ネックリセット

ネックリセット / Ovation 1687(Adamas)

Ovation Adamasの場合、ハイポジション部をトップに着けてしまうと、14フレットから指板が極端に折れ曲がってしまいますので、通常その部分の指板は浮かせてありますが、いろいろな理由から着けられてしまう事があります。

確認できるでしょうか、折れてハイポジション部が下がっています。

そのポジションも弾きたい人にとっては不都合で、アダマスらしくない雰囲気でもあります。


浮いている隙間の大小は、個体差があります。

初期型のアダマスのこの部分は全く接着されておらず、その為にあった問題を解消する為に、この後のモデルから浮いている状態のまま接着されるようになりました。


この画像から分かる最初期のモデルの特徴のひとつは、バインディングとトップ材の間に白いラインはありません。

エポーレットが貼られてから塗装されていますので、エポーレットの縁に塗装がかかっています。


ボディが木材じゃ無くてもオールドって、よいです。

 

指板エンドが接着されていない為に出る不具合としては、隙間が狭い場合は、先端が表板に微妙に触れてしまって、ノイズ(共振音)が出てしまう事、指板がふわふわしていますので、そのポジション上での演奏では音に全く腰がない事や、14フレット以降上側に曲がついてる場合は演奏上問題があります。

ネックリセット / Martin


 

弦高が高くなってしまって弾き難くなってしまったら、調整します、調整では弾き易くならなければ修理となります。

弦高が下がらない1番の原因はネックの角度の狂いなのですが、これの修正の方法も2~3通りあります。

文章だけでは分かりにくいですが、ネックは抜かずネックヒーター(アイロン)で矯正したり、指板を剥がしてジョイント部にクサビを打って角度を戻す、あるいはアイロンとクサビ両方使ったりして角度を戻す方法があります。

この方法は決してダメではありませんが、根本的な修理とは言い難く、納期やコスト優先の対応策と考えるのがよいと思います。

ボディが歪んで角度が狂ってしまった分、ネックヒールを削り直してやるのがギターにとってもストレスのない修理でしょう。

大先輩の村山さんは、アイロンは持っていないとおっしゃっていましたので、「アイロンなんてやんね~よ。」と言う事でしょう。

 

ヒールを削りながら、考えるのはサドルの高さ。

イメージとしては、弦高1弦1.8mm、6弦2.4mmとしてサドルの高さ、但しブリッジの形状によっては、どちらかが出すぎたり、低すぎたり、その場合のバランス。

リセット後、リフレットする場合指板のどこがどの程度調整で削れるか、その場合計算上どの位考えと誤差が出るか、リフレットしない場合の多少のネックの反り、歪みの影響等。

このサドルの高さなら思惑通りです。

もうひとつ、ヒールを削りながら何度もチェックしなければならないのは、ネックのセンターがずれていないか。

センターを合わせていると、角度もついて行きますので、とても難しいです。


ヒールは接着しない状態で、テンションがかかっても隙間が出来ないよう調整します。


ジョイントの調整の際にセンターの位置がずれることがありますので、この時も注意します。


ヒールに隙間があるMartinは、アイロンかリセットか迷う余地は、ありませんね。

 

ブリッジ交換 ネックリセット / Martin D-18 ’50s


弦高を下げたくてブリッジを極限まで削って、サドルの溝がトップまで入っちゃってる、ペラペラなブリッジ、これをちゃんと厚みのあるブリッジに作り直します。


ハカランダは削ると甘い匂いがします。

削ったので色が変わりましたが、時間が経って酸化してくるとまた、赤茶色になってきます。木目のイメージも削る前と変わります。


フレットにまだ余裕がありますので、今回は打ち直さず、すり合わせで仕上げます。

大分錆びちゃってますけど、どれくらいきれいになるか。


右上の画像で15フレットを抜いてありますが、その溝に穴を開けて蒸気を使って、ジョイントを外します。

ネックの角度をブリッジの厚さに合わせてリセットします。


新しいブリッヂの溝は貼り付けた後で切り込みます。

「ブラジリアンローズ(ハカランダ)はあるときだけですので、ご用命はお早めに。」


リセットして、フレットをすり合わせしました。

 


指板(フィンガーボード)の裏に木を足して、厚みをつけます。


古いギターのサドルは出過ぎないのが、かっこよいです。


いいですね。(自画自賛)


ヒールもピッタリ接地するように。

基本的には接着剤でくっついているのではなく、


ジョイント(ダブテールジョイント)の形状によってテンションがか掛かってもヒールに僅かな隙間も出来ない様に、調整してセットします。


現行品のマーチンなどで、ヒールに隙間が出来るのはジョイントの精度が悪い(ゆるい)と言う事です。

 

ネックリセット、P.U取り付け / Taylor

Taylor のネックリセットは、いつもやる度に思います、アコギのボルトオンネックでは、いろいろな意味で1番出来が良いです。(個人的見解)

ヒール下に入っているシムで角度を決めます、ヤマテクさんにおじゃました際に厚み等が異なったシムが、いろいろと沢山あるのを見ましたが、そのたびに買っていられないし、揃えていっぱい持ってもいられないので、その度に合わせて作ります。

チラッと見えますが、どこにも使い様が無い、ピンクに染めちゃってあるマホガニーの板も使ってみました。

昔から、弦は緩める、緩めない問題はありますが、どのメーカーに関わらず、弦は緩めましょう、何巻き、何音、と言うより、緩んだと思えるところまで緩めましょう。

このようにテイラーの場合、ネックリセットは技術的に難しいことはあまりありませんが、基本アコースティックの弦楽器の構造である以上、弦は緩めましょう。

 

そして、このギターにエンドピンジャックのピックアップを付けたいのですが、エンドブロックが薄っぺらなので厚みをつけて、エンドピンジャックを仕込みます。


ジャックが付けばよいので、これくらいの大きさで、厚みだけ計算します。


クランプが出来ませんので、弦で引っ張って貼り付けます。


ジャックがしっかり固定出来ました。

このエンドピンジャックは、プラグを抜き差ししているうちに、緩み易いので、簡単に回ってしまわないように、しっかり固定して下さい。

中でしっかり食い付いていないと、外からいくら締めても、中でコードがねじねじなっちゃって、最後にはねじ切れちゃいますから、気をつけてくださいね。

 

クラシックギター ネック角度修理


指板を剥がします。


クラシックギター(スペイン式)のネックジョイント部


ハイポジション部が厚くなるように直してから貼りなおします。


サドルがほとんど出ていないのに弦高が高くて弾いていられない状態でした。

こちらのカテゴリーを作っていないので、「ネックリセット」に入れてありますが、ネックアイロン等を使わずにしっかりと修理する意味で同じなので、リセットと同じカテゴリーに入れます。それでもネックリセットの様に頻繁にはやりませんので、画像は少し多目で。

スペイン式のネックジョイントは、フォークギター(ドイツ式)のようにネックが抜けませんので、指板にて角度の辻褄を合わせます。(アコースティックギターの工法は2種類あり、クラシックギター全てがスペイン式ではありませんが、スペイン式が主流、フォークギターの主流はドイツ式。)

フィンガーボード(指板)のハイポジション部を厚くする事で、角度をつけます。フィンガーボード先端(サウンドホール側)がどの程度厚くなれば良いか、入念に確認して計算します。

弦高が下がってもサドルが低ければ、何かお徳感が無い感じだし、サドルが出すぎても何かバカっぽいのですが、慎重な作業でも実際にチューニングするまでは正確な状態はわかりません。

計算通りに行かない事も沢山ありますので、最後は経験に基づくイメージ、勘!

昔、何か聞かれて、「勘!」と言って笑われた事がありますが、そのとき大先輩の村山さん(村山工房)が「経験から来る、勘って結構中てになる。」とおっしゃっていたのを思い出します。

 

 


指板上も修正してリフレットします。


クラシックギターの指板は、どのポジションでも真平らでなくてはなりません。


上手くやらないと、端が落ちてしまったり、軽くアールが付いてしまったりして、それを直すのに余計に削る事になってしまいます。


サドルも良い高さになりました。


剥がした指板は歪んで元の位置には戻りませんので、削って合わせます。


削った跡は色と、形を合わせて、塗装を直します。


ナットはオリジナルと同じ凸凹付きで作製。


1弦、6弦が内に入りすぎているものは、丁度よい弦間に作り直します。


この修理方法はネックリセットほど、修理を繰り返せないと思いますので、どのギターも同じですが、管理には気をつけて下さい。


今のところ、少し指板が厚くなった程度ですが、これをどこまで厚くしてよいかと言う事ですね。


良いギター、思い入れのあるギターは同じものは、どこにも売っていませんので、直して使いましょう。


ハカランダボディのナイスギターでした。

 

ネックリセット / Gibson TG-oo

今回はちょっと珍しい4弦ギター。テナーギターです。

角度が悪いので、いつものようにネックリセットです。

塗装が焼けてしまわないように、なるべく早く外してやらないといけません。

ギリギリセーフ、これなら塗装修正をしなくても大丈夫です。

(蒸気を使ってネックの接着を外しますので、時折塗装が焼けてしまう場合があります。)

サドルの高さもいい感じに。

ヒールラインもきれいに密着。


今回はリフレットは無し。


ギターとは思えないネック。


シリアルNO.も見えませんので、分かりませんが、30年代でしょうか、雰囲気も音もとても良いです。

 

ネックリセット / YAMAHA L-10


 

Yamaha  L-10 のネックリセットです。

ボディ材がインディアンローズとハカランダ(ブラジリアンローズ)の2週類があり、こちらはハカランダボディ。

今の時代、ハカランダを使うには、最上位機種でなければ中々使うことがありませんが、この時代はまだ多少贅沢な使い方が出来たのでしょうか。

 

サドルは、高過ぎず、低過ぎず。

ネック角度は、ヒールを削って調整しますが、ただ角度が着けばよいわけではありません。

現行品のマーチンやギブソン等のサドルは高めの(ネック角度がきつめ)のセッティングであったり、古いギターは高くし過ぎず、雰囲気も気にしますが(構造上、高く出来ないものもある為)、基本は高すぎず、低過ぎず。

指板やフレットに難が無ければフレットすり合わせ、難があれば、指板修正、リフレットも作業に加えます。

当方、ネックリセットの際のリフレットは、通常リフレットより割安でやりますので、状態が然程悪くなくても、フレット交換の時期であれば、一緒にやってしまえば改めてやるよりお得です。

ナット交換も込みです。

ヤマハはヤマハの雰囲気に仕上げます。

ちょっと暗っぽいですが、板目のカッコよい、ハカランダです。

柾目の方が高級ですが、個人的には板目の方が好きですね~。

 

ネックリセット / Gibson J-45 40’s


 

古いGibson(40年代)のネックリセットです。

ネックを外す際は、蒸気を使いますので、ギブソンのように外し難いものは時間が掛かって蒸気で塗装が焼けてしまう事があります。

焼けてしまったら、塗装は修正しなければなりませんが、ここまで古くてクラッキングも派手なものは、塗装を部分修正すると周りと雰囲気が多少変わってしまうので、出来るだけ焼けないようになるべく早く外したいのですが・・・

今回も、セ~フ。

古い楽器(特にアコースティック)は必ず修理暦がありますので、過去の修理屋さんが蒸気でも外れないような接着剤を使っていないか等と考えると、いつもちょっと緊張します。

 

 

 

 

ネックが色濃く着色してあり、分かり辛いですが、中から見ればメイプルとローズの5ピースと言うのが分かります。

いつもですが、古いギターは、材料の質が良いのか、時間が経ってそうなるのか、木が硬くて、ノミを使った場合、ノミがすぐに切れなくなります。

ネックに角度をつけると、ジョイントから指板が下がりますので、厚みをつけます。

この場合0.5mmのローズ板を3枚使って、14フレット部(0mm)から指板エンドに向かって(1.5mm)厚くなるように貼ってあります。

ヒールは接着してない状態でテンションがかかっても隙間が出来ないように調整します。

この塗装の雰囲気ですから、修正しなければならなくなった場合は、難しいです。

ですが、同じようにはなりませんので、それなりにやるしかないのでしょう。

古いギターのサドルは、出来ればあまり高く無い方がカッコよいのですが、サドルを高くしたい人は多いです。

高くしたくても必然的に高く出来ない場合もあります。

古いGibsonの音は、本当に迫力がありますね、これだけ修理してこの音はすごいです。

この固体の場合、力木や割れ等かなり修理しましたので、弾き込んで元に戻った音が聴いてみたいです。

※個体差はありますが、修理後若干鳴りが変わる場合がありますが、弾いて行くうちに元の音か、それよりもう少し良くなって行きます。

ネックリセット / Gibson J-200 (extension付き)60’s

先頃修理した、エクステンション付きのJ-200 の少し年代が進んだJ-200です。

こちらは過去にネックリセットしてある事が分かりましたので、通常通りネックを外しました、この過去の修理者ご丁寧にまたトップをふさぎ直してセットしてあり、それなら外れないはずなのに破れて、外れました。

エクステンション付きJ-200 ← こちらを見て頂ければ、どんな様子か分かりますが、またトップを塞いでしまうのは、オリジナルに忠実にと言う意図だと思うのですが・・・。

管理の良いオーナーに渡っていけば、修理はせずに状態はキープ出来ますが、この先20年後、30年後、もっと先、修理をする事を考えてくれれば、また塞いでしまわないでしょう。

「アコギは、必ず修理して時代を渡る。」 という事を知らないか、考えていないか、と言う修理でした。

ネックに角度をつければ、ジョイントから指板が下がりますので、厚みをつけますが・・・段差がついちゃって・・・

この修理者、私のように悩まず、構造を熟知して上手くネックを外しているのですが、その先が塩梅よくないです。

 

 


 

この時代のJ-200 の特徴は、トップミュート が仕込まれているところです。

ボディ内に横にバーを渡してそれを介してトップにステーが当てて有ります。

ちょっと画像が分かりづらくてすいません、(鏡に映しています。)ブリッジよりサウンドホール寄り当たっているのが分かるでしょうか。

それでトップの状態をキープ出来ると言う訳です。

当然音にも影響がありますが、これはこれで独特のサウンドです。

 

ネックを外す際は、蒸気を使いますので、なるべく早く外してやらないと塗装が焼けてしまいます。

特にこのようにヒールが太いヤツは、外れ難い傾向があります。

Gibson , Guild等は、ある程度塗装は、修正する事も込みでリセットに掛かります。

このように塗装が焼けずに残るのは中々難しくて、やってみなければわかりません。

やはりGibson,Guildのリセットの3割前後は塗装が焼けて、修正しなければなりません。


リフレットは、通常通り。


ナットも作り直します。


かっこいいです。

 

ネックリセット(ボルトオンネック) / Martin


こちらは、Martinのボルトオンネックのボディ内のネックブロック部です。

Martin に限らず、ボルトオンネックの場合は、大概ここにプレートかラベルが貼ってあり、ボルトの目隠しをして有ります。


目隠しを取ると、ボルトが現れます。

Martin 以外は、ここのボルトを外せばヒールが外れます、がMartin はボルトオンなのに接着しているので、結局ダブテールジョイントと同じく蒸気を使って接着を緩めます。


右上に写っている黒っぽいのが、蒸気発生器のエスプレッソマシーンです。

取る方法はダブテールジョイントと同じですが、ジョイントの形はダブテールではなく、ストレートなので、前に押し出さなくても抜けます。

 


これ位出ているサドルが好みの方が多い気がしますが、個人的にはもうちょっと低い方が好みではあります。


ネックの角度を直して、ハイポジションが下がった場合は、指板に厚みをつけます。

(0.5mmローズの板で底上げ↑)

過去に指板を大分削っちゃっている場合や、角度がかなり狂っていた場合は、1.5mm位底上げする事もしばしば有ります。


よくMartin と Gibson は比較されがちで、Martin は真面目でGibson はいい加減のように言われますが、実際は逆の部分も多くて、これまで数え切れないほどネックを外してみて感じる事は、ボルトオンで接着しちゃうのは自信の無さなのかとも思ってしまいます。

(ヒールに隙間が出来ちゃうのは近年のMartin くらいしかないのです。)

ジョイントの木工精度はGibson の方が上です、大分。

Martin は大好きですが、Gibson の名誉の為言っておきます。

悪しからず。

どのメーカーもコンピューター制御で切り取られたパーツをセットしているのですが、それにしてもLowden はすばらしいです。何と言うか、心意気と言いましょうか。

また、折があれば触れてみたいと思います。

角度が狂うのはジョイントの精度の問題だけではないので、悪しからず。