リフレットする際にはフレットの溝が狭い場合、広い場合ネックの角度があまり良くない場合、指板をうんと修正しなければならない場合、指板修正をしない場合、など等、リフレット以外の事もそうですが、その都度その都度、状況に合わせて判断して作業しなければなりません。
等とカッコいい事言ってますが、私も人間ですので判断を見誤る事もあります。
と言うより分かんないことだらけでございます。
リフレットする際にはフレットの溝が狭い場合、広い場合ネックの角度があまり良くない場合、指板をうんと修正しなければならない場合、指板修正をしない場合、など等、リフレット以外の事もそうですが、その都度その都度、状況に合わせて判断して作業しなければなりません。
等とカッコいい事言ってますが、私も人間ですので判断を見誤る事もあります。
と言うより分かんないことだらけでございます。
こちらのオーナーからブログ掲載のリクエストがありましたので、終わったばかりですが早速アップいたします。
ブログ掲載は出来るだけ順番にしているのですが、そうなると修理後大分経ってからになってしまいます。
もしこのようにリクエストがある場合は、遠慮無く言ってくださいね!
さてこちらは、すでにネックがリセットされ、接着剤もきれいに拭き取られた状態です。
オーナー曰く、トップが膨らんでいる事がよくない原因だと考えられていましたが、余程トップが膨らんでない限り多少なら大きな問題になる事はほとんどありません。
勿論、平らな方が見た目は良いですが、矯正したところでまた戻ってしまいますし、トップをいじると音にも影響が出ますので、問題が無ければそのままにする方が良いです。
弦高が高くなってしまい、弾き難くなる原因はネックの角度が狂っている事がほとんどです。
MartinやGibson等の場合はヒールを削って角度を調整しますが、Ovationの場合はシムを使って角度を直します。
以前どこかの動画でOvationもヒールを削って調整しているのを見た記憶がありますが、それが出来ればその方が良いのかもしれません。
当方の場合、Ovation の工場と同じ方法でシムを使い調整します。
私が中尾貿易時代から30年間同じ方法で修理しています。
削らない理由としては、カマンバーと言うロッドがネックに入っていてそれがヒール部までつながっている為、工場でもヒールは削らずシムで調整するのだと思います。
ヒールを削るとすればカマンバーのアルミ部分も削らなくてはならず、いろいろ面倒になりますのでOvationの工場に倣って同じ方法を続けています。
そうする事でOvationのネックリセットの修理代を上げずに出来ています。
Ovationのモデルナンバーの後に付く数字等(ー1、ー4、ーBG,等)はその個体のカラーを表しています。
ーASW って何でしょ?いままで気にしてなかったので調べてみました。
「Angel Sutep Walnut」エンジェル・ステップ・ウォルナットですって。
Ovationのカラーについて少し書いてあります。
↓
ピックガードの貼り直しと、リフレットをします。
貼り直す面(P/Gの裏とボディトップ)は両方きれいにして、貼り直す両面テープは画像のような弱っちそうなテープでは無くもっと性能の良いテープを使用します。
画像では、P/Gが先ですが、リフレットする際にP/Gは無い方がやりやすいのでP/Gはそのあとに貼り直してます。
貼り直す際には両面テープを使用しますが、接着剤を使う時と同じように均等に圧着されるようクランプをして丸1日置きます。
60年代Gibsonは、太めのフレットが打たれています。
新しいフレットは高さがあり、エッヂも立てていますので元より細いフレットに交換されたようにも見えます。
ネック(ヒール)の下で合わさっていますので、そこまで剥がして詰めて貼り直します。
剥がれていない部分を剥がす際は、新品のカッターの刃で剥がすラインをある程度切ってから慎重に剥がしますが、それでも多少、塗装がチップ(欠けて)してしまいます。
そこはご了承頂いております。
トップ側はバインディングの端が指板の下に入っている為、ネック側へ剥がしても詰められません。
稀に指板の下からバインディングを抜く事が出来る事がありますが、ほぼ無理な為出来る限り剥がさず密着させます。
剥がして詰めなければならない場合は、ボディエンドで切り離して詰めます。
剥がさなければならない場合は、ネックを外す修理があれば都合が良いのですが、ボディエンド側で切る事を避ける場合は、その為に一旦ネックを外さなければなりません。
今回の場合は、トリム(細い白黒)は剥がれていませんので多少手間が楽です。
トリムが剥がれている場合は、バインディングと縮み加減が違うので、それぞれ剥がして別に作業しなければなりません。
隙間はバインディングを足しますが、足しました!と言う感じにはなります。
師匠も過去のブログで言っていますがネックリセット後は楽に弦を抑えられるようになるためか、とても音が良くなったと感じることが多いです。ネック角度が適正になることで実際に良くなっているとも思います。また、その後弾き込むことでそのギター本来の味が出てくるのでさらに良くなるのではないでしょうか。
アコースティックギターは木製生楽器ですので個体差もあり、同じ年の同じモデルでも鳴り方が全然違ったりして本当に面白いですね。
Guildのギターは弾くたびに「Guildらしい音だな〜」と思います。このGuildもやはりGuildらしい音がしました。もちろんGibsonらしいなー、とか、これぞMartin!!とも思うのですが。。。ちなみにうちの実家にあるThreeSのギターはマーチンのコピーなのにDoveっぽい音がします。
何を言いたいのか分からなくなってしまいましたが、、アコギの修理をすればするほどアコギが好きになる今日この頃、ということです。(?)
どーやっても、ちょっとずれちゃうときがありますが、絶対ズレたくないと思ってやってますから、順番を考えたり、接着剤を変えたり、ジグを作ったり…
毎回同じような事をやっているようで、違う物に対峙しているようでもあります。
基本的に一人でやって来た仕事ですから、2本腕でやれるようにいつも考えていますが、先日は山口に手を借りて4本腕が無ければ出来ない酷いテイラーに関わってしまいました。
それはいずれこのブログで見て頂きます。
いつもサドルはこの位になる様にイメージしていますが、なかなかジャストな感じにはならないものです。
これより1mm高くなっても我慢できますが、これよも1mmも低くなった場合は、「う~ん…くやし~!」と叫びながらもう一度ネックを取ってやり直さなければなりません。
なかなか計算通りに行かないものですから、どっちに転んでも良い位の所を狙って作業しますが、何故いつも同じに出来ないか、計算通りに出来ないかと多少言い訳しますと…
弦の張力が掛かってない状態 → チューニング完了状態で0.何ミリ弦高が上がるか、ネックの左右の反りの違い等々調べられること分かる事全て用いて計算(図る事が出来ない部分はイメージ)します。
リセット前は何度も仮止めしてサドルの高さやセンター等確認調整を繰り返しますが、接着剤を付けて本セットした際に仮止めの時と若干角度が変わる事があります。
いつもそうであればそうすれば良いのですが、あと一擦りしようか迷って、「前回思いの外サドルが出過ぎ気味だったしな~」等と思っていると「やっぱりあと一擦りすりするべきだった。」となる事もあり、この場合はもう一回ネックを取らなくてはならない事態になる事も…。
指板修正する場合は、第1フレット部分が0.何ミリ削れて…第12フレット部分が0.何ミリ削れて…、等と数字に出来ないのでイメージで(経験で)進めなければなりません。
12フレット部分の修正が多めの場合は、気持ち弦高が高くなる事を予想します。
1フレット部分の修正が多めの場合は、弦高が下がる事もありますが、12フレット部分もある程度削れますから弦高は、変わらずキープなイメージでいきます。
指板修正(リフレット)で簡単に弦高に下がらないもう一つの理由は、新しい第1フレットの高さが弦高を図る際の第12フレットよりフレットのすり合わせの性質上、微妙に高くなるからです。
第1フレットが高くなると言う事は、その分ナットの弦溝の底が上がります。
その分弦高が高くなります。
このギターのローフレット側(第1フレットの位置)が薄いのはネック角度の辻褄を合わせる為に、過去このギターのリフレットの際か、もしくはそれ目的で薄く削られた証です。
いいギターはどの時代のオーナーも何とかして弾き易くして使いたいんですが、良いギターではありますが近年まではスチューデントモデルと言う位置付けの印象が強いギターですから、出来るだけコストは掛けなかったのだと思います。
Gibsonの中でも異色のルックスMK-35。75年〜79年の4年間だけ作られたMark Series、MK-35はサイドバック材がマホガニーですが、実はメイプルサイドバックのMK-53、ローズウッドのMK-81、ハカランダのMK-99とあるそうです。フォークソングブームが下火になり始めた時代も相まって売れ行きが全く芳しくなく、日本にもあまり出荷されませんでした。その後Gibsonのアコースティック工場が閉鎖に追い込まれたことからGibsonの黒歴史、迷走ぶりを象徴するギターと言われることもしばしばだそうです。
そんな背景を知ったからでしょうか、、何だか「てやんでい!俺だって良い音鳴らすんだぜ!」と言っているような顔つきをしていますね(⌒▽⌒)
確かにイイ音を奏でてくれましたよ!
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
当方では、ギターの使用が終わったら弦は緩めてください。と言っております。
一部の製作家のギターやテイラーギター等のように、「弦を緩めないでください。」と言っている例もありますが、おそらくネックの角度が狂ったりはしませんと言っているのではなくて、狂っても大丈夫、と言っているのだと思います。
アコースティックの構造である限り張りっぱなしで大丈夫なワケが無いのです。
私が思うに大丈夫と言っている根拠はこれだと思います。
ネックジョイントはボルトオンなのでリセットはダブテールジョイントと比較すれば大幅な時間短縮が可能です。
特にテイラーは非常に考えられており、見習う他のメーカーもあるのではないでしょうか。
これならセットネックのような高い修理代が掛かりません。
私がやったテイラーギターのネックリセットは、最初の頃の1~2本位はネックがはまる窪み周りの見た目がいまいちっだったと思います。
良いシムの作り方に気付くのはその後になってしまいました。
ヒールは窪みにはまっているので隙間が出来てしまうような事は無いのですが、シムの厚みのバランスが悪いとネック角度に問題が無くても、ヒールとボディの際の見た目が悪くなるのと指板エンド(画像拡大)に隙間が出来てしまいます。
ネックリセットは最初のうちはこのようにシムの厚みで調整が可能ですがリセットを繰り返していると、シムの厚みだけでは調整出来なくなってきます。
そうなったら他のメーカーのギターの様にヒールを削って調整するしかなくなります。
いずれにしてもそのたびに修理代が掛かってしまうより、ネックの角度が狂わない管理をすることが先決なのだと思います。
指板を再接着します。ネックの矯正も少しできることを期待してあの手この手でシュミレーション。指板がネックに理想の形で接着できればフレットも指板修正も最小限で済みます。ビンテージギターを後世に永く残す為に師匠もそういった観点にこだわっております。
今回も名器が無事蘇りました♫男臭くてカッコいい、ナイスギターですね!
今回のような指板を剥がす修理+ネックリセットや、ネックリセット+フレット交換など、同時に行う修理の組み合わせによって作業効率が上がる場合に若干コストを抑えられることもあります。組み合わせによって手間が変わらない場合は修理料金も変わらないと思います(^^;
お見積りの際は気になるところはぜひご相談いただければと思います。
今回もありがとうございました。