2019年07月

ネックリセット+リフレット / Ovation 1597CH-MG(Char)


Ovation が続きます。

湿布してる訳ではないです。

大事なサインが擦れないように。


いつものように、ボディ側のアジャストナットはネックが外れているうちに忘れずにグリスアップしておきます。


ワッシャーも追加しておきます。

アジャストロッドが長い事きつく締めてあった場合は、アジャストの効き幅が少なくなっている事もあるので、ワッシャーを足すと少し効き幅が戻ります。

 

 


指板修正する場合は、締め込んであったロッドを戻したり、指板の歪みがどこにあって、どの程度削るか、把握した上でネックリセットします。

 

 


指板面はテラテラしているのはカッコよく見えないので、当方ではあまり細かい番手までサンドペーパーは掛けません。


フレットのエッヂは斜めに落としすぎず仕上げます。


そして両サイドは、指板、フレット共に下がらないように削ります。


ナットは外して見ると、しっかりと収まって無いものも多く見られます。

他のパーツが完璧に調整されていても、ここが不出来では台無しになると言って過言では無いです。

とても難しくて、重要なパーツのひとつです。

 

 

新しい弦を張って調整して、アンプからの音をチェックします。

「ん?」「なぜ2弦が弱い?」

私、思い出しました。

代理店時代にこう言う事、経験してました。

もしや。


あたり!

石(圧電素子、ピエゾ)が入ってません。


オベジャンクP.Uから同じ石がありましたので、拾って付けます。


こんでよしと!(名前みたい。)

ピックアップの取り扱いは細心の注意を払います。

はんだで留めてある所はそれほど強く無いので、折れてしまうと断線してしまいます。

 

こちらで預かる以前に雑にいじられたもので、辛うじて通電していたものが触った時点で断線する事が希に(時々)あります。

ハンダし直せるものは良いのですが、フィッシュマン等、再生する事がほぼ出来ないので、いじる人は気を付けて下さい。

こちらでは、本当に慎重に取り扱っておりますので、その点はご安心頂いて良いですが、ピックアップに不具合が見つかる時は、すでに不具合状態であったと、ご理解下さい。

ピックアップ等をいじる人は、無造作にピックアップの脱着をしたり、ボディに手を突っ込んで線に指を引っ掛けたり、コードを引っ張ったりネジネジしたり、絶対にしないで下さいね!

 

 

どなたのサインでしょうか。

チャー様かな。

コンサートは中々行けませんが、葛飾に来てくれた時は必ず行きます。

BAHOも行ったな~。

 

昔、中尾貿易という代理店で仕事させてもらってた時に1768-Xと1763-4と言うモデルを私が検品調整して、ガムテープに「江戸屋」と書いてケースに貼り付けて、「これ、チャーが弾くのか。」とその時の感動を覚えています。

去年のコンサートでアンコールも終わった時に、客席の後方からその1768-Xを持った人がステージに持って向かって行ったので、スタッフかと思いましたら、ギターにサインをもらってました。

 

 

 

 

もう4年か~。石やんはやっぱり、大昔から使ってる黒のアダマスを向こうでも弾いているんだろうな~。

それかタイガースだね。おにぎり型のサウンドホールの変なアダマスは弾いてないだろな~。

トップリセット / Ovation 1681-5 (Adamas Ⅱ)


トップに剥がれがあるアダマスⅡのトップをリセットします。

ネックの角度も何もかもおかしいので、丁度都合が良いです。


力木もいっぱい剥がれています。

力木もそうですが、トップの接着が弱っていては、仮に演奏可能でも本来の音では無いはず。


トップ(が乗る)を貼り付ける、のりしろ(ライニング)に接着剤が残っています。

それが割と厚めで、多少柔らかいので音響的にはあまり良く無いと想像します。


どの修理でも貼り直す際は、古い接着剤は取り除きます。

 

トップが剥がれている場合、貼り直すか否かは程度によりますので、このように貼り直さなければならない場合と部分的に接着する場合があります。

 

 

 


リフレット(指板修正、ナット交換)します。


新しいフレットは長めに打って、後から余分を切り落として、仕上げます。

全てのアダマスではありませんが、ボディから外してある状態でリフレットします。

 


一番の理由がハイポジション部分がフローティングするためにフレットを打ったり、押し込んだりしづらい為です。


トップも非常に薄い為、強い力が掛けられません。

ボディにセットしてある状態でリフレットするアダマスは、溝を(トップ板上部の指板の溝は)緩くしてフレットをはめ込む感じになります。

 

ボディ側にアジャストナットがある場合は、ネックが外れている時に忘れずグリスアップします。

長い間、アジャストロッドを締め込んであるもの等、アジャストの効き幅が狭くなっている場合があります。

一旦ロッドを戻して、ワッシャーを足して、それから指板修正します。

※どの程度戻すか戻せるかは、その都度違います。

 

 

アダマスではジョイント部に空洞があるモデルがいくつかあります。


この部分には大きな力が掛り、ネック角狂いの一番の要因となり得ます。


今後少しでも変形するリスクを減らすためにエポキシパテを充填して強度を稼ぎます。


但しこの空間は、ずっと奥まで続いている為、ある程度の充填に留まります。

 

 


アダマスやエリートはこの部分のフレットのエッヂ処理が非常に面倒です。


指板面やフレットの両サイドは、すり合わせの際に削り過ぎず、下がらないように気を付けます。

サイドが下がると見た目のカッコ悪さもありますが、1弦側はチョーキング際に音詰まりの原因になる事もあります。


現行のOvationの事は分からないのですが、この年代のエリートやレジェンド以下のモデルのナットには練り物のナットが付いているので、牛骨等の硬質で質量があるナットに交換した場合、音が良くなったと感じる人は多くいます。

カスタムレジェンドやアダマス等上位機種には牛骨ナット装着、セレブリティーシリーズにはコリアンという素材が使われていましたが、あれはナット材としては良かったと思います。


復活!

この頃のAdamasやAdamasⅡには正直、当たり外れがありました。

音がイマイチだったのはトップの接着も要因の一部っだったのかと想像しています。

 

ネックリセット+リフレット / Gibson Hummigbird


前回まで3回紹介したこのHummingbirdもやっと最終回です。

いつもは、メインどころの修理を紹介したら他は省略してしまうことが多いのですが、今回は3回以上に分けて全部紹介しました。

 


ネックを外す際に現在では蒸気は使っておりませんので塗装が痛む心配がありません。

代わりにジョイントの中に多少焦げた後が付きます。

足りなくなった指板の厚みを足して、リフレットもしてあります。

 


リフレットしましたので、ナットも作り直してあります。

フレットが新しくなりましたので、古いナットは高さが足りなくなったり、作りが悪かったりしますので、基本的には作り直します。

 

 


サドルの高さは、狙い通りにドンピシャと行かない場合もありますので、特にリフレットがある場合は難しくなります。

上がる方向、下がる方向、どちらに転んでも良い角度に調整しなくてなりません。

(狙いより多少サドルが高くなりましたが、カッコ悪くは無いです。)


ヒールやジョイントの事を書いている記事がありますので、そちらも見てみて下さい。


ネックリセット」これとか

ネックリセット」これはどうでしょうか。


このハミングさん、やっと終わりです。

お付き合いありがとうございました。

 

 

サウンドホール割れ(段差)/ Gibson Hummingbird

前回3回に分けて紹介いたします、と言ったHummingbirdですが、4回になります。

今回ともう1回。

 


この割れている部分には大きな力が掛るので、耐えられなくなると、力が掛る方向へ割れてずれてしまいます。

弦を張りっぱなしで放置しなければこのような事態は発生しないのですが、仮にこの部分が割れたりしなくとも、他に不具合が発生したと思われます。

このギターの場合はトップが割れてずれている程ですから、当然ネックアングルもおかしくなっています。


過去の割れ修理で貼ってあったクリートを外します。

(途中まで取り掛ってる所です。)

クリートは気休め程度のもので、付いていてもまた割れる時は割れますので、それより割れや力木の修理そのものが重要です。

 


トップに段が付いて割れているのですから当然、力木も剥がれいます。

修理し辛い場所ですが、力が掛る部分なので見落しの無いよう注意します。

 

 

 


段差が無くなるように、ネックを外す前にネックを引っ張って段を戻して割れを修正します。

段差を戻した分のネック角度で、ネックアングルが正常になる場合もあり、ネックリセットの必要が無い場合もたまにあります。


割れと剥がれ修理の後に一応クリートを付けておきます。

付けないと、なんとなく手抜きしているように見られても困りますので、「やったよ!」と言う印です。


このギターは次の更新のネックリセットで終わります。

 

 

クリートと呼ぶ人は少なくもっと分かり易く、割れ止めと呼ぶ場合が多いかもしれません。

このクリート、あっても無くてもと書きましたが、確かにそうなのですが、割れの接着が難しい場合、接着剤がしっかり奥まで入らない可能性がある場合等はクリートも個数を増やして、補強の役目を担いますが、きっとそれも希望、願望、期待…。

しっかり接着をしていれば、わざわざ補強は要らないのですが、しっかり接着がしてあるトップのセンターの継ぎ目から隙間が出来てしまう場合もあり、これも仮にクリートがあったからと言って防げるか否かは神のみぞ知ると言うところです。

ネックや他の事に関しても、まずはそうならないように、日頃の一寸の気遣いが大事です。

 

 

 

 

 

ピックガード貼り直し / Gibson Hummingbird

こちらのギターの修理は、力木ハガレ、ピックガード貼り直し、ネックリセット、と一度に更新しますとゴチャゴチャしちゃいますので、3回に分けて紹介いたします。


ピックガードを貼り直します。

接着する面はきれいに掃除してから貼り直します。

反りがきつい場合は矯正する事もありますがその際、平らにはなりますがピックガードに跡が付いてしまう事があるので、待って消えなければ、なんとか消さなければなりません。

まだ、これという方法が見つからないのです。


一度は貼り付いても、再度反って剥がれてしまう部分もあるので、それも考慮して次なる手も用意します。

ハガレたピックガードを貼り直すことは、以外に大変なのです。

 


特にGibsonの柄入りのピックガードは、ほとんど作り替える事が出来ないので、この手の厚くて固い物や逆にフニャフニャで外側から反り上がってしまう物やDove(Doveガードは柄入りの素材が今のところ入手可)のように崩壊しちゃうもの等、不具合が区々です。

 

 

 

次ももう1度このギターの修理を紹介します。