2023年07月

リフレット / Harmony Hollywood

フレット交換したハーモニーですが、今回はビフォーアフターのビフォーが無いです。

ビフォーが無いのですが、なんともこのギターの雰囲気がよろしいのでアップいたします。

 

リフレットする際に大概は、指板を修正してから新しいフレット打ちます。

こちらのギターの指板は茶色く着色してあったのですが、オーナー曰く茶色くしなくても良いとの事で、私も賛成。

先ず着色の面倒が減る事もそうですが、メイプル指板のきれいさは着色は無い方が良いと思います。

ただし、ローズやエボニーのように塗装無しの状態ではメイプルは汚くなってしまいます。

ですのでクリアーコートはしなくてはなりません。

 

 

 


 


 


 

 

このHarmony Guitar アメリカンビザール等と呼ばれているようですが、それはそうと、なんて素敵なギターなのでしょ。

ピックアップはデュアルモンドでしょうか、詳しくないので分かりませんが、何とも素敵なデザインです。

色合いも音も良いですね~。

高級品の良さがわかるひともそれはそれで、目も肥えてなければ高級品であっても目利きはなかなか難しいです。

値段が高いだけで、「これ・・・?」っていうのもあります。

高級じゃ無くったって、こんなナイスギターもあります。

 

ギターって音だけで選ぶ人の方が少ないと思いますので、「値段が高いのに大した音がしないギターに惹かれちゃう人がいる」のも事実。

 

唐突ですが、安く買えて良いギターな訳ですから、こちらの勝ちでよろしでしょうか。

価値あり!なんつって。

高くないと価値を見出せない人もいますしね、価値観は十人十色です。

 

力木剥がれ /Martin D-28

スタッフの山口です。

今回は写真が少ないのでほぼ文章で力木(ブレイシング)剥がれ修理を紹介します。

バック側の力木が剥がれていますね。力木剥がれはボディをコンコンっと叩いた音で剥がれてるか診断します。大事なギターを持ち込んでいきなりコンコンっと叩かれても驚かないでくださいね。お医者さんに例えるなら聴診器を当てているようなもの。8割方、叩いた時の音でどの辺が剥がれているかどうかが分かります。

おおよその場所が把握できたら写真のようにヘラを差し込みます。軽傷の場合はなぜか端の方から剥がれていることの方が多いです。このまま放っておくと中心部まで剥がれていき、最終的には何かの拍子でカランコロンと完全に外れてしまいます。

そうなる前に修理してあげればOK。お客さんが気がつきにくい部分なので別の修理で持ってこられた場合もなるべく力木チェックは行っています。

バック側の場合は専用のターンバックルで突っ張って接着します(外側では大きなカムクランプがサポートしています)。

写真をよく見るとバックのローズウッドが湿っています。これは接着面から溢れてきた接着剤を拭き取った跡。たまに盛大にニカワだらけになっているギターを見かけますが、、、ちゃんとすぐに拭いてあげれば修理した痕跡は残りません。

 

力木の他にもバインディングが剥がれていましたのでこちらも修理。

Martinのバインディング剥がれはMartinクラックのような「名物」としてそろそろ名前が付いてもおかしくありません。


 

マグネティックPUを戻して完成です。

弟子入り間もない頃、修理前のギターを「このギター鳴りますねー!」という僕に「たぶん力木が剥がれてて音が暴れてるだけだよ」と皆川氏。力木を調べてみたら見事に5-6ヶ所も剥がれていました。そして修理後に弾いてみたらなるほど!音量は修理前より若干小さく感じるものの、しっかりと粒立ちの良い上品な音に変わっていて感嘆しました。力木が剥がれまくってガビンガビンの音が良く思えても、弾いている本人に鳴ってる感があるだけであって、聞いている側が良い音と感じるかどうかはまた別の話。そして何より力木剥がれを放置してしまうとギターの強度も落ちてしまいますので、なるべく軽傷のうちに直してあげましょう。

最後に、今回のようなギター内部の修理をする場合、中の埃や塵は集塵機とエアコンプレッサーで綺麗に取り除いてから行います。今回のギターはとても綺麗でしたが、たまに驚く程いろんな類いの塵や埃が溜まっているギターがあります。音に分かるほどの影響はないかも知れませんが、、、剥がれはじめた力木の隙間に埃が付着してしまっていたり、匂いが篭ってたり、ピックを中に落としてひっくり返して取ろうとしたら埃が顔に降ってきたり、と百害あって一利なし。たまにギターの内部も気にかけてあげてくださいね。

 

そういう僕は今日、自分のメインギターの弦交換を1年ぶりにしました(ノ_<)もう少し自分のギターも気にかけてあげようと思ったのであります。

今回も最後までありがとうございました。

 

 

 

 

ネックリセット / Gibson L-1

Gibson  L-1をネックリセットします。

ネックの角度を修正して、指板の厚みを修正して、ジョイント部に挟むシムを作って…

バインディングも同じ厚さにテーパーつけて貼ります。

ジョイント用のシムはどれも同じって訳には行かず、必ずそのジョイントに合わせて作らなければなりません。

絶対に動いてはならず、奥までしっかり収まっていなければなりません。

シムによってセンターが変わってしまう事もあるので、どっち側にどのようなシムを作って入れるか、よ~く観察しなければ失敗の元になります。

 


サドルが接着されている場合は、大概簡単には外れてくれません。


ナットと同じように半分に割って外します。


元の溝は精度が悪くなっちゃっていますので、一旦埋めてサドルがしっかり立つようにきれいに掘り直します。

 

12フレットジョイントのネックは、14フレットジョイントと比べると見た目が角度が足りなく見えてしまうので、ついついちょっとだけサドルが高目になってしまいます。

指板は底上げして厚くしてあります。

フレットはまだ変えたばかりのようです。

今回はすり合わせで調整。

 


この塗装の感じはたまんないですな。


古くて荒れている状態なのに、美しくさを感じます。


ピックキズ、ぶつけた傷

本物の凄み。


このヘッドも・・・

ひとしきり弾いたら、酒飲みながら眺めたいね。

 

オールドギター、ビンテージギター、みなさん惹かれる魅力は、それぞれだと思いますし、どのように関わっていくかも自由だと思います。

なのでオーナー次第で良いとは思いますが、汚くしないで欲しい・・・

古めかしい雰囲気はカッコイイですが、思いっきり勘違いされている方を思い出しました。

勘違いと言うか、ズレているというのでしょうか。

その方曰く、「せっかく古くて汚れているのに!」と言う方で私は「なるほど…」と…オーナーの自由ですから。

心の中は、「汚いでしょ。それ。」

 

車やバイクでもラットスタイルと言うのがあって、最近のはボロク見せるように技術も使って手が込んでいますが、昔のラットはただ掃除が出来ない人の言い訳のようでした。

「よくそこに座って、そこつかめるな。」と言う感じ、「ギターもそれ触りたくねー。」と思います。

 

 

 

 

ピックガード交換 / Martin D-76


スタッフの山口です。

今日の修理はピックガード交換です。剥がれてきたり浮いてきたり様々なトラブルが起きるパーツの一つです。


反る力によって起きるトップ割れ、通称「マーチンクラック」という言葉が有名ですね。確かにピックガード交換修理は8〜9割がMartinな気がします。

今回は幸いピックガードの粘着力が弱くトップ割れは起きていません。剥がすのもすんなりです。


原材料高騰対策とSDGsの観点から、少しでも効率よく無駄の出ないように切り出します。ベッコウ柄などの場合は好みの部分を狙って切り出すのでこうはできません。


サイズを見ながら面取りし、いい大きさになったら水研ぎします。傷が消えるまでバフでも磨きます。


師匠のOKが出たら両面テープを貼り付けて形に合わせてカット。その後テープがはみ出ないようにサンドペーパーをうまく使って余分なテープを削いでいきます。実はここら辺の工程が一番緊張します。手が滑ってしまったら目も当てられません。切り出しから再出発になってしまいます。


貼り付けは一発勝負。あの手この手で位置を決める目印を。経験上、大体2〜3点を押さえておけば大丈夫。


塵や空気が入らないようにします。せっかくお金をかけてピックガードを新調したのに凸凹してたらガッカリしますよね。トップ側もできる限り平らに仕上げてから貼ります。


ここからは番外編。ヘッド磨きに移ります。長年の脂や埃、場合によってはヤニなどの汚れがヘッドには付着します。弦交換の時はたくさん触れるところですが、ボディと違いペグもあるので拭きにくいところですね。


なるべくラッカーの塗膜が薄くならないよう、変性しないよう、皆川氏厳選のワックスで磨きます。コンパウンドは入っていません。企業秘密ですが聞けば教えてくれるかもしれません(^ ^)


ほら、ピカピカです。


背面もゴシゴシしましょう。


ラッカー特有の輝きを放っていますね。


傷や打痕がないのでいい感じですね。


新品時のようです。このギターはまた特別綺麗ですね。


ピックガードも新しくなりまさにミンク品と言えるビンテージギターです。


 

アメリカ建国200周年記念モデルのD-76。1976年に1776本作られたそうです。インレイの星は建国時の13州を表しているとか。言わずもがな、ナイスギターです。

話は変わりますが、SDGsという言葉、楽器業界には耳の痛い言葉だと思います。ハカランダを始め世界中のローズウッド系樹種やマホガニー系樹種などの伐採による環境破壊や絶滅危惧種の増加に大きく関わってきたからです。少しずつ持続可能なカタチを目指す動きもありますが、まだまだが課題が多いのも事実です。どんな楽器も使い捨てにせず、メンテナンスやリペアをして長く使い続けることが一番簡単に貢献できる方法ではないかと思います。メーカーも今までの仕様、材料に拘らず新しい素材の開発をさらに進めて「古き良きものを大切に、また一方でこれからは新しい技術と素材でさらにいいものを目指す」これが楽器業界にとっての健全な姿になっていくのかな、と思います。

日本は林業の衰退から逆に杉や檜が生え過ぎちゃって花粉症が増えているくらいなので、その辺の樹種を最新の技術で楽器に向く材料にできたら一石二鳥なのになぁ、、と随分前から考えたりしてます。YAMAHAあたりはもう着手しているかも?国内楽器メーカーに期待したいですね。

全然話が変わってしまいましたが、、今回も最後までありがとうございました。

 

ネックリセット / Gibson Hummingbird

70年代のハミングバードのネックリセットです。

画像では分かり難いのですが、ネックはスリーピースでダブテールは、その張り合わせ部分が剥がれて残ってしまっています。

ダブテールのこちら側は全部取れてボディ側に残ってしまっています。

上手く取り外せれば元に貼り直します。

上手く取れなければ新しく作り直します。

 

分かりずらいですが、上手く取れなかったんだと思います。

「なかったんだ」と言うのは大分前のデータなのでよく覚えてない部分が多々あります。

こちらは分かり易いです。

新しく作り直しています。

ネックの角度を直せば指板が下がるので厚みを付けて指板が曲がって下がらない様に厚みを付けます。

リセットが完了しましたら、リフレットします。

フレットはペタンコ。

 


 


 


 

ネックリセットすれば、弦高が低くなって弾き易くなりますが、リフレットすればその感触は雲泥の差と言っていいでしょう。

フレットが低いと知らず知らずのうちに手に力が入ってしまって弾き疲れてしまう事があります。

フレットがしっかり立っていれば余計な力が必要無く、とても楽に演奏できるのです。

 

 


 


 


 

70年代Gibsonは長らく評価がそれほど高く無かった様に思いますが、オールドギター高騰の今、70年代Gibsonの良さの認識が広がりつつあるのではないでしょうか。

当方で修理して販売した個体などは本当に良い音で、売れなくてもそのままここに置いておいてもよかった。

70年代GibsonはそれまでのGibsonとずい分違うのでGibsonぽく無いとお思いの方もいらっしゃいますが、70年代Gibsonはアコギもエレキも年代別に見ますと1番面白いギブソンかな、と思ったりします。