修理実績

ピックガード交換 / Martin OOO-28

所謂マーチンクラックと言われる割れです。

これを平らに直して、ピックガードを交換します。

ピックガードを剥がす際は、逆目から剥がして木をむしっちゃわない様に順目方向から剥がします。

とは言っても剥がす部分は見えませんし、見えたとしても分かるもんでもないので、剥がしながら「ちがうな」と思ったら方向を変えます。

方向を変えて「よしよし。」となる場合と「あれ?どっちが正解だ?」となる場合もあります。

 


塗り込んでいるような雰囲気を出す為に水研ぎをします。

ピックガードの成型そのものより水研ぎの作業にとても時間が掛かります。


塗装面であれば、特にラッカーなら割と簡単に研ぐ事が出来るのですが、ピックガードそのものは中々細かいキズが取れてくれません。


そんなに面倒なら保護フィルムを剥がしただけでもきれいでしょ?と思いますが、それだと下敷きの様で安っぽくなってしまうのです。

 

 

 

逆にうんと拘って塗装もして、予算もかけて出来るだけ元の様に戻したいという場合もありますが、そこまで必要無いと思われる方が多いのでしょうか「塗装あり」でのリクエストはとても少ないです。

もしくは当方では、キズ直しやリフィニッシュは基本お断りと言う事で常々、「キズは気にしないで。」「リフィニッシュはやめてね。」等と修理依頼者にとっては、「なんだ?この修理屋!?」的な事を言いますので、見た目も(を)うんと拘る方は当方は選ばれないのかも。

 

ネックリセット / Gibson LG-3 1950s

 

スタッフの山口です。1950年代のGibson LG-3、ネックリセットを見て行きたいと思います。

写真では分かりづらいですがネック角度が狂ってしまっています。これではサドルを削ったりアジャストロッドで調整しても弾きやすい弦高まで下げられません。

サドルはこれ以上低いと音への影響も顕著になります。ネックリセットほどの修理代をかけたくない、かけられない場合はこのブリッジの上面を削って薄くし、サドルの出しろを稼ぐという方法もありますが、今回は貴重なオリジナルのハカランダブリッジが綺麗に残っていますので、削ったりせずにネックリセットで解決することになりました。

 

 


15フレットを抜いてヒートスティックを挿入する穴をあけます。黄色いマスキングテープは掘り過ぎないための目印です。貫通してしまったら大惨事です。


指板をトップ板から分離させるためにハロゲンライトで慎重に温めます。修理屋さんによって温め方や道具は様々ですね。


指板とトップの境目にナイフを入れて分離したら今度はヒートスティックでヒール内部のダブテイルジョイントを温めます。とにかくニカワでもボンドでも温めて接着力を弱めます。

 

 

 


写真が一気に飛びます(汗)

ネックヒールを削りネック角度が適正になりました。


クランプで固定しなくても弦に負けて外れないようにジョイントしなければ合格点は貰えません。センターもずれていてはNG。

ネック角度が適正になったことで指板が下がってしまう場合は、指板の底面に同じ材料を足して指板面がなるべく最後までまっすぐになるようにしてあげます。写真をよーく見るとトップ面との間に薄い層が見えますね。

最終チェックとシュミレーション後に接着です。手早く作業しないといけませんので緊張します。

 

 

 


無事接着し完全に乾燥(2〜3日以上)したらフレットのすり合わせをします。フレット交換も行なった場合はナットも作り直しますが今回は交換なしです。


サドルの出しろがいい感じです♪

このサドルを何ミリか高くするために結構な時間と労力、それと修理代がかかります。


弦をチューニングしっぱなしにすると張力でネックが反ったりトップ板が凹んだりブリッジが外れたり、ギターによって多種多様な不具合が出てきてしまいます。


オールドギターやビンテージギターは長い時間をかけて木が安定していますので、ちゃんと弦を緩めて湿度に気をつけていれば修理後の良い状態を長期間維持できると思います。もちろん新しいギターにも当てはまります。当工房オーナーも度々言っていますが、アコギは弾かない時はなるべく弦は緩めましょう。

 

リフレット(フレット交換) / Gibson LG-3

スタッフの山口です。今回はGibsonのLG-3のフレット交換です。角度が悪いので本当はネックリセットしたいところですが、先方の予算を踏まえ今回はアイロンで角度をできるだけ修正してあげてからフレット交換することになりました。

かなり年期の入ったアイロンですが現役です。師匠に何年前から使っているのか今度聞いてみよう。

ネックアイロン修理は簡単そうに見えますが、その後なるべく指板やフレットを削らないで済むように色々と試行錯誤するため意外と難しく、セッティングに時間がかかります。師匠に随時チェックしてもらいます。

 

 

 


アイロンで無事に角度修正できたら今回の主役、『ネックジグ』の登場です。

移転前の工房ではスペースがありませんでしたが、今の工房ではスペース確保が可能になった為、アメリカから取り寄せました。


簡単に説明すると弦を張って演奏する際のネックの反りや角度をメーターで記憶し再現したまま指板修正やフレットの擦り合わせができる、といった優れ物です。


演奏時のネック状態を維持したままフレットを抜き指板を修正します。

 

 

 


少し飛んで、、、フレット交換し、すり合わせたりエッジを丸めたりしながら磨いて行きます。


師匠が長年かけて編み出した工程、レシピは門外不出です。まだ僕がお客さんだった時、師匠の仕上げたフレット交換の仕上がりに感動して弟子入りするに至った、と言っても過言ではありません。

 

 

 


象牙やオリジナルにこだわるなど特殊な事情が無い限りナットは牛骨で新しく作り直します。


フレットが高くなるのに加え、指板もしっかり修正できますので弾きやすさは体感できるほど良くなります。


サドルは低めですがネックアイロンをかけておいたおかげで許容範囲になりました。ネックリセットで得られるサドル高には及びません。


元々『LG』は「Ladies&Girls」の略らしいです。一般的な日本人男性ならこのくらいが肩が疲れないギリギリのサイズだと思います。50年代のビンテージですが、J-45よりもいくらかお手頃価格なので狙い目です。ナイスギター!

 

ネックリセット / YAMAHA FG-250J

 

 

ヒールが途中から分かれてしまっています。

 

ヤマハのネックを外す時は、想定内と言えば想定内ですが…

温めるから、接着部が剥がれちゃうんです。

 

大概、分かれた後ろの方は中々緩まずにくっ付いていますので、外すのが大変です。

以前の蒸気を使っていた方法も現在の半田ごてを使う方法も同じですが、高熱を扱いますのでなるべく早く外してやる事が大事です。

特に蒸気だった頃は、熱湯が噴出してきますので出来るだけ早く外さないと塗装へダメージをきたします。

少々の火傷ならガマンガマン、隙間からボディに噴き出す蒸気を布で拭きフキふきフキしながらやらねばなりません。

熱を掛けているだけではジョイントが緩んでくるまでに時間が掛かってしまいますので、ジョイント部が緩む時間を短縮出来るようにネックをつかんでヒールを押す方向以外からも力を入れます。

ただし、こんなふうにヒールが途中から分かれて、ネックが外れてしまうと持つところが無くなっちゃうから、こうなると残った方を取るのがけっこう大変なんです。

蒸気が吹き出ない半田ごてで熱する方法なら、時間が掛かっても押す方向だけの力で外せば良いかとも思うのですが、いずれもジョイント内部から高温で温めていますが、こちらは気を付けないとヒール塗装面がアッチッチになるので(塗装面を冷まし冷まし)こっちはこっちでなるべく早く外してやる必要があります。

 

「あ、でも時間が掛かって塗装がやられても、早く外そうと思ってヒールが分かれちゃっても、いずれにしても何らかの修正が必要なんだな。」

 

 


 


 


 

「でも、蒸気がボディにはかからないからそこは心配いらない。」

「なら、時間をかけてやればよいのか⁉ 」

「いや、押す方向のみの力では、いつ外れるか分かんないよなー。」

「この厚くて固い塗装修正するのはめんどいよ~、ギブソンみたいなわけいかないんだから。」

いつもブログは、まとめてから書き始めるわけでは無いので書きながらいろいろ気付いたり、分かんなくなったりします。

ヤマハにはヤマハなりの良い方法がきっとある、と思いながら…

つづく

 


 


 

 

 

ネックリセット / OOO-45コピー


 

残暑見舞い申し上げます。スタッフの山口です。

今回は手工品のooo−45モデルのネックリセットを見ていこうと思います。

珍しく修理に取り掛かる前に写真を撮りました。よく見るとヒールに隙間が出来ています。

近年の本家マーチンでもたまに見られる不具合です。原因はダブテイルジョイントの精度が悪かったり、シムに紙が使われていたりでこうなることが多いです。

今回はどうやら精度が甘く長年の弦の張力に負けて隙間ができたようです。


コピーモデルですがこちらは本家顔負けの雰囲気がありますので、恐らく見えないところもマーチンと同じ構造だと予想し15フレットを抜きます。


予想通りダブテイルのポケットがありました!よかった。

ダブテイルジョイントを温める前に指板を温めてトップから指板を剥がしておきます。

少し飛んで、綺麗に外れました。

 

 


今回はこちらに注目。ドリル跡が確認できますでしょうか。真っ黒で良質なエボニーは埋め木しても目立たないですね。


こちらはネック角度を適正にしたことで下がってしまう指板に足す下駄を作成中。こちらも一応エボニーですが縞のある黒檀ですね。


ネックバインディングがありますので下駄に合わせてバインディングも足してあげます。


これはフレットを戻した後の画像。よーく見ると跡が確認できます。

 

 


後はいつものように接着剤を付けずにシュミレーション。


センターのズレはないか最終確認。元々ズレている個体もよくありますのでその時は角度と同時進行でできるだけ修正してあげます。


バインディングは足した部分が分かりやすいです。

ネックバインディングがない28シリーズの場合はエボニーですのでドリル跡同様目立ちません。

 

 

サドルもベストな感じです。ロングサドルは高すぎると特にカッコ悪くなってしまいます。逆にサドルが低くてもせっかくお金をかけてネックリセットを頼んだのにあまり意味がない、、と残念がられてしまいます。

本物のマーチンと雰囲気は違いますが、高級感とヴィンテージ感は本家に負けないギターですね。もしかたらマーチンの工場で働いていた職人さんが独立して作ったとかでしょうか。専門学校生の卒業作品の可能性もありますが、どちらにしてもウン十万円はしそうですね。

 

今日修理が完了した12弦ギターはネックリセットし終え、フレットのすり合わせも終わっていましたが、想定していたよりサドルが低めに仕上がってしまいました。そのまま納品するか迷いましたが、師匠に相談したところ「納得が行かないならやり直した方がいい」とのこと。

よし、と、もう一度、一からネックを外し、リセットし直しました。今日やっと完了。サドルの出もちょうど良く「納得」できる仕上がりになりました。ネックリセットは接着後にフレットはすり合わせなのかリフレットなのか、リフレットなら指板修正はどの程度か、アジャストロッドの有無や調整幅など、多くのことを想定しながらやらなくてはなりません。経験と想像力を頼りに戦う修理ですので、納得のいく仕上がりの時は喜びもひとしお。大変ですが達成感があり好きな修理の一つです♪

 

ブリッジはがれ修理 / Ovation CC059-4


 

ブリッジが剥がれています。

見ればわかります。

手工品のギターではあまりこういった剥がれ方は見ない気がしますが、メーカー品や量産型のギターはこのように剥がれてしまっているものをよく見ます。

原因は一つでは無く、いくつかあります。

これの場合は、アラルダイトのようなとても強力なエポキシで接着され、接着部は剥がれていませんが、接着されている塗装の下から剥がれています。

タイトボンドやニカワ等は木部を出して接着面を調整しなければ接着剤の性能を発揮できませんが、エポキシの場合塗装面であっても強く、硬化後も体積がほとんど変わらないので多少凹凸があっても隙間なく、強力に接着する事が出来ます。

その為にこのように剥がれてしまう事もあります。

このように一気に剥がれてしまう原因としては他に、単純に接着剤が弱い為、接着剤が足りてない為、接着面の処理不良の為、等がすぐに思いつきます。

不備の無い作業工程で選択が間違えてない接着剤を使っていても構造上、剥がれてしまう事はある程度仕方がない部分もあります。

ブリッジも木で出来ていますので、張力のかかる方向へ木が反り上がり、その分隙間が出来る事があります。

防ぐ手立てとしては、弦は必ず緩める事。

・チューニングされたまま、もしくは弦は少ししか緩めていない…この状態にしない事。

ブリッジだけでは無くネック、トップ等、関わる全てに何かしらの影響が出るので、弾かなければ弦は必ずしっかり緩めてください。

 

 

 


 


 


 


 

 

締め直す。 / Ovation 1867-1

Voノブがグラグラなので、動かない様に中を締め直さなければなりません。

 

Voの軸の元のナットを締められるようプリアンプの箱を開けるのに、ネジ類を何個も取らなければなりません。

 

 

これは、Ovation の OP24 と言うOvationの中で1番好きなプリアンプ。

この頃までは、手ハンダなのが画像からもわかると思いますが、そのせいなのか、思い出も加味してなのかはわかりませんが、このモデルまでは音が好きです。

 

プリアンプの修理は簡単な事ならまだ何とかなるのですが、うちではどうにもならないものは多く、更に代理店でも無理な場合があります。

ごめんなさいね。

 

 

 


 

このギターは、フレットを1本増して、リフレットします。

ストラトキャスターのフレットを増やす人がいらっしゃいますが、そんな面倒な事はうちでは出来ません。

ですが、これくらいなら何とかやれます。

 

今回のブログのタイトルはこっちかなとも思いますが、ストラトのフレットを増やしたい人が見たら申し訳ないので、出来るだけ消極的に書いています。

「ならブログにしなきゃ良いのに。」と言われますが、「今週もおなじだな~。」と思い思いやってますので、なんか他の画像があれば使ってみたくなるのです。

御免。

 


 


 


 


 

 

ネックリセット / Martin OOO-18


 

 

現在修理進行中のギターで、Martin のDSTGと言うモデルがあるのですが、それのネックを抜く必要がありまして、私はまた新しいタイプのマーチン式ジョイントに出会いました。

そんなに突拍子もない感じでは無く、「あれ?」と言う感じ。

いずれまた、ブログで見て頂く機会があると思います。

 

←こちらは大定番のOOO-18でございます。

ネックの角度直して、指板修正(リフレット)します。

 

 

 


指板修正後の弦高は、ネックリセット直後の弦高より多少高くなりがちですので、サドルが低くなり過ぎない様に、かと言って出過ぎないように、計算しなければなりませんが、数値的に測れないので難しいのです。


指板修正しましたので、フレットも新しくなります。

 


新しい第1フレットに合わせたナットを作ります。

 

 


 


 

このヒール部分の接着は、あまり重要ではありません。

ヒール下にある、蟻組(ダブテールジョイント)の精度が大事です。

きつ過ぎては奥までしっかり収まりませんし、緩くて接着だけに頼ったジョイントでは、いずれヒールが浮いてしまいます。

奥までしっかり収まって、テンションが掛かってもヒールが浮かない様に調整します。

 

 

 

フレット交換 / Ovation 1681-8

Before

 

After

お店の人に「もう交換しないとダメですね。」等と言われても鵜呑みはしないで下いね。

お店の人も商売ですから、いろいろ言いますが、決めるのはご自身で。

交換理由も時期も、それぞれ違って良いのです。

・演奏上不具合があるから・見た目が嫌だから・もっと弾き易くなるかも…・まだ交換しない、いろいろでいいんです。

 

 


 


 


 

ギターの関わり方も演奏スタイルもみんな違うのですから、正解は無いのです。

私個人としては、「これ、よく弾いてるな!」や「なんで交換する(直す)の?」といろいろ感じますが、聞いてみれば「なるほど。」

その人のスタイルがあります。

 

強度や演奏性に問題が生じる可能性がある場合は、伝えますのでご検討下さい。

 

 

ブリッジプレート補修 ブリッジ交換 / Gibson LG-O

経年劣化でブリッジは歪んで、ビス止め部分は折れてしまっています。

作り直したブリッジを貼り直す際には、塗装を剥がして木地を出します。

ギブソンの60年代のプラスティックブリッジは、4か所ビスで止まっているだけ。

ブリッジの裏側、ブリッジプレート。

通常はメイプルやローズ等を使いますが、これはスプルースか何か。

ブリッジプレートの穴は削れているだけでなく、裂けてしまっています。

 

 


 

 

 

 

ビス止め部分は真ん中に2ヶ所と弦の穴の両端に1ヶ所ずつ、計4か所。

 

ビス穴も弦通しの穴と同じように塞ぎます。

ブリッジは、似た雰囲気になるようにエボニーで作り直します。

 


ローズで交換する際は、その年代のローズブリッジの雰囲気になるように。


エボニーで作り直す際は、プラスティックブリッジの雰囲気に。


オクターブも図り直します。

サドル位置は、ほぼ同じ位置でした。


通常のサドルであれば後からサドルの位置を決められますが、アジャスタブルブリッジの場合は、いろいろ難しくなります。

 


 

 

 

良い雰囲気です。