山口君のページ

ネックリセット / Epiphone FT-120 Excellente 1960s


スタッフの山口です。

今回もネックリセットですがかなり珍しいお宝ギターの登場です。

EpiphoneのExcellente、FT-120。現行のリイシューも売ってますが、所謂当時の本物は僕も初めて見ました。


アジャスタブルサドルも限界近く下げてますが弦高は高いですね。

皆川ギター工房の出番です。


いつも通り進めていきます。ネックポケットを温めたら指板とトップの間を切り離し、、


ヒートスティックで温めて、、簡単に外れたみたいに見えますが、Gibson系はやはり苦労します。


Gibson系のハカランダは本当に貴重です。


ネックは7pcs。


テープである程度の目安まで印をつけます。ヒールを1mm削るだけでも角度はかなり変わります。


センターズレに注意しながら、なるべく均等な力でヒールを削ります。


塗装がチップしすぎていないかチェックもします。


チップしていたらラッカーを盛って修正します。


今回は組み込む前に記念撮影。


一発勝負のつもりで迅速に組みます。


しっかりと最後までダブテイルが接着できているかの確認もします。何度かシミュレーションをしているので問題なし。


ネックがついたらダブテイルに通じる指板の穴を埋めます。


今回フレットはすり合わせのみ。

 


無事にリセット完了です。


サドルの出方もいい感じに。


弦高もいい感じ。


1弦側もヨシ。


ヒールも無事です。


反対側もOK。


カスタムセルにエボニー指板、サイドバックはハカランダです。


ネックもキルトメイプルが贅沢に使われていますね。スゴイ!


ヘッドストックは工場で一番大きな白蝶貝をドカッと入れました!みたいな感じです笑


 

当時は兄貴分のGibsonを凌駕してしまうような高級仕様で話題になったというこのモデル。

ライバル社であったエピフォンをギブソンが買収した当時は、材やパーツなどはほとんど同じものが使われています。ここからは僕の想像ですが、、当時Gibsonに買収され、Gibson工場に泣く泣く赴任してきた元Epiphoneの職人たちが「Gibsonより良い物を作ってやるんだ!」という気持ちで作られたような雰囲気がこのギターには漂っています。60年代でハカランダの枯渇問題も出てきた頃、Epiphone出身者がGibsonを超える渾身のハカランダの高級機を出す、まさにエクセレントなプロダクトだったのではないでしょうか。ちなみにExcellenteのスペル、最後にeがつくのですが、調べたらフランス語になり、意味は同じで「素晴らしい」とのこと。なぜフランス語のスペルなのかは分かりませんが何か意味があるのかな。

今回も最後までありがとうございました。

 

フレット交換 / Cole Clark


スタッフの山口です。

今回はフレット交換です。

写真はネックジグと言って、アジャストロッドではうまいこと効かないような波打ちや大幅な修正が必要な場合、またノンアジャストロッドの場合はコイツに頼ることがあります。


調弦し実際にギターを弾く際のネック状態を弦を張っていなくても再現できる優れもの。今までもブログに何回か登場していますね。

意外と横になるだけでもネックコンディションはわずかに変わっていることが分かります。

 

 


ナットが底上げしてありましたので丁寧に取り除きます。


ここから3枚の写真は指板修正。


削れるところと削れないところを見れば波打っていたのが一目瞭然です。


修正完了。指板の色がだいぶ薄くなりました。


フレットを打ったら自分的に超重要な工程、フレットサイドの削り落としです。指板サイドを傷つけないよう、指板の端がまっすぐになるように感覚を研ぎ澄ませます。


大事な工程は必死なことが多いので写真を撮り忘れます。

一応企業秘密ってことにしておきます。


しっかりフレットを仕上げていきます。


ゴシゴシ。


アコギはある程度のピカピカさ加減がかっこいいです。


オーナーの指定がありましたのでタスクでナットを新調します。


ナット作りとフレット交換はその職人の腕前が分かるのでその道のプロが見ても高評価が貰えるように頑張ります。


コールクラークのヘッドは出っ張りがあるので慎重に溝切りします。


いい感じになってまいりました。


奥が今回製作した方です。


弦間もヨシ!


ナット調整後にサドル調整し弦高を標準にセットアップします。


フレットの種類はいくつかありますので好みのものを選んでいただけます。


リフレットは完了するととても清々しいです。


一丁あがりです。

 

コールクラークはオーストラリアのギターメーカー、メイトンから独立したクラークさんが2001年に創業したそうです。ネックの仕込み方が所謂スパニッシュ式(クラシックギター式)なのも面白いですね。今回のネックは波打ちがありましたが、このメーカーがネックが弱いとかそういうことではありません。たった一本のギターを見ただけで「あそこのギターはネックが弱い」と、そのメーカーのギター全てを見てきたかのように批判したり語る人がいますが、そういう人はどこか海外旅行に行って入ったレストランが美味しくなかったら「あそこの国の料理はまずい」と言っているようなものだと思います。木工製品である以上当たり外れというか、それぞれ個性があって、だからこそギターは面白いと思うのです。新しいギターは木が若く多少ネックなど動きやすいのはしょうがないと思いますが、弦の張力による変形は弦を緩めるだけで防止できますので、ビンテージにしても新品にしても弦は弾いていない時は緩めましょう。

今回も最後までありがとうございました。

ネックリセット Gibson / Southern Jumbo(1952)


スタッフの山口です。

ネックリセットばかりで申し訳ないのですが、今回も例外なくネックリセットです。次回もネックリセットかもしれません。色んなギターのバリエーションで楽しんでもらえれば幸いです。


弦高チェック。

6弦12フレットで3.3mmといったところでしょうか。


1弦12フレットで2.5mmほど。普通の人なら十中八九弾きづらい弦高です。

一般的に「弾きやすく音も良い」と言われる弦高は2.4mm-1.7mmの±0.2mm程度だと思います。

それ以上だと弾きづらく、それ以下だと弦高が低すぎて音がペタペタする傾向があります。


サドルもこんな感じなのでネックリセットを決断して正解だと思います。

50年代初頭は40年代と似たブリッジですね、この感じ。


Gibsonはセットネック後の塗装なので余計なチップをしないように切り込みを入れておきます。Martinは塗装後の組み込みなのでこの作業は不要です。メーカーによって違うのもまた面白いですね。


いつものようにダブテイルジョイントを温めてネックを外します。


約2時間ほどで外れました。Gibsonはシリアルナンバーにしても仕様にしてもいい加減な印象を持たれがちですが、決してそんなことはありません。


ネックを外して恒例の記念撮影。

指板やボディも無事で何より。ネックリセットはネックを外す工程が一番リスクが高いのです。


ネック角度を適正に直し終え、いざ接着です。

そういえば1952年当時もロッドエンドはまだここなんですね。

 


接着後はしばらく寝かせておきましょう。

ボルトやビスで組み込まれるエレキギターと比べると、アコースティックギターはほとんどが接着剤で組まれていて接着の待ち時間が多いので修理に時間がどうしてもかかってしまいます。


数日後、ダブテイルスポットに繋がるドリル穴を埋めてフレットの擦り合わせ。

ネックリセット後はフレット交換か擦り合わせを行います。


ナットの溝が深かったので今回は底上げで対応。写真をよく見ると分かります。

次回フレット交換の際は交換になると思います。コストをかければもちろん交換も可能です。


サドルのでしろが復活。

んー、ちょっと高めに見えますが、、


6弦12フレットで2.5mm、


1弦12フレットで1.8mmと若干高めなので、調整幅や近々フレット交換をすることを考えれば許容範囲です。


ヒールも綺麗に仕上がったのではないかと思います。


反対側も。ちなみに塗装修正は無し。

塗装修正が必要な場合はあと1週間以上はかかります。


ヴィンテージギターを主に扱うショップ在庫が僕の主な担当なので、GibsonやMartinのヴィンテージギターをたくさん修理させていただきとても光栄です。が、そんな高価なギターを派手に壊してしまって絶望する、という悪夢にうなされることがよくあります。

ハッと目覚めて「夢で良かったー」と脂汗を拭きながら安心しますが、それが自分への良い戒めにもなっていますので、職業病と思って付き合っていくしかないと思う今日この頃です。

今回も最後までありがとうございました。

 

ネックリセット / Gibson J-45


スタッフの山口です。

今回は訳ありのネックリセットです。1950年代のGibson J-45、昔のGibsonは色んな「訳あり」があるのです。

トップが凹み、ネックが元起きしているのが上の写真でも分かると思います。写真で分かるというのは相当角度が狂っていると言えます。


今回の訳ありポイント。

この時点で「あ、こりゃあ、、やってんな、、。」

という嫌な予感がしています。


ひとまずいつも通りの手順でネック外しに取りかかりましょう。


指板を温めて、、


トップから切り離します。


Gibsonは1時間以上の長期戦になることが多いです。


意外とあっさりとネックが外れましたが違和感満載です。トップ板が指板とダブテイルの間に食い込んでいます。これではジグで力をかけてもネックは外れないはずです。


こんな感じですが、途中で気づいて指板を剥がすか迷いました。ですが前回のリセット時に割れていたのか指板に沿ってトップが浮いてネックが素直に外れたのでそのまま続行するのが最善と判断しました。


ひとまず再度接着してあげましょう。

 


その間に本来のダブテイルジョイントにするためにネック側を修正します。指板に3mmほど足してありましたがグズグズでしたので一旦取り除きましょう。


トップが食い込んでいたところをマホガニーで埋めます。


これでOK。


取り除いた分3mm厚足します。

あとはボディ側のトップ板を溝に合わせて切れば本来のダブテイルジョイントに修正できます。


説明が下手なので分かりづらいですが、、写真を見てもらえればなんとなく分かりますかね汗

あとは黒く塗装します。

 


ネックリセットでは何度も組んでは外して微調整を繰り返します。


角度をつけた分、指板のハイフレットが下がることが判明したので下駄を履かせます。


ボディ側、ダブテイルジョイント部分のトップ板も切って取り除いてあります。


調整を繰り返して少しずついい感じに。


センターズレも問題なし。


この写真のように指板が極厚になっているGibsonは今回と同じ訳ありの仕込みの可能性大です。


今回フレットはすり合わせでOK。


最後にサドル溝修正。今回のネックリセットによってサドルの高さが復活しますのでそれにしては溝が浅すぎるためです。


いい感じになりました♪


以前、師匠の皆川も僕もJ-200でこのトップ板を挟み込んだジョイントに遭遇しています。ヒールとボディの帳尻が合っていますので生産時にGibsonが一時期だけ行っていたようです。

理由は分かりませんが、おそらくなんらかの理由で工程の変更を試み、ネックとボディを組んでからトップ板を貼り、最後に指板を貼り合わせたのだと思います。当時の職人さんたちの中の誰かが「あれ?これじゃあ修理の時にネック外せないしヤバくね?」みたいな一言があって即時元通りに戻したのではないかと想像できます。

こういうミステリーがGibsonには歴史に散りばめられていて、それがまたこのメーカーの面白いところでもあり魅力だったりします。

今回も最後までありがとうございました。

フレット交換 / Martin 00-18(50’s)


スタッフの山口です。

前回の続きでMartin 00-18の修理、今回はネックリセット後のフレット交換です。


フレットを抜いて指板修正をします。指板のRが崩れている場合もありますが、修正できる範囲でRの調整も行います。


指板修正後はドレメルやミニノコ、フレットソーなどを使い、溝をきれいに整えます。


いざフレット打ちです。


軽量の玄能を使って一本ずつ丁寧に打っていきます。専用工具のフレットプレスもありますが、やはりこの古典的なフレット打ちが一番しっかりと見守りながらできる気がします。


フレットのエッジカットの後はサイドを整えます。まずは荒目に落としちゃいます。


指板サイドをピシッときれいに仕上げるためにはここ重要ですね!


後はいつも通りすり合わせと磨き。


今回ナットは調整だけでいい感じですのでナットはそのまま。基本的には新調しますが象牙などリプレイスメントできないものはなるべく残してあげたいのです。


サドル低めをご希望でしたのでこんな感じ。サドルのでしろは好みが別れるかもですが、あまり背が高すぎるのは格好良くありません。特にロングサドル。


弦高はかなり低くできるようになりました。


ネックの塗装も自然な感じに仕上がっています。

そろそろ自分のギターもフレット交換するべきか、、というほど自宅のギターのフレットがすり減ってきました。ナットはかなり前から溝が深くなっちゃって、カポなしだとビリつきます。しょっちゅうぶつけるからボディもネックも傷だらけだし、ネックのラッカーはベタついて擦り落としちゃってます。

恐らく共感する同業者さんも多いと思いますが、お客様のギターは一生懸命できるけど、自分のギターのメンテは何故かかなり適当。仕事としてご依頼いただいたからには持ち主に喜んでもらいたい!と思って頑張れるけど、自分のギターは自分さえ気にしなければそれでOKという感じになっちゃってどうも頑張る気になれません。

「人のためならがんばれるけど、自分のためにはがんばれない。人間そんなもんだよなぁ」と悟りながら、渋々自分のギターの錆びた弦を交換した今日でございます。

今回も最後までありがとうございました。

 

 

指板貼り直し&ネックリセット / Martin 00-18 (50s)


スタッフの山口です。

今回は僕の大好きな50年代Martin、、の中でも特に大好きな00−18の修理です。


元々ネックリセットの依頼で工房にやってきましたが、見積もりの際に指板がフカフカして浮いていることが判明。写真では分かりづらいでしょうか。


分かりますかね。

どうせネックを外すなら指板も剥がして修理してあげたほうが好都合。手間も色々と省けますので依頼主と相談し指板を貼り直すことになりました。


こういう隙間はサウンドにも影響しますが何より見た目が良くありません。たまに隙間から0.2mm程の謎の小虫が出てきたりします。

「君、その中に何年いたんだい?」と聞いてしまいます。


指板を剥がす前に一部のフレットを抜いてダボを打ちます。指板を戻す際に極力元通りの位置で貼り合わせてあげたいのです。


ネックアイロンやハロゲンライトで指板とネックの接着面を温めます。ナイフを少しずつ入れて、また温めての繰り返し。

この時逆目にナイフを入れてしまうとグズグズになってしまうので要注意です。


かなり順調に、綺麗に剥がせたのではないでしょうか。


露出したネックポケットも温めてネックも外します。指板貼り直しとネックリセットを同時に行う大きなメリットがここですね!


ナットが残って珍しい光景だったので記念撮影。


いわゆるTバーロッドと言われるタイプです。Tバーロッドは質量と強度、サウンド面でバランスが取れたロッドだと思います。スクエアロッドや新しいアジャストロッドは若干重たく、戦前戦中のエボニーロッドは軽いです。

しっかりとネックに密着させて一晩おきます。


ネックと指板の接地面を整えます。指板が薄い時はここで指板の厚みを足してあげることもしばしば。


ガチガチに接着。念の為、このまましばらく寝かせておきましょう。


 

次回はネックの塗装修正〜リフレットを見ていただきます。

オールドの00−18、コイツの修理はかれこれ10本以上やらせてもらってますが、なにしろどれもハズレ個体のないナイスギター。あくまでも個人の感想ですが、OOサイズがマホガニーサイドバックと一番相性が良いのではないか、と考えています。00サイズまではローズウッドではなくマホガニーサイドバックが多いのはMartin社がそれを大昔から知っているからなのではないでしょうか。

今僕が一番欲しいギターです。

予算が我が家の大蔵省(古い表現 笑)から出る望みは薄いです(/ _ ; )。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

ロッド交換、ネックリセット&フレット交換 Gibson / J-50 Double P/G


スタッフの山口です。先週に引き続き、、J-50のダブルピックガードを。

指板を剥がしたところからスタート。今回はロッド交換→ネックリセット→フレット交換のトリプルコンボです。

 


15フレット下にあるこの「隙間」をいつも狙って穴を開けています。今回は指板が剥がれていますのでこの隙間(ネックポケット)に直接ヒートスティックを差し込みましょう。


こんな感じ。

なんか、、パッと見だと養生のタオルがネックを引き抜こうとする人間の手に見えませんか?


この写真も両手でネックを引き抜いているみたいに見えますね!

無事に抜けました♪


指板、ネック、ボディがバラバラになったところで記念撮影。


指板が無いネックは強度が弱いのでこの古い癒着したロッドを抜くのは結構神経使います。


埋木をあの手この手で除去するのも結構大変です。


この作った木片、、、


どこについたかわかりますか?

 


新しいロッドを仕込んだら指板とネックを合わせます。


ネック角度が修正できたら塗装が禿げたネックを再塗装します。

指板を貼り直したので「ついで」ということですね!


表はマスキングします。


いい感じにラッカー塗装できました。


ささくれたヒールも綺麗になりました。


いざ接着してギターの形に戻してあげましょう。


最後はフレット交換。インレイがところどころ崩壊していましたので新しく入れてあげます。


綺麗な指板は個人的には大好きですが、ヴィンテージっぽさは半減します。いい感じに弾き込まれた指板の時は「指板の雰囲気を保ったまま指板修正してください」という難易度の高い要求をされることもあります。


フレットが高さを取り戻しましたのでそれに合わせてナットを新調します。

 


いい感じ。


ロッド頭もいい感じです。


あまりお目にかかれないペグもいい感じ。


 

ピックガードが片方ないですが、、全体的にいい感じです。

ケースの蓋を開けた瞬間に「いい感じ!」と思えるルックスのギターはたくさんありますが、先日2000年頃の Martin OOO-28ECのお客様がいらっしゃって、とても「いい感じ!」のルックスでした。ECは元々トップにエイジドカラーで着色?されていますが、まるで50年代頃のルックスのようなリアルさで迫力がありました。聞くと新品で買ってずっとメインで弾いているとのこと。

弾き込まれたギターのルックスはやはり迫力があってかっこいいですね。そしてそんなルックスのギターはもちろん音も素敵です。

僕の私物のギターはまだまだ幼いルックスなので迫力が出るようにがんばります。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

 

 

ブリッジ底上げ Gibson / J-50 Double P/G (1965)


スタッフ山口です。

さっそくインパクトのあるWピックガードの画像からです。このギター、やることは色々ありますが今回はまずは弦高を下げるために薄くされてしまったブリッジの底上げをします。


ブリッジが塗装面に接着されていた場合、接着力は弱いです。ニカワもタイトボンドも木の繊維同士が密着して初めて優れた接着力を発揮します。


ピックガードが剥がれかけていたのでついでに剥がしました。ベタベタを綺麗に除去するのはいつも苦労します。


薄くなったオリジナルのブリッジに2mm厚くらいのローズウッド板材を底面に接着しました。


サイドを綺麗に揃えて、板材で閉じた穴も慎重に開けます。


しっかりと密着できていれば強度に問題はありません。よっぽど注意深く見なければ気付かないほど馴染んでいます。


反対側も。ストックから似ている木目や色味のものを選んでいます。


いざ接着!!、、


、、の前に、


ブリッジの大きさに合わせて、


接着面の、、


ラッカーを剥がします。


これでタイドボンドのパフォーマンスを充分に発揮できるのです。


厚みが出てルックスもサウンドも良くなりました♪ 


この後ネックリセットを行ったことで最終的にはこんな感じに。自分的にはちょっと高めな気がしますが全く問題なしです。

ネックリセットを行う際、ブリッジが薄ければ今回のように底面を足して本来の厚みに戻すか、ブリッジを新調することをお勧めします。正規の高さのブリッジに合わせてネックの角度を修正すればそのギターの本来の音を取り戻すことができるからです。

ブリッジはトップ板(サウンドボード)に直接振動を伝えるとても大事な役割があります。ブリッジの厚みによって音が変わるのは至極当然なのです。

次回はこのギターの続きをお届け致します。

今回も最後までありがとうございました。

ネックリセット&サドル溝修正 / Martin D-28 1962


スタッフの山口です。

今回も名器を任せて頂きありがとうございます。みんな大好き、Martin D-28の1962年製。コンディションに関係なく即売れ必死のご時世ですが、弦高が3.5mm近くありますのでまともなショップなら流石にこのままでは販売できません。


サドルの出シロというよりはロングサドルとサドル溝が残念なことになっていますのでここもカッコよく仕上げようと思います。


いつも通り15フレットを抜いて、


ダブテイルジョイントのスポット目掛けて穴を開けます。


トップの塗装を痛めないように、指板だけを温めるために養生して、


伝統的な温め方で指板とトップを離します。LEDは使えません。


いざネックを外していきます。


Martinはホントにお行儀良く外れてくれることが多いです。


恒例の記念写真。


シムが仕込まれているのでネックリセット履歴があると思われます。


古い接着剤が残っていては木工精度を高められませんので綺麗に除去していきましょう。


ん?溝が少し右寄りですね。

実はよくあることです。


綺麗にしたら、


ネック角度を適正に直してあげましょう。ノミでざっくりやっちゃう腕のいい職人さんもいますが自分は地道に擦ります。時間もその分かかりますが、削り過ぎるリスクを最小限にし、ヒールとボディの民着度は見栄えに大きく関わってくるので。


仕込む前のシム調整、ネックリセットにおいてとても繊細で手間のかかる作業の一つです。


シュミレーションを繰り返して、いざ参ります。


木工精度が高いと密着させてからの接着速度はとても早いので、真剣勝負。


シュミレーション通り、センターズレも問題なし。


元々のナットが悪いと騙されてしまいますが、ちゃんとしたナットに交換してしっかりとセンターが合うのが正しいです。


ネックがついたら残念なブリッジ溝を修正します。


エボニーは埋木もビシっと決まって跡が気になりません。


こんな感じに。


スケールがズレているヴィンテージギターもザラにありますので、元の溝位置は当てにせず、正しい弦長を測ります。


溝切り。これも意外と難易度が高いと僕が思う作業です。緊張します。


どうでしょうか。見違えるほどカッコよくなりました!サドルの高さもベスト!


今回は省きましたがブリッジプレートも修理しました。


弦間のバラツキは今回の修理だけでは修正できませんがセンターがズレてないのでOK。


指板とトップ、


ヒールのこちら側、


こっちも、


バック側もピッタリと合っています。


ハカランダらしい木目です。


こちらも、


こちらもNICE!


ヘッドストックに違和感、、。こんな細かったっけ。ペグはオリジナルでこれまたカッコいい!


これ1本持っていれば他はなくても大丈夫。そんなナイスギターを後世に残す仕事を任せていただいて光栄です。

感謝。

今回も最後までありがとうございました。

 

ネックリセット&ブリッジ溝修正 / Kalamazoo


スタッフの山口です。

えーと、今回もネックリセットです。基本的にビンテージショップの展示前在庫や委託修理を担当ですので、ヘヴィーな修理が多くて修理のバリーションが少ない分、色んなビンテージギターを分解する様子を楽しんでもらえれば幸いです。

 


ビンテージギターのブッシュ紛失は地味に取り返しがつかなくなる問題になりますので弦を外したら輪ゴムで止めましょう。


早速指板とトップを慎重に剥がします。


ダブテイルジョイント内部を暖めて、


同時に専用ジグでゆっくりと力を加えていきます。

写真のようになればもう安心です。


ネックジョイントの溝の形も様々です。


ロッドの仕込み方も様々です。

1930年代当時KalamazooはGibsonの廉価ブランドですのでロッドの仕込み方も同じです。単純にカラマズー工場だからカラマズーというブランド名にしたと考えるのが一般的ですね。


ヒールを少しずつサンドペーパーで削っていきます。

ネット上でノミを使う職人さんも見たことがありますが、僕は怖いので地道にやる派です。


角度をつけた分、指板も足してあげましょう。約0.7mm厚の縞黒檀のシート材を階段状に重ね、それを均してテーパーをつけるのです。


ちょっと分かりづらい画像で申し訳ないですが、こんな感じです。綺麗にしてあげて、いざ接着です。


溝の接地部分にシムを作成し仕込みます。

なるべく接着剤に頼らない木工精度で仕込みます。ここが甘いととても残念な結果を招くことになります。


写真のように接着剤無しで組み込み、弦を張ってもヒールが浮かないのが理想です。


組み込みが終わったらフレットをすり合わせます。


個人的にはリフレットしたいですが、依頼主が良ければそれでOK。


ナットがない状態で工房にやってきましたので今回は新しく作ります。


ブリッジのサドル溝がワイドに長すぎてカッコ悪いとの理由から、


一旦埋木していい感じに直します。


余計な部分を削り落として、


ルーターで溝切り。


いい感じです。


リセットしたのでもちろんサドルの出シロも復活です。


この感じのロングサドルのルックスにこだわり、ここにコストをかけるショップさんの心意気。


1弦側は少し埋木あとが残りましたがサドルが長すぎるよりは良いのです。


良い面構えになりました。


ナットも新しくなった上で、


センターもバッチリ決まっています。


紛失しやすいブッシュも無事です。

全然関係ないですが、最近はZの筆記体をこのロゴでしか目にしていません。

バックのメープル材が廉価ブランドとは思えないグレードですね。かっこいい!!

カラマズーは軽くて音抜けもよく、とってもナイスギターが多い印象です。虎目のピックガードもイカしてます。

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。