
スタッフの山口です。
今回はフレット交換。ネック角度狂い少々、ネックの順反りが少々見られますが、ネックリセットでガッツリ直す予算はないとのことでなるべくそれらを修正することを念頭においてリフレットを進めます。

フレットがぺったんこなのがわかります。
68年製のピックガードは分厚いため、面倒ですが一旦外します。写真を見ても、おそらく前回のリフレット時につけちゃったピックガードの傷がフレットの延長線上にあるのがわかりますね。こうならないように外します。

レモンオイルをナイフにつけて剥がしていきます。ヌルヌルと全方位から。

ベタベタのヌルヌルです。

根気強く綺麗にしました。

指板修正の削り幅を少しでも小さくするため、補助的にアイロン矯正を行いました。

フレットを温めながら抜いていきます。

不要かもしれませんが、抜いたフレットは一応お返しできるよう保管。

指板修正は汗だくになります。

フレット打ちはいつものように玄能で行います。

長めに打たれたフレットをカットします。

切ったフレットのエッジを整えていきます。最初はある程度ゴリゴリに削ります。

綺麗に仕上げます。

これだけでも綺麗ですがチクチクと手に当たりますので、

均一に角をハンドロールで丸めます。工房によりこの辺の仕上げは個性が出るところかもしれません。

擦り合わせと磨きを終えたら古いナットを外して設置面を綺麗にします。

1フレットに合わせたナットが必要になりますのでナットを新調します。

弦高もいい感じですね。

新しく標準的な高さのあるフレットは本当に弾きやすいです。

ピックガードに新しい両面テープを貼って元に戻します。

最後にサドルで弦高をセット。アジャスタブルサドルなのでわかりづらいですが、、ほぼベストな出しろではないでしょうか。
アイロンの効果を感じ取れました。

こういうふうに見た時に、

ピシッと真っ直ぐフレットが並んでいるかどうかはほぼ自己満足の世界かもしれませんが、一般の方が気が付かないところにこそ、仕事の良し悪しが見えるものです。

フレットが新しくなり、なんとなく背筋が伸びたような印象のGibso君。
今回は指板修正前にネックアイロンを挟むことでロッドの効き幅もサドルの出しろも改善しました。ネックリセットも十分選択肢に入りそうな状態でしたが、ネックアイロンとフレット交換である程度イケると判断できたので、なるべく余計な手間とコストをかけないで無事完了。それぞれの症状に合わせて「これでいけそうだ」とか「これでは改善されないだろう」など、色んな選択肢があります。
そして経験からその判断ができなければ、適正な修理はそもそも始められません。
修理に持ち込む際はなるべくオーナーと相談して修理を選択しますが、どれの方法がベストな選択となるのかはある程度おまかせいただければ幸いです。ネット上には誤った情報もたくさんありますので、鵜呑みにし過ぎず、まずはぜひご相談ください。
ところで、Gibsonは何と言っても「男前」ですね。
音も見た目も、男ゴゴロをくすぐってくる唯一無二のメーカーではないでしょうか。
そして何よりこの「ギブソン!」という響きがかっこいいですよね。
今回も最後までありがとうございました。