2024年02月

ブリッジ貼り直し / Gibson J-45 1968


スタッフの山口です。

今回はブリッジが剥がれた状態で当工房にやってきた真っ赤なコイツです。


見てわかる通りラッカー塗装の上からニカワかタイトボンドでくっつけてありました。師匠の皆川氏に聞いたところ「たまにあるよー」とのことでした。

 


木対木の方が接着力が増しますので接着面の塗膜だけを慎重に剥がしていきます。

オーナーがアジャスタブルサドルを外した時に赤くないとガッカリする人もいるのでサドル部はマスキングします。


慎重にやらないととんでもないことになります。特にオールドギターの塗装の色合い、質感を一部だけ修正して完璧に戻すのは現実的ではありません。


無理な力をかけずに接地面がピタリとなるように調整します。力ずくは厳禁です。


男前に戻りました♪いい感じ。


好き嫌いが分かれますが、僕はハカランダサドル好きです。


ラウンドショルダーにチェリーレッド、ホワイト厚型ピックガード。カッコいいともカワイイとも言えるルックス。1960年代はミニスカートが流行ったハイカラ?時代、ギター業界にも影響を与えたのでしょうか。


正面に向いてくれました。

思わずドキッとしてしまうルックスのpナイスギターです。

今回もご覧いただきありがとうございました。

 

 

ボディ剥がれ / Ovation 1990

Martinはよくバインディングが剥がれますが、Ovationの場合はこのようにボディとトップが剥がれます。

ネックリセットも並行して進めます。

 

修理する箇所によりますが、この場合は邪魔になりますのでパーツ類は外して作業します。

丸いマイナスのネジ頭のようなものは、1/4ターンファスナーと言う呼び名の電池ボックスホルダー、1/4回転した所でオスメスが嚙み合って電池ボックスが固定されます。

その右上にちょこっと見えているのはプリアンプのパネルとVoノブ、これも当然外します。

 

 

接着後は多少修正も加えて自然な感じで出来れば完了です。

ネックリセットが出来ましたら、フレットのすり合わせ等、調整します。

 

 


 

このモデルは 1990年のコレクターズシリーズ Ovation 1990 で、オベイションが一番ノリノリだった時代。

16フレットジョイントで、24フレットあるデザインは1988のコレクターズシリーズから89、90と3モデル続きました。

丁度バンドブームの時代でエレキみたいにアコギを弾く人も沢山増えた時代っだった気がします。

スプルースやシダー以外の奇をてらったトップ材を用いたモデルとしては最初のモデルで、スーパーシャロウ199S-7、ディープボウルカッタウェイ1990-7の2タイプ。

杢目を強調した見た目ですから、みなさん良い杢目の物が欲しいんですけど、バーズアイがちょぼっとしか入ってないのもあって不公平感があるなと思う日々でした。

バッテリーボックスがまだ1/4ターンファスナーで留まっていた頃のOvation は自分の若かったころの思い出等と相まってとても好きな時代のOvation でございます。

 

 

ネックリセット /Gibson L-00


スタッフの山口です。

今日も古い古いナイスギターをバラします。ネックリセットは皆川工房のお家芸と言っても過言ではありません。


ナイスなヘッドストック。

輪ゴムはオリジナルブッシュがカンタンに外れてしまうので行方不明にならないように。


15フレットを抜いてダブテイルジョイントスポットに通ずる穴をドリルであけます。その後指板を温めてナイフを入れ、トップから離します。


専用ジグを装着しヒートスティックで時間をかけて温めていきます。


サクッとネックが抜けたように見えるかもしれませんが、細心の注意を払いながら、慎重に時間をかけて外します。

Martinはネックを外すことを前提に仕込んでるのか単に木工精度が甘いのかわかりませんが、Gibsonの方がボディとネックの接着は強い傾向があります。


このロッドエンドもこの頃の特徴。

あまり本やネットにも載っていない情報かもしれません。Gibsonの歴史は仕様変更の連続なのである意味そこにも魅力があると言えます。


工程をすっ飛ばしてネックリセット完了です。途中を撮り忘れるのも当工房のお家芸。ご容赦ください。


エボニーナット、このギターに似合いますね。

リフレットの際も象牙や当時の良質なエボニー材などは交換せずに底上げして残すことが多いです。それ以外は基本新しく牛骨で作ります。

 


指板RがきついのでGibsonのロングサドルの出方は独特です。これぞオールドギブソン!みたいな感じもします。

個人的にはやはりアッパーベリーブリッジが好きです。


 

一目で分かるヴィンテージギターの風格です。このくらいの小ぶりなギターを自宅用にずっと探しておりますが、何せ良いギターにたくさん出会える恵まれた環境におりますゆえ、目移りして迷っているうちにどんどん相場が上がって手が出なくなってしまいました( T_T)\(^-^ )

そんなナイスギターを数多くネックリセットしてきた当工房ですが、皆川氏も僕もカウントしておりませんので一体今まで何本やって来たのかわかりません。しかしながら全国的にネット検索しても、うちほどネックリセットの記事をあげている工房は見当たりません。

「ネックリセット本数日本一!」の看板を自ら掲げなくとも、お客様がブログを見て「ここは日本一やってそうだな」と思って安心して預けていただければ幸いだと思っております。

「数をこなすよりも大事なことがあるぞ」、とどこかから聞こえてきそうなので今日はこの辺で失礼します。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

 

ボディサイド割れ修理 / Gibson J-45

ボディサイドの割れです。

とても長い範囲で割れています。

上の画像でも分かりますが、割れはずれて段がついています。

割れ修理の際には、このズレを出来る限り無くして接着したいのです。

トップの割れを接着する場合は、平らなもので挟んでクランプしてやればほぼズレは無く接着が出来ますし、然程力が必要無ければ強力磁石で挟む事も出来るのですが、このようにサイドやバックの場合はそれが出来ない事が多いです。

接着するには割れ部分に接着剤が行き届かなくてはなりませんが、「接着剤を付けてから、割れ部分のずれが無いようにちゃんとそろえて、クランプ、あ、ちょっとずれたから直さなきゃ…」何てことやっている暇はないのです。

一発でズレ無くクランプ出来れば問題無いのですが、そんなことは出来ないので、ズレていない状態を作ってから接着します。

「ピタッとしていたら接着剤が入らないではないか。」とお思いの貴兄、スーパーグルーを使うのです。

所謂、瞬間接着剤の類です。

コツはありますが、これの粘度の低いものなら毛細管現象の原理で接着出来ます。

Gibsonのラッカー塗装はスーパーグルーの付いた跡が研いても消えずに残ってしまう場合がある為、ボディの内側から接着剤を入れられればそうします。

 

しっかり接着剤が入れば補強はいらないのですが、一応格好つけたいなら補強を付けます。

割れがすごく長いのでカッコつけも沢山必要です。

私の場合はサウンドホールから手を入れてノールック作業。

 

 

画像だと直ってない様に見えてしまいます。

撮り方変えてみる。

割れの筋が目立たないようにするには塗装を木地まで剥がして塗り直しますが、今回はそれは無しです。

 

 

 

 

楽器が新しければ新しいほどキズや修理の跡が悲しいですが、ずっと使い続けて行くうちにキズも増え、修理も必要になる事が出てきます。

キズや修理跡も使い続けた歴史の一部と思えば更に愛着も湧いて来るのではないでしょうか。