2019年11月

フレット交換(リフレット)/ Martin OOO-42


非常に多い質問の一つに、「フレットは、まだ大丈夫ですか。」があります。

 


どのパーツにおいても、使えるか否かはそれぞれ感じ方に差がある為、判断はオーナーがすれば良いのです。

凄く減っても交換しない人、ちょっと減ったら交換する人、区々です。


私が弾き難く感じたり、ビリつきが気になってもオーナーが問題を感じなければ交換する必要は無いのです。


現状より良くしたい時に、どうすれば良いか考えればよいのです。

「もうちょっと弾き易くしたい。」や「音がつまり気味なのを改善したい。」等々。

 

 

車や機械は点検整備をしなければ、故障して危険があったり、周辺に迷惑をかけてしまいかねないので、それはプロが交換を勧めれば交換した方が良いのですが、楽器の場合は全く自由です。

楽器屋に「これは、~…しなきゃダメですよ~。」等と言われたという話をよく聞きますが、持ち主が問題無ければ「~しなきゃダメ」等と言う事は絶対にありません。

 

 


 

この辺りは楽器に対するの考え方の違いですが、私の場合は「無理に修理しなくても…」と言うスタンスです。

修理屋なのに。

力木は剥がれていない方が私は音が良く感じますが、力木が剥がれていた方がボディ全体が響いて良く感じる、と言う人もいます。

トップ(表板、サウンドボード)が効率良く振動するにはサイドバックがしっかりしている事が条件ですが、バックの力木が剥がれていた方が弾いていて気持ちよく感じる場合もあるようです。

楽器の場合は、通り一遍等に「こう。」と決める事は、なかなか難しいと思っています。

 

 

 

力木(ブレイシング)はがれ接着 / Wash Burn D-46

これは何かと言いますと、バックの力木の剥がれを接着している所でございます。

力木ハガレは修理前後の見た目がつまらないので、記事も少ないですがたまには書いてみます。

ジャッキをかけて圧着しています。

広範囲に剥がれいますが、ジャッキの位置は端に1本かけます。

2本以上かけてしまうと相殺してしまうので1本です。

 

 

では、その延長部分はどうやって圧力をかけるかと言いますと、外側からかけます、そうする事でジャッキの圧力も増す為、効率良く圧がかかります。

 

 


このギターは然程心配ありませんが、古いラッカー塗装の場合は、クランプの跡が付いてしまわない様、気を付けます。


クランプは力任せにかけるのでは無く、丁度良い力があります。

バランスが大事、密着すればよいのです。


ローズ系のボディであれば割ときれいに拭き取れるのですが、それ以外はシミが残りやすいので、一所懸命拭き取ります。

 

 


ボディの中の作業をする場合に気を付ける点は、ホコリやゴミをしっかり掃除してから作業に入る事。

ホコリはコンプレッサーでサウンドホーから、しつこく吹き飛ばします。


剥がれている部分にホコリが入り込んで接着剤の効力が落ちたり、ゴミが噛んで密着しなくなってしっまっては修理の意味が無くなってしまいます。

 

 


修理する場合、材料は何か、接着剤は何か、パーツはどこ製か等は勿論大事ですが、それ以前にもっと大事な事があるのです。

 

フレット交換(リフレット) / Ovation 6768


30十年位前には、あんなにOvation を使っている人が居たのに、現在では大分減ってしまいましたが、その一方でずっと大事に使い続けている方もまだまだいます。


このフレットの減りっぷりを見て下さい。

低音側もこんなに減ってる。

使い倒しているのが、伝わります。


なんの道具も楽器も使って価値がある、の見本のよう。

使えなくなったパーツは取り換える、壊れたら直す、そうやって使い続ける。

私の大好きなスタイル。

 


古いフレットを抜いたら、指板を修正。

指板を修正しない例もあります。


新しいフレットを打ったら、精度良く調整。


フレットのキズは、ビブラート、チョーキング、音質、演奏性にも影響します。


美しく仕上げる理由が、ちゃんとあるのです。

 

 

過去のフレット交換の記事でもいろいろ書いております。


フレットのエッヂも1ヶ所ずつ丁寧に仕上げます。


リフレットの際は、基本的にはナットは作り直します。


使い続けるものを、いいもの(いいギター)と呼びたい。

 

ロッド交換 / Gibson ES-335

ネック割れ修理とロッド交換します。

ロッド頭が折れた場合にロッドは交換せずに、中へ掘り込んで、通常より深い位置(奥まった位置)にロッドナットを取り付ける方法があるのですが、折れるほど締め込んだロッドにナットを取り付けてもほとんど締まらないでしょう。

 

Gibson はトラディショナルロッドですので、埋木を削ってロッドを掘り出します。

仕上がりまでの間の画像が全く無いので、こちらで雰囲気をご想像下さい。

 


割れと削れた部分を直して塗装。


黒のような濃いこげ茶のような、微妙な色合いです。


指板を貼り直した後は、ある程度削って合わせますので、塗装は必要になります。


指板面の歪みを修正してリフレットします。


フレットバインディングはオーバーバインディングでリフレットになります。


オーバーバインディングの方が変な不具合が出ないので、理にかなっています。


リフレットしましたので、ナットも作り変えます。


先ほどの深い位置と言うのは、通常のこの位置は折れて無くなってますので、ナットの下あたりまで掘り込んでそこへナットを付けます。

そこへナットを取り付けるだけでなく、そこから更にネックの修理をすることが前提であれば、ある程度有効な方法かもしれません。

但し、アジャスト出来るように修理できるか否かの判断があってからの方法と言えますし、方法によってはロッド交換とそれほど差が無い料金になります。

 

 

 


 

 

 

 

 

 

アッセンブリーは、お客様がご自身でとの事ですので、作業はここまで。

当方ではアコギと同様の内容でしかエレキはお預かり出来ない為、引き続き当方でやる場合、この先はエレキ専門のすごく上手い人に外注になります。