ネックリセット / Martin 00-18 スタッフの山口です。急激に寒くなってまさに冬。乾燥はアコースティックギターの天敵ですので加湿をお勧めします。今回もヴィンテージギターのネックリセットです。いつも通り15フレット下のダブテイルジョイントポケットを温めます。マーチンは本当に素直にネックが外れてくれます。ヴァイオリンのように長く使って欲しいからと、修理を前提として設計されている点だけでも好感がもてるメーカーです。恒例の記念撮影。ダブテイルジョイント周辺は古い接着剤や塵を綺麗に除去します。それをしなければ良い接着ができません。精度の高いジョイントは音にも影響が出る、はず。ヒールを調整し角度を正常にしてあげたら、お辞儀する指板の厚みを足してあげます。これがないとネック角を見た時に14フレット辺りから下に下がってカッコ悪いし、ハイフレットを弾く際に弦高が高くなってしまいます。ネックとボディを組んで接着したら15フレットを戻していきます。エボニーは埋木しても馴染むため、ほとんどの人がそれに気づきません。今回は指板がガタガタなので最低限の指板調整をします。フレットは戻す時のために1弦側にマッキーでチョンチョンと印をつけておきます。1弦側と6弦側がリャンコにならないように。チップしないようにフレットが抜けたら指板修正開始。フレット浮き防止のためにフレットに何十年も溜まった手垢や皮脂の汚れを1本ずつ落としていきます。フレットを打ち直してすり合わせ。良い具合にピカピカに仕上げます。ネックリセット時はサドルの新調は必須です。良い具合のでしろになりました。弦高もバッチリ。センターもしっかりと調整できました。多くのギターを手にして思うのは00サイズが日本人の平均的な体格にとって至高のサイズ感なのではないか、ということ。このヘッドストック、これもまた至高のフォルムではないでしょうか。当時はヘッドの形は選びたい放題でデザインできたのではないでしょうか。何事もシンプルイズベスト!です。最後は修理前の画像。いつも思うのは、このギター何十年もどこに眠っていたんだろう、です。アメリカの田舎町の蔵的なところにあったのかもしれないし、ショップのバックヤードにあったかもしれない。どちらにしても弦高がまともに弾けるレベルではないのでどこかに長年眠っていたのでしょう。家の収納の奥からこれが出てきたら、、と妄想してしまうほどのナイスギターでした🎵今回も最後までご覧いただきありがとうございました。