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ネック折れ / Gibson J-45HCS ADJ


スタッフの山口です。

今回はネック折れ修理です。当工房で受け付ける頻度TOP3に入る修理ですが、Gibson(系含む)が多い印象です。ロッドの掘り込みがあって強度問題も関係してるとは思いますが、単純に使っている人が多いから、というのもあります。


本来は境目がない部分に塗装の吸い込みがありますので以前にも折って修理されているようです。

 


補強した部分は強度が増していますので、また倒したりぶつけたりした時はそのすぐ近くの無垢の部分が折れます。それは言い換えれば、二度と折れないように”過度な”補強をしても、結局補強されていないすぐ近くの部分が折れるのであまり意味がない、と言えます。もちろん再発しないための”適正な”補強には意味があります。

 


幸い前面は今回も無事なようです。


取り外したパーツは必ずケース内に一旦しまいます。その辺に置いておくと「あれ、これどのギターのだったっけ?と最悪な事態を招きます。そのためにもケースごとお預かり致します。


ここから先は企業秘密部分になりますのでサラッと。


基本的には補強が不要と判断した場合、特殊な接着剤で接着するのが皆川流です。もちろん状況に応じて補強を施す場合もありますが、9割方補強は不要です。


養生の紙に都議会議員選挙の告知が。。

明日は参議院議員選挙ですね。皆さんもギターは一旦置いて投票に行きましょう。

このままではギターを楽しむことすらできない社会になってしまうかもしれません。


あとは数日寝かせます。


ご存知の通り、塗装修正の有無で修理料金が変わります。演奏性と強度に差はありません。万が一、売ることになってもブラックライトなどを当てて修理歴がないかをチェックされますので査定額にもあまり影響はありません。


要するにオーナー様の気持ちで判断するだけです。できるだけ綺麗にしたいか気にせず受け入れるか。


逆光で暗いですが、、完了です。


暗いせいか、シルエットだけでもギブソンのヘッドシェイプの美しさがよくわかり、その完成度の高さを思い知ります。これだけでかっこいいなんてズルいです。


2000年前後のJ-45ですが、25年経って風格が出てきた感じですね!当時は新品のGibsonはビンテージと雰囲気が違う!と感じていましたが、昔からずっとオールラッカーで塗料事体もあまり変えていないのか、面白いことにどんどんビンテージらしい雰囲気が出てくるもので、最近は「ビンテージっぽい」風格の個体もチラホラ見かけるようになりました。20年後はさらにいい感じになっていると思います。


跡が潔く残っていてこれも風格というか勲章みたいなものとして愛し続けてほしいと願うばかりです。

今回も最後までありがとうございました。