2018年09月

力木はがれ / Martin D-28s


以前に紹介したいろいろ修理したD-28sのその他の修理の力木はがれの画像が出てきました。

このような感じで圧着します。


ボディの中は掃除機で掃除した後、エアコンプレッサーでサウンドホールからホコリを徹底的に掃除してから接着作業に入ります。

接着部にホコリが混ざりこんで、接着不良を起こさない為ですので、掃除前はボディ内、力木等はいじってはいけません。


ボディ内のジャッキは基本力木の端に掛けますので、ジャッキの掛からない部分は外からクランプします。

両方掛けることで圧着力のバランスが取れます。

中に2本掛けてしまうと、片方が緩くなり、緩い方を締めると逆が緩くなり、余計な力を掛け過ぎてしまいます。

 


 

力木は少しはがれている分には、異音等出なければ然程気にする事もないと思いますが、これ位はがれていますと音や強度にも影響が出てきます。

バックの力木は、トップ板(サウンドボード)を効率よく鳴らせる為、ボディを締める役割があります。

オーディオのスピーカーで考えれば分かり易く、箱が鳴っても意味が無く、スピーカーの正面から前へ音が飛んで行かなければ良いスピーカーとは言えません。

力木がはがれているとボディは自由なので、ボディも振動して弾いている人は割りと気持ちよく感じる人もいますが、どちらかと言えば、周りだけで鳴っている、締りの無い音と言えるでしょう。

近年では、トップの力木同様にバックの力木も弾いている人がより気持ちよくなれる工夫された力木のパターンが考案されたりしています。

ボディのサイズだけではなく、ニーズに応えるいろんなデザインがあるギターは面白い。

 

画像の整理が大変すぎて撮らなかったり、撮っておけばよかったものを撮り忘れたりと、アップする頻度に差が出ています。

依頼の多いものは必然的に多くなります。

力木はメインの修理以外だったりすることが多いので、撮らなっかったり忘れたり、久々の力木画像でした。

 

ピックガード交換 / Gibson Songwriter DX Custom

ふにゃふにゃで反り上がったGibson のピックガードを交換します。

絵の入っていないものなので、作り変えます。

なるべく近い雰囲気で赤めのセルロイドガード。

奥にあるのが付いていたもので、手前が作り直したもの。

 

数年前のギブソンの、ふにゃふにゃガード。

最初に見たのが、Hummingbird のピックガードでしたが、その素材もさることながら、柄も偽物にしか見えずコピーギターが堂々と置いてあると思ってしまった。

がっかりしたり、笑ったりしましたが、メーカーもいろいろと事情があって大変なんだろうと思います。

あと思い出すのは、Ovation のエポーレットが平面になっちゃって、あれからまだ平らのままなのでしょうか。

あれもはがれたり面倒な事もありますが、オリジナルの雰囲気がかっこよく見えます。

レスポール等は今となっては、時代時代のモデルも味わいが出てそれもありですが、オリジナルを知っている世代の人にはやはり魅力に欠けるデザインだったと当時のみなさんの会話など記憶しています。

気にする人が古い人で、気にならないのが若い人、というところでしょうか。

 

 


きれいにして貼り直す事も可能だと思いますが、また剥がれてもイヤと言うわけで、作り直しました。


見た目は然程差は無く見えますが、


心配がなくなり、オーナーにとっては大変身。


色もなかなか良いじゃないですか。

 

ブリッヂ ディテール / Martin


ブリッヂの交換されたMartin

見慣れない人にとっては、気にもならないかもしれません。


見慣れた人にとっては非常にカッチョ悪く見えるのが、ちょっとしたディテール。

大きさは勿論。


丸みがある部分、角がある部分、そしてその度合い。

作り直しても良いとの事でしたが、厚みも十分にあり、材もよかったので、これを直します。


一旦剥がして、形を直します。

形が直ったら貼り直します。

 

ブリッヂ側、ボディ側の接着面は平らに、密着するように調整して貼り直します。

調整が不十分な場合、密着せず隙間が出来てしまいますが、ばか力でクランプを掛けてもムダです。

バランスよく、適度な力でクランプは掛けます。

 


年代的にロングサドルでしたので、先に埋めておけばよかったのですが・・・


この溝を一旦埋めてから溝を切り直します。


サドルを作って出来上がりです。


良い黒檀です。

 

 


 

ブリッヂを作る機会が、この黒檀(エボニー)を使う事が多く、インディアンローズと比べると価格も高く、「ローズももっと使えると良いんだけどな。」等と思っていましたが、今となってはローズ類は輸入出来ない材料になってしまいました。

ワシントン条約

今はまだ、材料の残りがありますが、今後の事は考えないといけません。

 

 

フレット交換(リフレット) / Gibson J-45


フレットが低く、更に大分減っています。


古いギターですので、何度と無くリフレットされ、またフレットの交換時期が来たと言うところ。


指板修正の際には、インレイも一緒に削られますので、浅く埋まっていれば薄くなります。


ブラジリアンローズ(ハカランダ)は割れ易いので乾燥のし過ぎには注意。

フレットを抜いた際に、クラックは修正します。


フレットの高さは好みが分かれる所ですが、個人的にはこれ位が弾き易く感じます。


次回のリフレットは、弾かれ方によります。

来年なのか、それとも現在勉強中の若いリペアマンが10年後にリフレットするのか。


今後何十年も確実に残っているギターですので、携わる私達の責任は大きいです。


クラック修正は表面に留まらず、奥までしっかり接着することが大事。

古いギターのフィンガーボードは、大幅に修正する事はほとんどありませんが、新しいフレット打つ前には軽く調整します。

そして軽くオイルで潤いを与えれば、質感もとても良くなります。

勘違いしてはけないのは、オイルをたっぷり塗ってしまったり、頻繁に塗ってしまわない事。

オイルも水分ですので、中まで浸透するほど与えず、軽くすり込んで残った表面のオイルは乾拭きで拭き取りましょう。

そして乾いたら、また塗れば良いのです。

 

第1フレットに合わせた新しいナットも作り直します。

象牙ナット等、交換せずに流用したい場合は、底上げをして調整し直します。

良いギターは引き継がれます。

象牙パーツに潜む問題について

 

 

ネック折れ(塗装修正無し)/ Tacoma


 

いつもの様にネック折れですが、なんか雰囲気に違和感が・・・

そうなんです、Tacomaなので塗装がこーなんです。

私がOvation の代理店の修理をやめてその後、齋藤楽器工房(SAITO Guitars)に2年弱お世話になったその頃、私は作業には関わりませんでしたが、タコマの塗装不良のリフィニッシュがキタハラ楽器から来るわ、来るわで、私が齋藤さんの所をやめた後もまだまだ来てたのを見ましたが、一体何本やったのでしょう。

このギターももしかしたら、無償で塗り直してもらえたギターだったかもしれないですね。

リフィニッシュは基本的にはお断りしていますが、事情によっては受けていますので、これの依頼はお受けする気構えでしたが、ネック折れのみの修理と言う事でした。

リフィニッシュするとなれば、料金は安くはありませんので、今更ながらと言うところでしょう。

それはそれで、男らしい感じがします。

どの位男らしいか、下に画像があります。

塗装が剥がれて、湿気の影響を心配する方もいますが、基本的にボディ内は塗っていませんので、塗装のあるなしで湿気の影響の差は出ません。

湿度が高ければ湿気るし、乾燥すれば乾きます、塗装がちゃんとあるギターも同じ。

ただし、これだけ剥がれちゃっていますと、音響的(良い悪い、好き嫌い)には影響してると思います。

 


いつもと同じ修理。

塗装修正無し。


当たり前です。

ここだけ塗装直してしてどうする。


ヘッドの正面。


トップは無事。


ボディはこう。


こう。


こう。


そしてこう。

今回Tacomaの事を少し検索してみたら、当然の事ながら塗装についての記事が沢山あり中には、ラッカー塗料の選択ミス、のような事を書いてありましたが、ラッカーではありませんし、選択ミスでもありません。

いい加減なサイトが多いですから、お気をつけ下さい。

今読んでいるこのサイトも同様、自信を持って書いているサイトに限って大間違いな事を書いています。

私も完璧ではありません。

悪しからず。

 

バインディングはがれ接着 / Martin D-35


このバインディング剥がれは、Martin特有の現象と言ってもいい位です。


セルが縮んでボディのウエスト部からはがれてくるのが常ですが、このD-35は然程古くないのに剥がれちゃってます。


このまま貼れるのか、端まで剥がして切らなければならないか見極めます。


接着の後は、段差が無く、密着しているか良く確認します。


表面がきれいに出来ているかはもちろん気になりますが、少しでも密着できていないと非常に気になります。


密着出来なければ、トリムの黒の部分が太く見えてしまいます。

多少はバリなど出ますが、そこは接着後に研いてきれいにします。

古いMartinはこんな事無いのに何故、近年のマーチンははがれるのでしょうか、Martin だけ。

それぞれのメーカーで時代時代に諸事情はあるのでしょうが、なんとかなりそうなものも、対応しないのは修理屋にとって都合は悪くはないのです。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Gibson ES-335

Gibson と Fender はいろんな部分で比較されがちですが、倒れたら折れるのがギブソン、折れないのがフェンダー。

ヘッドに角度が付いているGibsonはチューニングしてある状態であれば尚更、こうなるのは仕方ない事かも知れません。


折れた部分は、段差が出来ますので、整形して仕上げます。


その際に塗装が剥げてしまう場合でも、塗装修正無しのプランであればそのまま仕上げます。


塗膜の厚いGibson などでは、ほとんど下地が出る事無く磨けるケースが割とあります。

 


 

塗装修正は無くても強度には一切関係ないので、料金面、納期などから塗装修正無しのプランを選らばられる事が多いです。

補強の必要な修理の場合は、塗装無しと言う訳には行かないと思いますが、当方のネック折れ修理は、補強の要らない十分な修理ですので、一般的な折れ方や一般的なデザインのネックであれば、塗装あり、無しのプランが選べます。

ただし塗装無しの場合、塗装の残り方はそれぞれ違うので、見た目の雰囲気もそれぞれ違ってきます。

出来るだけきれいに仕上がればもちろん良いですが、折れを修理した跡が見えている事も、それはそれでかっこよいと思います。

 

ネックリセット リフレット / Martin HD-28


サドルをギリギリまで下げてなんとか、演奏面、サウンド面、我慢して使っていました。

ですが、ネックリセットして復活させます。


このような修理が出来る事を知らずに買い替えを考える人も少なくありませんが、Martinであれば修理する方が、全ての意味でお徳。


蒸気を使ってネックを外しますので、すき間からボディ内に水分が行かないようにタオルで塞いであります。


弦がピンの位置からサドルの頂点までの角度、弦とトップ板のクリアランスがサウンド面で重要なポイントの一つになります。


ネックジョイントの強度におて、ヒール部分はほとんど重要ではなく、重要なのは内部のダブテールジョイント。


ここに僅かでもすき間が出来てしまってる場合は、ダブテールジョイントの精度不足と見て良いでしょう。


今回はリフレットも。

 

ネックリセットの際、修理上リフレット(指板修正、フレット交換、ナット交換)の必用が無ければ、フレットはすり合わせで調整します。

ネックリセット + リフレットは、セットの料金ですので、フレット交換をご希望なら後からやるよりお徳です。

 


フレットのエッヂは1ヶ所ごと丁寧に仕上げます。


リフレットの際は基本、ナットは作り変えます。


象牙のナット等、残したい場合は底上げして調整して使います。


音に張りが戻り、弾き易く、復活。

 

ネック折れ修理(ヘッド分離/塗装修正なし) / H.S.Anderson

ネック折れ修理は、常にコンスタントに必ず依頼が続きます。

いつも言っております、当方のネック折れ修理は、補強要らず、低コストで強い接着。

 

タイトボンド等でのネック折れ修理は、補強をしなければ将来的に強度が保てませんが、当方の理にかなった、補強が無く、強い修理の理由はどこかに書きましたが、お越しの際に聞いていただければ、説明いたします。

 

欠けて無くなっている部分は、専用のパテで埋めて修正します。

段差は見た目も演奏上も邪魔になりますので、整形します。

塗装修正無しで仕上げますので、剥げてもこのままです。


塗装修正無しではありますが、塗装無し料金のまま簡単にタッチアップしました。


こちら側はプラン通り、塗装無し。


塗装が剥げても全く問題なし。


これでまた、爆音が出せます。

このようなエレキもお預かりしますが、当方電気修理をやりませんので、その際は外注となり、割高になってしまいます。

ご了承下さい。

 

今まで、師匠筋の方たちに沢山教えて頂いた事のひとつに、「ついでにやっておいた。と言うのは無いよ。」「やるのかやらないのか、やったならその分はちゃんとお金をもらう。」

「俺達は、プロなんだから。」 今でも響いている言葉ですが、まだこれが出来ずにいます。

塗装しなくてもカッコよいと思えばやりませんが、塗装する、しない以外の事も、「ちょっとこうしてやれば・・・」と最終段階に来た時に思ってしまいます。 

やっておいたと言う事で、今まで怒られた事はありませんが、この教えは出来るようにはならないかもしれない、と思う今日この頃。

 

ネック反り修理(指板貼り直し) / Martin D-28s


 

このMartin のようにアジャストロッドでは無かったり、アジャストロッドが一杯まで締めきってしまっている場合、反りを直す方法は2~3ありますが、その方法の良し悪しはオーナーの意向に副うのか否かです。

先ず、何も考えず使っている人が多いのはアイロン(ネックヒーター)。これだけに頼っていてはネック修理の50%以上は不可能になってしまいます。

アイロンは効果がある無しが、メーカーによって差が出てしまうので、アイロンを使ってのネック反り矯正は勧めません、先ずアイロンによる効果がどの程度のものか説明が必要です。

長年やってきて不思議に思うところが、どの接着剤を使ったもの、どの年代のどの工場のも、等で差が出るものではなく、メーカーによって差が出るような気がします。ただこれは断言出来ませんが、「やはりそうだ。」と思う事が多いと言う事です。

Martin の場合は、イメージ通りには行かない事が多く、上手くいったはずの物も後に戻ってしまっている物もいくつか見て来ているので、私の中ではMartinはアイロンが効かない事になっています。

ただしオーナー次第では、無理くり何度もアイロンをかけてとりあえず何とかやってみて、その後ダメならその時考える。という方もいなくはありません。

次が、指板(フィンガーボード)を修正して(削って)反りを無くす方法です。

この方法はとても確実で作業内容はリフレットですので、修理後の演奏性も良いです。

ただし、程度によっては修正部分がかなり削られてしまう事になるので、その点は注意が必要です。

近年、指板やフレットを削る(調整、修正)作業において”ネックジグ”と言う、この作業に便利なアタッチメントを使う人が増えています。

これは良い道具なので、あるに越した事はありませんが、ただしこれだけに頼ったら、失敗(失敗か否かはその人による)してしまうケースも考えられます。

完璧な状態を求めたいが為の道具なので、完成形に至る以前の状況でなら全てこれを使いたと思います。

もちろん修理する上でもこれが有効な場面はありますが、何でもこれを使ってやる人はどのケースにおいても削りすぎている意識はないでしょう、古い楽器の材料は貴重なので削り過ぎず直せれば「モアベターよ。」と言う事です。

もうひとつは、画像にあるように指板を貼り直して修正するやり方です。

アイロンで期待する効果を実際に手を加えて、欲しい状態を確実に作り出す作業です。

アイロンでは1度暖められた接着剤が冷えて再度硬化する事と比較すると、貼り直す場合は強度も期待できます。

ただし一旦剥がしてしまった指板は歪みますので、貼り直した際は両サイド、指板面も修正して、新しいフレット打ちます。

修理の費用と納期は紹介した順番に大きくなります、どの方法がベストなのかは、見積もり後の検討で最終的にオーナーが決めます。

 


古いギターは古いなりの雰囲気に仕上げます。


1番大事なのは、感触。


弾きやすさ。


良いものは直しながら使うもの。

このギターの修理を3回続けて見ていただきましたが、ここまでやるには、修理費用がどれくらい掛かったのか気になる方も居ると思います。

このギターはこの他にも力木(ブレーシング)の剥がれも修理しています。

気になる方はメールにて問い合わせ頂ければ、そういった質問にも回答差し上げます。