このギターの場合、過去のオーナーの好みか、職人の癖か、指板のアールがマーチンにしては付き過ぎていますので、アールを少し戻します。

アールは削られて変更されていますので、戻す方向にしてもまた削らなければなりません。段階で言えば2段階位戻ればマーチンらしくはなりますが、あまり削らず雰囲気をマーチンらしく修正します。

指板のアールとサドルのアールは基本的には同じアールでそろえます。

下の画像は、指板修正して、フレットも交換済みの状態です。

サドルのアールはまだ元の指板のアールのままですので、サドルを修正します。


このサドルは修正前の状態。

スケール上約10の値

指板の修正前も、端が多少落ち気味の大体10の値、マーチンには無い形状

 


14位になればマーチンと言う感じですが、12まで戻せばグッと雰囲気は変わります。(数値が大きくなるほどアールが緩やかになります。)


修正前はこの10アール、画像がありませんが、10で端が多少落ちた感じ。


14を当てるとこんな感じです。

このスケールで14アール位になればマーチンにもよくある感じですが、もっと緩いアールもあります。


見え難いですが、サドルのアールを削った状態

アールを12にあわせた状態です。


指板のアール等、このあたりは好みですので、リクエストがあれば弾き手に合わせて変更される場合があります。

リフレットとナットの作り直しは基本セットです。

いつもの記念撮影で完了

 

リフレット(フレット交換) / Ovation 1985-1


 

Ovation  1985-1 のリフレットです。

久しぶりに出してみたら、音も出ず、弾けなくなっていたという事で、ネックリセット他オーバーホール中のリフレットです。

フレットを抜く際に指板が欠けてしまわないように、半田ごてでフレットを暖めながら抜いていきます。

このオベイションのエリートと言うモデルは、アダマスと似ていますが前にアップしました方法とは違い、ネックはついた状態で、私なりの方法で打ちます。

構造上トップ部分(ハイポジション、指板エンド部)のフレットは強めの力で、打ったり、押したりしない方がよいので、長年でたどり着いた方法で打ち込みます。見せないけど。

フレットの溝を多少広くしてやれば、フレットを打ち込んだり、押し込んだりしなくてもフレットは”着けられる”のですが、フレットはしっかりと溝に食い付かせたいので、”私なりの方法”で打ち込みます。みせませんが。

 

 

サドルのアールの確認。

サドルのアールは変えられませんので、こちらに指板を合わせます。

指板のアールの確認。

大体同じになってますので、このアールを崩さず指板(フィンガーボード)を調整をします。

調整する際の注意は、端が下がってしまわない様に、フレットを削る時も同じ注意が必要です。

指板もフレットも端が下がるとカッコが悪いです。

(この画像の指板は悪くはないですが、多少下がっています。)

 


 

端が下がってカッコ悪くなる事と、もうひとつの形がフレットのエッジの形。

左は新しく打ち直した方、右は抜き取った古い方。

左はエッジが立っていますが、右はエッジが斜めに奥まで削られています。

エッジの処理は斜めに削ってしまったほうが処理(整形)に時間が掛からなくて作業的には楽で良いのです。

ですがこの分、弦が内側に乗るようにナットを作ります。

別にこの辺は好みであったり、気にしない方も多いのでかまわないのですが、個人的には弾き難く、何よりもヒジョーにカッチョ悪く見えてしまいます。

 

 


独特な形の指板エンドのフレットの処理も時間が掛かります。


 


新しいフレットに合わせ、ナットを作り直します。


 

私も大昔から大好きな方の春からのツアーで使用予定のギターです。

その人を感じられるほど、弾き込まれたギターではありませんでしたが、このギターで歌っている姿を想像いたします。

このように、弦が多少でも張られた状態で放置されますと状態が悪くなります、お気をつけください。

 

リフレット(フレット交換)/ YAMAHA FG-1500

ヤマハのリフレットです。

昔の国産のフレットの足にはスタッドがついていませんでしたので、足を何か角のあるもので叩いて、スタッドもどきを作ってあります。

叩いてつぶれた分、フレットの足より幅が出来ます。

現在は、勿論こんな事はやりません。


指板修正は削り過ぎないように。


フレットのエッジは丁寧に処理します。


国産オールドもなかなかです!

 

フレット交換(リフレット)/ Gibson J-45 ’50s

オールドJ-45のリフレット(フレット交換)です。

 

奥に半田ごてが見えます。

フレットを抜く際はフレットを半田こてで暖めて抜きます。


リフレットの際は、その精度を上げる為に指板(フィンガーボード)を調整してから新しいフレットを打ちます。

※オールド等、場合により一切指板の状態を変えずリフレットする場合もあり


その際に気をつけなくてはならないのは、指板だけで精度を出さない、必要最小限で調整する、削り過ぎない、こういった事を念頭に作業します。


オールドの場合は、オリジナルの状態を出来るだけ保存する(のこす)事も考えます。

 

 

 

このJ-45も所有する、オーナーのものではありますが、必ずと言っていいほど後世に受け継がれていきます。

楽器ですので、弾き易く、自分好みの状態で楽しむ事が1番の目的です、それが出来なければ持っている意味も半分以下になってしまいます。

オールドであれ思い切った事をやる事もありますが、何でも型にはまった様な仕事ではなく、私達修理者はその都度、何に重きを置いて接するかを考えなくてはいけないのかなと思っています。

 

 

フレット交換(リフレット)/ Gretschi 6120


 

グレッチのリフレット(フレット交換)です。

どのメーカーも基本的にやることは大体同じですが、グレッチの場合は、指板(フィンガーボード)やバインディングの状態が良くない無いものに良く当たります。

新しいフレットを打つ前に指板を調整します、思い切って削ってしまえば指板上真っ直ぐになりますが、特に古いギターの場合、必用最小限の修正を目指します。

指板面の凹みやバインディング(左右反りが逆に見えてます。)の状態に惑わされず、削ってはスケールを何度も当てて確認します。

指板修正のポイントは、ネック(バインディングのライン)が反って見えていても新しいフレットを打った際に、フレット上真っ直ぐになるポイントより余計に削り過ぎないこと。

フレットのエッジは斜めにし過ぎず立てて、角を丁寧に処理します。

0フレットがある場合は、ナットは単なる弦のガイドなので、問題なければそのまま使います。

 

0フレットは1フレットよりちょっと高めのフレットを打つだけで、「はい終り。」の場合も多いですが、それでは意外と1フレットに対して高すぎるので、0フレットも調整したり、擦りあわせ後に同じフレットを打っても良い場合もあります。

Gretschi Guitar でした。

 

リフレット(フレット交換)/ Ovaiton Adamas Ⅱ

リフレット(フレット交換)します。

リフレットの際は基本的に、指板の歪みを修正します。

初期型のアダマスのハイポジション部の指板は接着してなく、フローティングしている為、ふわふわするので、調整にも一工夫が必用です。

Fender のギターの様にネックを外してフレットを打ちます。

アダマスのハイポジション部は、指板の調整ーフレット打ちーネックリセットーすり合わせ、どの作業も手間を掛けたり、計算を詰めて作業しないと後で調整の際に悲しくなります。

(ハイポジション部には、大昔に作ったアダマス用のフレット打ちジグがセットしてあります。)

エリートと言うモデルは、ハイポジション部のフレット打ちはコツがありますが、それ以外は、一般的なギターと同じ感覚で作業できます。

(初期エリートの1537は、フローティングしてた記憶があるのでこれは別かな。)

特徴的なデザイン。

ここのフレットの処理は、アダマス、エリート共、同様に手間が掛かります。

当方のフレットエッジの仕上げ方は、この感じです。

リフレットの際は、基本的にナットは作り直します。

Ovation の場合、1弦、6弦(両サイド)の溝が内側に入り過ぎている事が多いのですが、交換の際はバランスよく溝を配置します。

Gibson  Martin 等の場合は、気にならなければ、こちらから伺うことはあまりありませんが、Ovation  ヤマハ、等の場合は、気になる事が多いので、弦間(溝の位置)をどうするか伺う事が多いです。

普段使用する、ゲージによっても調整が変わります。

当時の輸入代理店(中尾貿易)で10年以上仕事をさせて頂いたお陰でOvation の対応はいろいろと役に立っています。

 

 

弦落ち → フレットエッジを立てる / フレット交換(リフレット)


何の画像かと言いますと、新しく打ったフレットのエッジと交換する前に打ってあったフレットのエッジの角度を比較しています。


ナットの溝を内側に入れて、弦が指板の内側に寄るように作り直せば対処出来ますが、そこはオーナーさんの考えでいろいろです。


国産ギター等に多く見られる、ナットの溝が大分内側に入っているものが有りますが、慣れていないと、少し気持ち悪いです。


フレットのエッジを寝かして削ってしまえば処理は楽です。

やはり大きなメーカーは沢山ギターを作りますので、45度位の角度をつけて落とすしかないのでしょう。


エッジを立てた場合は、1本、1本処理に時間が掛かりますが、その分きれいに仕上がります。

フレットの端まで弾けるので、ビブラートが大きい方や変則的なプレーの方にも有効ではないでしょうか。


指板調整、ナット交換はリフレットの際セットですので、精度も上がって、こちらのオーナーさんもやって正解と言う事でした。

 

フレット交換(リフレット) / Guild F-20

こちらも人気があります。

オールドの Guild  F-20です。

フレットのエッジはあまり斜めに削ってしまわないように、エッジを立てますので、1本づつの仕上げは時間が掛かります。

作業性を考えれば、指板サイドから斜めに落としてしまえば楽なのですが、こちらの方が見た目も良く、指板の端まで余裕が出来ます。

特にエレキの方や、弦落ちしてしまう方には良いかと思います。

過去に、ただ単にフレットのエッジを45°に拘った方がいらっしゃいましたが、あまり斜めにし過ぎると、安っぽく見えてしまうので個人的には好きではないのですが、確かに指の腹に触る感じが気になる人もいらっしゃいます。

フレット交換の際は、ナットも作り直しますが、オリジナルを底上げして生かす事も出来ます。

※外せないナットもあります、その場合は壊さざる得ません。ご了承ください。

 

フレット交換(リフレット) / Gibson J-200 lefty

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画像を裏返したような感じですが、レフティです。

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右利きでしたらこちら側が見ている側ですが、レフティですので、→

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こちらが見える側になります。

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いつものようにナットも作り直しますが、左用は作っていてなんとなく妙な感覚になります。

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どの修理でも、最終的にバランスを調整しますが、いくら修理が良くても、ナット、サドルの調整がちゃんと出来ていなければ全部台無しになります。

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こちらも当初、何故このバランス?と言うような調整でしたが、左利きのリペアマンが携わる確立は相当低いでしょうし、確かに右利きなら経験の浅い人では難しいかもしれません。

 

リフレット(フレット交換)/ Vanzandt Tel

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エレキギターのリフレットです。

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ヴァンザントという、ブランドのテレキャスターです。

太目のフレットに交換。

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Fenderのギターのように指板のアールがきつくないので、すり合わせがそれほど考えずに済みます。

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フィーリングが良くなったと、おっしゃっていただきましたので、フレット交換正解と言う事でいいと思います。

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なんにつけ印象は十人十色ですので、パーツ交換はやって見ないとわかりません。

どちらに転んでも、経験として次に生かしましょう。