2018年03月

ロッド交換 / Morris WJ-50

ロッド交換です。

マーチンタイプのロッド交換、不具合が出たり、折ってしまったりするのは、ほとんどトラディショナルスタイルのギブソンタイプなので、こっちは割りと珍しいです。

サウンドホール側からロッドナットを回しますが、折れてナットはありません。

 


 

新しいロッドに交換しました。

このロッドは、単純に交換するだけなのでロッドの交換そのものは、とても簡単です。

ネックの角度が狂った場合は、ネックを一旦外して角度を直しますが、これに関しては指板を剥がして、ジョイントが露出しましたので、ヒールにくさびを打って半強制的に角度を修正します。(丸部分、ダブテール下はおまけ)(くさびに使ったスペーサーはOvationのシムなので、硬くてつぶれたりしない。)

大昔は指板を14フレット(ジョイント部)から切り取ってこのようにクサビを打って角度を修正する方法もよくやられていたように思います。

おそらく現在より専門のリペアマンが少なかったのかなと想像しますが、これでしたらネックを外すよりいろんなリスクが少ないですし、手っ取り早いです。

ただしその場合、指板を切り取ってしまうので、跡が残ります。

正しい修理方法は有るが、万人にとって正しいかと言えば、そうとは限らず・・・見た目はとりあえず、弾き易く、なるべくお金が掛からず、ギターにとっては強度が保てればよい場合があったり、勿論お金がかかってもなるべくきれいに、ギターにとっても正しくやりたい人もいる。

こちらのギターは、ロッドを交換してまたこのギターを使えるのならば修理したいとの旨、角度は割りと悪いのは分かっていましたが、これ以上お金を掛からない様に、私が忖度した修理。

余計なお世話だと言われてしまいそうですが、この修理で結構な料金が掛かかってしまう事と、指板は全部剥がしますから切り取らずに、この方法で対処できると見込んで。

 

指板を貼り直す場合は、指板修正、フレット交換は大概必要になります。

クサビを打った分、隙間が出来ますので、その部分は詰め物をします。


貼り直した跡はある程度ズレますので、削って合わせて、塗装修正します。


削った部分は色が取れますので、色も合わせます。


リフレットしましたら、ナットも作り直します。


Gibsonじゃなくてコレがイイの。

ぼくらおじさんは。

 

サドル交換(弦高低過ぎる為)


セパレートタイプのサドル交換

ピックアップも2個入ってます。


4:2で良い弦高で指板のアールに合わせ、ピックアップのバランスも良くなければなりません。


弦高が低くなりすぎた為、サドルを交換しました。

 

 

原因も幾つか考えられます。

オーナーも依頼前に原因を教えてくれる事がありますが、ほとんどの場合、当たっていた事はありません。

この時期(乾燥する季節)は部屋の環境によってかなり差があります。

常に乾燥状態の部屋に置かれている場合、木製品であるギターも乾燥してネックもボディも縮みます。

その際、ボディは縮んで内に落ち込んで行く為に弦高が下がってします。

ですので、季節が変われば大概の場合、次第に元に戻っていきます。

 

これもその楽器を作った環境や材料のシーズニングの具合などによって症状ので方も変わってきます。

結構な乾燥した部屋に長いこと置いといても、縮んだり割れたりせず状態を保っているギターもあります。

日本の場合、四季によって空気が変わります、その度に若干なり膨張収縮を繰り返して力木が剥がれたり、ギターもある程度影響を受けることは仕方ありません。

「そーゆー事か!」とこの記事を読んだ人はラッキー!1つでも多く知っているとギターの見方が変わってきます。

そしてついでに、弦は緩めましょうね、緩い分にはいくら緩くても良いですよ。

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ Bass Guitar

当方のブログを見るとネックの修理ばかりやっているような印象ですが、そんなことは無く、ネック以外の修理も同じ様にあります。

ですが、いつもビフォーを撮り忘れてしまいます。

見て頂きたいものに限って、撮り忘れます。

ある程度手が進んでから気が付きます。

アフターだけ見せられても、ただ普通の状態が写っているだけになってしまいますので、それ見せられてもしょうがないですからね。


塗りつぶしの修正は、修理跡は分からなくなります。


色が暗いものの方がより隠し易いです。


塗装修正があっても無くても、強度は同じです。


ボリュートはあってもなくても、ヘッドに角度がある場合は、倒した時は折れる率は高い。


 

 

同じ様な修理は重なるもので、この少し前に FALSETTOS の大黒さんのThunderbirdのネック折れを大急ぎでやったのを思い出しました。

ステージやリハーサルで倒して・・・と言うケースが多いので、皆さんお気をつけください。

 

 

 

フレット交換(指板、サドルのアールの変更)/ Martin D-45


 

D-45のリフレット(フレット交換)です。

指板を修正して、新しいフレットを打ちます。

このギターの場合、過去のオーナーの好みか、職人の癖か、指板のアールがマーチンにしては付き過ぎていますので、アールを少し戻します。

アールは削られて変更されていますので、戻す方向にしてもまた削らなければなりません。段階で言えば2段階位戻ればマーチンらしくはなりますが、あまり削らず雰囲気をマーチンらしく修正します。

指板のアールとサドルのアールは基本的には同じアールでそろえます。

下の画像は、指板修正して、フレットも交換済みの状態です。

サドルのアールはまだ元の指板のアールのままですので、サドルを修正します。


このサドルは修正前の状態。

スケール上約10の値

指板の修正前も、端が多少落ち気味の大体10の値、マーチンには無い形状

 


14位になればマーチンと言う感じですが、12まで戻せばグッと雰囲気は変わります。(数値が大きくなるほどアールが緩やかになります。)


修正前はこの10アール、画像がありませんが、10で端が多少落ちた感じ。


14を当てるとこんな感じです。

このスケールで14アール位になればマーチンにもよくある感じですが、もっと緩いアールもあります。


見え難いですが、サドルのアールを削った状態

アールを12にあわせた状態です。


指板のアール等、このあたりは好みですので、リクエストがあれば弾き手に合わせて変更される場合があります。

リフレットとナットの作り直しは基本セットです。

いつもの記念撮影で完了

 

リフレット(フレット交換) / Ovation 1985-1


 

Ovation  1985-1 のリフレットです。

久しぶりに出してみたら、音も出ず、弾けなくなっていたという事で、ネックリセット他オーバーホール中のリフレットです。

フレットを抜く際に指板が欠けてしまわないように、半田ごてでフレットを暖めながら抜いていきます。

このオベイションのエリートと言うモデルは、アダマスと似ていますが前にアップしました方法とは違い、ネックはついた状態で、私なりの方法で打ちます。

構造上トップ部分(ハイポジション、指板エンド部)のフレットは強めの力で、打ったり、押したりしない方がよいので、長年でたどり着いた方法で打ち込みます。見せないけど。

フレットの溝を多少広くしてやれば、フレットを打ち込んだり、押し込んだりしなくてもフレットは”着けられる”のですが、フレットはしっかりと溝に食い付かせたいので、”私なりの方法”で打ち込みます。みせませんが。

 

 

サドルのアールの確認。

サドルのアールは変えられませんので、こちらに指板を合わせます。

指板のアールの確認。

大体同じになってますので、このアールを崩さず指板(フィンガーボード)を調整をします。

調整する際の注意は、端が下がってしまわない様に、フレットを削る時も同じ注意が必要です。

指板もフレットも端が下がるとカッコが悪いです。

(この画像の指板は悪くはないですが、多少下がっています。)

 


 

端が下がってカッコ悪くなる事と、もうひとつの形がフレットのエッジの形。

左は新しく打ち直した方、右は抜き取った古い方。

左はエッジが立っていますが、右はエッジが斜めに奥まで削られています。

エッジの処理は斜めに削ってしまったほうが処理(整形)に時間が掛からなくて作業的には楽で良いのです。

ですがこの分、弦が内側に乗るようにナットを作ります。

別にこの辺は好みであったり、気にしない方も多いのでかまわないのですが、個人的には弾き難く、何よりもヒジョーにカッチョ悪く見えてしまいます。

 

 


独特な形の指板エンドのフレットの処理も時間が掛かります。


 


新しいフレットに合わせ、ナットを作り直します。


 

私も大昔から大好きな方の春からのツアーで使用予定のギターです。

その人を感じられるほど、弾き込まれたギターではありませんでしたが、このギターで歌っている姿を想像いたします。

このように、弦が多少でも張られた状態で放置されますと状態が悪くなります、お気をつけください。