スタッフブログ

ネックリセット / Martin 000-18


スタッフの山口です。

今回はMartin 000-18のネックリセットです。

サイドバックはホンジュラスマホガニー、指板とブリッジはブラジリアンローズウッド。


ハカランダ指板ですがダブテイルジョイントを温める用の穴を開けちゃいます。ビックリされる方もいると思いますが、開けちゃわないことには前に進めません。


ナイフで指板をトップから切り離して、


先程開けた穴にヒートスティックを差し込んで温めます。


Martinはおおよそ素直に取れてくれます。


記念撮影。ここだけは撮り忘れません。


ネックを外して、「あ、ここは指板がのっちゃえば見えないところだもんね!」と、当時これを施した担当者とギターを通し、時空を超えて会話をします。


角度を調整しながら何度も組んでは外し、再調整。


センターズレがないかもちゃんと確認します。機械の作業ではないので、自分の力の入れ方の癖なども考えて微調整して行きます。


ネック角が正常になって、指板がお辞儀した時は指板の厚みを足します。


テーパーをつけた薄板を接着して一日待ちます。


こちらも薄板で調整します。画像で赤く塗られた部分がダブテイルジョイントの肝になります。


ネックがついたらあとはフレットの擦り合わせ、ですが、あまりにも手垢?汚れが蓄積していたので取り除きます。

たまにこういった汚れも含めて「ヴィンテージだ!」と豪語する人もいますが、汚れは汚れであって、汚いのは汚い。味があるのと汚れているのはイコールではありません。


ロングサドルも新調していい感じです。


センターもバッチリ。


ブッシュがないのはデフォでしょうか。

Martinのヘッドシェイプはどんな時代も自然で「カッコつけない かっこよさ」があります。

逆にGibsonは「カッコつけていて、ちゃんとカッコいい」という感じ。


こういうインダストリアルな造形に男は心をくすぐられるものです。


この角!

くすぐりまくってきます。


 

この角の削れ方、ゾワっとしますね。これは「汚れ」ではなくまさに「味わい」と言えます。

ただ、冷静になって自分のギターを60年使い続けたらここがこんなにここが削れるか、と言えば絶対こうはならないだろうと思いました。

どうやったらこんなところが削れていくんでしょうか笑。

きっと長い間ずっと同じ持ち主がいてここが削れる事情があったのだと思います。

そんなことを考えるってとても楽しいですよね。

今回も最後までありがとうございました。