2022年10月

ブリッジ剥がれ / Guild F-40


 

分かり易く剥がれています。

これ位剥がれていれば簡単に剥がれてくれそうですが、油断して行ってはいけません。

言い換えれば、こんだけ剥がれていて外れなかったんですから、慎重に抜かり無く行って損は無いです。

結果、簡単でした。

それなら尚良。

ブリッジを剥がすだけでもGuildのようにある程度修理経験のあるブランドならいろいろ分かっているので困る事はあまり無いのですが、分からないブランド等では、「何でこれで取れないんだ?」とか、剥がす為のヘラが中々思うように入って行かない等、あせったりイラついたりしない様に出来るだけ下調べします。

ブリッジならまだしも、ネックを抜くとなると大掛かりなので途中で疑問が湧いてしまうと大変です。

下調べをしたにも関わらず緩む気配がなかなか来ないと、「間違えてるのか?私…」そうなると結構あせります。

私、せっかちなもんですから、出来るだけあせらない様に心掛けて行かないといけません。

たまにマイペースだ。と言われますがそうではないんです、そう言われるように努力しているのです。

 

 

ブリッジの底面とブリッジが乗るトップ側の凸凹を修正して貼り直しますがGuildにありがちなのは、トップの状態によってはクランプしても全面が密着せずに両サイド(ウィング部分)に隙間が出来てしまう事があります。

その場合は、アーチトップギターのブリッジベースを合わせる要領でブリッジの底面を修正します。

 


 


 


 

いい感じで出来ましたが、これで直ったからもー大丈夫!では無く、日頃の管理は弦はしっかり緩めておきましょう!

緩めるのは…半音1音?そんなことはどうでも良いのです。

しっかり緩んでいれば良いのですよ。

ブリッジ剥がれ / Crafter MD-70-12

クラフターと言うブランドの12弦ギターです。

ブリッジが剥がれてきてしまったので貼り直します。

 

Martin やGibsonも量産ギターですが、もっと量産型と言いますか、はっきり言うと安いギターの場合は大概スーパーグルー系の接着剤が使われます。

この類のギターを張り直す際は当方ではアラルダイトを使用します。

木工用ボンドのように木地まで出さなくても大丈夫。

 

 

但し塗装が下地に密着していない事がありますので、その場合は取り除く必要があります。

エポキシ系の接着剤は接着力の強さに加え、硬化しても質量が変わらず段差のある部分も接着剤が充填され非常に強力な接着力があります。

その中でもアラルダイトは昔から1番信頼しているブランド。

但し、昔からの定番のスタンダードが廃番になってしまい、それに近い品番の物を選んでいますが価格が倍、容量が半分になってしまい、実質値段が4倍になってしまい、カートリッジ式になりそれを使う専用ガンもまたいい値段がしたのですが、それで何とか使い続けていますが…

今まで仕入れてたお店で取り扱いが無くなってしまい、メーカーに問い合わせても要領を経ないので、この先はあるだけ使ってしまったら今後アラルダイトは使えなくなってしまうかもです。

30年も使ってたから、代わりは何にすればよいか…

他のメーカーだって進化していると思うのでアラルダイトでなくても大丈夫かと思うのですが…

やはり安心感が私の中では全然違うのです。

何とかならんかな~…

 


 


 

Ovationもタイトボンドや他の類では難がある為、アラルダイトを使用します。

Ovationの場合は塗膜が分厚過ぎてエポキシ以外では、いろいろと無理なのです。

 

ネックリセット / Martin OO-18

とても状態の良いオールドマーチンですが、ネックの角度が狂っています。

ネック角度の修正が出来ましたら、ジョイントから指板が下がってしまいますので指板に板を足します。

 

リフレットしたらナットも作り直しますので、お好みのナット材で作り直します。

 

ペグも新しく。

ナット、サドル材のご指定が無ければ牛骨が基本になります。

理由としては、音が1番好きな事とナットサドルは基本牛骨と決まっていれば在庫上都合が良い為。

勿論ナットサドルだけの話ではありませんが、ナットサドルは音に多分に影響がありますので、選り好みがある人も多いかもしれません。

音は材料の値段で良し悪し変わるわけでは無く、材の質量と硬度で変わります。

元に付いていた材と交換する材の質量の差が大きくなれば音の変化も大きくなります。

軽い材料であれば音は明るく、軽く、サスティーンは短く、感じる傾向です。

重い材料であれば音は、サスティーンは長く、重く、暗い傾向になります。

これは主観で皆さん印象がそれぞれ違いますので、重い材の音がゴージャスと言う表現も当てはまるかもしれません。

但しこの考えで思惑通りに音が変わってくれるかと言えば、やってみなければ分かりません。

自分のギターで言えば、鳴りが悪く音も暗かったので牛骨からタスクにしてみてしばらく弾き込んでいたのですが、結局もっと良く無かったので牛骨に戻して、しばらくしてから大分鳴りが良くなったので再びタスクにしてみましたが、やはり私は牛骨が好いんだと再確認した次第です。

音をもっと明るくしたかったのですが、明るくなるより物足りなさを感じてしまいました。

 

 


 


 

ですので、ここまで書いといてなんでございますが、誰かが言ったり書いたりしてあるような音には必ずしもならない。と言う事です。

全ては主観ですので、鵜呑みにするべからず。

で、

答えは何処にもあらず、ご自身の感覚が経験に基づく正解そのもの(好み)でございます。

色んな情報がございますが、うちのブログも含めて参考程度にするくらいがよろしいかと存じます。

悪しからず。

 


 


 


 

 

フレット交換 / tokyo violin industrial factory NO:50

クラシックギターは1~3弦がナイロンなのでフォークギターやエレキギターのようにフレットの減りが感じられない事が多い為リフレットの依頼も少ないです。

ですが画像を見ますとこれより、やはりフレットに高さがある方が弾き易いのではと想像します。

大たいのクラシックギターの指板はアールが無く平らなのですが、調整はアールがある指板より平ら指板の方が難しく感じます。

最初の頃は両サイドがちょっと下がっちゃったり、うっすらアールが付いてしまったりして、それを直すのがまた大変っだったのを覚えています。

意外と真っ平って難しいんです。

 

 


 


 


 

過去のブログも見て頂ければ幸いです。

Takamine

 khono masaru 


 

詳しい事は分からないのですが、日本の古いメーカーです。

バイオリンや、ウクレレ等も作っていたようです。

この時代は色々なメーカーがあって時代と共に淘汰されていったメーカーのひとつだと思いますが、いずれ見る事が出来なくなってしまうかもしれないギターも多いのではないかと想像したりします。

知らない人にとってはただの古いギターですが、思い入れのある人にはその頃の思い出や匂いまでも思いだすものだと思います。

私もなつかしいものに出会うとときめいたりしますが、こうやってずっと使い続ける事はすごく好きです。

気に入った物を何年、何十年と直し直し使い続ける事が楽しみで喜び、そういう人も多いんではないでしょうか。

 

 

ピックガード作製交換 / D-35&HD-28


スタッフの山口です。

今回はピックガード交換(PG交換)。MartinのD-35とHD-28を並行して作ります。写真はHD-28の方ですがD-35も同じ状態です。

PG交換依頼は縮んだり反ってめくれてしまったりイメチェンなど理由は様々。今回の2本はマーチンクラックと言われるピックガード起因のトップ割れは幸いありませんでした。


トレーシングペーパーでピックガード跡を写したら素材に貼り付けて跡に合わせて正確な大きさにしていきます。ある程度まで型取ったらサンドペーパーで地道に削っていきます。


削り過ぎて小さくなったら取り返しがつきませんので少し削っては実際に当てて確認、地道に何度も確認します。

尖りの部分がロゼッタとピッタリ合うか、PG跡がはみ出てないかなど意外と神経を使います。小さく作ってしまいPG跡が顔を出すのはもちろんNGですが、だからと言ってオーバーサイズで作るのも当工房ではNG。PGはギターの顔の一部となる重要な部分ですのでたった1mmでもオーバーサイズだと大分印象が変わってしまいます。


大きさがピッタリ決まったら水研ぎして磨いていきます。「元々ピカピカなのになぜ磨くんだろう?」と思われるかもしれませんが(僕も初めて皆川氏に教えてもらった時は思いました)そのままだとまるで買ってきた黒い下敷を切って貼っただけのような感じでオリジナルとは程遠い印象になります。ビンテージギターの場合は尚更、その違和感を感じます。

 


バフがけしてはペーパーの傷をチェック、消えてなければまた極細の番手で水研ぎ、を何度か繰り返します。オリジナルっぽく作るとは言え、せっかく新品に交換しますので弾き傷とは明らかに違うサンドペーパーの傷はなるべく無くしたいところです。


無事に温かみのある艶で仕上がりました。

繰り返しますがPGはギターの顔の一部となる重要なパーツですのでこだわらないといけません。

こちらはHD-28。両面テープは空気の入らないように、跡とズレないように、と一発勝負の要素が強いため予めマーキングします。

こちらはD−35。同じく角を二点以上マーキング。


いい感じに貼り付け完了。こちらはD-35。


跡が出ずオーバーサイズでもなく、ロゼッタの径ともピッタリ。艶もいい感じだと思います。


離れて見ても違和感無し。


こちらはHD-28。同じドレッドノートでも個々でPGの大きさは違います。新品時は同じだったのかもしれませんが何十年もそれぞれ違う環境に置かれているからか、個々で全然大きさが違うのです。


無事にこちらもジャストサイズ。


自分も習う前は「切って貼るだけだろうな」と簡単に考えていましたが、やってみるととても神経と手間が必要な作業だと痛感した記憶があります。

しつこいですがPGはギターの顔となるパーツですのでなるべくハンサムにしてあげたい!と思いながら取り組んでいます。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。