スタッフブログ
ロッド交換 / Loar guitar
アジャストロッドナットが無いです。
締め込み過ぎて、奥で折れてしまったようです。
私が非力なせいなのか分かりませんが、ロッドは折った事がありません。
ロッドを折ってしまうのは慣れない人だけではなく、プロの方でもたまに折る人がいます。
回っていたものがきつくなって回らなくなったら、それ以上締めるのはやめましょう!
またいつものように途中の画像があまりありませんので雰囲気は、過去のブログを参考にして頂ければ幸いです。
https://www.m-guitars.com/blog/2833/
https://www.m-guitars.com/blog/4800/
他の記事もよろしければ覗いてみてください。
今回は、両利きの(順ぞり逆ぞり両方に対応できる)アジャストロッドを使います。
2Way、ダブルアクション、デュアルアクションいろんな言い方しますが、私は両利きと言ってしまいます。
指板は貼り直しましたら、指板上を整えて、リフレット、ナット交換。
指板を剥がすと大概左右に沿ってしまいます。
その為、指板とネックどちらかが出たり凹んだりズレが出ますので、削って整えます。
今回は、Loar と言うブランドのギター。
大昔にあったギターメーカーのようですね。
生産拠点等は当時とは全く別ですが復活するブランドがあります、そういったブランドの一つでしょうか。
安い価格帯でよいギターが結構ありますが、これも作り手(メーカー)の頑張りが分かります。
ネックリセット&ナット交換 YAMAHA 12弦ギター
このYAMAHAのヒールキャップは構造的にバインディングの領域まで達しているのでとても手間がかかりました。Martinなどはヒールと一緒にキャップも削れてくれるので自然といい感じになりますが、このデザインだとヒールキャップを一度取り外して、ネック角度を修正後、それに合わせてキャップもリサイズ加工して綺麗に元に戻さなくてはなりません。
きっとバックのセンターとヒールキャップが同じフレームメープルで繋がっている方がデザイン的にカッコいいということなんだと思いますが、であればバックセンターのメープルをバインディング領域まで伸ばせばよかったのに、、。
後世に残すべき楽器だからこそ、何十年後かに必ず訪れる修理やメンテナンスのことをしっかりと考えて欲しい!という想いが何となく愚痴っぽくなってしまいました。もちろん言わずもがな、サウンドもナイスギターでした♪
今回も最後までありがとうございました。
ブリッジ交換(ネックリセット)/ Martin O-17
ジョイント内部に白いものが貼り付いていますが、紙きれです。
ネックをセットする際に絶対にヒールが浮き上がらない様にシムを挟んで調整しますが、シムに紙が使われています。
紙は木で作ったシムのように繊維が通ってない為、シムとして使う事は間違い(手抜き)です。
修理屋はおそらくこんなことはしませんので、Martin工場でやられた修理なのだろうと思います。
(Martinでは過去に紙をシムとして使っていた時期があります。)
過去ブログにいくつか掲載しております。
これだけ古いギターですと(1939年製)いろいろと修理が施されているのは当然ですが、修理者の中には真面目な人も不真面目な人もいろんな人がこのギターに関わって来たのだと思います。
紙のシムであったり、指板裏にはスプルースで厚みを調整してあったり…
ローズ指板、マホトップですから指板に下駄をはかせるならローズ系、でなければマホ系が好いと思いますが、トップ側は他にもメイプルのような板でも補修してあったりもします。
こんだけ指摘しているのですから、どう綺麗にしたか見せろと言われると思いますが、大たい気持ちに余裕がない時は画像も無い事が往々にしてあります。
ご了承ください。
昔、Martin工場に見学に行った方の話では、ブリッジ修理は剥がさず壊して取り外して、オーバーサイズのブリッジに交換する、と聞きました。
Martinで修理するのだから何やったって公式なのだろうと思いますが…
現在は価値観が昔と違い、すごく細かい事を言う人も居ますから流石にMartin工場もやり方は変わったのではないかと想像しますが…
でも、前にNHKで福山雅治氏所有の大昔D-45をMartin工場で修理しよう!(タイトルは覚えていません。)と言う番組で修理には関係ないヘッドの突板まで交換しちゃっていたような気がします。
私の勘違いなら良いのですが、見ていたその時は、「何やってんの?」 もしそうなら福山さんはどうだったのだろうか、テレビでなければ流石の福山さんでも怒ったのではないかと想像してしまいます。
オールドギターの醍醐味、価値はそれぞれではあるかと思いますが、古いパーツや塗装が残っているからそこににロマンがあるのに…、しかもぷりおーまーちんなのに。
今では流石に、私の勘違いだったろうなと思い込んでいます。
このギターの修理のリクエストのひとつが「ニカワ接着」だったのですがニカワの扱いは全く慣れていません。
それ故、慣れないものは安易に使わない方が良いので積極的には使わなかったのです。
十七、八年前にフランクリンから出ているニカワ接着剤がある事を知り、これなら誰がやっても同じ接着力になると思い、頼まれていないのに1度だけMartinに試してみたことがあります、記憶が曖昧ですが他にも一回リクエストがあった際に使ったかもしれません。
その際に感じたことは、「固まらない、すごく遅い」この理由から、その後リクエストもないし全く使う事はありませんでした。
そして今回、やはりすごく遅いので調べてみれば、消費期限は2年であることを知り、流石に古すぎでしたので、新しいフランクリンニカワを入手してやり直し。
新しく買ったって消費期限は後6ヵ月しかありません、もう一回ネックを取り外して、「さー付けるぞ!」と思いましたが、思いとどまり。
他で硬化具合を観察してからにしましたが、やはりだめでした。
むしろ昔の方がまだまし、すごく遅くても何とか固まりましたが、今回は気温次第で硬化が進んだり戻ったりしてしまうのでとても使えません。
でありますので、当方ではニカワの使用は今後一切ありません。
その際は、ニカワの取り扱いを熟知された方にご依頼ください。
ただ不思議なのは調べた際の評価では、とても良いとダメが半々位だったのはフランクリンであっても何かコツがあるのか無いのか、分かりません。
当方の基本接着剤は、フランクリンから出ている「タイトボンド」です。
ニカワのように修理が可能で、ニカワより接着力があり、ニカワのように劣化もしませんし、とても固く硬化しますので音響への影響も優れています。
よろしくお願いいたします。
ボディ破損 / Taylor 314 Left
ボディの割れを接着する際は、出来る限りずれないように接着したいのですが、割れが一筋(1本)だけであっても難しい作業であります。
こうなっちゃっていますと、かなり難しく全部きれいに揃える事はある程度諦めて、どこまで合わせられるか、どこを合わせたらどこが合わなくなるか、どの位ずれるのか、クランプは掛けながら接着出来るのかしら、そして接着本番の時には「あれ?仮止めの時はもっとうまく行ったのにー!」となる所まで考えておきます。
修理は昔から一人でやって来まして、それなりにやるしかありませんでしたが、気が付けばそこに山口の手X2があるでは無いですか!
一人でやろうとしますと手が二つしかありませんから、どうすれば上手くクランプ出来るか、順番はどっちからどうするか、何かジグ作らないとダメかしら?、等々…どうやってったら良いか分かんなくなる時があります。
一人じゃないってありがたい!
この時の見積もりは忘れましたが、塗装はしてありますが色合わせしてないところ見ますと出来るだけ面倒は省いて仕上げたのかな、と思います。
トップが無事だったのは、不幸中の幸い。
トップ板の事をサウンドボードと呼びます。
左弾きの方にとって左用のギターは貴重ですし、まして気に入った物となればなかなか見つかりません。
何につけ、左用の道具は貴重です。
左利きの人の中でも、道具は右利き用を難なく使いこなし、そして利き腕は左と言う方もいます。
そう言うバランスって、羨ましいです。
ネックリセット / Epiphone FT-120 Excellente 1960s
当時は兄貴分のGibsonを凌駕してしまうような高級仕様で話題になったというこのモデル。
ライバル社であったエピフォンをギブソンが買収した当時は、材やパーツなどはほとんど同じものが使われています。ここからは僕の想像ですが、、当時Gibsonに買収され、Gibson工場に泣く泣く赴任してきた元Epiphoneの職人たちが「Gibsonより良い物を作ってやるんだ!」という気持ちで作られたような雰囲気がこのギターには漂っています。60年代でハカランダの枯渇問題も出てきた頃、Epiphone出身者がGibsonを超える渾身のハカランダの高級機を出す、まさにエクセレントなプロダクトだったのではないでしょうか。ちなみにExcellenteのスペル、最後にeがつくのですが、調べたらフランス語になり、意味は同じで「素晴らしい」とのこと。なぜフランス語のスペルなのかは分かりませんが何か意味があるのかな。
今回も最後までありがとうございました。
フレット交換(ナット交換) / Gibson J-45
お客さんからのご要望は出来る限り答えられる様にやっておりますが、無理な場合は無理になります。
「ブログで見られるのは半年位後ですね。」…→「今書いているのは順番に、3年前位のをかなり薄まった記憶をたどりつつ書いています。」
昔は週1か週2のペースで、しかも山口の分もありませんでしたので、半年~1年前の記録が順番で巡って来ましたが、気が付けば3年分位記録が溜まっております。
「もっと頻繁に書けばいいのに。」と人は言うでしょう。
やってらんないのでございます。
なので、動画などやっている人は、尊敬いたします。
「えー!そうなんですかー」もっと早く見たい~とのご要望がありましたので、忘れないうちに上げます。
但しこのままにしておきますと、3年後に順番が来ると忘れてもう一度アップしていまいますから、このブログが上がりましたら掟により、この記録はDSカードから消します。
今回何故このような画像があるかと申しますと、ナットの溝って難しいんです。
と言いたい為。
弦に対して溝の幅、角度、そして意外と気にしない人が多いのが溝の形。
巷に溢れているギター用ナット溝専用ヤスリって、がんばっても溝は真ん丸にならないんです。
私がヘタなだけかもしれませんが、ツルっとした真ん丸にならないのです。
なので、途中まではナットファイルでやっても途中からは丸棒ヤスリで溝を作ります。
3弦用の丸棒ヤスリは細くて上手くやらないとすぐ折れてしまいます。
ヤスリも安く無いので悲しくなりますが、ツル丸ナット溝の為にはそれを使うしか無いのです。
フレット交換 / Cole Clark
スタッフの山口です。
今回はフレット交換です。
写真はネックジグと言って、アジャストロッドではうまいこと効かないような波打ちや大幅な修正が必要な場合、またノンアジャストロッドの場合はコイツに頼ることがあります。
コールクラークはオーストラリアのギターメーカー、メイトンから独立したクラークさんが2001年に創業したそうです。ネックの仕込み方が所謂スパニッシュ式(クラシックギター式)なのも面白いですね。今回のネックは波打ちがありましたが、このメーカーがネックが弱いとかそういうことではありません。たった一本のギターを見ただけで「あそこのギターはネックが弱い」と、そのメーカーのギター全てを見てきたかのように批判したり語る人がいますが、そういう人はどこか海外旅行に行って入ったレストランが美味しくなかったら「あそこの国の料理はまずい」と言っているようなものだと思います。木工製品である以上当たり外れというか、それぞれ個性があって、だからこそギターは面白いと思うのです。新しいギターは木が若く多少ネックなど動きやすいのはしょうがないと思いますが、弦の張力による変形は弦を緩めるだけで防止できますので、ビンテージにしても新品にしても弦は弾いていない時は緩めましょう。
今回も最後までありがとうございました。
ネック折れ修理 (塗装修正あり)/ Gibson Les Paul
倒れた時には、意外に簡単に折れてしまうネック。
ハードケースに入っていても倒した時は、心して開けないと衝撃に襲われることがある。
修理の方法は、次に倒れた時に簡単に折れてしまわない様に周囲まで頑丈に補強するか、折れた箇所を問題無いように接着するか、修理屋によって考えや、方法が違いますが、当方は後者。
撮影の技術があれば良いのですが、合わせて15年前から使っているコンパクトカメラ(Lumix…レンズがにゅーって出てくるやつ)で撮っております。
先程の続きですが、当方のネック折れ修理は後者の考え。
理由は、補強しなくても良い接着剤で修理するからです。
補強しなければ面倒が減ります、修理費が抑えられます。
補強して再度折れてしまった場合は、折れ方が面倒になる可能性があります。
補強しなければ、わざわざ元の材料を削り落として新しい木材を足さなくて良いので、ほぼ元の質量のまま変わらない。
ネック折れの修理前後で、すごく質量の差が大きくならない限り音が変わってしまう事はあまり無いと思いますが、気にされる方には、補強無しは良い方法。
我々修理屋は、接着には「タイトボンド」が定番です。
ニカワのように剥がすことが出来、ニカワよりも優秀な接着剤。
但し、ネック折れ修理には少し力不足、その為補強が必要になります。
どちらかのサイトの修理料金表では、接着のみの場合は強度が保証出来ないと注釈が付いていた気がします。
タイトボンドでも大丈夫な場合もあれば、将来接着箇所にヒビが入ってしまう事もあると言う事ですが、大丈夫のケースとダメのケース、その差は接着面積の差なのか、修理者の差なのか、オーナーの扱い方の差なのか、分かりません。
ネック折れ修理でタイトボンドを使う場合は、補強がある方が安心と言う事です。