2018年07月

ネック折れ修理(塗装修正無し)/ made in indonesia


ブログの修理内容を出来れば満遍なくアップして行きたいのですが、ネック折れは依頼が多いので記事も多くなってしまいます。


当方のネック折れ修理は、過去の記事にもありますように、コストをかけず十分な修理が出来ますので、入門機種であっても修理依頼は頻繁にあります。


入門機種に多いアジャストロッドのナット付近の様子。

ロッドナットを締める毎に、薄いネックを押し込みますので、なにかショックがあった場合は、材の脆さも相まって折れ易いと言えると思います。

 

管理さえしっかりやっていれば、何も問題なく使用していけるのですが、こういった部分が安いギターの弱点のひとつかなと思います。

音の良し悪しは、個人の好み。

 


塗装修正無しのプランで、ヘッドの正面は筆で簡単にタッチアップ。

仕上げの際に塗装が剥げてしまう事ありますが、気にせず余計なコストはかけないケースが多いです。


このような割と色が明るめのシースルーでは塗装修正しても割れ跡は隠しきれない事が多いので、割れ跡は諦めて塗装なしでも良いとするプランが多いです。


この場合で割れ跡を目立たなくさせるには、やはり多少色を濃い目に吹くか、やった人はいませんが、木地まで剥いでネック全体をリフィニッシュすればある程度目立たなくなると思います。


ただし塗装修正する場合コストは上がり、更にリフィニッシュとなれば本体より大分高くついてしまいます。

 


 

安いギターは、お金を掛けたら勿体無いと言っているのではなく、上位機種であっても、演奏する道具として直して大切にするが、安く上がるのであればその方が良いと言う人が多いと言う事です。

もちろん、思い入れや、精神衛生上出来るだけきれいに仕上げたい方もいますので、どちらをお奨めしている事でもありません。

あしからず。

 

ブリッジ修理(ピックアップ付き) / Takamine Guitar


 

タカミネギターのブリッジ剥がれです。

どのブランドもそうですが、普段やりなれないものは、何でもマーチンやギブソンと同じ様に考えて観察もせずに作業を始めてはいけません。

パーツの取り付け方には、各ブランドいろいろ工夫してある事があります。

特にピックアップ付きの場合、ブリッジに工夫がある事がよくあるので、外す際にP.Uを断線させたり、再セットし辛くなったりと、不具合が出ないよう、よく見て作業を進めます。

タカミネも何度もやってますが他と比べると、ほとんどやってないに等しいので、「きっと全部同じではないはず。」と用心しながら、進めます。

 


タカミネは、上下両側からP.Uがセットされています。


パーツは無くならないように、間違えないように、保管します。

ピックアップのピエゾの向きも、外れて分からなくならないようにテープで留めておきます。


めくれて凹んでしまった所は埋めて、平らにします。

合板トップなので、削ると違う向きの目が出てきます。

大きな空洞に、ピエゾが並んだパーツが入ります。

接着材で狭くならないようにしなければなりません。

固まった後からでは広げる術がありません。

しっかりセット出来ましたら、調整して完了です。

修理する上で、接着材を何を使うか、人によってはタイトボンド一本やりだったり、ニカワだったり、いろいろ使ったりと、それぞれです。

ブリッジの接着材を考える場合は、タイトボンドで強度は十分なのかと言う事、このギターを20年後にブリッジ以外もしくはブリッジの修理でブリッジをはがす可能性があるのか否か、等考えて決めます。

結果、1番はがれ難い(修理し難い)接着剤となります。

ただし、オベイションギターの様に問答無用で、アラルダイトで修理しなければならないものもあります。

 

 

このタカミネとオベイションは、1番最初にエレアコと言う物を真剣に考えたメーカーかなと思っています。

勿論、アリアやヤマハもよかったですが、オベイションギターの母国アメリカの、カマンミュージックコーポレーションはオベイションと同時にタカミネも代理店として取り扱っていました。

ですので、リッチーサンボラはオベイションでもジョン.ボンジョビはタカミネを使っていました。(画像のタカミネを見て 思い出してしまいました。)

 

 

ピックアップ取り付け / Highlander


 

最近はめっきり、付ける人がいなくなった、ハイランダー、昔は良いピックアップ代表と言う感じで流行りましたが。

現在ではもっと安くて、パフォーマンスがよいものがいくつもありますし、ハイランダーは取り付けが面倒なイメージ+バランス出しが非常に難しかったイメージがあるから他社に抜かれたのかな。

今回は、このクセの付いた中古をつけたいです。と言うんですから、いやんなっちゃいます。


 

この曲がった部分にピタッと合うように穴を開けなければなりません。(穴は斜めに開けます。)

そして何より面倒くさいのが、このピックアップは丸い棒状なので、溝もU字溝に削れと言うのです。その溝を精度良く掘るのが面倒。掘る事ではなく、掘るまでの準備が面倒。

昔は面倒な思いしながらやりましたが、現在ではやってないです、他のピックアップも同じで拘るポイントの精度がビシッと出れば、出音のバランスもバッキッと出るのです。

 


 

と、言うのは簡単なのですが、納得いく出音になるまで、いつも苦労いたします。

 


 

そしてここも他社と違う部分で、ジャック一体型プリアンプの筒状のケースをねじ込みながらセットする為、同じピッチで穴を開けなければなりません。


 

そうすると、そのまま固定できるのです。

これの良い所は、緩まない所。

他社のナットで固定するジャックは、緩んだ場合、内側もしっかり留まっていないと、ナットをいくら締めても固定できず、知らない人は、いくらでも締めていきますから、中でコードがねじれて、最悪切れてしまいます。

ですので通常は、緩まないように気をつけなければなりません。


 

この部分(内側)はわざわざ見る人はいませんが、気持ち悪いので、コードがよじれないようにします。

 


 

コードは中で音を立てない様にとめます。


 

もう一箇所、留めたいところですが、ギターを振って音が出なければ、この方が電池を出しやすいです。


 

反対側に別のピックアップを付けるためのジャックがあります。

 

精度の良い溝である事は当然の上、サドルの調整が難しいのです。

 

 

30年近く使っている、シンワのノギスしか持っていないので、この時だけデジタルノギスが欲しい気持もあり、逆にあっても仕方ない気持もあり。

 

ブリッジ交換 / ウクレレ


 

最近はギター以外の修理は、すすんでやってはおりませんが、ギター以外も時折依頼があります。

ウクレレの弦が抜けてしまうので、以前の記事(H.Pかアメブロ)の様にギターと同じ形に作り変え交換。


 

形は難しい事は出来ませんので、お任せでやらせていただきます。

これはハカランダ(ブラジリアンローズ)と言う材。

材木の判別はとても難しいのですが、このハカランダは削った時にはっきり分かります。

とても甘く、それこそローズのような香り。


 

インディアンローズなどでは、ひとつも良い匂いなどしません。

ハカランダがバラ色の香りだとすれば、インディアンローズは茶色い匂い。

これら以外にもローズウッドの呼び名が付く物が幾つかありますが、昔はカタログ上、ローズウッドと言えば、ハカランダ(ブラジリアンローズ)のことでしたので、杢や材質、香りもこの魅力溢れるローズウッドの様に、似ている材を見つけて、出来るだけ ”ナントカローズ” にしたかったのだと想像します。

 

 

ローズウッド以外にもマホガニーも同じ様なことがあります。

本物のマホガニーは現在では、ホンジュラスマホガ二ー(Swietenia macrophylla アメリカンマホガニー)だけ。

キューバンマホガニーも枯渇してしまった本物のマホガニー。過去5世紀に渡り、無差別な過剰伐採によって現在は資源としては見ることはなく、古い家具なのでしか見ることはないらしいです。

マホガニーの名が付く物は他にもありますが、仮に人間に置き換えてみると、外国の人から見れば「あれは、ファミリーに違いない。」と思われても、当人同士は言葉も通じず、

「君、誰?」と言う、可能性としては、大昔、母国を出て行ったひーじいさんの、じいさんさんの子孫?くらい遠いのでは。(と、想像しています。)

様々な業界でも、都合よく呼び名をつけている物も沢山あるのではないかと想像してしまいますが、でもそうしないとコスト的に新しい物を作り続ける事が出来なくなってしまいますから、時代時代で良いものを見極めて行く事が大事なのかもしれないですね。

 

フレット交換 / 部分交換


 

フレット交換は、基本的に全部のフレットを交換しますが、出来る条件であれば部分的に交換する事もあります。

ただし部分的ですので、指板調整などの作業はありません。

交換後、第1フレットの高さが上がりますので、これ以上弦高が下げられない状態の場合は、弦高が上がります。

部分交換の方が、料金は安く上がりますが、内容を考えると割高と言えるかもしれません。(料金は、お問い合わせ下さい。)

 

なるべく元のフレットに近いものを選びますが、在庫の種類は限られていますので、ある程度になります。

9フレットまでが新しいフレットです。

9フレットと10フレット

古い方のフレットにある程度雰囲気は合わせますので、通常のリフレットより若干多目に削りますが、あまり削ってしまうと、折角新しいフレットの意味がなくなりますので、頃合良く。

 


 

フレットを交換した場合は基本的には、第1フレットに合わせて新しいナットを作り直しますが、その雰囲気や象牙等を残したい場合は、底を上げて調整します。

底上げは、きちんとやれば音には影響は出ないと思っていますが、理屈で言えば音にも影響はあると言えるかもしれません。ですので敬遠される方はいらっしゃいます。

ですが、こう言う事にうるさいくせに、リフィニッシュの相談などされてしまうと、私達、楽器屋さんは心の中で、ズッコケています。

「この人、いい加減だな。(なんも分かっとらんな。)」と思われてしまうので、気をつけましょう。

金属などで底上げした場合は、質量が大分変わりますので、音の変化は出易いかもしれません。

 

 

 

 

 

指板に凹みが見えると思いますが、この凹みは指板調整などで、きれいになってしまえばそれで良いと思いますが(画像の凹みが消えるほど削ることは無いです。)わざわざ埋めてまで平らにする必用は無いと思います。

平らでも、凹んでいても、演奏性は変わりません。

埋めるとかっこ悪いです。

埋めない方が断然かっこよいです。

オールドギターは使う事が理由のものと、持っている事が理由のものがあります。

(半々もありますが。)

直し直し、使われてきたギターは大概ボロですが、音は良いんです。