
スタッフの山口です。今回はご依頼いただくことが多い修理、ネックリセットとブリッジ交換のコンボです。ネックの元起きが進んでしまいサドルを限界まで低くしても弦高が下げられない場合、写真のようにブリッジを削ってサドルの出しろをを確保するのです。
ビフォ-の画像で見て頂きたいのが、フレットのエッヂ部分。
斜めに削り込んで無く、エッヂが立っている感じです。
こういうの、私個人的には非常に好感が持てます。
何かと申しますとエッヂを立てて仕上げる場合、手にチクチク触るので出来れば斜めに落としてしまいたいのです。
工場レベルの仕事であれば尚更手間がかからない様に作業したいはずなのです。
これは全く私個人の主観ですが、高いギターでもフレットのエッヂを見て、そんなことは無いのだろうと思いますが「こういうところ、手間を掛けないのね。」と思ってしまいます。
そんなこと(手抜きで)は無いのはよくわかっています。
そういうのを作っている方からは、「他んところ、手間が掛かってるでしょ!」と言う声が聞こえて来る気がします。
スーパーグルーで接着されている割と安価なギターではブリッジはあまり反っていないにも関わらず剥がれているものも少なくありませんが、そうでないものは反っている分隙間が開いている事がほとんどです。
クラックも入ってしまいましたが、それも想定内です。
本来なら底面を平らに削って接着面を調整しますが、これだけ反っていますのである程度戻さなければ削って修正するには大幅過ぎます。
こちらのOvationはよくわからないので、調べてみましたらちょっとしかインターネット上には出て来ず、なんと限定3本のようです。
私が中学生の頃はビデオ等ありませんから、週に一度「ザ・ベストテン」に出ているアリスを見て、一瞬映るか映らないかのべーヤンの手元を凝視してました。
「おー!フラットピックでスリーフィンガーやってるー。」と言う感じで。
情報が本当に乏しかったし、雑誌だって当時の私にとっては高価だし。
ほとんど弾き方も何もかも想像でギターに携わっていました。
頼りはコード譜の本とラジオとレコード。
それと演奏が一瞬映るテレビ。
「1週間でギターが弾ける本」は見たけど…弾けるようにはならなかった。
エレキなんかは、Vo10にすれば歪むと思ってたし、「なんで、ロックの音になんないの?大きくなるだけなの…?」
今の子達は羨ましいような気もするけど、昔は面白かったな。
先ずは中1の時、「音合わせって?」
「ピッチパイプっていうのでやるのか!」→「笛の音じゃん!分かんねーよ。」
私、音感なぞはありませんから、そのうち音叉と言う物を知り、めでたく音合わせを体得しまして、
自転車で行ける楽器店に出かけて行き、ピック2枚買って、お店のおにいさんにいろいろ教えてもらって。
お店のお兄さんもさぞ、子供相手に面倒くさかったことでしょうな~。
この場を借りまして、昔の大人の皆様ありがとうございました!
この粘着テープを除去する際に、ショップ店員さんや他の修理屋さん等は「親指がいたくなります。」や(粘着テープを浮かせるためにオイル使用)「オイルをボディの中にこぼしてしまいました!どうやって跡を消せばよいですか。」等々いろいろ伺いました。
これが大変で、魔法は無いので工夫しながらガンバルしか無いのです。
これなら大丈夫かと言えば、しっかり圧着させたいのでクランプもそれなりにしっかり締めると強くクランプが掛かっていた跡が付いています。
なので、温めて跡が消えやすくなる様にしたりしますが、温まって剥がれやすくなってしまうのも嫌なので、いずれにしても跡が消えるまで時間が掛かります。
そしてこれは、将来的にどの位持つのだろうか。今も剥がれていないのだろうか。
心配なら作り直すしかないでしょう。
https://www.m-guitars.com/blog/3755/
メーカーは不良が出たら、「それじゃー、次からは素材を変えて作りましょ。」となるのだろうが、過去の不良も何とかならないですかね。
ブログの趣旨としてはビフォーアフターなので、ビフォが無いのはブログにはならないのですが、
茶色テキサンはちょっと珍しいので、皆さんにも見て頂こうかなと、ただそれだけです。
在庫を持っているショップもありますが、現在では随分と相場が上がっちゃって、昔を知っている身としては「あ、そんなビンテージになられたのですね。」と言う感じでしょうか。
昔自分が使っていた、黒いJ-45然り、昔はただ黒いJ-45でしか無かったのに数が少ないカラーは現在は扱いが違うんですね。
こちらのTexsanはサドルが固定式に変更されています。
よくある改造ですが、アジャスタブルブリッジのアンカーまで取ってしまう拘りなら、穴も埋めてしまえばいいのに、将来的に戻しやすくしたのなら、付けておけば良かったのに…
修理や改造はよっぽどヘンテコリンな事をしない限り、別に正解がありませんので、それぞれの考えがあると言うところでしょうか。
弦の穴を一旦くり抜いて、きれいな穴に直しています。
(鏡を2枚置いてブリッジプレートを写している状態です。)
過去にもいくつかブリッジプレートに関してのブログがありますので、そちらもご覧いただければ幸いです。
本年もよろしくお願いいたします。
ブログに上げるものがいつも同じ内容ばかりで、書く事がもうないので同じことを何度も書いているかもしれませんが、そこはご了承くださいませ。
何を書いたら良いのか最近はホントにわからなくなっていますが、私のこの仕事へ携わる切っ掛けは、1987~1988年この頃にクロサワ楽器のお茶の水駅前店にアルバイトで雇ってもらった事です。
この頃のこのお店はアコースティックギターが中心で、それが今の私の仕事に繋がっています。
そこには、当時のクロサワの1番良いアコースティックギター(クラシックギター、フォークギター)が在庫されていたと思います。(新大久保店が出来るまで。)
そこには連日クラシックギターマニアのお金を持ってそうな、おじ様達がこぞって店長らとギター談議に花を咲かせておりました。
常連さん方から度々聞こえてきたのが、オールドギターの良し悪しについて。
製作されてから何年後位がピークで、何年後以降は落ちていく…そんな話。
パワーが無くなる。とか
100年で寿命だとか…
(ギターの歴史位だと思うんだが、材がどーのこーのだったような…記憶の遥か彼方)
そんなようなことを断片的に何度か聞く事がありました。
バイオリンってなんで寿命が長いのかなと?ふと思ったりしたことがあったのです。
バイオリンの寿命等聞いたことが無いし、バイオリンの100年物はまだオールド等とは呼ばれず、モダンと呼ばれてしまうそうなのですが、「なるほど。」
バイオリンはあの大きさに対してあの位の板の厚みがあるので強度も違い、楽器の成熟する時間も違うのかと自分なりに考えたりしました。
古くてどうしようもないバイオリンは一旦バラシて組み直すなんて事も聞いたことがありますので、だから永遠に寿命が来る事が無いのかと。
組み直せるんです。
アコースティックの弦楽器は接着でいろんなパーツが組み合わさって出来上がっています。
古くなり音が枯れる原因は、そこなんだと思っています。
接着剤のニカワがカスカスになってしまう物があります。
ギターは力木でバランスは取れているとは言え、あの板の厚みしか無く楽器はあの大きさがありますから、100年もしたらそれは枯れ具合は相当なものでしょう。
この仕事を始めた頃は、それが出来ればギターも寿命知らずになるなと考えたりしましたが、バイオリンの様には出来ないからギターはバイオリンのようには残って行かい結論なのか。・・・確かに。
おじ様達の100年寿命説はどっから来たのか、今考え始めてしまいました。
あの時のおじさん達の雑談に今、振り回されております。
そうなると100年物のギターなんてそれこそトーレスだったりは、かなり頑張って直しながらそこまで来たかと思いますので、寿命と言う表現を使う時期はもっと早いのかもしれません。
クラシックギター(スペイン式)はネックを外して直す事が出来ないので、弾き辛いギターはそのまま諦められて、弾き辛いまま音がどーのこーの、なのか・・・それならそれを寿命と言われるのは忍びない気がする。
今思えば、あの当時のクロサワに来てたクラシックギターマニアおじ様達の100年寿命説は、その常連さん達の話では無く、度々暇つぶしに来るあの声のでかい常務が言っていた事が「おじさん達談議」として私の中に残っていたのかなとも思ったりもします。
100年なんてどっから出して来たのだろうか、書きながら今思っていますが、きっとそれ位のギターを弾かれた経験がある方が言った事なのでしょう。
いずれにしよ、何年物だって枯れた音が良いし、その音が好きなら寿命などではないし、物足りなければそれを寿命と言う人もいる。
何につけ、言い切る事は出来ないのだと改めて思うのでありました。
年初めから画像とは関係のない話になってしまい、取り留めのない感じになってしまいました…。
こんな感じですが、本年もよろしくお願いいたします。
ネック折れをホームリペアでトライしたもののダメでした、と言うよくあるケースでございます。
接着剤の種類はおそらく何かしらの木工用の接着剤かなと思いますがタイトボンドなら、これだけ接着面が大きいので、ちゃんと接着していれば、もしかしたら再発せずに普通に使えたかもしれません。
但しそれは最初の修理の際の事で、2度目なら補強が必要だったと思いますし、再接着するならば古い接着剤は取り除かなければ補強があってもやはりだめだったかもしれません。
付着している接着剤を取り除くのに、こうなっているととてもやり易いです。
タイトボンドでのネック折れ修理は必ず補強が必要になりますが、当方では基本補強は必要のない接着剤にて修理します。
補強しなくて大丈夫なんですか!や、何故ですか?等々あると思いますので、しばらく書いてなかったので、改めて書いてみます。
「基本的に補強をしない訳(場合によって必要)」
1)補強の要らない接着力の接着剤で接着する為
2)再度アクシデントがあった際に近いところで折れた方が都合が良い為、何故なら補強があった場合は折れ方が複雑になったり、他の部分で折れてしまう場合や中途半端な折れ方になるとかえって面倒になる為
3)手間がかからなければ安く出来る為
4)「そのような接着剤で修理して音が悪くならないか」と言う意見もあるが、「元のネックを削って他から別の材を足す事の方が音に変化を与えてしまうのではないか」と当方では考える為、しかも折れた所同士であれば密着度が高く、平らに直された接着面より接着強度が高い為
(理屈から言えば修理後は音に変化はあるが、ネック折れの修理でそこまで音の変化を感じる人は少数)
5)通常使用でそれ以上の強度は必要ない為(タイトボンドの接着なら補強は必須)
以上のような理由がある為です。
出来る限り週一(大体土曜の定休日)にブログを更新出来るようにやっておりますが、本日、大晦日で、土曜日。
本年も誠にありがとうございました!