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ブリッジ交換、ネックリセット / Gibson CF-100 (山口君のページ)

スタッフの山口です。今回のギターはGibson CF-100のブリッジ交換とネックリセットの修理です。まずはネックリセットの前にブリッジ交換。初めからブリッジが無い状態でこの工房に入院しましたので交換と言うか作成です。写真に写っている角材をちゃんと50年代のGibsonらしいブリッジに成型して行きます。

ぴったり元のブリッジ跡に合わせて切ったり削ったり。オーバーサイズはカッコよくないのでNGです。

ブリッジ材がまだ平たいうちにボール盤でピンホールの穴あけをする必要があります。手前に見えるのは他のギターのブリッジプレート修理の際に余ったメイプルの切れ端。こちらを経由してトップに空いたピンホールにぴったり同じ場所に穴を空けます。


ちょっと飛んで、、、ブリッジの成型が終わり接着できたらネックリセットに移ります。いつも通り15フレットにヒートスティックを挿してダブテールジョイントを温めます。アコースティックギターのネックがこうしてちゃんと外して修理できるように設計されているってすごいなって思います。それを言ったらボルトオンジョイントは接着剤を使わない分もっと効率的と言うことになりますが、、、。


無事にネックが抜けました。弟子入りして初めてこの光景を見た時はとても不安な気持ちになりました。今はすっかりシャッターチャンスに。インスタ映えってやつですね。


前回リセット時のシムが張り付いています。近年のマーチンはこのシムに厚紙を使っている時があります。紙も同じ木が原料だからと考えての事だと思うのですが、当然接着剤で一度ふやけた紙は弱く、ネックが緩んでヒールに隙間が出来てしまう事が多いです。

温められてスライム状になった接着剤を取り除いたらとりあえず一晩乾かします。画像はありませんが、その後綺麗にしてから角度を決めたり指板を足したりして再接着です。

オリジナルに忠実ないい感じのディテールで仕上げる事ができました。本来はブラジリアンローズウッド所謂ハカランダのブリッジですが、今回は先鋒と相談の上、インディアンローズウッドでの作成となりました。当工房にもブラジリアンローズウッドのブリッジ材は辛うじてまだ在庫があります。当然またいつ仕入れられるか分からない状況ですのでブラジリアンローズウッドのブリッジ作成交換を予定している方は是非お早めにご検討下さいませ(^-^)/

この後は弦長を測ってオリジナル通りロングサドルの溝をルーターを使って掘ります。

できるだけ細かいディテールにもこだわり、長い時間と労力をかけ、さらに師匠の指南も加わり無事復活です。ルックスもいいですが音も良し。非常に軽くて乾き切った音。人それぞれ好みもあるとは思いますが、きっとこれは「良いギター」です。所有はできなくてもこんな良いギターを弾く事ができる、この仕事のいいところだな〜といつも思います。