2021年12月

ネック折れ修理(塗装修正無し)/ Gretsch Nashville

 

 

 

ネック折れ修理は通常、二通り(塗装修正あり、無し)の仕上げプランがあります。

塗装修正ありの場合も無しの場合も仕上がりは色や塗装の種類等により区々です。

出来る限り修理例を更新していきますので、沢山見比べて頂ければ幸いです。

 

 

 

 

ブリッジ貼り直し / Godin A6 Ultra KOA


スタッフの山口です。今回はカナダのギターメーカー、ゴダンのブリッジ剥がれ修理です。エレキとアコースティックのハイブリッドタイプのギターですね。


当工房はアコースティック修理が多いので電気系統を触る頻度はエレキ専門の工房より圧倒的に少ないと思います。今回のようにピックアップを外さないと修理できない場合は外す前に必ず写真を撮っておきます。でないと戻すときに映画の爆弾処理班みたいに「一か八か」になってしまいます。


不定期ですがエレキ専門のスタッフもおりますので、エレキの電気系統などの修理もお気軽にお問い合わせください。

写真は無事にハンダから外せたところ。

今回のようにブリッジが一部だけ剥がれている場合、一旦完全に剥がして古い接着剤を取り除き接着面を整えなければ十分な強度が得られません。

ブリッジはアコギ仕様ですので外す時はいつも通り温めて。

写真を撮り忘れましたがソリッドボディーに見せかけて中は空洞ですのであの手この手でクランプがかけられるように工夫する必要があります。場合によってはその修理のために専用のジグを作ることもしばしばです。

一度クランプを外し接着剤をつけたら手早くシュミレーション通りにクランプをかけ戻します。

しっかりとブリッジ接着できました。ブリッジやサドルは完全にアコギ仕様です。ハワイアンコアの綺麗な木目が印象的ですね。

A6 Ultraというアコギっぽくないネーミングセンスですが、生音もアンプからもとても良いアコースティックサウンドを奏でる不思議なギターでした♪

 

 

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Burny LP type

 

 

 

 

特に塗装修正をせずに仕上げた場合は、仕上がりが区々になりますので沢山見比べて頂きたいのですが、塗装修正をした仕上がりもナチュラルやシースルーの場合は、割れ跡の目立ち具合をぼやかす目的で色を濃い目に仕上げる場合があります。

塗装修正しても元に戻す事は出来ません。

出来るだけきれいに。を目指しておりますので、こちらも見比べて頂ければ幸いです。

 


 


 


 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gretsch Country Gentleman


 


 


 


 


 


 


 

当方のネック折れ修理は、塗装修正はせずにコストを掛けず仕上げるプランと、出来るだけきれいに仕上げる(塗装修正あり)プランの2通りあります。

特に塗装修正無しの場合は、メーカーの違いや古いのも新しいもの等、塗装の状態が違いますので仕上がり具合も区々になります。

ネック折れ修理の修理例を出来る限り多く上げて行きますので、見て頂ければ幸いです。

 

フレット交換 / Gibson J-45 50’s


スタッフの山口です。今回はGibson J-45のフレット交換(リフレット)です。写真は既にネックジグでチューニング後のネック状態を再現した状態です。


慎重に古いフレットを温めながら抜きます。


フレットを抜いた後もネックジグのメーターをチェック。フレットを抜いたことでネックが少し動いていたら0に合わせます。


少し指板をこするとこんな感じです。擦れている所と擦れていないところがあるのがわかります。フレット交換の際は歪んだ指板を調整してあげることでプレイアビリティがグンと向上します。


指板修正の難関、アールの調整です。個々のメーカーやギターに合わせて最適なアールを作ります。闇雲に作業してこのアールが崩れてしまっては台無しです。アール用スケールを当てて後ろから光が漏れなければGood。


ネックジグから一旦下ろして新しいフレットを打っていきます。赤いのはフレットバックと呼ばれるオモリ兼トップを保護する道具です。今や僕の相棒です。


フレットプレスを使ってフレットを打つこともありますが、基本は玄能でコンコン打ちます。


飛び出たフレットの両端をフレットカッターで切断。


すり合わせに入る前にもう一度ネックジグで演奏中のネックを再現します。


よく考えられた優れものですが、こいつを信じ過ぎてもいけません。一度ネックジグに頼り過ぎて1からやり直したことがあります。


フレットをすり合わせます。きちんと指板修正しフレットを打ちましたのであまり擦らずとも良い感じになります。


細かい作業工程は企業秘密ですが、丁寧に作業してるアピールもしたいので大まかに写真で追っていきます。


マスキングテープを指板に貼って磨きます。


最後はボンスターで仕上げ。

通常は高くなったフレットに合わせてナット交換(フレット交換料金に含まれます)も行いますが、今回はオールドギターですのでナットは底上げで対応します。

底上げしても溝の調整は必須。


サドルの高さもこの程度で調整できました。フレットが高くなるので弦高が下がると思われがちですが、指板修正とナットも高くなるので実際は高くなることの方が多いです。サドルが低い状態でのフレット交換の際はネックリセットも視野に入れて検討したほうがいいかもしれません。


フレットが浮き易い、というか、うまく打ち込むのが難しいハイフレット側。フレットバックのおかげもあって問題なし。


ピントが合ってないですがフレットがしっかりと蘇りました。


フレットは消耗品です。プレーヤーによって交換時期もそれぞれです。高さが残っていてフレットの精度が悪いだけならすり合わせだけでもOK。費用も安く済みます。


ワンリングの薄型のラージピックガード。見た目だけでいい音がしそうな風貌です。


Gibsonに限らずビンテージギターの相場が上がっていますね!最近はビンテージのバイクなどあらゆるビンテージモノが上がっているそうです。

今のうちに!と思うのですが、それを買えるようなお金は手元にありませんので指を咥えて見ている僕なのでした。(´ε` )

今回も閲覧いただきありがとうございました。

これまでの「山口君のページ」山口君の紹介の意味で分けておりましたが、次回から山口君の仕事もコンテンツ別に分けて更新していきます。

いつも「スタッフの山口です。」って始まりますから、別に分けなくてもね。

この記事までの「山口君のページ」はこのまま残ります。

 

フレット交換 / Ovation 1868-5

オベイション エリートのリフレットです。

何十年前に作ったカバーを、まだ使っています。

 

1~2回前のブログでアダマスのリフレットを見て頂きましたがアダマスの場合、エリートの様にネックを付けたままフレットを打てない理由を書きました。

エリートの場合は、通常通りネックは付けたまま打ち換えます。

Ovation はフレットを接着剤で固定しているのですが、年代によってその接着剤が異なる為、交換前の溝の掃除の仕方にも違いがあります。

古いやつから90年代後期位までは、カサカサの接着剤が詰まっていて、掃除がしやすくてこれをきれいに掃除してしまうとフレットがゆるゆるになってしまいます。

溝が広がらない様に接着剤を残して調整します。フレットは上手く溝に喰い付かせて更にその後、接着剤を毛細管現象を利用して流し入れて固定します。

コレクターズシリーズの1998だったと思いますが、このあたりからフレットの接着剤が重ーい、かき取れない(ドレメルで掃除しても、粘ってビットに絡みつくだけ)接着剤になります。

これは時間をかけて何とかきれいにしないとフレットが打てません。

この後、何年もせずに重さがそれほどは無くなったけど固ーい接着剤になったような気がします。

これも時間が掛かりますが、きれいに掃除しなければなりません。

2002年にOvationの代理店を離れてしまいましたので、その後の仕様変更等は分かりませんが、どのメーカーもどのギターも打ち換えるフレットの足に合わせた作業が必要です。

 


オベイション特有のこの部分は面倒で、気も使います。


その他の部分は、通常のギターと同じです。


リフレットしてナットは練り物から牛骨に作り変えますので、音が締まります。

 


 

 

 

 

Ovation は長く関わったので、最近まで何とも思いませんでしたが、一回りしてまた良いなと、思うようになりました。(OP24までがいいな。)