2023年04月

Gibson 拡張されたロッド調整部の掘り込み修正


スタッフの山口です。

今回は珍しい修理を。写真を見るとロッドを調整する彫り込みが大きく広がっているのが分かりますでしょうか。ヘッド裏まで貫通しかけているために白いパテで応急処置が施してあります。今回はこの拡張された掘り込みを本来の大きさに戻すミッションです。


0.5mm厚のマホガニーの薄板を掘り込みのアールに合わせ、それを重ねて接着していきます。木工の修理で同じ素材の薄板をミルフィーユ状に重ねていく方法は度々用いられます。


ちなみにロッド頭に付いてるのは接着剤が付かないようにただ適当なキャップを被せているだけです。


今回は掘り込まれた体積が前後で均等ではないので、まずは根元部分に5枚、、


その後に先端側に4枚重ねて足しました。ロッドカバーも大きめの別のものに付け替えられていた為ビス穴もなんか変なところにあいてますね。


ミルフィーユをヤスリで削り落としそれっぽくタッチアップするとこんな感じになります。


近くでよーく見ると継ぎ足し部の境目が分かります、、がどうせロッドカバーで隠れるのでわざわざリフィニッシュせず筆のタッチアップとラッカーを盛って磨くだけでOK。そしてビス穴も本来の位置に戻しました。

ナットも戻して問題なく調整できるか確認。見た目も違和感なく我ながら上出来です♪

本来の大きさのロッドカバーをつけて完成。

普段は見えない部分ですがネックの強度にも関係してきますので必要な修理と言えます。ただ修理し終えてから思ったのですが、、なぜ掘り込みは拡大されたのでしょうか、、。ロッドを締め切っても奥に掘り込むのなら分かるのですが、、。うーん、謎。

こんな「どうしてこうなった!?」みたいなギター、たまにありますね。

なんとこんなナイスギターの修理でした。そして次回はこのギターのブリッジ作製と毎度お馴染みのネックリセットをお届けします( ´∀`)

今回もご覧いただきありがとうございました。

 

バインディングはがれ修理 / Martin D-28


 

当方へお問い合わせを頂く際は、ホームページのメールホームからかお電話にていただきます。

お電話で問い合わせいただき、「バインディングが剥がれてしまった。」と聞いた瞬間に頭にはマーチンの画以外浮かんできません。

もちろん、他のブランドもバインディングが剥がれる事はあるのですが、割合が雲泥の差でございます。

セルバインディングは縮むので縮んでも剥がれない様に接着してくれれば良いのですが…

他のメーカーは出来ているのですから。ねぇ。

しかし今回のこれ、これ位行くと気持ちが良いくらいな剥がれっぷりです。

 

 

上へ剥がせれば理想なのですが、ネックを取らなければバインディングを外す事が出来ない為、下側で切り離します。

バック側はヒール下で接合部の作業が出来るのでそこで離します。

 


バインディング剥がれはこのくびれ部分から剥がれます。


大体いつもの修理はこの写っている画像から前後+10㎝位ですが…


ヒール下で足しますが、これだけ縮んでいたという事。


 


最初からあれだけ剥がれていますと意図的に塗装を切り離さす部分が少ないので全体的にきれいにできます。


一番外側の白いバインディングの内側のトリム(黒白黒白黒)は多少でも剥がれていればバインディングと縮み幅が違うので全部ばらしてやらなければなりません。


バインディング同様にトリムも隙間に足します。

 

 

バインディング剥がれは、ちょっとくらいでしたら気にしない人ならほっといても問題無いですが、ボタンなんか引っ掛けてバリバリっと行っちゃうと悲しくなりますので、お気を付けください。

やはりちょっとでも気持ちが悪いし、と言う方は修理屋さんにご依頼ください。

素人さんがやった修理は大概見た目が汚くなって無残になっています。

地味な修理ですがなかなかの難しさでございます。

 

ネックリセット/ Martin C-1


スタッフの山口です。

今回もネックリセットです。得意先のショップさんからご依頼いただく修理の45%くらい(体感です)がこのネックリセット修理、ということで基本的にショップ担当の僕のブログの回はネックリセットが多いのです。どうかご容赦ください。

珍しく修理に取り掛かる前に弦高を測りました。6弦12フレットで4mmありますね。これではリンゴを握り潰せる握力の持ち主でも弾いていて疲れてしまいます。


いつも通り指板とトップ板の間にナイフを入れて引き離しますがそのために温めているところ。温めるためにLEDではなく消費電力の大きい100Wのハロゲン電球ですので昨今の電気代の値上げの影響をモロに食らっております。


ダブテイルジョイントも温めて分離します。100年近く前のギターですが今まで何回この姿になったのでしょうか。0回かもしれないし3回かもしれません。

とりあえず恒例の記念撮影。


ジョイント部分に古いシムが貼り付いているので最低一回はネックリセットしている可能性が高いです。たぶん。


修正角度に比例して指板を足してあげます。そうしないとヘッド側から見た時にハイフレット(14フレット以降)がお辞儀してしまいます。


クランプで固定している画像。タイトボンドやニカワは最低一日以上圧着固定が鉄則です。


ギターがリフレッシュして喜んでいるような笑っているような顔に見えますね。

さあ、接着です。


ネックをつける前に何度も仕込み角度の加減を確認します。


左右のズレがないかも大切です。


ヒールを横から見てボディと隙間ができていないかも要注意ですね。


無事にネックがついたらフレットのすり合わせと調整、最後にクリーニングして完了です。


日本にアコギのネックリセットまで請け負っている工房はインターネットで検索しても数えられるくらいしかありません。そんな中でも当工房オーナーの皆川は今まで何百本とネックリセットをしてきた謂わば「プロのネックリセッター」。

そんな師匠から教わったネックリセットのノウハウはとても貴重で、自分は大変恵まれた環境にいるのだ、と思います。

感謝🙏

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Epiphone FT-79 Texan


 


 

ネック折れ修理の塗装修正のビフォーアフターと言う感じですが、過去にどこかでやったネック折れ修理を当方にて修理し直した修理です。

ネック折れ修理修理。

画像が無かったですが、この場合は一旦折れるところは折ります。

接着してるところが開きますので、付いている接着剤は取り除いて再接着します。

タイトボンドで接着のみでは強度は足りませんので、開いてしまいます。

補強をしないのであればそれ相応の強度の接着剤を使用しなければなりません。

 


 


 

シースルーは塗りつぶさない限り割れの跡は見えますので、多少でも目立たない様に少し濃い目に着色します。

 

 

通常は、キズ直しはお断りしていますが今回はついでと言う事で数か所ネックの打こん修正もやっております。

ぶつけた時はショックですが、ただのキズであればなにも問題ありませんし、そのうち気にならなくなってきます。

キズもそのギターの歴史の一部として愛でて頂ければ幸いでございます。

塗り直しもお断りしております。

友達のを借りてぶつけてしまったとか、塗装がべた付いて気持ちが悪いや何か演奏上不具合がある場合等はご相談ください。

 

アジャスタブルサドル戻し Gibson J-45 BLK(1969)


スタッフの山口です。

60年代Gibsonといえばアジャスタブルサドルですが、ノーマルサドルに変更されていることがよくあります。ピックアップを仕込むため、単純に音の好みなど理由は様々です。今回はショップの依頼ですので「ノーマルサドルからアジャスタブルサドルに戻した方が早く売れるから」という理由でしょうか。


初めにブリッジを剥がす必要がありますが、その前にこの厚型ピックガードを剥がします。これがあるとブリッジを剥がすのに大変邪魔になります。

この厚型ピックガードはいつも修理の邪魔をしてくるのです。


そしていつもこのベタベタ取りに苦労するのです。


ピックガードを退けたおかげでいい角度でナイフを入れられました。裏側から見ると本来のアジャスタブルサドルの溝が埋められているのが分かりやすいですね。


埋木が甘かったので10分ほどで本来の姿に戻りました。それに比べてピックガードのベタベタ取りは1時間近くかかりました、、、。修理箇所の近くのパーツで苦労するのは修理あるあるかもしれません。


アジャスタブルサドルがちゃんと収まるのを確認し、接着面をキレイ且つ少し荒らしてブリッジを接着します。


いつかまた誰かが苦労するであろうベタベタになるであろう両面テープでピックガードを戻します。両面テープは一発勝負。位置がズレないように空気が入らないように慎重に貼り付けます。


アッパーベリーブリッジの方がGibsonらしいですが、このベリーブリッジのアジャスタブルサドルタイプは過渡期の1968年後半〜1969年のわずか1年〜2年弱しかありませんのでこちらの方が希少性が高いとも言えます。


1960年〜1970年のGibsonは過渡期。それこそがオールドGibsonの魅力でもある、と言う人も多いのではないでしょうか。

 


 

当時はきっと色々な事情があって都度仕様変更がされていったのだと思います。単純に構造的改善を求めた結果だったり、経済的な事情であったり。きっと今現在も進化し続けているのだと思いますが、結局売れ筋は60年代までのリイシューモデルばかりで「古き良きGibson」なんて言われたりするのはメーカーとしては心苦しい部分もあるかもしれません。

ちなみに師匠の皆川とよくリイシューモデルがほとんど無い70年代のGibsonは過小評価され過ぎているという話をします。ネットで調べると酷い言われ方をされている記事や知恵袋が散見されますが、それらに囚われずに一度心をフラットにして弾いてみればとても良いギターだったりします。

自分が弾きやすくて音が好きで弾いていて楽しいのであれば、たとえそれが10,000円のギターであってもベストギター、「運命の相手」なのだと思います。なるべく情報やウンチクやアレコレなどに囚われずにギターと向き合っていきたいですね。

でも確かに古いギターは「おおー!」となるものが多いのも事実です。それはきっと木製楽器の宿命かもしれません。

ベリーブリッジとアッパーベリーブリッジのことを考えていたら話が全然違う方向に行ってしまいましたが、、今回も最後までありがとうございました。