2020年08月

ネック折れ修理(塗装修正無し)/ Gibson Hummingbird

塗装の修正は無しで仕上げます。

ロッドカバーは交換します。

手触りに違和感が無いように仕上げます。

黒い塗装が剥がれてしまっているところは、筆で黒くタッチアップ。

 


塗装修正しなくとも、修理した跡がかえってカッコよいと私は思うんです。


欠けている部分は、透明ですがちゃんと埋まっているので、手触りには違和感はありません。


ボディがメイプルのハミングバード。

 

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ EPIPHONE Pro-1

よーく聞く話ですが、「どこそこで見てもらったのですが、買い替えた方が良いですよ。」と言われました、と。

せめて見積もり位、出してくれてもいいのに。

直したくて持って行ってるんだから。

 

でも「修理しないで、買っちゃった方が安いですよ。」と言うお店の気持ちも分かる。

私の場合も値段関係なく、気に入った物は修理に出して使い続けますから、「そーじゃなくて、修理、しゅうり。」と言う気持ち。

どちらの気持ちも分かる。

ただ、修理を受ける側としては安いギターの場合、2年に1回位、修理完了のお知らせの後、連絡取れなくなっちゃう事があるので、怖いと言えば、怖いんですけど。

そうなると、一所懸命やった分、泣きたくなります。

 

 


割れ跡は目立たない様に、濃い目に着色。

(ペグ部の色の境は何かの影です)


塗装修正してもシースルー部分は着色せず、割れ跡を隠さない場合もあります。


お任せ頂ける場合とオーナーの意向によって色合いを決める場合があります。

 

ネック角度修正 / Jose Ramirez 1a


 

クラシックギターのネックジョイント(スペイン式)は、フォークギターのネックジョイント(ドイツ式)の様に抜けません。

アイロンかけちゃえ!っていう声も聞こえなく無いですが、アイロンでは不確かで根本的な修理とは言えません。

これの修理はどうすれば良いのか、クラシックギター専門で頼りになる人はクロサワ楽器の山口さん以外知り合いがおりませんので、もう何年前になるか覚えてませんが新大久保店に聞きに伺いました。

その昔は、お茶の水駅前店で私がアルバイト時代に山口さんには大変お世話になっておりました。

そしてこの仕事を始めてから、仕事が無かった時にギタープラネットの秋野さんを紹介してくれたのも山口さん、あ、でも秋野さん紹介してもらったのは2度お願いに行ってから、最初は「キミに預ける仕事なんか無いよ。」「フォークギターは、今井君や村山がやってるんだから。」…そらそうだ。

今井さんと村山さんだもん。

分かっちゃいたけど、また行きましたよ、こっちは仕事取らなきゃ干上がっちゃうんだから。

後にお礼をしに伺った際は、「あいつ(秋野さん)いいだろ!」とおっしゃった山口さん。

なんだかんだ言っても優しいお方。

 

 

前置きが長くなりましたが、

「指板の厚さで調節するしか無いんじゃないか。」

山口さんに教えてもらったのが、うちのやり方。

 


すっかり皆川ギター工房のやり方になりました。

 


リセット出来れば1番良いのですが、そうなるとボディもばらさなきゃならないので、よっぽどでない限り、現実的ではないでしょう。


色々調べてみるとヒール切っちゃったり、乱暴なやり方してるのも見ます。

 

以前預かった、古いB.Cリッチの限定生産のフォークギターのジョイントが分からず、ネットでたどり着いたのがアメリカの修理屋。

(フォークギターでもジョイント方式が区々な為、ダブテールジョイントとは決め打ちは出来ません。)

ダブテールジョイント(ドイツ式)で無い事が分かったのでそれだけで良かったのですが、「こーやってヒール切っちゃって、ボルトオンジョイントにしちゃうんだ!Good Luck! 」なんつって、教えてくれたので、フォークギターならいいかなとちょっと思いましたが、ジョイント切っちゃう勇気は無かった。

そのB.Cリッチも画像がありますので、そのうちブログにアップさせて頂きます。

 

 
 

画像でもわかるようにハイポジション側の指板がある程度厚くなっています。


厚くなりすぎる場合は、1フレット側を予め厚みを落して調整する事も必要になるかもしれません。


サドルはこれ位あれば十分。

将来下げられなくなってしまうのではないか。と、心配する人もおりますが、弦を張りっぱなしにしなければ大丈夫。


多少の湿度の気遣いと弦を緩めて管理すれば、大概の不具合は出ないと言って過言ではありません。

弦を緩めないから、こういう事になります。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Epiphone Super Nova

塗装修正無しプランで仕上げます。

塗装修正無しで、ちょっと助かった感と残念感があります。

 

15~6年前になるかと思いますが、全く同じ状況のこれを預かりまして、色がなかなか合わず最後まで合わず仕舞いだった記憶があります。

調色の技術がちゃんとあれば、どんな色でも部分修正で仕上げられるかもしれませんが、がんばっても馴染まない色があります。

色だけが難しい訳でなく部分修正でやる場合は、元の着色部分へ修正部分が乗っかた感じが無いように塗装しなければならないのですが、最近は自分の技術が向上した為なのか、老眼がひどい為か、細かい事は気にならなくなってきました。

後者か・・・。

 

 


日常の仕事の大半は忘れてしまいます。

ですが、忘れてしまっているようでも折に触れ思い出す仕事があります。


上手く行った仕事と言うのは、時間もかからず満足の行く仕上がりになるのですが、記憶に残らない物がほとんどです。

 


最近はさすがに試行錯誤も減っては来ていますが、この試行錯誤をやって来た分だけ、現在の糧になっていると気付きます。

 

塗装の事もそうですが、他の仕事も昔は断れ無かったんです。

仕事が無く、ビンボーでしたのでやった事の無い仕事でも「ありがて~」となります。

ただし、どうやって直すか分からないですから、いろんな人に電話で教えてもらったり、本を見て想像したり、それでも分からない時はやってみて想定と違ったりして、試行錯誤します。

試行錯誤しますと、時間かかって面倒くさいですが、面白がれればその分、妥協点が上がって、糧も増えるんです。

 

今でもお断りする事は多少怖いんですが、すごくお待たせしてしまってる修理もありますし、断る事も大事かなと今は思えます。

これからは、出来るだけお断りしていきたいと思います。←「そんな事言ってるとまた仕事なくなるぞ。(天の声)」

 


今回は塗装修正無しなので、過去の自分自身との比較は出来ませんでした。


でしたが、15年位前の記憶が蘇りましたので、昔より上手く行く可能性はあった、と都合好く考えて終わりにします。


 

 

 

トップ割れ / Gibson Country Westem

割れがある場合、力木も剥がれていますので、必ず確認して接着します。

割れがしっかり接着出来ればクリートは必要無いのですが、より強度が欲しい場合は、気休め程度と分かっていても裏に貼り付けます。

 

 


 

ビフォアフターはいつもと同じですが、今回は最小限バージョンで。

こんな感じでやってみると分かり易くて、とても楽なので、時々はこんな感じも試しながら続けて行ければよいと思います。

最初の頃はこんな感じだったと思いますが、だんだん色いろ書くようになり、画像も多くなってきて、毎回毎回書ける新しい事も無いのですが、基本は毎回今、書いている物を見て当工房を知ってもらえる最初のページと思って書いています。

にも拘わらず、毎回見て頂いている方々の為にも出来るだけ、思い出した事柄や考えている事や、ちょっとした知識等、書き加えていければ良いのですが、そう都合よく書ける事も無いので、あった時は「当たり!」と思って、なんか良い事がありそうだと思って頂ければ幸いです。