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トップ割れ修理 / Kamaka Tanor


 


 

ウクレレはギターと違って軽い分、倒したり落としたりした時も意外と無事な場合がありますが、今回はそうはならなかったようです。

ウクレレ専用のストラップの場合は、手を放してしまうとクルっと回って落ちる事があります。

ギターのようにストラップピンを付ける人や、穴を空けずにつけられる落ちないストラップや、独自の工夫をしてる人等、いろいろありますので不安な方は検討されてはいかがでしょうか。

 


 


 

 

 

こちらのウクレレは、演奏中に落ちたかは定かではありませんが、それはそうとして不幸中の幸いな部分は、こちらのトップ板は割れの跡が目立ち難いと言う事。

割れた跡が残らない修理は不可能ですが、スプルースやシダー等のように目立つことがありません。

ギターのトップの場合は、スプルースやシダーであることが多いので、割れてしまうとなかなか目立たない様には修理出来ません。

 

今回の破損とは違い、冬場の乾燥が原因で割れる事はよくありますが、これもとても難しい修理です。

乾燥状態は、割れている事にすぐ気が付きます。

何故なら木が縮んで割れて隙間があるからです。

この状態でしたら接着はとてもしやすくしっかり接着も出来ます。

しかし、季節が進み湿度が戻ると木も元の大きさに戻ります。

そうなると割れの隙間に入れた接着剤が邪魔になり木が歪む原因になります。

なので、工房の養生棚で割れの隙間が閉じるまで置いてから接着したいのですが、ピッタリ閉じていますので専用の工具を使っても上手く接着剤が入らない事もあります。

割れの修理は裏からクリートと呼ばれる割れ止めを貼りますが、それは気休めでしかありませんので冬に乾燥して木が縮めばまた割れが出ます。

 

湿度のバランスが取れている時は、割れはぴったり閉じていますので見た目、割れているようには見えない事もよくあります。

ギターを見るタイミングによっては割れは一切なく、過去に割れた形跡を特定する事も出来ない事もあります。

ピッタリついていれば究極、割れている事になりませんので冬場の乾燥にはお気をつけくださいませ。