2020年03月

弦の巻き方。


こんな週末ですから、久しぶりにこれを取り上げてみましょうか。

マーチン巻きって言うヤツだと思うのですが。

 


マーチン巻きって、ちゃんと巻けていれば見た目は良いのですが…

マーチン巻きって全く意味無い上にこんなに緩くては、無駄以外に何も無いのであります。


鉄弦以外の弦であれば、工夫した巻き方は意味があるかと思いますが、鉄弦では弦交換の時などに外れ辛く怪我の元になります。

 


巻き方に拘るのであれば、きれいに、どの位巻くかが大切。


低音側は太い分、自ずと巻き数が少なく(長さが短く)なります。


下へ巻きます。


弦が切れてしまうポイントは穴の縁なので、チューニングで音程が上がった際に穴が隠れるところまで巻いてやります。


当方は、毎回弦を緩めて1日の使用を終わらせる事を推奨していますので、少しでも切れ難くなる様に。

 


 

チューニングを繰り返すと、針金をグニグニやっている事に近いので、弱い弦(フォークギターは、1、3弦)は切れやすくなります。(エレキは1、4弦…プレーンの1番細い弦と巻き弦の1番細い弦)

どうしても頻繁に切れてしまう場合は、切れやすい1弦、3弦は、そのままチューニングしたまま、他の弦を緩くしてやれば大丈夫です。

弦を緩める、緩めない、1音下げる、1回転緩める等々、いろんな説がありますが、当方の場合は長年の経験上から、緩い分にはいくら緩くても良い。であります。

弦を緩めた場合には、逆ぞりする可能性はありますが、(大半が緩めた事がそもそもの原因では無いと思うが…)緩めなかった場合には、ネックの不具合、ネックが無事ならブリッジの不具合、ブリッジが無事ならトップの不具合、またはいいろいろ複合してと、必ずどこかに歪みが出ます。

フォークギターでは70㎏以上のチューニングの負荷をかけるわけですから、それが長期に掛かり続けてしまえば薄い箱のボディは、ゆっくりと歪んで行き、そのうちネックの適正な角度が維持できなくなります。

いちいち面倒くさいとお思いの方は、「めんどくさ~いっ!」って言いながら楽しみましょう。

 

 

ネックリセット他もろもろ / Gibson J-50 Deluxe

色々な修理が合わさった場合は分けて記事にすると良いのですが、今回は1回でまとめて見て頂きます。

トップの割れ、ブリッジのスリット直し、PU取り付け、ネックのリセット、リフレット、画像は無いのですが他に力木の剥がれもあったかと思います。

近頃は何とか手元にあるギターを直せないかと当方へお問い合わせ頂く事が多く、とてもうれしいです。

自分が気に入った物は何度でも直し直し使う性分ですので、こういう方の気持ちがわかります。

 

 

十三年位前に買った、すでに10年落ちしてた軽自動車を直し直し、まだ乗ってます。

安物を見くびる人が時折いますが、違うんです。

気に入って持っているのです。

このギブソンは安物ではありませんが、うんと安いギターの修理依頼の場合も同じ熱量で修理にかかります。

長く預かる事も多いので、そのうちに修理代が惜しくなっちゃう人もいるようで。

安いギターも確実に引き取りに来て頂くには、前金をもらった方が良いのかなと考えたりします。

連絡がつかなくなると、最初は具合悪いのかと思ったりしますが、そのうち憤りを感じてきます。

一所懸命にやってるだけに、悲しいやら悔しいやら、売り上げが立たないまま置いておくしかないんです。

処分したって修理代、回収出来ないんですから。

すいません、愚痴になってしまいました。

 

 

 


サドルの溝を直します。

トップの割れはすでに直っています。


ピックアップをセットしますので、溝の精度が悪いと出音に影響します。

 


出来る場合と出来ない場合がありますが、ピッチも直しますので、元の位置と違います。


サドルはあまり出てない方がカッコよいと個人的には思っていますので、高目でこの位かと思います。

ネックリセットしてもサドルの高さは狙い通りジャストには行きませんので、どっちに転んでも良い位になるように。


フィッシュマンのジャックは、ジャックキャップと面位置に出来るので良いです。

エンドブロックの厚さに合わせてしっかりとジャックを取り付けなくてはなりません。

ジャックの取り付けがいい加減なのもをよく見ますが、思わぬトラブルの原因ににもなります。


フィッシュマンのコードは長いので余裕をもって配線の取り回しが出来ますが、無駄に長く感じる場合もあります。

コードはちゃんと納めないと(出来ればきれいに)中でパタパタ鳴ってしまいます。

 

 


リセットしてリフレットする場合、指板修正をした後、新しいフレットを打ちますので、その結果の弦高を予測してヒールを削って角度を決めます。


測れる部分ではないので指板修正の際「ここは大幅に修正されるから、弦高はこれ位、こうなる…。」と予測するしかないんです。


ナットも第一フレットに合わせて作り直します。

指板の1フレット部分の調整量が多い場合は弦高はリフレット前より下がります。


12フレット部分の調整量が多い場合は弦高は上がります。

(画像は14フレット、ジョイント部分)

 

 

ネックの角度が付くと、ジョイント部から指板の先が下がりますので、下駄をはかせて、下がらない様に調整します。

70年代Gibsonも今となっては立派なオールドギターですな。

 

フレット交換 / Takamine PT-106

交換依頼です。

「フレット交換、リフレット(指板修正、ナット交換、他調整込み)」

ある程度フレットに高さがあるものは、すり合わせをして整える場合も勿論あります。

 

すり合わせの場合は、削れて減っている部分まで削ってすり合わせてフレットの形状を直しますので、フレットは全体的に元より低いフレットになります。

 

フレットが減り始まったら交換する人、すり合わせをして整え直す人、区々です。

どのくらい減ったら交換と言う標準はありません。

弾き手の好みにより決まります。

もしくは、納期や懐事情等。

 


「もう交換しないとダメですよね。」と時々諦めの声を聞きますが、標準は無いんです。


勿論限度はありますが、通常は低過ぎて弾き辛いものでも全く関係ない人もいます。


フレット交換だけでなく他の修理であっても同じです。


「ここと、こことここ、を修理が必要、と言われたのですが…」

と、ご相談も時折あります。

 

 


 

体の病気では無いのですから、そんなに深刻にならなくても大丈夫です。

自分で決めればよいのです。

弾く人が問題無ければ誰の言う事も聞かなくて大丈夫です。

体の事はお医者さんの言う事をちゃんと聞いてください。

私達はお医者さんでは無いですから。

 

高いギターは心配になりますが、弦がちゃんと緩んでいれば大丈夫。

継続して乾燥状態や過湿、高温状態、そして弦張りっぱ、に無ければ大丈夫です。

長くほっといておかしくなる場合は、これのどれかの状況下にあると言って過言ではないと思います。

 

 

ブリッジ剥がれ修理 / クラシックギター 


国産のクラシックギターですが、このような剥がれ方をする事がしばしばあります。

ブリッジ側、トップ側接着面を調整して貼り直します。


塗装がブリッジの外側まで剥がれれてしまっている部分は基本的にはそのままです。

きれいにするにはリフィニッシュするしかないでしょう。


全部塗り直さなくても、そこだけ色を付けて、そこそこ良くすれば良いと考えもありますが、良くなったか否かは主観によります。

 

塗り直しではなく、そこだけ細かく修正する場合は、修理者の達成感の割りに大したことが無い事が多いような気がします。

修理者自身も、直後は達成感に満ちているのに、翌日見るとゲンナリします。