2020年11月

ネックリセット、リフレット / Gibson L-OO


 

古いギターは古いギターらしく、ギブソンはGibsonらしく、マーチンはMartinらしく、そんな風にらしく仕上げられればカッコよいなと思いつつ仕事をします。

そう思いながら修理完了するギターは、皆川ギター工房がやった修理となるのだと思いますが…。

先生はこう言ってた。本に書いてあった。ここは何ミリで。習ったやり方はこうで。など等、習ったり、勉強する事は勿論大事で、それだけでも修理は出来ると思いますが、私が思うカッコ好さで仕上げたいのです。

このカッコよさは、しみ込んだ感覚なので説明は出来ないのですが…。

何度となく修理を繰り返してるオールドギター等は、なんかカッチョ悪い物もしばしば見ます。

 


指板の厚みを足す場合、バインディングが無ければ馴染みやすいです。


フレットのエッヂは斜めにし過ぎず丁寧に処理します。


サドルの高さが、ナイスです。


エボニー(黒檀)ナット。


 


 

 

元に戻す事が第一で第二がそれの欠点を改善出来ればもっと良い、それが修理屋の仕事なのではと思っています。

それをその人のセンスでカッコ好くしようとして、第三にしちゃってるのを見るとゲンナリしてしまいます。

オールドカーやバイクなら第三のセンスも非常に大事な気がしますが、ギターの修理屋はオリジナルに沢山触れて知っている事と観察力を駆使する事が最も大事で、芸術的センスは特に必要無いのでは…と思っています。

経験と観察力が足りないと意に反して、第三の状態になってしまう事も。

 

などと、書いてみると、大層な事の様で、正解でもなんでもありません。

悪しからず。

それを持つ人が第3でも4でもよしとするならば、それが良いのです。

ネックリセット / Gibson J-45 (山口君のページ)

スタッフの山口です。50年代のGibsonJ-45、写真はすでにネックを抜いたところ。ダブテイル部に見えている丸いのはアジャストロッドの終端部です。60年代以降はこのようにダブテイル部分まで終端部が貫通していません。写真のような貫通型の方が製作工程で手間がかかると思われますので、効率化の為に設計を変えたのだろうと勝手に思っています。このロッドの仕様変更は正確にはいつなのでしょうか。もしかしたら師匠なら分かるかもしれません。

ネック角度が大きく狂っている個体は適正な角度に直すと指板のハイフレット側がお辞儀をしてしまいますので下駄を履かせてあげます。見た目ももちろんですが、ハイフレットがお辞儀をせずに弦と指板が最後まで平行に沿う事で、音もより共鳴するようになるのではないかと思います。ただそれを聞き分ける程の耳はあいにく持っていませんので飽くまで理論上のお話です。


センターもズレる事なくできました♪初めからズレているオールドギターもたまにありますのでその時は出来る限り修正してあげます。


少しずつですがネック接着前に接着後のサドルの高さをイメージできるようになってきました。これも良い感じ!

溢れ出る男臭さ、渋過ぎます。60年代はミニスカートなど派手目のカラフルなファッションが流行した時代、それに合わせてかJ-45もチェリーサンバーストなど少し派手目に変貌しました。このギターが作られた50年代はロカビリーファッション全盛期、リーゼントにはやはりこちらの方が似合う気がします(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

指板修正(リフレット)/ 手工品(D-45コピー)

D-45 を模した手工ギターです。

フレット抜いて、指板を修正します。

想像するに、調整しないでそのままフレットを打っちゃったという感じだと思うのですが…

指板の雰囲気としては、なしてこんなに歪んだ?という感じ。

 

フレットのすり合わせをする機械というのがあるらしいのですが、とりあえずそれでやってみてもらったようですが、問題解決にならなかったようです。

物事には各々の基準や物差しが違いますので、判断が異なるのは仕方ないと思います。

当方であれば、この状態でフレットのすり合わせという選択は無いのですが、この状態でビリつかない様にすり合わせをするのであれば、ポジションによってはフレットがぺったんこになるような調整になったはずだと思います。

 

 

 


 


 

ご依頼人のお話によれば、「この先はネックリセットが必要なので、アコースティック専門の修理屋で、」と言う事で、プランの流れが良くわかりませんが、当方をお勧め頂いたようで嬉しかったですけど、こちらのギターは当方の見積もりではネックリセットの必要はありませんので、ショップによって判断基準の違いを改めて痛く感じた仕事でした。

ですので、逆にうちで納得いかなかった人が他所で見てもらったら「こんな事したの?」なんてことが無いとも限りません。

判断基準が違うのですから、当方を信頼して頂くお客様には本当に感謝いたします。

 

弦高も下げられて弾き易く、サドルもこの位あれば十分です。

指板のアールはMartinよりフラット。

さだまさしさんのこういうギターありませんでしたっけ。

 

さださんで 一つ思いだした話があります。

私(葛飾区出身)が中学生の時、中川中学から転任して来た、理科の中島先生が授業中に話していたこと。

「彼(さだ君)はね、授業中一切ノートは取らないけど、全部、記憶している。集中力がすごい。」

「キミ達もそうしなさい。」位の勢いで話されていましたが、無理です。

ただただ、ノートを書かない子になるだけです。

バイオリン以外の事はやらなかったという、さださんの天才っぷりがほんとによくわかったお話でした。

 

 

Martin OOO-21 / ブリッジ交換、ネックリセット

ブリッジがちょっと薄いのでネックリセットにつき、ブリッジの厚みを戻します。

年代的にはロングサドルですが、ショートサドルで作り直し。

ハカランダの在庫は、まだ少しあります。


ブリッジが出来ましたので、ネックリセットします。


後ろが剥がしたブリッジ。

交換せずとも個人的には十分と思いますが、色々拘りがあります。


通常のネックリセットより多少高いサドルです。

 


 


 


 

リフレットして、ピックアップを付けます。

完全にご自身が使いやすい、好みの状態を想像しての修理依頼、という感じです。

個人的好みではサドルは高く出ていない方がカッコよく思っていますので、通常はもうちょっと低くなる様に角度を直すのですが、サドル高目がよろしければ言って頂いて全然かまいません。

但し、たまに見る現行品ですごくサドルが出てる、イヤミの出っ歯(アニメおそ松くん)みたいなのは勘弁してください。

そのリクエストは、他の修理屋さんでお願いいたします。

修理画像を過去にどこかで見た記憶がありますので、やって頂ける所があるはずです。

 


 


 


 

今回はサドルが高目になるように狙って調整しましたが、最終的に弦を張って調整してどちらに転んでも良いようにネック角度を直しますので、結果いつもより高目なサドルになる場合もあります。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Gibson ES-335


 


 


 

割れの跡は、大なり小なり残るのですが、いずれにしても跡は目立たない方が良いのは言わずもがなであります。

割れの跡は多少でも目立たない様に、でも、出来るだけ自然な色合いに、といつも着色の際に迷います。

今回はこの位。


 


 


 

いつも一番良い位の濃さ(着色)でやれば良いんでないか、とお思いでしょうが、毎回丁度良さが分からず着色しながら、「ここまで!」とか「ん・・・もちょっと・・」

とか言いながらやります。

ナチュラルの場合は、どうにもなりませんので予め、色を付けるか否か相談いたします。