2019年06月

力木ハガレ修理 / Gibson Hummingbird

こちらのギターはネックリセット、ピックガードの貼り直し、力木ハガレ、といろいろありまして1回でアップしてしまうとゴチャゴチャしちゃいますので、修理を分けて紹介します。


バックの力木ハガレを接着しています。

他の力木修理の画像でも確認出来ると思いますが、ボディ内のホコリは出来る限り掃除してから作業に入ります。

接着剤にホコリ等が混ざってしまうと接着材の性能が下がってしまったり、小さなゴミであっても隙間に噛んでしまえば密着しなくなります。

接着の際のジャッキは通常、端に掛けますが、一カ所の力木ハガレには1カ所しかジャッキを掛けられない為、大きなハガレの場合は、1番効率の良い場所を探します。

2本掛けてしまうと、最初に掛けたジャッキの圧力が下がってしまう為、2本掛ける意味が無くなってしまいます。


(ボディをクランプで挟んでバック側の力木を押しています。)

2カ所から圧力を掛けるには外側から位置を変えて圧力を掛けます。

これにより内側のジャッキの圧も更に上がりますので、その分も考慮しなければなりません。

接着の際、クランプ類は沢山使って、もしくはクランプの力でもって接着させようとするのは間違いとは言い切れませんが、その前の準備とバランスが1番大切と言えます。

 


修理は物を直す作業ですが、クランプ等はある程度、力が掛りますのでラッカー塗装等では表面に跡が付いてしまったり、安いギターのネック材等では凹んでしまったり、本来の修理以外にダメージを与えてしまいかねません。

いつも同じような修理ですが、同じ作業にならない事も多いのです。

準備や確認に落ち度が無いようにしなければ上手く行かない事になります。

と自分に言い聞かせています。

 

このギターの他の修理は順次、更新します。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正なし) / Greco LPtype


こちらは過去にも同じような折れ方をして修理してあります。


折れた所には、全く接着剤は付いておりません。

当方と同じ修理方法です。

接着が弱ければ、付けた所が再度折れますので、接着剤が付いています。


木ネジが打ってあります。

当方ではネック折れ修理でネジを打つことはありません。

接着の際の滑り防止か補強のつもりかどちらかなのだと思います。


ネジ頭の目隠しがうっすら丸く浮いてきています。

ネジは簡単に抜けず、ねじらないと合わさりませんのでネジの先端を削っただけで、このまま接着します。

 

 

過去のブログ等でも触れていますが、このように再度アクシデントがあった時には、修理し易く、し易い所で折れてくれるのが良いのです。

ほとんど同じ所が折れていると思いますが、接着面(過去の修理部分)は修理していない所より強い為、強度の差が大きい部分が折れます。

 

 


接着後、整形の際にはげてしまった所は基本的には、そのままですが場合により正面のみ簡単修正。

 


こういう古めかしいギターはきれいに仕上げる必要は無いと思いますが、リクエストがあった場合は・・・。


はげてしまっている部分の色むらを合わせて。(もしくは、一旦全部剥いできれいに塗装してから)


改めて、手が当たる部分を擦ってはげさせて、ナイフでクラックを入れて、更にコールドスプレーも使ってプシュー!っと。


 

こう言った、エイジド加工は正直、やった事が無いので自分のギターで練習してみようと思っていますが、忙しいを言い訳に時間を掛けてやってみた事がありません。

クラッキングは入れてしまえば、それなりに見えると思いますが、それでも上手い下手はあると思いますので、じっくり練習してみたいです。

 

塗装修正までやって仕上げる場合は、古い物はそれなりに、雰囲気が新しい物にならないように修理していますが、この歳になっても修行は、まだまだ続きます。

 

 

ブリッジ剥がれ修理 / MATSUOKA Guitar

ブリッジ剥がれは、スーパーグルーで接着してある場合は、剥がれ始まって間もなく一気に剥がれてしまう事も少なくありません。

 

更にクラシックギターのブリッジはフォークギターの一般的なブリッジのように穴を空けてボディの中から弦が留まっているのでは無く、ブリッジの後ろ側から剥がす方向へ全て張力が掛っている為、このような剥がれ方が多いのかと思います。

 

 


 

但し、ブリッジが剥がれてしまうことがダメな事かと言えば、そうでは無いのです。

これは当方のネック折れ修理の考えと共通する部分です。

ブリッジが剥がれてしまうほど、継続して張力が掛り続けてブリッジが剥がれずにいた場合は、張力でトップが歪みます。

ブリッジが剥がれず、トップが歪まず済んだ場合、ネックが反り、さらにはネックの角度も狂ってしまいます。

もしくは、トップが歪んでネックも狂います。

どの修理がお得かと言えば、歪まず、反らず、狂わず、板も割れたりせずに、こんな風に剥がれてくれた方がマシなのです。

 

当方のネック折れの修理の場合は、折れた所を「次、なんかあった時は、ぜってー折れねーよーにしてやらぁー!」と修理してしまうと、次何かあった時は、その周辺は折れなくとも余計面倒な所が折れたり、余計に面倒な折れ方になったりします。

ですので、通常通り扱える強度があればそれ以上の強度は反って邪魔になる事があるのです。

 

 

 


弦を張りっぱなしにする事で、ネックの事ばかり気になる人が大多数ですが、ネックだけの話では無いのです。


ギターや弦楽器を管理するうえで、弦はゆるめ過ぎと言う事はありませんので、一日の演奏が終わったら、弦を緩くして管理して下さい。


弦は緩めるか否かで、色んな事が言われますが、ネックの逆反りだけ心配しても仕方無いので確実に緩める事をお勧めします。

 

「1音だけ下げる」や「ペグを1周り戻す」等ある程度テンションを掛けておく方が良いと言う話も聞きますが、確かに個体によっては丁度良い事もあるかもしれません。

しかし、それには当てはまらず、それではまだ緩んだ事になってない状態の場合もあります。

しっかり緩めておけば、不具合の予防になります。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson ES-345


 

ネック折れ修理(塗装修正無し)でございます。

もう毎回毎回大体似たような事なので、書くことが無いのでございます。

 

このブログを毎回楽しみにしていてくれている方々もいらっしゃいますので、なんとか期待に沿いたいのですが、もう随分前からマンネリ化はしていますので、飽きて来ている事と思います。

ネック折れの場合は、ビフォーアンドアフターの画像だけでもそれぞれ違いますので、それだけでいいんですが、なんとか書いてみようと思います。

当方のネック折れ修理は基本的に補強はしない方針の修理なのですが、(初めての方は過去記事にその理由がいくつかの記事に書いてあると思いますので、読んで頂ければ幸いです。)そうは言っても他人の事も気になるのが人情でありまして、文明の利器を駆使して他人の仕事っぷりを見たりしています。

見せたがる人が世界中にホントに多くて、色々勉強になります。

 

 

私も絶対に補強をしなと断言はしてませんし、場合により必要だと思っていますので、「この修理は、いいですな~。」と感心することも勿論あります。

反対に「そら、強度が足りんのじゃないか。」や「気持ちは分かるが、無駄な事やってるな~。」等と一人で楽しんだり、勉強したりしております。

 

 

この「一人で」と言うところが大事で、修理屋はそれぞれ流儀や考えが違いますから、正解不正解ありませんので、こういった所で詳しく取り上げて、そこここがどうのこうの、とやってはいけません。

そのような事を書いている記事があれば、きっと素人さんのサイトでしょう。

実際には、他者の仕事にどーのこーのやってるサイトは、ほとんど見た事はありませんので、他のみなさんも弁えていらっしゃるのだと思います。

それか、自分以外に興味が無い、頑固一徹。玄人職人のイメージの人。

 

 


私も玄人の端くれではありますが、ここまで30年位。


特にインターネットが使えるようになってからは他人の仕事が沢山見られるので、「うまいな~。」「これよりは、上手くなりたいな~。」や、


値段で競うつもりは全くありませんが「安いな~。」と感心したり、「高いけど、良さがわかる。」と想像したりします。


私の場合、他人に興味があると言うより、自信が無いので昔からずっと癖で”見せたがり屋さん”のサイトを見つけては、「この人、こーやってるのか~。」と参考にしてます。

適当な翻訳で事は伝わるので、直でメールして聞いちゃう場合もあるんです。

 

他工房との違い(補強の要らない理由など)は、当ホームページ内や対面で質問等があれば説明しております。

 

フレット交換(リフレット) / Gibson ES-355


 

新しいフレットが打ち終わって、周りをかたづけて、余ったフレットを切り取る前の画像です。

新しいフレットを打つ前にほとんどの場合、フィンガーボードは調整(修正)されます。

 

フレットを打つにも、フィンガーボードを修正するにも他の作業にも、いろいろな道具があり昔より便利になりましたが、道具によっては頼りすぎると返って上手く行かなかったり、失敗してしまうことになります。

専門工具は、基本的に作業を楽にきれいに、誰がやっても上手く行くがテーマですから動画などでは当然、早くて上手く(注意点等説明しながら)作業を見せてくれてますので、私が若い頃でしたら力加減も分からずにいろいろ失敗したんだろうと想像してしまいます。

始めたばかりの30年近く前は、現在ほど便利工具も豊富では無かったので、私に取っては返って良かったのかと思ったりします。

そして現在までずっと継続で新しい道具を見ては「これ使えそう!」や「良さそうだけど、いちいち邪魔くさいな~。」等と思ったり、「これ使えそう!」買った後→「これホントに使ってる人おるんかな。」と、なったりましす。(昔は感動する工具もありましたが、もうしばらく無いですな。)

 

 

便利工具があっても、間違えて作業してはいけないのです。

アジャストロッドの状態は、ネックの角度は、指板やバインディングの状態は、等に合わせた塩梅の手加減があり、もしくは出来るか否かの判断も当然必要。

やっちゃった後で、「弦高が後0.1~0.2mm下がればベストなんだけど・・・」「後ほんのちょっとロッドを締めたいんだけど・・・」等満足出来ない事や、場合によっては「弾きやすくねーじゃねーか。」ともなりかねません。

 

 


バインディングが真っ直ぐになるまで削ってしまってはいけません。


フレットエッジを削る為の工具もありますが、アレでは斜めに削り過ぎてしまい、カッコよく仕上がりません。


ナット専用ファイルは色んな物がありますが、溝の底の形が悪くて私は使いません。


自分に合った工具を見つける旅は続きます。