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ロッド交換、ネックリセット / Gibson J-45


 

いつもお世話になっております。スタッフの山口です。最近僕の担当回はGibsonが続いていますが今回もGibsonです。60年代J-45のロッド交換とネックリセットというかなり大掛かりな修理を見て行きたいと思います。

ロッドが限界まで締め切られていて効かなくなっています。角度も狂っていてネックも順反り、ロッドも効かない。ネットオークションなどではあり得ますが、定評のある某ギターSHOPがこのまま売るわけには行かないコンディションと言えます。ということでご依頼に感謝して進めて行きましょう!


まずは指板を剥がさなくては始まりませんので3箇所ほどフレットを抜いてダボ穴をあけておきます。


例の年季の入ったネックアイロンで指板を温めます。師匠に聞いたところ中尾貿易時代から使っているモノで30年選手らしいです。( ゚д゚;)


1時間程かけて無事に指板を剥がせました。思っていたより綺麗に剥がせて一安心です。


メイプルの埋木の下にロッドが仕込まれていますのでなんとか埋木を除去しなければお目にかかれません。まずはドレメルルーターをフリーハンドで慎重に。。

デザインナイフで切れ目を入れたり細いノミを使ったり。古い接着剤も同時に除去します。

アジャストロッドのお出ましです。中々お目にかかれない貴重な瞬間です。

無事に古いロッドを抜いたら今回はネックリセットも同時に行いますのでダブテイルスポットを温めます。画像の通り指板を剥がしてジョイント部が見えていますので効率よく温められます。通常のネックリセットよりも安心安全。

綺麗に外れました♪


ネック角度修正の前に新しいロッドを仕込みます。Gibsonのトラディショナルロッドはシンプルな作りです。ネックの長さに合わせてカットします。


溝も新しいロッドを埋め込む前に溝を調整しておきます。


ダイスでロッドのネジ山を作ります。この道具がダイスという名前だと知ったのはつい最近。「ねじ山作製器」とか「ねじ山作製ハンドル」の方が誰にでも分かるのになんでサイコロの別名と同じなのか不思議です。


どの工程においても大体このくらいでOK、と師匠が横で教えてくれるので安心です。


ロッドの溝のアールにピッタリの埋木を作ります。溝の形状を正確に把握するための手前の道具の名前は「測定ゲージ」or「型取りゲージ」というらしいです。


いざロッドを仕込みます。次にお目見えするのは何十年後になるんだろう、とロッド交換の時は毎回考えてしまいます。


埋木を平らになるように削ります。


後はダボに合わせて指板を接着し、ネックの塗装修正をしてロッド交換は完了です。


最初の画像と比べると一目瞭然、新品同様のアジャストロッドになりました。


後はいつものようにセンターがズレないようにネック角度を調整します。

 

フレットをすり合わせて磨いて行きます。

なぜかこの画像で終了。肝心の完成写真を撮り忘れて納品となりました。(*_*)

ロッド交換は費用もやはりそれなりに、またお預かり期間も長くなってしまいますが、大切なギターのロッドがダメになってしまった場合は皆川ギター工房までお問合せくださいm(_ _)m