山口君のページ

ネックリセット&ブリッジ交換 / Martin O-18K(1930s)


スタッフの山口です。今回はご依頼いただくことが多い修理、ネックリセットとブリッジ交換のコンボです。ネックの元起きが進んでしまいサドルを限界まで低くしても弦高が下げられない場合、写真のようにブリッジを削ってサドルの出しろをを確保するのです。


ネックリセットでネック角度は修正されるのでこのタイミングで不恰好になったブリッジを交換する、というのはよくあります。

ブリッジの端が裂けて残ってしまいましたが今回は御役御免になるため問題なし。

それよりもブリッジ周りの塗装面を傷つけない方が大切。


ブリッジを剥がしたら続いて指板を剥がしていきましょう。この時もトップの塗装に気を遣ってナイフを入れます。


ダブテイルジョイントを温めてネックを外します。ニカワは熱で接着力を失うという素晴らしい特性があります。修理やメンテナンスをして永く使う木工製品(楽器や家具)の強い味方ですね。


恒例の記念撮影。

 


ネックの角度はブリッジの高さを目安にするためここで一旦ブリッジ作製に移ります。

最近は本当に黒々したエボニー(黒檀)も大変入手しづらくなってきました。例外なく価格も高騰しています。


エボニーはローズウッドよりも加工しやすいです。マーチンのブリッジの特徴を頭で描きながら成形していきます。


ブリッジ接着完了。


新しいブリッジを目安にネック角度を適正に調整。


ネック角度は4方向で調整しなければいけません。闇雲にヒールを削ってしまうと6弦と1弦のラインのバランスがおかしくなりカッコ良くありません。


フレットをすり合わせ、もしくはフレット交換。今回はすり合わせ、、、だった気がします。


ネックリセットが終わったら弦長を測定しルーターでサドル溝を掘ります。


ピンホールの径を調整し、


面取りをすれば、、


オールドマーチンらしいブリッジになりました♪


ナットはすり合わせなら調整のみ。

リフレットの場合は1フレットの高さに合わせて作り直します。


ナットの微調整が終わってからサドルを作り、高さ(弦高)を決めます。


新旧ブリッジを並べてみました。ブリッジを削ればその時はネックリセットより安く済みますが、いずれネックリセットするであろう場合は削らない方が安く済みます。


 

歴代のオーナーたちの手を渡りそして恐らく数々の修理人たちのリレーによって今ここにある90年前に作られたギター。ナイスギターでないわけがありません。

今回も最後までありがとうございました。

 

ブリッジ交換&ブリッジプレート修理 / Martin D-18

スタッフの山口です。

ブリッジの修理はショップからの依頼でも多い方なのでどうしてもブログの登場回数が多くなります。

「こんな割れ方は見たことない」と思う人もいるかもしれませんが、キツキツのブリッジピンを無理にねじ込んで弾いていると次第にヒビが入り最終的にはこんな感じになってしまうんだと思います。

(写真は割れた後に剥がした所です)


元のブリッジは接着してみましたが元々の形も削られていたりでなんだかヘンテコなのでローズウッドで作り直します。


インディアンローズウッドも世界的に枯渇していますし昨今の円安も相まって高騰しています。どこの業界も大変です。


貴重な木材なので失敗しないよう慎重に進めます。ウィングの角が立っていた方がカッコイイのでマスキングしたり工程を工夫しあの手この手で成形していきます。


接着したら弦長を測って溝切りします。


ブリッジは一般的に1弦側の方が弦高が低い分、微妙に薄くなっています。これを失敗するとサドルの出しろがアンバランスになってなんかカッコ悪いのです。


今回はせっかくなのでその年代の仕様、ロングサドルに。ブリッジピンの穴は丁度良い径にしてブリッジピンの背が揃うように調整します。


ここからは欠けたりボロボロになったブリッジプレートを直していきます。


外から見るとこんな感じ。

Made in USAの専用工具です。


掘った所に、


ピッタリと同じメープル材で埋木します。

ブリッジプレートの補修完了です。

ブリッジプレート自体を交換することもありますが、ギター内部でこれを剥がすのはとってもとっても大変です。

オールドのD-18、素敵です。普段は28をメインで弾いていますが最近はD-18や00−18、000−18などマホガニーサイドバックに惹かれることが多いです。虎視眈々と狙っていますが、円高の時に思い切るべきだったかもしれないと薄々感じています。

今回も最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

ネックリセット Martin D-28 1967


スタッフの山口です。遅ればせながら今年もよろしくお願いいたします。

今回はアメリカのどこかで長年眠っていたであろうハカランダのD-28のネックリセットです。甦らせます。

ダブテイルのポケットに通じる穴を開けた所。


指板の14フレット以降をトップ板から剥がすために温めます。


指板周りを傷つけないように慎重にナイフを入れていきます。

 


ダブテイルジョイントを温めて接着剤を軟化させます。最近はすっかり蒸気ではなくヒートスティック(専用のハンダゴテみたいな道具)の熱で行っています。


4〜5年前まで蒸気にまみれて拭き拭きしながら奮闘していました。

本当にMartinは良い子です。(比較的素直にネックが取れるという意味)


今回は角度を直して仕込み前に記念撮影♪

 


リセットのみの場合は再接着後はフレットのすり合わせを行います。


今回は明らかに長年使われていなかった為ペグを外して磨きます。ヘッドの突板もペグがなければ綺麗に磨けますね。


ラッカー塗装はデリケートなので磨き用の溶剤選びには注意が必要です。

 


ボディも磨いて一丁上がりです。


サドルはもうちょっと高さがあっても良かったかもしれません。しかし先日、夏にネックリセットした個体が冬になって弦高が下がりすぎたと戻ってきてしまいましたので修理する季節も考慮しなければならないのだと思い知りました。サドルはあくまでも高すぎず低すぎず。日々勉強です。


いつも書いていますがセンターズレはご法度。元々ズレている個体もたくさんありますがその場合はできる限りネックリセット時に修正します。

ズレているからといって音の良し悪しにはあまり関係ありませんが。


アコースティックギターと聞いてほとんどの人がイメージするのがこのギターだと思います。


ハカランダ特有の木目ですね。

イカしてます。


サイドもこんな感じ。素晴らしい。

音も言うまでもなく。

今回もありがとうございました。

 

[番外編]トップ交換/ Martin OM-42 [後編]


スタッフの山口です。今週も前回の続きOM-42のトップ交換[後編]です。

前回完成したトップ板が無事につきました。


大きめのトップ板のはみ出た部分ををルーターで削っていきます。専用のルータービットを替えてトリム&バインディング用の段差も作ります。


本来は42モデルだとアバロン貝なのですが今回はヘリンボーンのトリム。単純に好きというのもありますが、一目でコンバージョンと分かる方が面白いと思ったからです。

いい感じにギターっぽい顔つきになってきました♪

クリアーラッカーで塗装します。サウンドホールは風船でマスキングしています。


塗装が終わったらブリッジ。ブリッジは無事でしたので元のオリジナルを。トップ板側はラッカーを取り除き木地に接着します。


弦長を測ったりネックを仮付けしてセンターズレのない位置を見つけたり、意外と難しい作業です。


ピックガードも割れていましたので新しく作ります。OMのピックガードだけ形が違う理由は見た目でOOOかOMか判断できるように、かな?


いつものネックリセットと同じ要領でネックの仕込み角度を決めたらいよいよ合体です。


最後はリフレットです。


40番台だからかは分かりませんが真っ黒で良質なエボニーです。


トップはボロボロでしたが幸いネックとヘッドが無傷でした。


 

ようやくOM-42(CV.)の完成です。仕事の空いた時間に少しずつ進めておりましたので完成までなんと2年近くかかってしまいました。

完成してから思ったのはヘリンボーンにしたことでジョンメイヤーのシグネイチャーモデルのOM JMに似ているな、と。良く言えばですが縦ロゴだったりポジションマークやブリッジのインレイが入っている分少し豪華版な感じでしょうか。

音はアディロンダックのスキャロップドブレイシング、ちゃんとMartin、だと思います。工房に展示しておりますのでお越しの際はぜひ弾いてみていただければと思います。

買取価格と材料費、手間賃を計算しても販売価格ではペイできませんが、とても勉強になったので思い切って買い取って良かった!と思います。コンバージョン、世界に1本だけのOM-42と考えたら何だか達成感もあり、リペア学校を出ていない自分としては卒業作品みたいなギターです。

、、かといってまだまだ未熟な部分も多く、皆川ギター専門学校卒業には全く至りませんので、これからも日々精進して参る所存でございます。

番外編、最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

[番外編]トップ交換/ Martin OM-42 [前編]


スタッフの山口です。

今回は番外編。先日よりHP内メニュー→在庫販売で掲載したOM-42CVのトップ交換の記録を見ていただきたいと思います。


見てください。絶句する程の大破っぷりです。

ここまで酷いと修理代にちょっと足せば同じギターを購入できちゃいますね。この場合高額な修理代を払ってもそれ以上の値段で売れる保証はありません。


オーナーが壊れたギターに対して余程のプライスレスな思い入れがない限り原価割れとなる修理はお薦めしませんがもちろん修理を選択する方もいます。

このギターのオーナーさんはこの状態で買い取りしてもらう方が経済的と判断したのでしょう。

 


ということで今回は修理の勉強のためにも自分がこの状態で買い取り、修理することにしました。

憧れの縦ロゴMartinが思わぬ形で自分の元にやってきました。

写真はまだスチーマーでダブテイルジョイントを温めていた様子です。


アジャストロッド仕様のマーチンはこんな感じです。


これは大変な期間を要するぞ、と思った瞬間です。


ライニングも新しくします。


元のシトカスプルースよりもどうせなら、と5年以上シーズニングされたアディロンダックスプルースを新調しました。


ブレーシングは元のトップ板から採寸し完コピします。


少し大きめにカット。


力木の前に先にロゼッタを作っておきます。


苦戦した記憶。


力木(ブレーシング)もアディロンダックスプルースにこだわりました。高さ太さもオリジナルを完コピして削ります。

約170年前にこのXブレーシングを発明したMartinさんは本当に偉大だと思います。

なんとなくギターっぽくなってきました。


迷った末スキャロップドブレーシングを選択。師匠はノンスキャロップ推しでしたが何となくスキャロップしたかったのです。


 

トップ板がほぼほぼ完成しました。美しい、、と思い記念撮影。長くなってしまうので前編はここまでです。空いた時間を使って進めているということもあり、ここまでで半年以上経過しています。修理というより製作に近いですね!「修理は製作の逆の工程になることが多いので製作工程を知ることはとても大切」という師匠の言葉が印象に残っています。

 

後編では完成までを載せたいと思います。完成品はHPのメニュー→在庫販売から既にご覧いただけますが、、

今回も最後までご覧いただきありがとうございました。

 

フレット交換 / Gibson J-45 50’s


スタッフの山口です。今回はGibson J-45のフレット交換(リフレット)です。写真は既にネックジグでチューニング後のネック状態を再現した状態です。


慎重に古いフレットを温めながら抜きます。


フレットを抜いた後もネックジグのメーターをチェック。フレットを抜いたことでネックが少し動いていたら0に合わせます。


少し指板をこするとこんな感じです。擦れている所と擦れていないところがあるのがわかります。フレット交換の際は歪んだ指板を調整してあげることでプレイアビリティがグンと向上します。


指板修正の難関、アールの調整です。個々のメーカーやギターに合わせて最適なアールを作ります。闇雲に作業してこのアールが崩れてしまっては台無しです。アール用スケールを当てて後ろから光が漏れなければGood。


ネックジグから一旦下ろして新しいフレットを打っていきます。赤いのはフレットバックと呼ばれるオモリ兼トップを保護する道具です。今や僕の相棒です。


フレットプレスを使ってフレットを打つこともありますが、基本は玄能でコンコン打ちます。


飛び出たフレットの両端をフレットカッターで切断。


すり合わせに入る前にもう一度ネックジグで演奏中のネックを再現します。


よく考えられた優れものですが、こいつを信じ過ぎてもいけません。一度ネックジグに頼り過ぎて1からやり直したことがあります。


フレットをすり合わせます。きちんと指板修正しフレットを打ちましたのであまり擦らずとも良い感じになります。


細かい作業工程は企業秘密ですが、丁寧に作業してるアピールもしたいので大まかに写真で追っていきます。


マスキングテープを指板に貼って磨きます。


最後はボンスターで仕上げ。

通常は高くなったフレットに合わせてナット交換(フレット交換料金に含まれます)も行いますが、今回はオールドギターですのでナットは底上げで対応します。

底上げしても溝の調整は必須。


サドルの高さもこの程度で調整できました。フレットが高くなるので弦高が下がると思われがちですが、指板修正とナットも高くなるので実際は高くなることの方が多いです。サドルが低い状態でのフレット交換の際はネックリセットも視野に入れて検討したほうがいいかもしれません。


フレットが浮き易い、というか、うまく打ち込むのが難しいハイフレット側。フレットバックのおかげもあって問題なし。


ピントが合ってないですがフレットがしっかりと蘇りました。


フレットは消耗品です。プレーヤーによって交換時期もそれぞれです。高さが残っていてフレットの精度が悪いだけならすり合わせだけでもOK。費用も安く済みます。


ワンリングの薄型のラージピックガード。見た目だけでいい音がしそうな風貌です。


Gibsonに限らずビンテージギターの相場が上がっていますね!最近はビンテージのバイクなどあらゆるビンテージモノが上がっているそうです。

今のうちに!と思うのですが、それを買えるようなお金は手元にありませんので指を咥えて見ている僕なのでした。(´ε` )

今回も閲覧いただきありがとうございました。

これまでの「山口君のページ」山口君の紹介の意味で分けておりましたが、次回から山口君の仕事もコンテンツ別に分けて更新していきます。

いつも「スタッフの山口です。」って始まりますから、別に分けなくてもね。

この記事までの「山口君のページ」はこのまま残ります。

 

ナット交換 / Gibson Hummingbird


スタッフの山口です。今日はGibson Humming Birdのナット交換を見ていこうと思います。


ナットは消耗品ですのでチューニングや弦交換を繰り返すだけでも溝が深くなり過ぎてしまうことがあります。


軽く叩くだけで素直に取れてくれるとホッとします。消耗品ですので取れなくなってしまうほどガチガチに接着してはいけません。次に修理する人にちゃんとバトンを渡してあげるのが大切です。


基本的には牛骨を使ってナットを作成します。


ネックバインディングが縮んでいる場合もありますが、これはピッタリ指板とネックに接しています。


ある程度形を作っておきますが、左右のツラは大体この時点で合わせます。


溝を掘る前に養生します。テープの粘着力は弱めておきましょう。


今回は既存のナットを参考に溝を掘ります。弦間を広くしてほしいなどご要望にお応えすることも可能です。


まずは1弦と6弦を決めます。基本的に端から弦の中心まで2.75mmを目安にすることが多い気がします。


1弦6弦の位置は既存のナットと大きく違うとお客さんも違和感を感じてしまいます。ただ元のナットがあまりにおかしい場合はあえて変えることもあります。


弦間をバランスよく。


溝がある程度掘れたら一旦外して磨きます。

 

ピカっとなったら再度つけて最終調整。


弦間チェック。ここがバラバラだったり極端に内側に寄ってると残念な感じになります。


ナットの深さは弦高を調整のために掘るものではありません。サドルがこれ以上下げられないからといってナットを掘っても開放弦がビビるだけです。


ナットはギターにとって音にも弾きやすさにも直接影響するパーツです。こちらのギターも喜んで鼻歌(Humming)を歌っているに違いありません♪

今週も閲覧いただきありがとうございました。

 

 

ロッド交換、ネックリセット / Gibson J-45


 

いつもお世話になっております。スタッフの山口です。最近僕の担当回はGibsonが続いていますが今回もGibsonです。60年代J-45のロッド交換とネックリセットというかなり大掛かりな修理を見て行きたいと思います。

ロッドが限界まで締め切られていて効かなくなっています。角度も狂っていてネックも順反り、ロッドも効かない。ネットオークションなどではあり得ますが、定評のある某ギターSHOPがこのまま売るわけには行かないコンディションと言えます。ということでご依頼に感謝して進めて行きましょう!


まずは指板を剥がさなくては始まりませんので3箇所ほどフレットを抜いてダボ穴をあけておきます。


例の年季の入ったネックアイロンで指板を温めます。師匠に聞いたところ中尾貿易時代から使っているモノで30年選手らしいです。( ゚д゚;)


1時間程かけて無事に指板を剥がせました。思っていたより綺麗に剥がせて一安心です。


メイプルの埋木の下にロッドが仕込まれていますのでなんとか埋木を除去しなければお目にかかれません。まずはドレメルルーターをフリーハンドで慎重に。。

デザインナイフで切れ目を入れたり細いノミを使ったり。古い接着剤も同時に除去します。

アジャストロッドのお出ましです。中々お目にかかれない貴重な瞬間です。

無事に古いロッドを抜いたら今回はネックリセットも同時に行いますのでダブテイルスポットを温めます。画像の通り指板を剥がしてジョイント部が見えていますので効率よく温められます。通常のネックリセットよりも安心安全。

綺麗に外れました♪


ネック角度修正の前に新しいロッドを仕込みます。Gibsonのトラディショナルロッドはシンプルな作りです。ネックの長さに合わせてカットします。


溝も新しいロッドを埋め込む前に溝を調整しておきます。


ダイスでロッドのネジ山を作ります。この道具がダイスという名前だと知ったのはつい最近。「ねじ山作製器」とか「ねじ山作製ハンドル」の方が誰にでも分かるのになんでサイコロの別名と同じなのか不思議です。


どの工程においても大体このくらいでOK、と師匠が横で教えてくれるので安心です。


ロッドの溝のアールにピッタリの埋木を作ります。溝の形状を正確に把握するための手前の道具の名前は「測定ゲージ」or「型取りゲージ」というらしいです。


いざロッドを仕込みます。次にお目見えするのは何十年後になるんだろう、とロッド交換の時は毎回考えてしまいます。


埋木を平らになるように削ります。


後はダボに合わせて指板を接着し、ネックの塗装修正をしてロッド交換は完了です。


最初の画像と比べると一目瞭然、新品同様のアジャストロッドになりました。


後はいつものようにセンターがズレないようにネック角度を調整します。

 

フレットをすり合わせて磨いて行きます。

なぜかこの画像で終了。肝心の完成写真を撮り忘れて納品となりました。(*_*)

ロッド交換は費用もやはりそれなりに、またお預かり期間も長くなってしまいますが、大切なギターのロッドがダメになってしまった場合は皆川ギター工房までお問合せくださいm(_ _)m

 

ブリッジ交換、リフレット / Gibson J-45 Deluxe


いつもご覧いただきありがとうございます。スタッフの山口です。こちらのギターは前にロッドカバーとピックガード再接着のブログで登場した70年代前半のGibson J-45Deluxeです。


ブリッジが改造されたようなおかしな状態だったためオリジナルっぽく作り直しました。


ブリッジ接着用の道具もありますがサウンドホールクランプを使います。


70年代のGibsonのブリッジは独特の薄さと形状ですね。年代によって至る所に変化があるのがGibsonの魅力だ、という人がいますが僕もそう思います。過渡期に見かけるような仕様が混合された個体に胸が熱くなる人も多いのではないでしょうか。

 

 

 


フレットも新しく交換して行きます。


フレットを打つ前の修正された指板にいつもうっとりします。長年の汚れや手垢で見えなかったローズウッド本来の木目の美しさが甦ります。

サンドペーパーの目が細かすぎるとあまりカッコ良くない、というのは多くのアコースティックギターを見てきた師匠からの教えです。


たまにフレットプレスを使いますが最近はトンカチで打つ方が多いです。


前のブログでピックガードを貼ったら完成です。70年代Gibsonはもっと評価されてもいいと思わせてくれたギターです。斉藤和義さんもたまに使っていますね。何よりも本家Gibson自身がもっと評価するべきだと思ったりもします。

 

ピックガード貼り直し、ロッドカバー交換 / Gibson J-45 Deluxe


スタッフの山口です。今回はGibsonJ-45Deluxe。まずはロッドカバーをオリジナルっぽく作って行きます。


材料を大方の形に切ってビス穴を開けたら表面を傷が残らないように徐々に番手を上げながら磨いていきます。


ロッドカバーは小さいのでピックガードの磨きよりは楽です。土台の木材もツルツルになってしまいました。


左がよく見るGibsonロッドカバー既製品。真ん中が作製した70年代のオリジナルの形で作ったもの。右が元々付いていたモノです。

 

 


ロッドカバーができたら今度はピックガードです。こちらはオリジナルのピックガードが反り返った状態で剥がれていましたので何ヶ月も重石を置いて平らに矯正しておりました。


合板でピックガードにピッタリなジグを作って、今回はタイトボンドで接着しました。

このペグ、好きです。作成したロッドカバーも馴染んでいていい感じです♪

こちらのギターは10年以上前から工房に眠っていました。師匠が勉強も兼ねて僕に任せてくれました。この他にも修理をしたのですがそれはまた後々。

鳴りがよくすぐに買い手がつきました。

長い間メンテナンスされていなかったギターが甦り、誰かの手によってその音が奏でられるというのはとても嬉しいことです。ギターのサウンドホールから「ありがとう!」と聞こえる気がします。

ギターに限らずですが、「モノを修理して永く使うこと」は、作った人も買った人も、また手放した人もそしてそれを直した人もみんながハッピーになれることだと思います。修理っていいな♪

それでは!