フレット

リフレット / Gibson J-45

 

よ~く聞かれるご質問…他にも直した方が良いところはあるか。

普段見る事が出来ない力木等は折角、修理屋へ来たのだから見てもらいましょう。

あとは…折角ですからいろいろ見てもらってください。

と言って修理しなければならないか、と言えば全くそんなことはありません。

今回のこの位のフレットだって、気にせず弾いている人もいます。

修理の要不要はオーナーが決めます。

 

修理屋へ行った際にブリッジに少し隙間が見つかりました。

慌てちゃいけません。

 


 


 


 

 

少ししか剥がれていないのですから、しっかり弦を緩めて管理すれば剥がれてしまうような心配はありません。

逆に無理に剥がして貼り直すようなリスクは避けた方が良いと思います。

もっと剥がれてきた際に修理すれば良いのです。

不具合が無ければ無理にお金をかける必要は無いのです。

「剥がれているんだから、貼り直したらもっと音が良くなるんじゃない?」

確かに!そのちょっと剥がれている分、音の悪さが分かる人は修理した方が精神衛生上修理した方が良いかもしれません。

 

※但しスーパーグルー系の接着剤で付いている場合は、突然剥がれる可能性もありますので、その可能性があるギターは貼り直す事をおすすめします。

※スーパーグルーが悪いと言うより、接着剤の量が少ない事が往々にしてあります。スーパーグルーは、はみ出すと拭き取り難い為、生産コスト上スーパーグルーを使う意味が無くなってしまう為です。

これはもうちょっとですっ飛びます。

やり方は色々ですがスーパーグルーは、はみ出さないようにくっ付けます。

 

あとは例えば、「弾き難い訳では無いが、もっと弾き易くならないか。」や「音が、もうちょっとシャキッとなんないか…」

相対的に悪いところはないが、オーナーがそう感じているのであれば、ギターの状態を見て調整のみで出来るのか、修理が必要か、もしくは不可能か、と言う話になります。

 

サドルがとても低く、アジャストロッドが目一杯に締まっているギターだってなんの問題もありません。

オーナーにとって不具合が無ければ、そのコンディションが悪くならないようにしっかり弦を緩めて管理すればアジャストロッドをいじる事も、サドルを削るような事もそうそう無いはずです。

 

ネックリセット&バーフレット→ラウンドフレット交換 / Martin 0-18K(1924)


スタッフの山口です。

博物館にあってもおかしくないようなギターが横たわっています。 1923年製造のMartin 0-18K、オールハワイアンコアのモデルです。今回はこちらのネックリセットとフレット交換を見ていきます。


ネックの順反り加減が写真でもよくわかります。写真でも分かる、ということは重症です。

ネックの角度も狂っていますので仕込み角度を適正にする+フレット交換に合わせて指板修正、このコンボで弾きやすくまだまだ使えるギターにしていきましょう。


弦高は4mmほど。

この写真でお気づきになるかと思いますが、フレットに違和感がありますね。1934年より前はこんな感じの単なる棒状、つまりバーフレットしかありませんでした。オリジナルを重視するなら同じバーフレットを何とか残しますが、実用的に使用するならやはり通常のT型のラウンドフレットが宜しいかと思います。

今回もオーナーの要望で普通のラウンドフレットに交換します。


今は同じバーフレットの打ち替えは基本的にお断りしています。打つのも大変だから高くつくしプレーヤーは弾きづらいし、メンテナンスもこれまた大変。いいところは一つもありません。


いつものように指板を剥がしていきます。

この時代の特徴なのか100年間の間に削られてこうなったのかはわかりませんが、指板がとても薄いため終始慎重に進めます。下手すると簡単にパキッと逝ってしまいます。


無事にネックが外れました。ダブテイルジョイント部にメイプルのシムが挟まっています。流石に100年の間にネックは何度かリセットされているようです。


1920年代にはタイトボンドではなくニカワ接着されているため、写真の通りタイトボンドが使われていることからもネックリセット経験済みの個体ですね。


いつものアングルで記念撮影。


シムは新しく作り直すので削ぎ落とします。溝に残った古い接着剤も根こそぎ綺麗に掃除します。


角度の修正幅が大きい場合はヒールの内側をある程度予測してノミで削ります。


ノミはよく研いでおき、力を入れずに優しく扱わないといけません。。

そういつも自分に言い聞かせます。


ネックが無事ついたらバーフレットを抜いて溝を整えていきます。このままの溝だと太過ぎてフレットを打つことができません。

(ネックリセット中はいつも写真を撮り忘れます。)


溝はこの縞黒檀の薄板を使います。


こんな感じで薄さなどを調整しながら1本の溝に薄板を2枚。あとで2枚の薄板の間に溝を掘り直してフレットを打てば、元の溝の中心にフレットを打てますのでピッチが狂うこともありません。


余計な部分は上も横もカット。


調弦時にネックが真っ直ぐになるように指板をサンディングで修正したら、、


普通のラウンドフレットを打ちます。

ここまででかなりの時間を要します。


ナットは新しいフレットの高さに合わせて新調します。


フレットが変わると顔つきも現代的に変わりますね。


サドルの高さもいい感じになりました。


もちろんですが、センターズレも無し。


ヒールも隙間などはなく、塗装修正もしていませんが綺麗に仕上がりました。


こちら側もOK。


均一に鮮やかにフレイムの杢が出た素晴らしいハワイアンコアですね。ここまでびっしりと杢が出た個体はなかなかお目にかかれません。もちろんサウンドも素晴らしく、ため息が出ちゃいます。


 

1924年製、101歳のギターです。今回のリペアによって状態も良くなり、素晴らしいコンディションで現役続行です。今後も誰かの手によってリペアされながらギターとして100年後も存在していることを願います。

ハワイアンコアは正式名称はアカシアコア。ハワイ原産のアカシアコアは吹き付ける海風によって木がしなって綺麗なフレイム模様が入ることからハワイ産のアカシアコアに限って「ハワイアンコア」と特別に呼ばれるそうです。ハワイ以外のアカシアコアは一般的にコア、やアカシアコアと言われるそうです。

自宅にホームセンターで買った「アカシア」で自作したチェストがありますが、あれはコアとも書かれていないし、産地も不明、、ネットで検索するとニセアカシアと言う何とも失礼な名付けをされた樹種もありました。

 

 


 

当工房には師匠皆川が長年かけて集めたギターに関わる書物が何十冊もありますが、中でも自分が好きなのがこの木材活用ハンドブック。

この木材でベンチを作りたいな、あ、こっちの材も良さそうだなー。床はこの木材でフローリングにして、、テーブルはこれで1枚板にして、、そんな妄想をしてしまいます。

母方の実家が木材店で父親は木工職人なのでその血が騒ぐのだと思います。

でも、ギターではなく家具や自宅の内装などの想像ばかりするのは音響特性を気にしなくていいからでしょうか。。。

 

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

フレット交換 / Gibson CF-100


スタッフの山口です。

今回はGibsonフローレンタインカッタウェイ、CF-100のフレット交換です。

フレットは Made in USAのニッケルシルバーを打っていきます。材質は高さ、幅などは数種類の中からお選びいただけます。

 


指板の幅よりも少し広くフレットをカットします。


ネックバインディングがありますので写真のように両端のタングをカットする必要があります。


専用カッターでタングの端を切り落としたら、、


やすりでタングの残りを削り平らにします。素手でやるとフレットを押さえつける左手が痛くなるので手袋してます。


アールは指板よりもキツめにします。

タングの端もキレイになってフレット打ちの準備完了です。


肝心の打っている途中を全カットです。(撮り忘れ)


フレットの端は斜めに落とさず極力立てて、チクチクしないように丁寧に丸めてあげるのが皆川流です。


交換前からオーバーバインディングでしたが、フレットバインディングが残っている場合も基本的にオーバーバインディングでフレット交換します。

 


フレット磨きまで終えたらナットを新調してサドルを調整して出来上がり。


Gibsonは指板幅に対して目一杯外側に弦を通しますので斜めに落としすぎると弦落ち確率アップしちゃいます。


ヴィンテージギターのフレットは磨きまくってピカピカすぎるより適度に磨いている程度の方が質感がかっこいいと思います。

CF-100は個人的にGibsonのイケメン枠です。

ヴィンテージの貫禄がある姿にフローレンタインカッタウェイ、これは萌えます。。

ヴァイオリンもチェロも全て同じようなルックスをしてますが、ギターのルックス、デザインは本当に多岐に渡りますよね。見た目だけでも買ってしまう楽器ってギターくらいじゃないでしょうか。

 

ファッションとして、楽器として、とにかくギターっていろんな選び方、楽しみ方があってすごいな、、とつくづく思う今日この頃です。

今回も最後までありがとうございました。

 

 

 

ネックリセット&リフレット / Martin O-18


スタッフの山口です。

今回は最近滅多にお目にかかれなくなったオールドのMartin O-18のネックリセットとネックリセットとセットだと1万円引きでお得になるリフレット(フレット交換)です。


弦高を調整するサドルが限界です。

よくあるブリッジを削っちゃった、ということは今回はないようです。

 


トップに養生をして指板のハイフレット付近、トップに乗っかっている部分を温めます。


熱々でニカワまたはタイトボンドが軟化すればこのようにナイフを入れることができます。


15フレットを抜いて開けた穴にヒートスティックを差し込み、今度はダブテイルジョイントの接合部を温めます。

穴を開けることにびっくりする方もいると思いますが、マーチン社に持ち込んで修理したとしても同じように15フレットに穴を開けられちゃいます。むしろMartinは修理ができるように設計していて、わざとダブテイル部分に少しだけ隙間が作られています。


無事にネックが外れて恒例の記念撮影。

指板もこれ以上なく綺麗に剥がれました。


ネック角度を修正した分、傾斜をつけたエボニーの薄板を貼り合わせて底上げします。「くの字」で元起きしている場合はこれが不要の場合が多く、ジョイント部付近のトップが沈んでいるケースではこれが必要になることが多いです。


少し飛んで、ネックが無事についたらリフレットに移ります。


フレットのエッジ落としは個人的には勝負所の工程です。斜めに落としすぎるのは皆川ギター工房では御法度です。


また少し飛んで、、フレット交換で高さが復活したら元のナットは低すぎますので新調します。


弦間、形状ともにMartinの特徴を捉えたナットになりました。

ブリッジ同様、ナットにはそれぞれのメーカーに合ったディテールがあります。MartinにGibsonみたいなナットがついているのはとても違和感を覚えます。

先日Gibsonによくあるジャンボフレットが打ってあるMartinを拝見しましたが、それもとても違和感がありました。


弦高も2.5mmになり弾きやすくなりました。


ロングサドルは特に高くなりすぎないようにネック角度を調整する必要があります。ロングサドルブリッジの構造上、高すぎるサドルはブリッジの割れを招く確率を大幅にアップさせてしまいます。


センターもバッチリ、、


6弦側のヒールもバッチリ、、


1弦側のヒールもバッチリです。綺麗に仕上がりました♪


小ぶりなのに圧倒的な貫禄。

家のソファで弾くならこれに勝るギターは無いのでは無いでしょうか。

かっこいい!

ネックが長年の弦の力によって起き上がってくる「元起き」には、14フレットで「くの字」になっている場合と、指板がトップに沈み込む場合の2パターンがあります。指板がトップより強ければトップが沈み、トップ(ブレーシング含む)の方が強い場合は14フレットを起点に「くの字」になります。一般的に「くの字」の場合は目で見れば元起き症状として判断しやすいと思いますが、トップが沈んで角度が狂っている場合はその症状から元起きと判断するのは素人目には分かりづらいかと思います。

元起きはアコースティックギターの宿命と言われてきたことから、これまで多くのメーカーや製作家が、弦の張力に負けないよう、ネックブロック周りを強化した設計にチャレンジしてきました。でもネックブロック周りが強いから安心、、かと思いきや、余裕で元起きしてたりします。

アコギの場合は特に顕著ですが、弦の力による不具合はそのギターの弱いところに発生します。ネックが反らない、強いネックだから、と安心しても、弦を張りっぱなしにすれば、ネックに不具合が出なくても、その分他の場所(ブリッジやトップ)に不具合が出ます。

僕の相棒のMartin君は毎回しっかり弦を緩めているのでここ10年、コンディションの変化が一才ありません。至って良好。

「弦を張っておかないと逆反りする」、というオカルトがネット上では散見されますが、しっかりシーズニングされている木材で作られているギターであれば、弦を緩めたことで逆反りしちゃう、なんてことはありません。もし弦を緩めたことでトラスロッドに関係なく逆反りしちゃうようなギターであれば、そもそもそれはハズレのギターです。

いつもと同じ結びになりますが、弾かない時はなるべく弦を緩めましょう。

今回も最後までありがとうございました。

リフレット / Gibson J200 

見るからに低いフレットになっています。

永年弾いていて削れた訳では無く、

何度かすり合わせされたような感じです。

バインディングも一緒に削られてしまっていますので、すごくやり難くなります。

 

フレットの高さの好みや交換時期は、オーナー次第ですので、当人は何とも思っていないのに「もう、交換ですね。」等と言われても気にする必要はありません。

当人が不具合や改善点等を感じていなければ、無理にお金をかける必要はありません。

ただ、Gibsonの場合フレットバインディングと言う形状をしている為、演奏上不都合になる事があります。

画像の6弦側はほとんど問題は出ませんが、1弦側はフレットのエッヂとバインディングの隙間に弦が挟まってしまうと演奏が続けられなくなります。

隙間を埋めて問題無ければそれで好。

 

 

リフレットはフレットのエッヂをたてて仕上げる事により

指板の幅を有効に演奏可能になります。

フレットバインディングの利点は何もないと思う考えを過去ブログで書いた記憶があります。

 

エッヂをなるべく立てますと、手に触るチクチク感が強くなりますのでエッヂの角は出来るだけチクチクしない様に落とします。

今回の場合は、フレットが乗るバインディング部分が削られて狭い為、尚更チクチクします。

チクチクならない様に斜めにエッヂを落としてしまえば楽なのですが、それはカッチョ悪いので出来る限り立てて仕上げます。

但しこれが正解という訳ではありませんので、フレットエッヂはもっと角度を付けて落とす方が好きな方や私がやるとエッヂが丸い感じになりますので、それが嫌いな方もいるかと思います、お好みがあればその際は、お伝えください。

がんばります。

 

 

 

 

指板修正 & ステンレスフレット交換 / Futra エレキギター


スタッフの山口です。

今回は昨今話題のブランド、Futraのエレキのフレット交換です。ニッケルシルバーからステンレスにしたい、指板Rを9.5inchから12inchに緩やかにしたい、との理由で交換です。通常フレット交換は「すり減って背が低くなっているから」という理由で依頼を受けることがほとんどですがこういったイレギュラーな理由でももちろんOKです。


ハンダゴテで温めながら指板の溝周りがチップしないようフレットを抜いていきます。温める、というのはギター修理の基本動作の一つと言えます。

ギターも身体も冷やすより温めたほうが良いのです。最近急に寒くなってきたので身体もギターたちも気にかけてあげましょう。


無事に綺麗に抜けましたので指板修正に移ります。今回の大きな目的の一つ、指板Rの変更をします。


普段はセットネックのアコギのリフレットが多いのでボディが無い状態での作業は色々勝手が違ってきます。


ひとまず指板のRを緩やかにするためにマスキング。体制の関係上、真っ直ぐを意識していても左右がブレてしまうので目印代わりのマスキングです。今回はこの状態で擦ってみて自分の癖と相談しながら進めます。


ある程度いい感じになリました。削っても色が変わらないので着色のしていない、色の濃い良い紫檀(ローズウッド)ですね!

老舗メーカーでも着色していることはザラにあります。


Rを最後整えるのは専用のサンディングブロック。「これがあるなら最初からこれ使えば良いじゃん!」と思われると思いますが、初めからこれで削っていくと左右の力のかかり具合によっては端が擦れすぎちゃったりして一向に理想のRにならなかったり余計に削り過ぎちゃうことが懸念されます。どんな道具にも良い点と悪い点、利点と欠点があることが多いのです。

 


後ろから光を当てても漏れてこないので良い感じです。

誰がなんと言おうと完璧な12インチRです。異論は認めません。


9.5インチRと比べるとやはりかなりの違いがあることが分かります。

ギターは最も感覚神経が集まっている指先で演奏する楽器ですので演奏者は0.1mm単位でもその感覚の違いを感じ取ることができちゃいます。なのでセットアップする側は必死に0.1mm単位で闘う必要があるのです。


クレイドットかと思いきやメイプル材のドットですね。


レモンオイルを塗りこんでいざフレット打ちに移ります。


ステンレスフレットはニッケルより硬いのでフレット打ちも手間がかかります。ステンレスの方が料金が高いのはフレット材の原価というよりも手間がかかるためと言えますね!

写真はそれっぽく玄能でコンコンやっている感じですが、せっかくボディがないのでほとんどフレットプレスでやった気がします。


エッジを切り落として最小限すり合わせます。


フレット処理の詳しい工程は今回は省きます。


良い感じに仕上がりました♪


 

R出しのできるサンディングブロックについて道具の利点と欠点のことを書きましたが、、自分のこれまでの経験から得た感覚、道具の精密さと性能、対角にあるこの2つのバランスをうまくとって作業することで仕上がりに大きな差が生まれると思います。

どちらかに偏ってはあまり良い結果が得られないことが多く、その道具の良いところだけを利用して、欠点を自分の人間の感覚で補うのがベストに繋がるのではないかと思います。これは師匠の仕事から学んだことの1つです。

道具や機械の性能を100%信じてそれに任せるのではなく、そこに人間の知恵と感覚をプラスしてコントロールすればもっと良いものが生まれると思うのです。

けれど限りなく100%近く信じられる道具を見つけたときは、とっても嬉しくてテンションが爆上がりしちゃいますね。

今回も最後までありがとうございました。

 

フレット交換 / Cole Clark


スタッフの山口です。

今回はフレット交換です。

写真はネックジグと言って、アジャストロッドではうまいこと効かないような波打ちや大幅な修正が必要な場合、またノンアジャストロッドの場合はコイツに頼ることがあります。


調弦し実際にギターを弾く際のネック状態を弦を張っていなくても再現できる優れもの。今までもブログに何回か登場していますね。

意外と横になるだけでもネックコンディションはわずかに変わっていることが分かります。

 

 


ナットが底上げしてありましたので丁寧に取り除きます。


ここから3枚の写真は指板修正。


削れるところと削れないところを見れば波打っていたのが一目瞭然です。


修正完了。指板の色がだいぶ薄くなりました。


フレットを打ったら自分的に超重要な工程、フレットサイドの削り落としです。指板サイドを傷つけないよう、指板の端がまっすぐになるように感覚を研ぎ澄ませます。


大事な工程は必死なことが多いので写真を撮り忘れます。

一応企業秘密ってことにしておきます。


しっかりフレットを仕上げていきます。


ゴシゴシ。


アコギはある程度のピカピカさ加減がかっこいいです。


オーナーの指定がありましたのでタスクでナットを新調します。


ナット作りとフレット交換はその職人の腕前が分かるのでその道のプロが見ても高評価が貰えるように頑張ります。


コールクラークのヘッドは出っ張りがあるので慎重に溝切りします。


いい感じになってまいりました。


奥が今回製作した方です。


弦間もヨシ!


ナット調整後にサドル調整し弦高を標準にセットアップします。


フレットの種類はいくつかありますので好みのものを選んでいただけます。


リフレットは完了するととても清々しいです。


一丁あがりです。

 

コールクラークはオーストラリアのギターメーカー、メイトンから独立したクラークさんが2001年に創業したそうです。ネックの仕込み方が所謂スパニッシュ式(クラシックギター式)なのも面白いですね。今回のネックは波打ちがありましたが、このメーカーがネックが弱いとかそういうことではありません。たった一本のギターを見ただけで「あそこのギターはネックが弱い」と、そのメーカーのギター全てを見てきたかのように批判したり語る人がいますが、そういう人はどこか海外旅行に行って入ったレストランが美味しくなかったら「あそこの国の料理はまずい」と言っているようなものだと思います。木工製品である以上当たり外れというか、それぞれ個性があって、だからこそギターは面白いと思うのです。新しいギターは木が若く多少ネックなど動きやすいのはしょうがないと思いますが、弦の張力による変形は弦を緩めるだけで防止できますので、ビンテージにしても新品にしても弦は弾いていない時は緩めましょう。

今回も最後までありがとうございました。

フレット交換 / Martin 00-18(50’s)


スタッフの山口です。

前回の続きでMartin 00-18の修理、今回はネックリセット後のフレット交換です。


フレットを抜いて指板修正をします。指板のRが崩れている場合もありますが、修正できる範囲でRの調整も行います。


指板修正後はドレメルやミニノコ、フレットソーなどを使い、溝をきれいに整えます。


いざフレット打ちです。


軽量の玄能を使って一本ずつ丁寧に打っていきます。専用工具のフレットプレスもありますが、やはりこの古典的なフレット打ちが一番しっかりと見守りながらできる気がします。


フレットのエッジカットの後はサイドを整えます。まずは荒目に落としちゃいます。


指板サイドをピシッときれいに仕上げるためにはここ重要ですね!


後はいつも通りすり合わせと磨き。


今回ナットは調整だけでいい感じですのでナットはそのまま。基本的には新調しますが象牙などリプレイスメントできないものはなるべく残してあげたいのです。


サドル低めをご希望でしたのでこんな感じ。サドルのでしろは好みが別れるかもですが、あまり背が高すぎるのは格好良くありません。特にロングサドル。


弦高はかなり低くできるようになりました。


ネックの塗装も自然な感じに仕上がっています。

そろそろ自分のギターもフレット交換するべきか、、というほど自宅のギターのフレットがすり減ってきました。ナットはかなり前から溝が深くなっちゃって、カポなしだとビリつきます。しょっちゅうぶつけるからボディもネックも傷だらけだし、ネックのラッカーはベタついて擦り落としちゃってます。

恐らく共感する同業者さんも多いと思いますが、お客様のギターは一生懸命できるけど、自分のギターのメンテは何故かかなり適当。仕事としてご依頼いただいたからには持ち主に喜んでもらいたい!と思って頑張れるけど、自分のギターは自分さえ気にしなければそれでOKという感じになっちゃってどうも頑張る気になれません。

「人のためならがんばれるけど、自分のためにはがんばれない。人間そんなもんだよなぁ」と悟りながら、渋々自分のギターの錆びた弦を交換した今日でございます。

今回も最後までありがとうございました。

 

 

ロッド交換、ネックリセット&フレット交換 Gibson / J-50 Double P/G


スタッフの山口です。先週に引き続き、、J-50のダブルピックガードを。

指板を剥がしたところからスタート。今回はロッド交換→ネックリセット→フレット交換のトリプルコンボです。

 


15フレット下にあるこの「隙間」をいつも狙って穴を開けています。今回は指板が剥がれていますのでこの隙間(ネックポケット)に直接ヒートスティックを差し込みましょう。


こんな感じ。

なんか、、パッと見だと養生のタオルがネックを引き抜こうとする人間の手に見えませんか?


この写真も両手でネックを引き抜いているみたいに見えますね!

無事に抜けました♪


指板、ネック、ボディがバラバラになったところで記念撮影。


指板が無いネックは強度が弱いのでこの古い癒着したロッドを抜くのは結構神経使います。


埋木をあの手この手で除去するのも結構大変です。


この作った木片、、、


どこについたかわかりますか?

 


新しいロッドを仕込んだら指板とネックを合わせます。


ネック角度が修正できたら塗装が禿げたネックを再塗装します。

指板を貼り直したので「ついで」ということですね!


表はマスキングします。


いい感じにラッカー塗装できました。


ささくれたヒールも綺麗になりました。


いざ接着してギターの形に戻してあげましょう。


最後はフレット交換。インレイがところどころ崩壊していましたので新しく入れてあげます。


綺麗な指板は個人的には大好きですが、ヴィンテージっぽさは半減します。いい感じに弾き込まれた指板の時は「指板の雰囲気を保ったまま指板修正してください」という難易度の高い要求をされることもあります。


フレットが高さを取り戻しましたのでそれに合わせてナットを新調します。

 


いい感じ。


ロッド頭もいい感じです。


あまりお目にかかれないペグもいい感じ。


 

ピックガードが片方ないですが、、全体的にいい感じです。

ケースの蓋を開けた瞬間に「いい感じ!」と思えるルックスのギターはたくさんありますが、先日2000年頃の Martin OOO-28ECのお客様がいらっしゃって、とても「いい感じ!」のルックスでした。ECは元々トップにエイジドカラーで着色?されていますが、まるで50年代頃のルックスのようなリアルさで迫力がありました。聞くと新品で買ってずっとメインで弾いているとのこと。

弾き込まれたギターのルックスはやはり迫力があってかっこいいですね。そしてそんなルックスのギターはもちろん音も素敵です。

僕の私物のギターはまだまだ幼いルックスなので迫力が出るようにがんばります。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

フレット交換 / Thumb W-40MP

Tree of Lifeのギターでございます。

リフレットいたします。

Thumbです。

 

サムと言うジャパンヴィンテージと呼ばれる類のブランド。

寺田楽器のブランドですね、他にはVGが有名です。

OEMのメーカーと言う印象がとても強くあります、あれもこれも寺田で作っている。

そのメーカーですので、サムのクオリティーもやはり同等なものがあります。

 

 


 


 

このW-40MPと言うギターのグレードが今一つ分かりませんが、おそらく見た目にそぐわず安かったのではないかと思います。

前回のブログとまた同じような展開ですが…

たまにしかやらない修理が続いたり、滅多に来ないギターが続けて来たり、ジャパンビンテージのリフレットが続いたり、修理屋あるあるなのだと思います。

 

 

 

 

この時代の国産ブランドは現在より多かったかのか少なかったのか分かりませんが、いろいろと知っているのはやはり沢山あってそれぞれが有名っだったのだと思います。

それから時代が過ぎていつしかジャパンヴィンテージ等と呼ばれるようになり、当初私はこのジャパンヴィンテージと言う呼び方に抵抗がありました。

思い入れが強いのは誰しも何かしら持っているものですが、静かに大事に持っていれば良いのに…と。

何か無理して持ち上げている気がして…。

ですがこうして価値を見出す人が居たからこそ新しい世界が出来て、もしかしたら無くなって行ってしまってたであろうモノ達がちゃんと使える物として残っているのだろうと思います。

一昔前までは、大昔の安いギターのリフレットの依頼が当たり前になる日が来るとは思いもしなかった。

自分のアンテナは決まった電波しか捉えないけど、知らないチャンネルが沢山あるのだろうとなと思う今日この頃でございます。