ブリッジ
ネックリセット&サドル溝修正 / Martin D-28 1962
ネックリセット、ピッチ修正、ピン位置サドルと並行に / Martin D-18
ネックリセットします。
山口君も随分と上手くなっちゃって最近は山口君の専門職みたいになっていますが、私だってやるんです。
その他にも今回は、拘りの修理が入ります。
どう拘るかと申しますと、ピッチを出来る限り正確に合わせたい。と言う事です。
ギターなので、ビッタっと完璧に合わせる事は難しく、弦が変わればそれでピッチがズレてしまう事もありますし、弾く人によっても変る事もあります。
ですがそのようなご依頼ですので、出来るところまでやってみる回です。
こうすれば、6弦がサドルに近すぎにならない様に出来ます。
1弦は元の位置でも問題無いですが見た目の部分と、サドルと弦が近くなった事で将来サドルがギリギリ低くなった時には有効です。
が、そうならない様に管理しましょう。
弦の乗る位置を上げたり下げたりしてピッチを調整してあるサドルは、現在主流と言っていい位の割合でどのギターにもついています。
個人的な考えではアコースティックギターには必要が無いと思っております。
上記にも書きましたが、弾く人、弾き方によってもピッチは変わりますので、しっかり図った位置にサドルの溝があればかなり十分ですし、チューナーで確認しなければ分かり難い位のズレなら、それ位の方がかえって音楽らしく(生々しく)さえあると思っておりますし、上手い人なら全く問題にしないですし、何しろあのサドルの見た目が嫌いなのです。
この意見は全く私個人的な考えでございますので、ものすごくこだわる方を非難している訳ではございません。
こだわりが無ければ個性も薄いかもしれません、拘る所が大事なんだと思います。
悪しからず。
「何弦の何フレットがちょっとビビる。」と言ってポーン、ポーン、ピーン、ピーンって何度も鳴らしてる人を何回か見たことありますが、…
明らかにビリビリしてれば気になりますが、曲の流れの中なら尚更気にならないはずなのですが、…そう言う曲なのか…?
先程も書きましたが上手い人やプロなら全く問題にしません。
ついでに言うなら、他のギターは大丈夫と言いますが、そのギターはそれでは無い。
気になるレベルは人によって違うので、これも難しい点ではございますが、どうしても気になるようでしたら精神衛生上よろしくありませんので専門店にてご相談ください。
書いているうちにこれは難しい問題だと気付きました。
ショップで「こんなもんですよ。」と言われたと、しばしば耳にしますが、もっと良くなる(良く無いままの)場合がよくあります。
ですので、「こんなもんです。」は「うちのレベルです。」と解釈してください。
ですので、皆川ギター工房は「これが限界です。」と言う事がありますが、「皆川ギター工房のレベルはこんなもんです。」と言っていると解釈して頂いて結構でございます。
世の中には、上手い人やすごい人が沢山いるものでございます。
ブリッジ交換 / Martin 00-18
数え切れないほど本物のビンテージアコギを見てきた師匠に細かいところまでディティールを相談して進めます。図面や採寸データだけでは及ばないレベルまでできてこそ職人だと思っています。AIや3Dプリンターには無い魂がそこにはあるのです。
めっちゃかっこつけたこと言ってますね(^O^)でも本当の事です。
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
ブリッジ貼り直し / Gibson J-45 1968
ブリッジ剥がれ修理 / Martin C-1R
見慣れた人なら、今回はクラシックギターのブリッジ剥がれね。
と言う感じでございます。
クラシックギターであれば張力もフォークギター程無いのだから弦も貼りっぱで大丈夫でしょ。
と思っていますと何かしら不具合が出ます。
クラシックギターでも張力は60Kg位は掛かっていると思いますので、大人がぶら下がったと同じ位の力が掛かっています。
製造上不具合があった場合は、「ちゃんと管理してたのになー。」という場合もあると思いますが、気に入ったギターなら仕方ないとあきらめて修理しましょう。
ネックの角度が狂っちゃったり何か変な事になるより、こういうのでしたら全然マシですね。
この後、このギターの画像がありますが、とても特徴のあるギターで仮にネック角度が狂ってしまったら、どうしましょ。
私に修理出来るのでしょうか、と言うギターです。
トーマス・ハンフリー(Thomas Humphrey 2008年没)という製作家の方とMartin のコラボレーションらしいです。
レイズド・フィンガーボードを考えた人でこれが、音響上、演奏上とても優れたギターと言う事です。
確かにクラシックギターの演奏者は、12フレットジョイントのギターで16~7フレット位まで普通に弾きますから、そのポジションは楽だろうと思います。
世の中には天才的な人が沢山いるものだと思います。
沢山売れた商品を考えた人は天才で、あまり売れなかった商品を考えた人は凡才、そんな風に思ってしまいがちです。
でも良いか悪いかなんて、好きか嫌いかで左右してしまうものだと思っていますから、「ありゃ駄作だったなー。」なんて物でも好きな人にとっては「なんでこれの良さが分かんないのかねー。」となります。
私が昔仕事でお世話になっていたOvaiton 等は最たるものでじゃないでしょうか。
いっぱい売れましたから成功は成功ですが、嫌いとはっきり言う人も多いと思います。
私達やお店の人たちは客観的に意見を述べているつもりでも意外と好き嫌いの感情が何となく入っている事もあるんじゃないでしょうか。
ですから、楽器屋へギターを買う事を決めて行く方に多いかと思いますが、出来るだけ良いもの、良い物をとプロの意見を求めがちになりますが、「これが好き!」と言う直感が1番大事だと思います。
楽器は買いに行くものより、出会ってしまったものの方が遥かに自分にとって良い物ですから、良い物を買いには行ってはいけません。
何故ならそこ以外にもっと良い物があるから。
時々楽器屋に見に行って触らせてもらってください。
いずれ一期一会の出会いがあるはず。
フレット交換&ピックガード矯正 / Martin D-28 (1950)
先日NHKで福山雅治さんが所有する1940年製D-45をマーチン本社に修理依頼するという企画を軸として、マーチンの歴史や本家としての伝統を重んじる気概やこだわりを紹介する番組が放送されていました。修理方法や引退したマーチン職人の「計測は2度、切るのは一度」という言葉など印象的でとても興味深く、勉強になりました。
僕の師匠のさらにその師匠にあたる大先輩が何十年も前に本家マーチン社でその伝統的な修理方法を学び、日本に持ち込んだ、という話を皆川氏から聞いたことがあります。マーチンのスピリットが日本で世代を超えて受け継がれ、そしてちゃんとこの僕自身にも受け継がれていると思いました。自分ももっと経験を積み、学び、そして技術を磨き、それを次の世代に伝えることの大切さなど、勝手にその壮大な使命を感じました。
番組後半に福山雅治さんが「この貴重なギターを僕が所有することで、この音をレコーディングやライブを通して皆さんとも共有していきたい」的なことを言っていたのがとても好感が持てましたね!
ということで最後は少し話が外れてしまいましたが、今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
ブリッジ剥がれ修理 / Martin D-28
いつも言っておりますが、ブリッジは反っていますので接着面は合わさるように整えなければなりません。
古い接着剤は掃除する事は当たり前ですが、そのままの面では隙間は隙間のままです。
オールドギター好きはどうしても「ハカランダ」「ブラジリアンローズ」この2語に反応しがちです。
材料的には柾目の方が貴重で珍重されますが、なぜか私達位から少し上の世代の方は板目が好きと言う方が多い気がします。
柾目の場合、杢目が整い過ぎていて面白くないというか、かえって綺麗さが半減しているというか。
その反対に板目は、このハカランダ特有の分かり易くうねうねした杢目に美しさを感じ取る人が多いのですね。
私も板目は美しいと思います。
ブリッジ剥がれ修理 / Gibson Dove
ブリッジを剥がす際にヘラを差し込んで剥がしていきますが、その際に周りが擦れてしまわない様にマスキングテープを貼っています。
ブリッジを貼り直す必要があるか否か、どの修理に関してもそうなのですがオーナーや修理屋によって少し違ったりします。
ちょっと隙間が見つかったら貼り直す人、隙間はちょっと位で心配いらないのなら様子見、もしくは応急処置程度、剥がれている場所で決める人等々、判断が分かれます。
私の場合はちょっとなら剥がさないをお勧めして、あとはオーナーと相談と言う感じです。
「それならまだ修理はしなくていいか!」
「折角の機会だから修理しますわ。」
と、どちらかになります。
こちらのDoveは「剥がさなければなりませんね。」の雰囲気だったと思います。
貼り直す際は、両面(トップ側、ブリッジ側)を整えてから貼り直します。
剥がれているブリッジは反ってしまっている事がほとんどなので、きれいにしただけでは密着しないのです。
それを踏まえますと、剥がさず部分接着する場合はクランプなどで圧着するのはあまり良い方法とは考えておりません。
歪んでいるものを無理やり押さえつけているのですからまたすぐ剥がれて来てしまう可能性があります。
その場合は圧着せずに、隙間を充填する形で接着します。
充填ですから対応できる状態には限度はあります。
このクランプの仕方は昔から変わらずの方法です。
最近では、専用のジグを考えて使っている方や、なんかバキューム式と言うのでしょうか、そんなのも見たことがあります。
剥がす際の温め方も現在では、ラバーヒーターが主流になって来ていますが、うちでは昔ながら同じ、ライトで温めています。
大分前にラバーヒーターメーカーにオーダーしようと相談した所、わざわざここまで来て頂いていろいろ教えて頂いた事があります。
その結果、その使い方は危ないのでお勧めは出来ません、との事でそれ以来相変わらず昔のまま、今に至る。と言う感じです。
何しろ熱がすごくて、密着されていない部分は異常発熱するので、非常に危険との事でした。
使ってらっしゃる方々は、どうやっているのかしら。
その時は、ブリッジプレートを温める物をオーダーしたかったので、そりゃ考えてみれば危険。
新品のようにまっさらで密着していないとは言え、ある程度密着しているのに、あるったけのバカ力でクランプを掛ける人がいます。
馬鹿力を使ってはっ付ければ強く付くと考えるのでしょが、ちゃんとつくか否かは、貼る前の段階にあります。
なので、これと同じで部分接着の際も、力で貼り付けてもだめなのです。
ブリッジ交換 / Gibson Humming Bird
ノーマルサドルの方がピックアップも選ばないので使い勝手はいいかもしれません。ただ個人的にはアジャスタブルサドルのGibsonサウンドが好きです。
最近は弦高を調節できるというメリットよりも、アジャスタブルサドルのサウンドが好きだから、という理由で選んでいる人の方が多いのではないでしょうか。「パーカッシブ」な音ってヤツです。
ブリッジの接着面(トップ側)の塗装が剥がされていないので「プラスティックブリッジっだったのでは、」と言っておりますがプラスティックブリッジでは無く、木のブリッジが貼ってあった跡ではないかと、私思います。
書き足し…皆川。
確かに。ボルト跡がないのでこれこそ塗装の上からブリッジを接着してたパターンですね!失礼しました(>_<)
書き足し‥ 山口。