スタッフブログ

ナット交換 / Yamaha L-10ES

 

お世話になっております。スタッフの山口です。今回は最もポピュラーなメンテナンス、「ナット交換」について詳しく見ていこうと思います。弾きやすさや音に直結するパーツですので、修理職人を志す者にとって最も基本的でありながらとても難しく繊細な作業の一つ。終始0.1mm単位の精度を必要とします。

まずは既存のナットを外したら溝に付着した古い接着剤を取り除き、底面と指板面を整えます。写真は素材の牛骨をぴったり幅に合わせてはめ込んだところです。サドルもそうですが基本キツすぎず緩すぎず。削り過ぎてガバガバになってしまったらやり直しです。


ナット側面を指板側とネック側に合わせたら初めに1弦と6弦の溝の位置を決めます。ナットファイルが突板を傷つけてしまわないように養生は忘れてはいけません。


お客さんから特に指定がなければ大体こんな感じが良い感じです。弦落ちしないようにやたらと内側に溝を掘っている物がありますが、それでは弾き辛くなってしまいます。


無事に各弦の溝の位置が決まりました。専用の定規がありますがそれを信用して進めて行くと何故か微妙になることが多いので、後は自分の目と感覚を信じて溝を掘って行きます。


溝の深さをある程度調整したら一旦ナットを外して各メーカーの形っぽく成型します。今回はYAMAHAなのでYAMAHAっぽく。


成型が終わったら溝の最終調整です。1フレットとの関係をギリギリまで詰めて行きます。


ネックバインディングが縮んでしまっていますが指板にはピッタリ接しています。


弾きやすくなり音も改善しました。どんなに高価なギターもナットが安っぽかったり残念な仕上がりだと音もルックスも台無しです。消耗パーツですがとても大事です。


父が似たようなYAMAHAのギターを持っていて初めて弾いたギターはYAMAHAでした。

弟子入りした初めの頃は削り過ぎ、掘り過ぎで何度も作り直したりでとても憂鬱な作業でした。最近はコツや感覚を覚えてきて作り直すことも少なくなりました♪時間は師匠の倍近くかかりますが(汗) 

今回もご覧いただきありがとうございました。

 

 

ウクレレ ブリッジ交換 / Kamaka

 


 

お久しぶりです。工房スタッフの山口です。しばらく写真の整理が出来ていなかったためご無沙汰になってしまいました。またちょくちょく登場させていただきます♪

今回はKamakaのウクレレのブリッジ交換です。見ての通り、4弦側が欠けてしまっていますね。今回は新しく作り直します。同じ材、同じ寸法で完成を目指します。


丁度いい大きさのインディアンローズウッドを並べて撮影。色味は薄く見えますが、磨いたりオイル塗り込んだりで恐らく完成時は同じような色になる感じがします。


ある程度同じサイズにカットしたら先にサドルの溝を掘ります。アコギの場合はトップに貼ってからですが、ジグはギター用の物ですのでウクレレに貼ってからでは難しいです。なので良い大きさの板にしっかりと固定して。


一気に深くは掘れませんのでルーターを何度も同じ位置で繰り返し掘っていきます。しっかりと固定しないとラインがズレたりして溝の側壁の精度が悪くなってしまうため、写真で分かる通り端材でガチガチに固定しました。


とりあえず無事に溝が掘れてパシャリ。後は元のブリッジと同じ弦長になるように前後を意識し、気を付けて成型していきます。


成型し終えたら弦の太さに合わせて切れ目を入れました。小さい鋸と精密ヤスリで各弦の太さに合わせるのですが手作業ですのですごく緊張した記憶があります。


磨いてレモンオイルをしつこく塗ったばかりですので元のブリッジよりも濃く見えますが、オイルが落ち着いたら同じような色合いになりました。後はトップに貼ってサドルを作って完了なのですが、写真を撮り忘れてしまい今回はこれでおしまいです(*_*)

来週はYAMAHAのギター修理をお送りします♪

 

 

 

 

 

 

 

ネックリセット / Framus 5/024


 

画像的には、「貼っているのね。」…その通りでございます。

この前段の画像があればよかったのですが、いつものように撮り忘れてましたので、ここからになりました。

(このネックを外す為にジョイントの隙間を探って指板から穴を空けていたが…)

指板を剥がそうとして、途中でやめて、貼り直しています。

何故かと申せば、以前にやったJ-200 の時と同じようにドリルをいくら打ってもダブテールジョイントの隙間が見つからず、らちが明かないのでジョイントを確認する為に指板を(バインディングが無いので全部)剥がしにかかって途中まで剥がした段階で見えた為、疑問が晴れて貼り直しているところです。

ジョイントの隙間がわずかで分かり辛い場合と、位置が想像と違う場合やそもそもそもジョイント方式が違う場合、更にJ-200のような場合があります。

「なんか違う…」と思った時は大体なんか違います、闇雲にやり続けていても埒があきませんので、その際は確認しなければなりません。

 

 


通常のフレットの位置に空いている穴は外れ。

その上の穴が当たり。


この当たりの位置にダブテールジョイントの隙間があります。


以前の蒸気では無く、半田ごてで温めますので、多少ずれていても温まる事は温まります。


ですが、こんだけ外れちゃってると時間が掛かり過ぎて、こてが触れている部分が大分焦げてしまいます。

 

 


リセットが済みましたら、リフレットします。この穴をどんなふうに塞いだか確認したかったのですが、画像が残ってませんでした。


ここまで来た際には、大した事では無くなっていたのかもしれないです。

それか、カッコ悪くて写せなかったか、それかな。


0フレットと言うのは、考えるより面倒なのであまり好きでは無いですが、作りての意思なので尊重しなければなりませんね。

 


 


 


 

4年程前にも同じギターを修理させて頂いたお客様からのご依頼でしたが、探しても滅多に見つからないので見つけたら入手して直すしかない様です。

弾き易いこれを持っているのは、ビートルズファンにとっては羨ましいのではないでしょうか。

 

ネックリセット / Gibson Hummingbird

ネックリセットでございます。

出来る限り撮影の順番で更新しております。

70年代Gibsonも最近では、ビンテージと呼ばれるようになり、復活させてまた使いたい人が増えました。

元々音も作りも良いですから、末永く使っていけます。

70年代Gibsonが人気が無かったのは、それまでのGibsonらしい音や見た目でなくなったから、だったのだと思います。

(シムが左右でローズとメイプルなのはたまたま)

 

 

個人的な私の世代での感覚だと思いますが、70年代はどこのメーカーも独自のスタイルがあって面白いメーカーやギターが沢山生まれた時代と言うイメージ。

ギブソンのアコギでは、このハミングバードもそうですが、力木がダブルエックスになったり、カーシャ博士が考えたブレーシングを採用したMKシリーズなんかもあったり、国産メーカーも特にエレキなんかは、今思えば面白くて(カッコよくて)良い物が沢山ありました。

Ovation(1966~)なんかも70年代に発展したメーカー、Ovationのような全く新しいギターはこの先、出て来ないだろうと思います。

メーカーは今、昔の物を追いかけている様に見えるし、Ovationの人気が復活するならば昔の物として若い人気者から火が付くのかなと思っています。

 
 
 

ネックの修理以外もあれこれやったのですが、ブリッジプレートの画像です。

弦が付いたままの方がわかりやすいのですが、他の作業が進んでいる状況の撮影が多くて弦を外した状態の画像になりがちです。

弦のボールエンドが穴の中に入り込んでしまう状態になります。

こちらが分かり易いかもしれません。

https://www.m-guitars.com/blog/2864/

 

 


 


 


 


 


 


 


 


 

一時代を築いちゃうとその後、廃れているみたいな印象になってしまうのが悲しいです。

モズライトなんかすごく良いのだけれど、おじさん達はある一定の音楽以外出来る気がしないので、是非これなんかも若い世代が他の音楽で見直してくれれば良いのになー、などと思ったりします。

リフレット / Guild D-40

リフレット(フレット交換)します。

インレイが通常よりだいぶ薄いです。

修理屋さんによっては料金が作業ごと分かれている事もありますが、当方の場合、指板修正、ナット交換、他調整込のセットです。

 

インレイが欠けていたり、抜けてしまっていますので深く掘って、新しいインレイを入れます。

 

 

貝のドットインレイは作らなくても何種類かありますので、苦労しなくて済みます。

貝以外や入手できない形のインレイの場合は作らなくてはならないので、とても面倒でございます。

Gibsonのパーロイド等は、削って無くならない様に外せるものは外してから作業に入ったり、その他面倒になる場合は別料金になってしまいます。

ご了承ください。

 

 


同じようなブログが続きますが、出来るだけ順番に更新しております。


そして時折、やったばかりの新しい修理がアップしたりします。


こちらは、1年半も前の撮影でした。

 

 

やってる内容が同じような事ばかりなので毎回書く事もあまりないのですが、とりあえず修理実績の画像を増やして、「うまい!」とか「へた~。」等と出来るだけ沢山見比べられるよう出来れば好いと思っております。

以前、一時期週2でアップしていたことがあったのですが、それなりに面倒でしたので、また週1になりましたが、今後いちいちテキストは付けずに画像のみ並べて、更新頻度を増やして、内容の詳細は画像から想像してもらうのも良いかと思ったりしますが…それでは不親切か…。

今後どーして行ったらよいか、考えております。

 

フレット交換 / Fender Stratocaster

リフレットします。

グリスアップは出来る時にしておきます。

 

ネックジグ、と言うこのような仕事の作業精度を安定させる道具があります。

アコースティックギターが主な修理屋としては、アジャストロッドではないネックのリフレットの際等にネックジグが必要です。

チューニング後にアジャストしてある状態に仕上げなければならないからです。

 

ですがこれがあったとしても、この道具の癖もわかって来ましたので何でもかんでもそれを使う事はしません。

何ででしょう。恐らくあのような天才的な道具を開発する人のレベルに私が追い付いていないので、すごく良い仕上がりなのですが、思うのとちょっと違くなるのだと思います。

現に全てにネックジグを使って完璧な仕事をしてる人もいると思いますが、私の場合、「すごくいいけどちょっと違う」と思いながら使うのではなく、分けて使います。

 


 


 


 


 

引越しをして、ネックジグの置く場所も心配することなく入手し、ネックジグ導入後、ブログにて掲載しましたが、この時はまだありません。

引越して直に1年半になりますが、引越し前の画像です。

出来るだけ古い順にアップしていますが、全く追いつきませんので直近の2~3か月は、あまり撮っておりません。

ブログに掲載不可の場合は使用不可とお申し付けくださいとHPやお預かり書にもありますが、逆にブログにアップされることをお待ち頂いている方もいらっしゃいましたので、その場合は「絶対使用」の旨、お伝えください。

順次、掲載いたします。

よろしくお願いいたします。

ネックリセット/ Gibson Dove


なるべくやった順番でアップしていくようにしておりますが、同じような修理やモデルが続く事がなぜか良くあります。

日付が近いのでこの前のDaveと画像がどっちがどっちか分からなくなります。


ネック角度を調整しましたら、接着剤なしでテンションを掛けてもジョイントに隙間ができない様シムを調整して入れます。

メイプルとエボニーで分けている訳は特にありません、たまたま。

シムはなんでもよいと思いますが、一時期のマーチンやラりヴィーみたいに紙でシムを作っちゃ絶対ダメです。

特にマーチンは生産本数が多いのでホントに良く見ますが、ヒールにわずかに隙間ができている場合は紙シムが入っている事がよくあります。

ネックジョイントを蒸気で温める場合は、何が何でもジョイントの空間を探さなければならず、空間がどこにあるのか分からないギターはその空間を見つけるまで何度もドリルで探します。

空間がほぼ無い場合もありますので、その場合の判断はホントにムツカシイ。

現在は昔のように蒸気で外すことは無く、熱棒を差し込んで温めますから最悪、ジョイントのポケットが見つからなくても温める事が出来ますが、出来るだけその空間の中で温めるようにします。

 

 

 


1弦側と6弦側のバランスが逆になる場合は、6弦側が低くならない様に意識するのでサドルが高目になる場合があります。

これ以上高くなりますと見た目が好くありませんので、上げる場合も下げる場合もどちらに転んでも良いようにネック角度を決めて行きます。


ジョイントから下がらない様に指板に厚みを付けます。

 


指板を修正してフレットを交換。


ナットも作り直します。

 

 


ブリッジプレートも補修。

ボールエンドの向きはどっちでも良いのですが、私の場合は基本横向きで弦の根元の太くて出張っている方が下側にならない様に弦の向きを決めます。

 


ヒールを一所懸命接着しても意味無いのです。


くどいようですが、ジョイントがちゃんとして無いとダメなんです。 

 ナイスギター!

 

 

 

 

フレット交換 / Gibson LG-2

リフレットします。「指板修正、フレット交換、ナット調整(通常はナット交換)」

フレットは、半田ごてで温めながら抜いていきます。

フレットを温める事によって、溝に入っている接着剤を緩めたり、木を温めて抜く際に割れにくくしたりします。

半田ごてはフレット以外の部分に触れた場合は、一瞬で焦げてしまいますので、細心の注意が必要です。

 

現在は何の作業をするにも専用の道具がありますので、とても便利になりました。

昔は、フレットを抜く専用のニッパー等はありませんから、喰い切りの上部を平らにグラインダーで削って専用工具にしてました。

ステュマックには当時からあったような記憶もありますが、自分で作るのが面倒な人が買う物かと思っていました。

 

 


 


 


 

リフレットの場合は、基本的にナットは作り直しますが、古いパーツを残したい場合は底上げなどして調整し直します。

但し叩いて外せないナットは、壊して外しますので残すことができません。

 

 


 

エレキの場合は出来る限りオリジナルパーツが残っている方が良いみたいですが、アコギの場合はそれほどではなく人によるところみたいです。

アコギの場合、特に古い物は修理してある(する)事が当たり前な所がありますので、見る人の価値がわかれるのだと思います。

 

弦高を下げるのに、サドルでは削る高さが無くなり、ブリッジを薄く削って下げてある物もあります。

そういったギターを更に弦高を下げなくてはならない場合は、ネックの角度を直さなくてはなりません。

その際、薄くなったオリジナルのブリッジに角度を合わせるか、新しく元の厚さのブリッジに作り直してネックの角度を直すか、分かれるところです。

この判断の別れ方も、ハカランダの材料があれば交換するという条件も入ったりしますが、ショップでも考えがわかれます、皆さんならどうされますか。

私のギターなら、インディアンローズでも交換します、そこまでやってブリッジうすい、っていうのはどうもいやかな。

でもまだハカラダあるからね!

 

 

ブログおやすみ。

いつも見て頂いて、誠に感謝申し上げます。

ブログは、定休日の土曜日を利用して更新していますが、今週は用事が入ってしまい1日取られてしまうので、休みます。

こういう機会もあまりありませんので、よろしければ過去の古い記事も見て頂ければ幸いです。

文章等、伝わり辛かったり色々ありますが、私も見た際には、改めて確認出来たりすることもあります。

滅多に見ないギターの画像なんかもあったりしますので、よろしければ。

また来週なんか更新します!

ロッド交換 / Gibson Dove

ロッド交換します。

ネックアイロンで温めて指板を剥がします。

折れちゃってます。

 


ネックを外して角度も直します。

指板が剥がれているので、ジョイントが見えて都合が良いです。


ずっと前から馴染のバイク屋でロッドエンドは 溶接してもらっています。

随分前からもう乗ってないけど、DRAG☆ONと言うバイク屋さん。


長さを決めて、切ったら…


ナットの溝を切ります。

こんなに溝を付けなくても良いと思うのですが、オリジナルがそうなっているのでマネします。


埋木はウォルナット。

なんか見た目が好いです。

 


指板を貼る時にちょっとだけテンションを掛けます。

指板はネックの元の位置には収まらず多少、時には大きくずれます。

指板を剥がす前にフレットの位置で3か所、ダボを打つ位置を決めますが、ズレるのは剥がした時点で反るのだと思います。

出張ったとこは仕方ありませんので、削って合わせます。

 

削れば、色も合わせなければならず、塗装修正は必須です。

うんと古いギター等は、指板がズレずに元の位置にビタッと戻せる事もありますが、なぜかは分かりません。

剥がしても反らないと言う事なのでしょうが…ピタッと戻る事が腑に落ちないのは変な感覚。

 


指板面も修正してリフレットします。


リフレットしましたら、ナットも作り変えます。


Gibsonはネックとボディ一緒に塗り込んでいますが、見た目がおかしく無ければボディ側は塗装しません。


昔は、わざわざボディと一緒に塗り込んでいましたが、手間だし特に意味も無いので必要が無ければやりません。

 


 


 


 

 


ネックに角度が付きますと、14フレット以降が下がりますので、指板に厚みを足します。


 


弦高は1弦側から6弦側にちょっとずつ高くなっていくようにバランスを取ります。

ですのでサドルは6弦側が少し高くなっているのが、見た目も良いのですが、ブリッジの厚みの差等、何らかの理由でバランスが逆になってしまう事があります。


70年代Gibsonも中々味わいがあって好いです。

自分の70年代J-45もとても良く気に入って弾いていたのですが、甚く気に入ったお客さんに買われてしまいました。