
ネックが元通り接着できたらサドルも新しく作ります。サドルが高ければ高いほど弦高が下げられる余地があるのでその方が良い、と思われる方もいると思いますが、出過ぎたサドルは少々残念なネックリセット例の一つと見る人もいます。
程良く、さりげなく、丁度いい高さがやはりカッコよく、そして音もいいのではないかと思います。
ネックが元通り接着できたらサドルも新しく作ります。サドルが高ければ高いほど弦高が下げられる余地があるのでその方が良い、と思われる方もいると思いますが、出過ぎたサドルは少々残念なネックリセット例の一つと見る人もいます。
程良く、さりげなく、丁度いい高さがやはりカッコよく、そして音もいいのではないかと思います。
1983年はMartin社創業150周年。そして自分の生まれ年でもあります。生まれ年のニッパチが欲しくてしばらく探してたのですが、80年代は生産本数も少なく、特に1983年はメモリアルイヤーということもあってレギュラーライン(スタンダードシリーズ)の個体が中々市場に出てきませんでした。2年ほどかけてやっとネットオークションで見つけて手に入れることができて「これは一生ものだー!」、、と思っていたのですが、どうしてもしっくり来なくて実はこの後早々に売ってしまいました(^^;;
結局のところ製造年は関係なく、弾き易くて自分好みの音を奏でるギターが一番!だと教えてくれたギターでした。とは言いつつ生まれ年のMartinを見つけるとつい欲しくなってしまいます。次は生まれ年の「自分好みの」Martinを買いたいなと思います。
今回も読んでいただきありがとうございましたm(_ _)m
後半は早足でしたがネックリセットも完了。
ブログでは1日で終わった修理のように見えるかもしれませんが、接着の工程を何度も挟んだりするので実際は数日〜数週間、内容によっては1年単位でお預かりする場合もあります。納期に追われて急いで修理してもろくなことがありませんので、お預かりする期間が長くなってしまってもご理解いただけるとありがたいです。
自分はせっかちな性格なので、セカセカと熱くなって作業していると「急いでやっても失敗するよ、急がず慎重に。」と師匠皆川氏の一言。ふと我に返りクールダウンします。
大概、分かれた後ろの方は中々緩まずにくっ付いていますので、外すのが大変です。
以前の蒸気を使っていた方法も現在の半田ごてを使う方法も同じですが、高熱を扱いますのでなるべく早く外してやる事が大事です。
特に蒸気だった頃は、熱湯が噴出してきますので出来るだけ早く外さないと塗装へダメージをきたします。
少々の火傷ならガマンガマン、隙間からボディに噴き出す蒸気を布で拭きフキふきフキしながらやらねばなりません。
熱を掛けているだけではジョイントが緩んでくるまでに時間が掛かってしまいますので、ジョイント部が緩む時間を短縮出来るようにネックをつかんでヒールを押す方向以外からも力を入れます。
ただし、こんなふうにヒールが途中から分かれて、ネックが外れてしまうと持つところが無くなっちゃうから、こうなると残った方を取るのがけっこう大変なんです。
蒸気が吹き出ない半田ごてで熱する方法なら、時間が掛かっても押す方向だけの力で外せば良いかとも思うのですが、いずれもジョイント内部から高温で温めていますが、こちらは気を付けないとヒール塗装面がアッチッチになるので(塗装面を冷まし冷まし)こっちはこっちでなるべく早く外してやる必要があります。
「あ、でも時間が掛かって塗装がやられても、早く外そうと思ってヒールが分かれちゃっても、いずれにしても何らかの修正が必要なんだな。」
「でも、蒸気がボディにはかからないからそこは心配いらない。」
「なら、時間をかけてやればよいのか⁉ 」
「いや、押す方向のみの力では、いつ外れるか分かんないよなー。」
「この厚くて固い塗装修正するのはめんどいよ~、ギブソンみたいなわけいかないんだから。」
いつもブログは、まとめてから書き始めるわけでは無いので書きながらいろいろ気付いたり、分かんなくなったりします。
ヤマハにはヤマハなりの良い方法がきっとある、と思いながら…
つづく
現在修理進行中のギターで、Martin のDSTGと言うモデルがあるのですが、それのネックを抜く必要がありまして、私はまた新しいタイプのマーチン式ジョイントに出会いました。
そんなに突拍子もない感じでは無く、「あれ?」と言う感じ。
いずれまた、ブログで見て頂く機会があると思います。
←こちらは大定番のOOO-18でございます。
ネックの角度直して、指板修正(リフレット)します。
このヒール部分の接着は、あまり重要ではありません。
ヒール下にある、蟻組(ダブテールジョイント)の精度が大事です。
きつ過ぎては奥までしっかり収まりませんし、緩くて接着だけに頼ったジョイントでは、いずれヒールが浮いてしまいます。
奥までしっかり収まって、テンションが掛かってもヒールが浮かない様に調整します。
画像的には、「貼っているのね。」…その通りでございます。
この前段の画像があればよかったのですが、いつものように撮り忘れてましたので、ここからになりました。
(このネックを外す為にジョイントの隙間を探って指板から穴を空けていたが…)
指板を剥がそうとして、途中でやめて、貼り直しています。
何故かと申せば、以前にやったJ-200 の時と同じようにドリルをいくら打ってもダブテールジョイントの隙間が見つからず、らちが明かないのでジョイントを確認する為に指板を(バインディングが無いので全部)剥がしにかかって途中まで剥がした段階で見えた為、疑問が晴れて貼り直しているところです。
ジョイントの隙間がわずかで分かり辛い場合と、位置が想像と違う場合やそもそもそもジョイント方式が違う場合、更にJ-200のような場合があります。
「なんか違う…」と思った時は大体なんか違います、闇雲にやり続けていても埒があきませんので、その際は確認しなければなりません。
4年程前にも同じギターを修理させて頂いたお客様からのご依頼でしたが、探しても滅多に見つからないので見つけたら入手して直すしかない様です。
弾き易いこれを持っているのは、ビートルズファンにとっては羨ましいのではないでしょうか。
個人的な私の世代での感覚だと思いますが、70年代はどこのメーカーも独自のスタイルがあって面白いメーカーやギターが沢山生まれた時代と言うイメージ。
ギブソンのアコギでは、このハミングバードもそうですが、力木がダブルエックスになったり、カーシャ博士が考えたブレーシングを採用したMKシリーズなんかもあったり、国産メーカーも特にエレキなんかは、今思えば面白くて(カッコよくて)良い物が沢山ありました。
Ovation(1966~)なんかも70年代に発展したメーカー、Ovationのような全く新しいギターはこの先、出て来ないだろうと思います。
メーカーは今、昔の物を追いかけている様に見えるし、Ovationの人気が復活するならば昔の物として若い人気者から火が付くのかなと思っています。
ネックの修理以外もあれこれやったのですが、ブリッジプレートの画像です。
弦が付いたままの方がわかりやすいのですが、他の作業が進んでいる状況の撮影が多くて弦を外した状態の画像になりがちです。
弦のボールエンドが穴の中に入り込んでしまう状態になります。
一時代を築いちゃうとその後、廃れているみたいな印象になってしまうのが悲しいです。
モズライトなんかすごく良いのだけれど、おじさん達はある一定の音楽以外出来る気がしないので、是非これなんかも若い世代が他の音楽で見直してくれれば良いのになー、などと思ったりします。
ネック角度を調整しましたら、接着剤なしでテンションを掛けてもジョイントに隙間ができない様シムを調整して入れます。
メイプルとエボニーで分けている訳は特にありません、たまたま。
シムはなんでもよいと思いますが、一時期のマーチンやラりヴィーみたいに紙でシムを作っちゃ絶対ダメです。
特にマーチンは生産本数が多いのでホントに良く見ますが、ヒールにわずかに隙間ができている場合は紙シムが入っている事がよくあります。
空間がほぼ無い場合もありますので、その場合の判断はホントにムツカシイ。
現在は昔のように蒸気で外すことは無く、熱棒を差し込んで温めますから最悪、ジョイントのポケットが見つからなくても温める事が出来ますが、出来るだけその空間の中で温めるようにします。
ネックの反りを修正したり、角度もネックを取り外すことなく、ネック修理専用のアイロンを使って修正する事もあります。
ネックを外しませんので、預かり期間と修理費を抑える事が出来ますが、当方ではお勧めはしておりません。
お勧めしない理由としては、確実な修理とは言えず、修理としては簡易的でまた元に戻ってしまうデメリットがあるからです。
メリットは「早い、安い」。
私の場合経験上、メーカーによっては良い結果が全くイメージ出来ないブランドもあるのですが、なんでもアイロンで直してしまう人もいますから、これは私の技術力不足の為かもしれません。
その他にもジョイント部にクサビを打ち込んで角度を修正する方法もありますが、ネックリセットする事と比較すると少しは安く上がるのかもしれませんが、見た目も悪くなりますし、現在ではあまりメリットが感じられない方法のような気がします。
大昔はネックリセットする事より、ジョイント部にクサビを打ち込んで角度を修正する修理屋さんも多くあったように思います。
その場合は、指板を14フレットまで剥がしてジョイント部にクサビを打ち、ヒールに隙間が出来ますのでそこも修正しなければなりません。
現在では道具の進化もあり、ネックを外す事は、どの修理屋でも可能になりました。
今年最後のブログは、ちょっと珍しいギター。
B.Cリッチのアコギで、昔B.Cリッチの社長が手作りした数本中の一本らしいです。
バインディングが大きく剥がれちゃって、ネックの角度が狂って、力木が沢山剥がれてる。
ブリッジの溝が浅い為、サドルが立つように修正、ブリッジプレートは穴が削れて広がっているので修正。
ネックの角度を直さなければならないのですが、アコギだからと言って必ずダブテールジョイントとは限らず、どの様なジョイントがなされているか確認しなければなりません。
このギターのネックジョイントはクラシックギターと同じ工法ですので、マーチンやギブソンのネックと同じように取ろうとしても絶対に取れないのです。
金メッキのパーツは、コンパウンド等で磨いてしまうと、メッキが剥げてしまいます。
スチールウールで磨くときれいになります。
当方では、番手の細かいやつで磨いています。
クラシックギターのネック角度を直す時と同じように、指板はハイポジション側に向かって厚くなる様に厚みを付けて角度に辻褄を合わせます。
指板面を調整して、フレット、ナットも交換します。
大分長い事、お預かりしましたが無事お返し出来ました。
見た目の期待通りの音がします。
本年もこのブログをいつも見て頂いている方、ご常連、今年出会えた方々、大変お世話になりました。
来年もご愛顧のほど頂けましたら、幸いに存じます。
まだまだ大変な状況が続きますが、皆様にとって良い年になります様、願っております。
過去のブログでこれに触れた記憶があるのですが、それにについて、アメブロに裏話的な事を書きましたので、よろしければご覧ください。
では!
もうすぐ来年だねー。