ボディ(トップ、サイド、バック)

トップ割れ修理 / Ovation 1768-X

Ovation のトップ割れ修理です。

オベイションに限った話ではありませんが、弦はしっかり緩めましょう。

 

弦を緩めるか否かで迷う人も多いですが、ネックの心配と同じ分、他のいろんな部分にも弦の張力がかかっています。

次の画像に行くまでの間は、ブリッジを剥がして、エポーレットを剥がして、ネックを取って、割れを直して、塗装面を調整して、はがしたエポーレットを直して、と言うようなことをやっております。

今回の修理で最もやりたくない作業は、次の画像の塗装、その後のエポーレット貼り。

なるべく元の感じの、どす黒い感じで、サンバーストの幅が割と大き目なそんな感じを目指してやってみます。

どす黒さを目指すと黒くなってしまいます、薄めにどす黒くなる様に回数重ねてみると杢目がみえずらくなってしまい、何度か塗っては消してやり直し。

塗装が下手、調色が下手、苦手意識に拍車がかかります。

どす黒さが再現出来ず、割と多くある1768-xらしい色でやってみる。

サンバーストで失敗したら、またやり直しになります。

 

 

 


トップコートまで終わった所。

 


普通のサウンドホールならここまでくれば先は、すぐそこなのに…


剥がしたエポーレットは元の位置には絶対に戻りませんので、出来るだけ丁度良い所へ。

割れを直したエポーレットなら尚更合いません。


アクリルのジグを乗せて(先端部分はその上に木)エポーレットもアラルダイト(エポキシ系の接着剤)で貼ります。

拭き取りにどれだけ時間がかかるかわかりません。

 

エポーレットの接着は、ピックガードの様に両面テープでは全く持ちません。

アラルダイトを使えばまず心配はありませんが、どれだけ時間をかけてもきれいには拭き取れません。

ならばタイトボンドならどうか、それなら硬化後も拭きとれます。

風呂で考え、布団で考え、寸前に考え、やはりアラルダイトで接着。

タイトボンドでも大丈夫のような気がしますが後々めくれてきたらと考えると…誰か…教えてくれ…

 

 


ブリッジについている丸い木がボルトの目隠しになっています。


Ovation の場合ブリッジプレートがありませんので、このブリッジについているボルトを強く締めすぎると、トップが割れやすくなる原因にもなりかねます。


エポーレットを貼る際のジグは今から25年位前、中尾貿易時代に作った物、なんでも経験しておく事と持っておく事って大事だなと改めて思いました。

 

 


私が検品したこれをCharさんが弾いてくれてました。

ナイス思い出だなぁ~。

 

 

トップ割れ / Gibson Country Westem

割れがある場合、力木も剥がれていますので、必ず確認して接着します。

割れがしっかり接着出来ればクリートは必要無いのですが、より強度が欲しい場合は、気休め程度と分かっていても裏に貼り付けます。

 

 


 

ビフォアフターはいつもと同じですが、今回は最小限バージョンで。

こんな感じでやってみると分かり易くて、とても楽なので、時々はこんな感じも試しながら続けて行ければよいと思います。

最初の頃はこんな感じだったと思いますが、だんだん色いろ書くようになり、画像も多くなってきて、毎回毎回書ける新しい事も無いのですが、基本は毎回今、書いている物を見て当工房を知ってもらえる最初のページと思って書いています。

にも拘わらず、毎回見て頂いている方々の為にも出来るだけ、思い出した事柄や考えている事や、ちょっとした知識等、書き加えていければ良いのですが、そう都合よく書ける事も無いので、あった時は「当たり!」と思って、なんか良い事がありそうだと思って頂ければ幸いです。

 

 

 

ボディ割れ修理 / Koaloha

ウクレレは小さくて軽いので、返って落っことしやすいのかもしれません。

出来るだけ真っ平に戻るように、あれこれクランプしてみて、これで良しと思っても微妙に段差が出来てしまいます。

そのままにするか段差を研ぐか、悩みどころですが、平らに研ぎます。

 

 


塗膜が厚めならば、塗装が剥げずに違和感なく仕上がるのですが、剥げてしまったところは、色が薄くなってしまいます。


着色し直したところは濃くなるとワザとらしくなってしまうので、薄く、濃くならない様に。


肉眼で見ると良い感じでも画像になると粗が良く見えたり、見えなくなったり、難しいです。


落っことさない様に、気を付けましょう。

 

 

 

ボディ破損修理 / ZEMAITIS CAJ-100HW-12

ゼマティスのアコギのボディ破損

どうやろうかと考えてもプランが立ちませんので、とりあえず凹んでいるところを戻してから考えるとします。

戻るかどうか分からなっかったですが、何とかかんとか戻します。

バック側から見ても…別に変りません。

戻しながらいろいろ考え、どうやったらうまく出来るのか巡って、たどり着いたところが…私には無理!

 

 

 

預かる時に言ったもん! きれいに直んないですよ。って。

ならば、私なりにやるしかないんです。

今までもいろんな修理資料を本や、パソコンで見てきましたが、みんな上手くてどうやっているのか分からないのですが、あーやって仕事が出来る人はいい修理代取るんだろうな、とは想像がつきます。

 

単板ボディであれば戻せたところで勝負あり!になるが、このギターは合板ボディなのである程度戻せたとしても削って整形する事がほとんど出来ないから戻しても意味無いか…。割れてる部分は交換しないと…。

! 表面だけはぎ取って、変えればいいんでない? 合板なんだもん。

ひらめいちゃったな~!と思いましたが、完璧に密着させないと出来上がった後、浮いてる所は押すとプカプカ、フニフニ、してしまいます。

でも、もうそれしかアイディア無いので、それでいきます!

 

 

 

奇跡的に、プカプカする所無く出来ました。

交換した所の境の縦線はどうにも出来ません。

ですが、ボディにある縞が無い材料で交換するしかなかったので、雰囲気だけは何とか合わないかと、縞は描き込みました。

ただ、ボディの縞は見る角度によって、濃淡が逆になるので、描き込んだ縞の濃淡は変わりませんから、見る角度によって合っていたり、逆だったりします。

引いてみると縞全体が良く見えるのですが、近くで描きかきしてると見えなくなってきます。

絶対に上手くは出来ないのは分かっていますので、一所懸命やったらそれ以上はやらずすぐに諦めます。

 

 

中は割れを接着しただけで、補強はしません。

外側から貼ってますから。

ネック折れ修理の記事の中で書いた記憶がありますが、折れていた部分を見えない様に修正するテクニックとして、割れ跡を塗りつぶした後、周りの杢目に合わせて杢目を描き込む、と言う方法が昔ありました、と。

 

この方法は、やった直後は達成感に満足するのですが、翌日見ると気持ち悪くなります。不自然過ぎて。

やった直後は「うまいな~。」と自画自賛出来ているのでその場合は、冷静に見てはいけなかったのだと思います。

「こんなことにあんなに時間をかけたのか…」と、昔2~3度やった記憶があります。

ですので杢目を描き込む修正は一切やらなくなりましたが、なんでも経験しておくものだと思いました。

その時の教訓が多少生きたと思います。

ボディ割れ修理 / KoAloha

ボディ割れの修理です。

剥がれた延長部分も割れています。


 

 

 

破片を取って置いて貰ったおかげで、それを貼り戻せます。

破片は、細かく砕けてしまわなければ、大概戻せますので見つかれば取っておいて下さい。

上手く戻るか否かは、状況による事もありますが、あった方がとても助かります。

 


元の破片で直した方が、当然ですが自然です。


割れ修理の跡は残りますが、


見る角度によっては違和感無いと思います。

 

ボディ割れ修理/ ウクレレ

落っことしちゃったようです。

修理跡は残るのは仕方ありませんが、割れだけは直しておきたい。

 

 


 

ウクレレは小さくて軽い事が、うっかり落としてしまいやすいとも言えるかもしれません。

ウクレレのストラップは両手を離すと落ちてしまうので、これもうっかりしやすい原因かもしれません。

ギターの様にストラップピンで留めるストラップであれば簡単に落ちる事は無いと思いますが、ギターではギブソン等の小さいストラップピンの場合、ストラップが外れて落ちる事があります。

私の場合、エレキを弾いている時に外れて何度も落ちかけた事があります。

エレキは重量があって、ストラップはしっかりかかっている事を確認したにも関わらず外れます。

恐らくストラップピンをかける穴が弱っていたのだろうと思いますが、お気に入りは使い続けたいですから、何らかの対応が必要になります。

いつもネック折れ修理をお返しする際に「倒さないよう気を付けて下さいね。」と伝えますが、ストラップにも注意が必要だなと改めて感じます。

トップ割れ(クラック)修理 / Ovation 6768


トップ割れの修理なのですが、撮影が下手で説得力が出ない為、この種の記事はほとんど無かったと思います。

たまにはやっとこうと思いましたが、やはり直ったのか何なのか、伝わらないと思います。


割れて上へ盛り上がりますので、平らに押さえて接着します。

通常のセンターホールのギターは、サウンドホールからクランプで挟み込んで平らにしますが、Ovationの場合は塗装が厚く固くその分割れも固いので、センターのサウンドホールであってもこの方法が有効のようです。


センターホールではないモデルにはアクセスドアが無いと困ります。

近年のセンターホールではないOvation にアクセスドアが無いモデルがあるのですが、ネックは取れないようにくっ付けちゃってるんだからアクセスドアも要んないでしょ。

…という事か。

 

 

Ovation の場合は塗膜が厚く、しかも割れが固いのでタイトボンド等では接着出来ませんのでスーパーグルーの類で接着します。

接着部は筋が残っていますので、サンドペーパーで水研ぎして仕上げます。

この仕上げの作業が1番大変。

塗膜が固いから他のギターのようにペーパー跡が消えてくれません。

研いで出来たと思って磨いてダメで、もう一回研いで磨いて、これで良しと思って、また研いで磨いて・・・なかなかきれいにならず、角度を変えて良~く見るとペーパーの筋が残っています。

そしてやっときれいになって、いい出来。

と思っても画像を見ると、伝わんないな~と思います。

 

トップリセット / Ovation 1681-5 (Adamas Ⅱ)


トップに剥がれがあるアダマスⅡのトップをリセットします。

ネックの角度も何もかもおかしいので、丁度都合が良いです。


力木もいっぱい剥がれています。

力木もそうですが、トップの接着が弱っていては、仮に演奏可能でも本来の音では無いはず。


トップ(が乗る)を貼り付ける、のりしろ(ライニング)に接着剤が残っています。

それが割と厚めで、多少柔らかいので音響的にはあまり良く無いと想像します。


どの修理でも貼り直す際は、古い接着剤は取り除きます。

 

トップが剥がれている場合、貼り直すか否かは程度によりますので、このように貼り直さなければならない場合と部分的に接着する場合があります。

 

 

 


リフレット(指板修正、ナット交換)します。


新しいフレットは長めに打って、後から余分を切り落として、仕上げます。

全てのアダマスではありませんが、ボディから外してある状態でリフレットします。

 


一番の理由がハイポジション部分がフローティングするためにフレットを打ったり、押し込んだりしづらい為です。


トップも非常に薄い為、強い力が掛けられません。

ボディにセットしてある状態でリフレットするアダマスは、溝を(トップ板上部の指板の溝は)緩くしてフレットをはめ込む感じになります。

 

ボディ側にアジャストナットがある場合は、ネックが外れている時に忘れずグリスアップします。

長い間、アジャストロッドを締め込んであるもの等、アジャストの効き幅が狭くなっている場合があります。

一旦ロッドを戻して、ワッシャーを足して、それから指板修正します。

※どの程度戻すか戻せるかは、その都度違います。

 

 

アダマスではジョイント部に空洞があるモデルがいくつかあります。


この部分には大きな力が掛り、ネック角狂いの一番の要因となり得ます。


今後少しでも変形するリスクを減らすためにエポキシパテを充填して強度を稼ぎます。


但しこの空間は、ずっと奥まで続いている為、ある程度の充填に留まります。

 

 


アダマスやエリートはこの部分のフレットのエッヂ処理が非常に面倒です。


指板面やフレットの両サイドは、すり合わせの際に削り過ぎず、下がらないように気を付けます。

サイドが下がると見た目のカッコ悪さもありますが、1弦側はチョーキング際に音詰まりの原因になる事もあります。


現行のOvationの事は分からないのですが、この年代のエリートやレジェンド以下のモデルのナットには練り物のナットが付いているので、牛骨等の硬質で質量があるナットに交換した場合、音が良くなったと感じる人は多くいます。

カスタムレジェンドやアダマス等上位機種には牛骨ナット装着、セレブリティーシリーズにはコリアンという素材が使われていましたが、あれはナット材としては良かったと思います。


復活!

この頃のAdamasやAdamasⅡには正直、当たり外れがありました。

音がイマイチだったのはトップの接着も要因の一部っだったのかと想像しています。

 

サウンドホール割れ(段差)/ Gibson Hummingbird

前回3回に分けて紹介いたします、と言ったHummingbirdですが、4回になります。

今回ともう1回。

 


この割れている部分には大きな力が掛るので、耐えられなくなると、力が掛る方向へ割れてずれてしまいます。

弦を張りっぱなしで放置しなければこのような事態は発生しないのですが、仮にこの部分が割れたりしなくとも、他に不具合が発生したと思われます。

このギターの場合はトップが割れてずれている程ですから、当然ネックアングルもおかしくなっています。


過去の割れ修理で貼ってあったクリートを外します。

(途中まで取り掛ってる所です。)

クリートは気休め程度のもので、付いていてもまた割れる時は割れますので、それより割れや力木の修理そのものが重要です。

 


トップに段が付いて割れているのですから当然、力木も剥がれいます。

修理し辛い場所ですが、力が掛る部分なので見落しの無いよう注意します。

 

 

 


段差が無くなるように、ネックを外す前にネックを引っ張って段を戻して割れを修正します。

段差を戻した分のネック角度で、ネックアングルが正常になる場合もあり、ネックリセットの必要が無い場合もたまにあります。


割れと剥がれ修理の後に一応クリートを付けておきます。

付けないと、なんとなく手抜きしているように見られても困りますので、「やったよ!」と言う印です。


このギターは次の更新のネックリセットで終わります。

 

 

クリートと呼ぶ人は少なくもっと分かり易く、割れ止めと呼ぶ場合が多いかもしれません。

このクリート、あっても無くてもと書きましたが、確かにそうなのですが、割れの接着が難しい場合、接着剤がしっかり奥まで入らない可能性がある場合等はクリートも個数を増やして、補強の役目を担いますが、きっとそれも希望、願望、期待…。

しっかり接着をしていれば、わざわざ補強は要らないのですが、しっかり接着がしてあるトップのセンターの継ぎ目から隙間が出来てしまう場合もあり、これも仮にクリートがあったからと言って防げるか否かは神のみぞ知ると言うところです。

ネックや他の事に関しても、まずはそうならないように、日頃の一寸の気遣いが大事です。

 

 

 

 

 

ボディ割れ修理 / Larrivee L-09


ボディの割れは、この段差が戻るか否かで、修理のし易さも出来映えもある程度決まります。


こっちの段差はなんとかなりそうです。


やはりこの大きな割れは、何をしても戻りません。

少々欠けても「パチンッ!」って戻ってくれれば、こっちのもんなんですけど・・・

 

バックを外して修理する事も考えたのですが、修理(私)の鉄則は面倒くさくしない。

面倒くさくしてしまうと費用も時間も余計に掛ってしまいますし、第一にバックなんぞ外したら面倒くさいです。

わざと面倒臭くしてやる人も多いですが、それはそれ。千差万別の流儀や美学があります。

 

幸い力木も定位置にありますし、出来るだけ元のまま修理します。

バックを外すのは、以前に紹介したSJ-200のような状態で、やむを得ない場合。

 

 


割れの段差が重なって戻らない部分は削り落として、少々隙間が出来きましたが、そこは後から考えればいいやと思い。


割れの段差を無くして平行にする事が第一の目的ですので、幸いローズウッドで茶色いボディは割れ等の跡が目立ち難いので助かります。


接着修理が完了しましたら、バックはリフィニッシュ。

あんまり目立たなくなりました。


メイプルのバインディングの割れも接着しましたが、色の明るい部分の割れ跡は目立ちます。


 


こちらのギターはネックのリセットもしていますので、次回に見て頂きます。

マーチンのネックジョイントでは、横着してセットしている物がありますが、ラリヴィーもやってるとは思いませんでしたよ。