ネックリセット

ネックリセット / Gibson J-200 (extension付き)60’s

先頃修理した、エクステンション付きのJ-200 の少し年代が進んだJ-200です。

こちらは過去にネックリセットしてある事が分かりましたので、通常通りネックを外しました、この過去の修理者ご丁寧にまたトップをふさぎ直してセットしてあり、それなら外れないはずなのに破れて、外れました。

エクステンション付きJ-200 ← こちらを見て頂ければ、どんな様子か分かりますが、またトップを塞いでしまうのは、オリジナルに忠実にと言う意図だと思うのですが・・・。

管理の良いオーナーに渡っていけば、修理はせずに状態はキープ出来ますが、この先20年後、30年後、もっと先、修理をする可能性を考えてくれれば、また塞いでしまわないでしょう。

「アコギは、必ず修理して時代を渡る。」 という事に思いが及んでないか、考えていないか、と言う修理ですね。

ネックに角度をつければ、ジョイントから指板が下がりますので、厚みをつけますが・・・段差がついちゃって・・・

この修理者、私のように悩まず、構造を熟知して上手くネックを外しているのですが、その先が塩梅よくないです。

 

 


 

この時代のJ-200 の特徴は、トップミュート が仕込まれているところです。

ボディ内に横にバーを渡してそれを介してトップにステーが当てて有ります。

ちょっと画像が分かりづらくてすいません、(鏡に映しています。)ブリッジよりサウンドホール寄り当たっているのが分かるでしょうか。

それでトップの状態をキープ出来ると言う訳です。

当然音にも影響がありますが、これはこれで独特のサウンドです。

 

ネックを外す際は、蒸気を使いますので、なるべく早く外してやらないと塗装が焼けてしまいます。

特にこのようにヒールが太いヤツは、外れ難い傾向があります。

Gibson , Guild等は、ある程度塗装は、修正する事も込みでリセットに掛かります。

このように塗装が焼けずに残るのは中々難しくて、やってみなければわかりません。

やはりGibson,Guildのリセットの3割前後は塗装が焼けて、修正しなければなりません。


リフレットは、通常通り。


ナットも作り直します。


かっこいいです。

 

ネックリセット(ボルトオンネック) / Martin


こちらは、Martinのボルトオンネックのボディ内のネックブロック部です。

Martin に限らず、ボルトオンネックの場合は、大概ここにプレートかラベルが貼ってあり、ボルトの目隠しをして有ります。


目隠しを取ると、ボルトが現れます。

Martin 以外は、ここのボルトを外せばヒールが外れます、がMartin はボルトオンなのに接着しているので、結局ダブテールジョイントと同じく蒸気を使って接着を緩めます。


右上に写っている黒っぽいのが、蒸気発生器のエスプレッソマシーンです。

取る方法はダブテールジョイントと同じですが、ジョイントの形はダブテールではなく、ストレートなので、前に押し出さなくても抜けます。

 


これ位出ているサドルが好みの方が多い気がしますが、個人的にはもうちょっと低い方が好みではあります。


ネックの角度を直して、ハイポジションが下がった場合は、指板に厚みをつけます。

(0.5mmローズの板で底上げ↑)

過去に指板を大分削っちゃっている場合や、角度がかなり狂っていた場合は、1.5mm位底上げする事もしばしば有ります。


よくMartin と Gibson は比較されがちで、Martin は真面目でGibson はいい加減のように言われますが、実際は逆の部分も多くて、これまで数え切れないほどネックを外してみて感じる事は、ボルトオンで接着しちゃうのは自信の無さなのかとも思ってしまいます。

(ヒールに隙間が出来ちゃうのは近年のMartin くらいしかないのです。)

ジョイントの木工精度はGibson の方が上です、大分。

Martin は大好きですが、Gibson の名誉の為言っておきます。

悪しからず。

どのメーカーもコンピューター制御で切り取られたパーツをセットしているのですが、それにしてもLowden はすばらしいです。何と言うか、心意気と言いましょうか。

また、折があれば触れてみたいと思います。

角度が狂うのはジョイントの精度の問題だけではないので、悪しからず。

 

 

ネックリセット / Gibson J-200 (extension付き)

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オールドのJ-200 エクステンションの付いた大変珍しいギター。

いつものように、ネックの角度狂いの修理ですが、合わせてこのセンターのずれっぷりが凄いです。

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そしていつものように、15フレットを抜いて、穴を開けて蒸気を入れて、ネックを外しに掛かったのですが、一向に外れるどころか、動く気配も無いので、14フレットから指板を切り取りました。

これでは抜ける訳ないのです、塞がっちゃっていますから。

指板を貼る前のネックを仕込んでから、トップを貼ったのですね。

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多少大き目に切り取りました。

出てきました。

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改めて蒸気を入れて、ネックを抜きます。

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溝をきれいに整えます。

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ネック側のほぞもきれいに整えます。

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指板を付け戻して、エクステンションは作り直します。

アーチトップのギターのように指板の下についている黒い厚みの部分がエクステンション。

 

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やっとここから角度とセンターの修正が始められます。

エクステンションがある事と、ボディが大分歪んでいる事などから、なんの精神修行かと思う位調整が難しくなります。

 

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こっちを調整すれば、あっちがずれて、あっちが合えばそっちが合わず。

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何度もネックを仕込む段階までたどり着いては、「あれ?」となります。「んー、どうしようかな~」

となってやり直し。

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ヒールキャップの位置がちょっとヤダとか。

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弦高が予定より気持ち変わったとか。

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センターが予定より気持ち変わったとか。

 

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付けると言う直前に気に入らなくなります。

いつもやっている事と同じと言えば同じなのですが・・・

 

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ギブソンの場合、ネックを抜く際、蒸気を使う時間が長くなる事も多く、塗装が焼けてしまいます。

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今回はいつもと感触が違うことに気が付き、塗装が焼けずに塗装修正をせずに済んだのは幸運でした。

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長くやっていても、まだまだ知らない事が沢山あります。

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今回も大変勉強になりました。

こちらの修理は、同業者からの預かりで、リフレットは途中までの為、ピカッと光っていません。

 

ネックリセット+リフレット/ Gibson Hummingbirdh

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ヒールエンド部が斜めで真っ直ぐ押し出せませんので、ジグを当てて押し出します。

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リセット後、見た目の雰囲気が悪くなければ、塗装修正はしません。

外した際、塗装はほとんど痛みませんでしたが、ヒールを割りと多く削りましたので、以前のヒールのラインと、削った後のラインのズレが多めに出来てしまいました。

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ガン吹きせずに、筆で着色だけにしようか、迷いましたが、結局スプレーガンで塗装修正をしました。

 

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ネックリセット後、ネック(指板)もしくはフレットの状態が悪くなければ、リフレット(指板修正)をしませんが、時期にリフレットをお考えであれば、一緒にやってしまえば割安に出来ます。

 

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ナットも新しく作り直します。

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こちらのギターは、ネックを外す前から音が良いのは分かっていましたので、修理完了が楽しみでした。

1970年代ギブソンですが、古くても弾き込めばまだまだ良くなります。

 

ネックリセット / Gibson J-45

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Gibson J-45のネックリセットをいたします。

Gibsonの場合、Martinと比べると、ネック外しはとても大変です。

ヒールが太いと言う理由だけではなく、木工の精度もGibsonの方が優れていると言う証です。

その為外す際、ヒールやヒール周りの塗装が痛みますので塗装修正も込みで修理は考えます。

うまくいけば、Martinのように塗装修正無しでもいける事もあります。

 

J-45reset2

塗膜が厚い場合は塗装が欠けやすい事や角度を直す際、ヒールを削りますので、山の裾部分が多少細くなり、やはり塗装が必要になることが多いです。

J-45reset3

ヒールを削って細くなると、以前の塗装が乗っていない接着部分が多目に出てしまった場合に塗装が必要になります。

J-45reset4

エレキ等では、修理暦の無いオールドギターもありますが、アコギの場合は、何かしら修理暦はあります。

エレキの場合ほぼネジ止めで出来ているのに対して、アコースティックの場合は、ほぼ接着で出来ている事の差だと思います。

J-45reset5

いずれにせよ、楽器は修理しながら使っていく事によって良い楽器になって行く事は間違いないです。

 

ネックリセット / Martin oo-18v

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ネックを外す際に現在のMartinは、トップに空けられたアジャストロッドの溝から蒸気がボディの中にも出てきてしまうので、中が濡れないようにしないといけません。

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現在のMartinは、ダブテールジョイントのネックでも、ヒール側にはボルトの受けがあります。

 

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どんな上位機種のダブテールジョイントでも何故かヒールにボルトの受けがあります。

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ヒールもきれいに削れました。

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反対側も同じく。

(Martin  oo-18v)ブリッジ修理 → ネックリセット → ピックアップ取り付け

ネックリセット&リフレット / Martin D-45

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ネックの角度が狂って、弦高が高く弾きづらいので、ネックをリセットします。

 

D-45reset2

ダブテールジョイントですが、ボルトの受けが入っています。

新しい物は皆、付いているのですが何故だかはわかりません。

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ヒールを削って角度を直します。

ヒールは隙間無くぴったりと、調整します。

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もちろん、反対側もぴったりと。

D-45reset3

指板の状態もよくありませんでしたので、調整してフレットは交換します。

 

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フレットを交換しましたら、ナットも合わせて作ります。

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とてもきれいな D-45 でした。

 

ネックリセットの際、指板の状態が悪ければ、リフレット(指板調整、フレット交換、他)しなければなりませんが、ネックリセット時のリフレット料金は割安(3割引)で出来ますので、フレットの交換時期に来ていたり、弾いている時に1弦がずれて落ちてしまう、新しいフレットを試したい等の方は、一緒にリフレットもお勧めいたします。

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Martin 0-42 /ネックリセット


 

 ネックの角度が狂って、弦高が下げられなくなったMartin 

Martin oo-42 リセット1

ネックリセットは、修理の中でも大掛かりな部類の修理です。

ネックは、指板に穴を開けて、蒸気を使って外します。

 ネックの角度がつくと、ジョイントから先が下へ折れてしまうので、指板を厚くして真っ直ぐになる様にリセットします。

ネックリセット 指板厚調整

ジョイント部12フレット~指板エンドまで少しずつ厚くなっているのが分かるでしょうか。