
スタッフの山口です。
お盆休みに里帰りをして押し入れの奥からこんなギターが出てきた、という方もいるかもしれません。
今回はそんなYAMAHAのダイナミックギターのトップ割れ修理です。

冒頭写真のようにすぐに蒸発する&塗装にも影響しないため、Zippoオイルを垂らして割れてる箇所や範囲を確認します。

今回は指板の両脇とくびれ部分に割れを確認しましたのでそこを修理します。

指板両脇は構造的に弦の張力がかかる場所ですので割れと同時に補強の意味も込めていつもよりしっかりとした割れどめを作りました。ブリッジプレートに使われることの多いメープルですね。

ボンドは表から注入しますが今回は古い割れ跡ということと、場所的にもあ限界があります。

そのためにも裏面からしっかりサポートしてあげるわけです。

しっかりとクランプをかけて一日置きます。

いい感じです。

「ここは修理してあるよー」というメッセージが込められています。

最後の我はくびれのそばです。ここは平面ですので「吸盤型接着剤送込器」が使えます。

たった今、命名しました「吸盤型接着剤送込器」は、空気圧を使ってタイトボンドを割れの奥まで送り込みます。

裏から見てこんな感じで白いボンドが出てくればOK。

元々がトップと指板の境目なのであまり気にならないかと思います。

もし跡が残っていても目立たなくしようと塗装修正や小細工をすると余計に目立ったり変な感じになったりします。
「なるべく余計なことはせずシンプルに」師匠から教えです♪

ダイナミックギター、今となっては時代を感じられるいいネーミングなのではないかと思います。そもそも「ダイナミック」という言葉が1960年代の日本では使われてなかった可能性もありますね。
きっと当時の日本ではまだ珍しい鉄弦のギターなのでガットに比べて「ダイナミック!」な音に感じられたYAMAHAの中堅社員が命名したのは容易に想像がつきます。
それに比べて今回僕が命名した「吸盤型接着剤送込器」は全くセンスも可能性も感じられないので取りやめようと思います。
今回も最後でありがとうございました。