こちらのネック折れ修理は、出来るだけきれいに仕上げる為に塗装修正をして仕上げました。
見た目は気にしない方は多いですが、折角気に入ったギターきれいに直したい心情も分かります。
塗装修正した仕上げも仕上がり具合が同じではありません。
「塗装修正あり」の場合も見比べて頂ければ、得意不得意などがあるかもしれません。
見るだけでなく、読んでいただける方は、古い記事の方が一所懸命何か書いてますので、読んでいただければ幸いです。
割れは大概、外側(上側)に盛り上がっているのですが、Ovation の場合はそれが固くて平らな感じには戻りません。
塗装膜がポリウレタンで分厚い為か、なぜかは分からないのですが平らな感じにはなりません。
力木もファンブレイシングで、C型のクランプでは挟むところが限定されることが多く、このように上から押しつぶして接着します。
Ovationの場合、ボディが木ではない為に歪みがトップに出やすいと聞いたことがあります。
詳しく考えたことが無いので、鵜呑みにしています。
多分そうなんだと思います。
多湿度の季節と乾燥の季節があり、膨張と収縮を繰り返し、木は居心地の良い方へ動いてしまいます。
全体が木であれば、トップやサイドバックがお互いの変化にある程度合わせられるが、Ovationではそうはいかない…
そしてこのギターは、リフレットも行いました。
後半は早足でしたがネックリセットも完了。
ブログでは1日で終わった修理のように見えるかもしれませんが、接着の工程を何度も挟んだりするので実際は数日〜数週間、内容によっては1年単位でお預かりする場合もあります。納期に追われて急いで修理してもろくなことがありませんので、お預かりする期間が長くなってしまってもご理解いただけるとありがたいです。
自分はせっかちな性格なので、セカセカと熱くなって作業していると「急いでやっても失敗するよ、急がず慎重に。」と師匠皆川氏の一言。ふと我に返りクールダウンします。
当方のお客様や、いろんな方のブログ等を見ておりますと、すごく早い人で1~2年位でリフレットの時期が来てしまうようですが、例え減ってしまっても演奏上、不具合、違和感が無ければ大丈夫!
弾いて!弾いて!弾きまくってください!
修理前後の見た目が変わったように見えませんが、修理前と後です。
塗装が欠けてしまっている部分は、クリアで盛り上げてツルっと仕上げてますので、手触りに違和感はありません。
ネック折れ修理の仕上がりの雰囲気はいろいろあります。
過去の修理例も沢山見て頂ければ幸いです。
0フレットのギターのナットは単なる弦のガイドなので、難しい調整はいらない代わりに、0フレットを1フレットより気持ち高いフレットを打ちます。
ですが、1~6弦まで丁度良い高さのフレット等はありませんから、ナットを作るより面倒な調整になる事もあります。
リフレット(フレット交換)はセットです。
※オールドギター等、指板調整はしない場合もあります。
ピックアップを取り付けます。
アジャスタブルブリッジにはインブリッジタイプのP.Uは付けられません。
下の画像の様にピックアップに合った形に溝を直します。
元の溝に埋木を接着して完全に固定しているものも時折見ますが、元のアジャスタブルブルブリッジに戻せるよう接着はせずに、アンカーも残したままの方が後々ピックアップが要らなくなった時には楽に戻せますのでその方が良いかと思います。
溝はしっかり接着した方がしないより音が良いと考えたのかと想像します。
理屈では間違いないと思いますが、聞いて差が分かるかと言えば、そこまで(どこまで?)差は無いと思います。
ほとんどの事が主観で判断されますので、断定できる事はあまりありませんが、その人が「そうなんです。」と言うならば、そうなのです。
エンドピンジャック・キャップはジャックと面位置(https://www.m-guitars.com/blog/3525/)か少し出ている位が良いのですが、エンドブロックの厚さによってはそこまでジャックを出してしまうとしっかりロック出来ずに後々緩む事がある為、無理に面位置まで出さずにしっかりロックする事が重要です。