スタッフの山口です。
ネックリセットばかりで申し訳ないのですが、今回も例外なくネックリセットです。次回もネックリセットかもしれません。色んなギターのバリエーションで楽しんでもらえれば幸いです。
弦高チェック。
6弦12フレットで3.3mmといったところでしょうか。
1弦12フレットで2.5mmほど。普通の人なら十中八九弾きづらい弦高です。
一般的に「弾きやすく音も良い」と言われる弦高は2.4mm-1.7mmの±0.2mm程度だと思います。
それ以上だと弾きづらく、それ以下だと弦高が低すぎて音がペタペタする傾向があります。
サドルもこんな感じなのでネックリセットを決断して正解だと思います。
50年代初頭は40年代と似たブリッジですね、この感じ。
Gibsonはセットネック後の塗装なので余計なチップをしないように切り込みを入れておきます。Martinは塗装後の組み込みなのでこの作業は不要です。メーカーによって違うのもまた面白いですね。
いつものようにダブテイルジョイントを温めてネックを外します。
約2時間ほどで外れました。Gibsonはシリアルナンバーにしても仕様にしてもいい加減な印象を持たれがちですが、決してそんなことはありません。
ネックを外して恒例の記念撮影。
指板やボディも無事で何より。ネックリセットはネックを外す工程が一番リスクが高いのです。
ネック角度を適正に直し終え、いざ接着です。
そういえば1952年当時もロッドエンドはまだここなんですね。
接着後はしばらく寝かせておきましょう。
ボルトやビスで組み込まれるエレキギターと比べると、アコースティックギターはほとんどが接着剤で組まれていて接着の待ち時間が多いので修理に時間がどうしてもかかってしまいます。
数日後、ダブテイルスポットに繋がるドリル穴を埋めてフレットの擦り合わせ。
ネックリセット後はフレット交換か擦り合わせを行います。
ナットの溝が深かったので今回は底上げで対応。写真をよく見ると分かります。
次回フレット交換の際は交換になると思います。コストをかければもちろん交換も可能です。
サドルのでしろが復活。
んー、ちょっと高めに見えますが、、
6弦12フレットで2.5mm、
1弦12フレットで1.8mmと若干高めなので、調整幅や近々フレット交換をすることを考えれば許容範囲です。
ヒールも綺麗に仕上がったのではないかと思います。
反対側も。ちなみに塗装修正は無し。
塗装修正が必要な場合はあと1週間以上はかかります。
ヴィンテージギターを主に扱うショップ在庫が僕の主な担当なので、GibsonやMartinのヴィンテージギターをたくさん修理させていただきとても光栄です。が、そんな高価なギターを派手に壊してしまって絶望する、という悪夢にうなされることがよくあります。
ハッと目覚めて「夢で良かったー」と脂汗を拭きながら安心しますが、それが自分への良い戒めにもなっていますので、職業病と思って付き合っていくしかないと思う今日この頃です。
今回も最後までありがとうございました。