スタッフブログ
ボディ割れ修理 / YAMAHA LL-31B
運送中、ライブの準備中、等に時に起きがちなアクシデント。
エンドピン部分に力が掛かった場合は、このようにボトム部が割れる事がよくあります。
現在の物は分かりませんが、ヤマハのケースは底が薄いのでケースに入っていても気を付けなくてはなりません。
ケースに入っていてもネックが折れる事もあり、ヤマハのケースでなくても気を付ける事は同じです。
ケースがしっかりしているので倒れても大丈夫だと思いがちですが、大概のケースはヘッド部分はフリーです。
ヘッドはペグが付いており結構な重量があります。
更に弦をチューニングしたままの場合では、約70㎏の張力が掛かった状態ですので何らかの影響が出る確率が更に高まります。
「いつも大丈夫だから。」と思わずに大事なギターでしたら用心してくださいね!
運送する際、日頃の管理、ライブの時等、いつも大丈夫だったけど皆さん1回大丈夫でなくなった時から、気を付けます。
その1回があった為に、「次のギターからずっと大丈夫です。」確かに学びは大事です。
でも良くない事は1回も無い方が良いですから。
修理屋にお越しになる方は大概は、一期一会。
しかし中には何度も大丈夫でなかった事が起きる人もいますが、「なんかあったらそん時また直せばよい!」
という考えもあるかもしれませんね。
ネックリセット&リフレット / Martin OOO-18
ブラジリアンローズウッド特有の木目や質感はやっぱりいいですね!
噂ではブラジル政府は本当は少し前からハカランダを解禁したいとか。1969年のワシントン条約から既に50年以上経過している訳ですから可能性は充分にあるとは思いますが、「希少性」の観点からビンテージギター業界はそれを良く思わない可能性もあります。
ダイヤモンドは採掘量に対してわざと流通を制限して価値を押し上げることに成功してきた、という逸話がありますが、ハカランダを解禁するとしても出荷量をうまくコントロールすることができるのであれば価値の暴落はそうそう起こらないと思いますので、環境保護問題をクリアできるならぜひ解禁してほしいなと思います。
先日ハカランダブリッジ材がとうとう在庫がほぼなくなりまして、師匠皆川と色々当たって探したりしていましたが手に入らない状況が続いています。そんな中、質の良いココボロがネットに転がっていましたので「ブリッジ材の良さそうだ」となり、試しに仕入れてみました。質感はやはりハカランダとは違いますが、仕上がったブリッジは一見、ハカランダの要素はあっていい感じでした。(写真参照)
インディアンローズもまだストックがありますが、ブリッジ交換の際はココボロも承れますのでぜひご相談ください。
今回も最後までありがとうございました。
ブリッジ割れ / Kalamazoo KG-14
過去にもいろいろやった形跡が見えますが、これは割れ部分を接着するだけでは持たずにまた割れてしまう為、割れは掘って埋めます。
過去の修理部分もよく見てサドルの溝も埋め直し、真っすぐの溝を切り直します。
ロングサドルですので、強度を考えればもっと低いサドルが理想ですが、仕方ありません。
今回の割れを取り除いて埋めるやり方は、これで大丈夫な場合も、ダメな場合もあります。
見るからにダメな場合は、最初から作り直してしまいます。
オリジナルのパーツ、材料は出来る限り残したいので大丈夫そうだと予想が立てば、試したいところです。
それでもクラックが入ってしまった場合は、その場合は、後は修理のやりようがありませんのでブリッジを新たに作り直すしかありません。
何につけ判断が難しい場面と言うのがあります。
現在私の車を修理に預けているのですが、メーカーに出した場合は周辺パーツ丸ごと交換、修理屋さんならとりあえず悪い所だけ見つけてやってくれます。
これも丸ごと交換してしまえば間違いませんが、部分修理の場合はしばらく乗ってみななければ分かりません。
修理してもらう立場、修理する立場でも、安く修理したいと思うのはどちらも同じ。
ネック折れ / Gibson J-45HCS ADJ
ボディ割れ、剥がれ / Ovation 1761
割れに対して、接着剤がしっかり入ればクリート(割れ止め)は必要ありませんが、接着剤が入って無いような所にはクリートを付けます。
接着剤が入らなかったのですから、これしかありません。
割れの話は何度かしておりますが、今回のように落として割れた場合と冬場に乾燥で割れる場合、
2パターンあると思いますが、どちらかと言えば乾燥で割れる場合の方が面倒かと感じます。
ギターも個体差があって、こっちは大丈夫なのにこっちは大丈夫でない。
そう言う事は往々にしてあります。
もし乾燥で割れた事がある個体なら、冬場の乾燥には多少なりの気遣いは必要かと思います。
(割れたことが無くても気を付けるに越したことは無いです。)
冬場に割れが見つかるタイミングでは、その割れは開いて閉じなくなっています。
そのまま接着剤を入れる訳には行きませんので、当工房の養生棚に置いて閉じるまで待ちます。
修理の際は割れが閉じてしまっているので、接着剤は十分には入りません。
ですので、クリートを付けるしか無いのですが、もっと大きいクリートにすれば効果があるのでは、という考えもあります。
割れに接着剤が入っていないのですから、クリートの大きさは関係ないかと考えています。
クリートが大きくても恐らく、再度乾燥が進めば同じ所が割れる確率は高いと思います。
私のギターもやはり冬は乾燥でトップが凹んで弦高が下がりますので、(割れる程までは乾燥しないですが…)音もぺしゃつくと言いましょうか、…
弦高を上げれば良いのですが、面倒なのでそのまま弾いています。
過湿するグッズ等もありますので、使う価値はあります。
では夏は頑張って乾燥させた方が良いのでしょうか。
必要はないと思います。
弾き込めば良いのです。
弾き込めば湿気は発散されます。
自分のギターは夏場、弦高も好いので夏場の音の方がとても良い音です。
では、弾かないギターの場合はどうするのですか。
知らん。
ネックリセット / Martin D-18

センターズレの他、リセット後にサドルの背丈がバカ高くなってしまう、とか、ヒールに隙間ができてしまってなんか誤魔化す、なんてことは避けなければなりません。。
20年後、また他の誰かがネックリセットをした時に、「前回のネックリセットを施した職人は下手くそだな」なんて思われたら悔しいのです。
しっかりとシーズニングされた木材で作られていることが大前提ですが、アコースティックギターやクラシックギターのようにボディが空洞のギターの場合、弾かない時にちゃんと弦を緩めておけば早々不具合は起こりません。よってネックリセットが必要となることもほぼありません。
世間では「木が固まるまでは何年か弦を張りっぱなしにした方が良い」とか、「1音だけ下げるのが正解だ」とか、「弦を張っておかないとネックは必ず逆反りする」とか、何の科学的根拠のないことを、あたかも「自分はこの世のギターの全てを知っている」みたいな顔をしながら言っている人を見かけます。
この世界の物理法則がひっくりかえらない限り、木はあくまでも木なので、ある一定方向に長時間、何十キロもの圧力がかかり続ければ、どこかしらが変形したり割れたりするのは至極当然のことです。僕も世の中のギター全てを知っているわけではありませんが、弾かないときはなるべくダルダルに緩めておくのが不具合の出る確率を最大限低くする一番良いギターとの付き合い方であることは間違いありません。
自分の「修理屋」という仕事の将来を考えると、弦を張りっぱなしにして不具合が出たら皆川ギター工房に持ち込む、というのをお勧めしたいところではありますが、、。( ´ ▽ ` )
今後とも皆川ギター工房をどうぞよろしくお願い致します。敬具
ネックリセット / Martin Bolt on Neck
おそらくヒールに隙間が出来てヒールキャップも取れてしまった為、接着剤でくっ付けようとしたのだと思います。
周りが接着剤で汚れています。
過去にも説明しておりますが、目に見えるヒールの隙間を接着しても意味がありません。
ダブテールジョイントであればジョイント部の精度、ボルトオンジョイントであればボルトが正しく締まっているかが重要です。
ボルトオンジョイントのネックの場合、指板がトップから剥がれれば、後はボルトを緩めてネックは外れるはずなのですが、Martinは一味違います。
ジョイント部も接着しちゃってます。
まだこれに慣れなかった頃は、何で外れないのか分からず、すごく面食らった事をブログに書いた記憶があります。
最初の時は、「きっと新人さんが間違えたんだろう。」等と思っておりました。
2回目の時「外れねーな…もしや?」「これもか。」と成り、3度目からはマーチンのボルトオンネックは中まで接着してある事が分かって取り組みますが、かえってダブテールジョイントより面倒くさいです。
ですので「ジョイント部も接着する。」がMartinの正式なセットの仕方ですから、リセットする際は困ってしまいます。
「ボルトオンだけど接着しないと持たないの?」「実際隙間が出来たし。」
「いや。接着剤はいらんだろ。」「ボルトがしっかり締まればよいのだから。」
と、堂々巡りして、外す際になるべく面倒くさくならないように、少し接着するという、自分でも「なんだこれ。」と言うような事をやったりします。
「マーチン、問題多すぎー!」等と言う人もいると思いますが、Martinの名誉の為に言える事は、それだけ見る機会が多いと言う事。
どのメーカーも完ぺきなものは、なかなか無いと思います。
Gibsonがネック折れやすい等と言う人もいたと思いますが、Gibsonを持っている人がとても多いんです。
その角度の付いたヘッドのネックでなければGibsonでな無くなってしまいます。
確かにFenderは倒しても簡単には折れず強いです。
比べちゃいけません。
それぞれが、それである為に、それなのですから。
ネックリセット&リフレット/ Martin D-28
今回は新しめのD-28でしたがオールドとは随所随所に違うところがあり興味深かったですね。
新しいギターでも古いギターでも関係なく不具合は出てくるものです。環境や弦の張力、木材が動きやすいものや、ネックは強いけどボディが弱いとか、同じメーカー同じ年式でも個体差が必ずあります。最近流行りのカーボン製ギターなどは個体差が一切なく安定した工業製品として確立されていますが、、何でしょうか、、何というか、、個々の個性がないモノに人間は愛着が湧かないモノだと思っています。人間も、みんな同じ顔、同じ性格、同じ声だったら果たして愛すべきパートナーをどうやって見つければいいのでしょうか。。
童謡詩人の金子みすゞさんの「みんな違ってみんないい」という言葉が多くの人に響き続けています。ギターも同じで「みんな違ってみんないい」、そんなところに奥深さや面白さ、そしてロマンがあるのではないでしょうか。
どんなギターでも、他人が何と言おうとも、自分が良いと思ったギターは自信を持ってその個性を尊重し、付き合ってあげてほしいと思います。この世に完璧な人間がいないように、ギターも完璧なものはないと思っていて、そこがまた愛らしくも感じるのです。
今回も最後までありがとうございました。
トップ割れ修理 / Kamaka Tanor
ウクレレはギターと違って軽い分、倒したり落としたりした時も意外と無事な場合がありますが、今回はそうはならなかったようです。
ウクレレ専用のストラップの場合は、手を放してしまうとクルっと回って落ちる事があります。
ギターのようにストラップピンを付ける人や、穴を空けずにつけられる落ちないストラップや、独自の工夫をしてる人等、いろいろありますので不安な方は検討されてはいかがでしょうか。
こちらのウクレレは、演奏中に落ちたかは定かではありませんが、それはそうとして不幸中の幸いな部分は、こちらのトップ板は割れの跡が目立ち難いと言う事。
割れた跡が残らない修理は不可能ですが、スプルースやシダー等のように目立つことがありません。
ギターのトップの場合は、スプルースやシダーであることが多いので、割れてしまうとなかなか目立たない様には修理出来ません。
今回の破損とは違い、冬場の乾燥が原因で割れる事はよくありますが、これもとても難しい修理です。
乾燥状態は、割れている事にすぐ気が付きます。
何故なら木が縮んで割れて隙間があるからです。
この状態でしたら接着はとてもしやすくしっかり接着も出来ます。
しかし、季節が進み湿度が戻ると木も元の大きさに戻ります。
そうなると割れの隙間に入れた接着剤が邪魔になり木が歪む原因になります。
なので、工房の養生棚で割れの隙間が閉じるまで置いてから接着したいのですが、ピッタリ閉じていますので専用の工具を使っても上手く接着剤が入らない事もあります。
割れの修理は裏からクリートと呼ばれる割れ止めを貼りますが、それは気休めでしかありませんので冬に乾燥して木が縮めばまた割れが出ます。
湿度のバランスが取れている時は、割れはぴったり閉じていますので見た目、割れているようには見えない事もよくあります。
ギターを見るタイミングによっては割れは一切なく、過去に割れた形跡を特定する事も出来ない事もあります。
ピッタリついていれば究極、割れている事になりませんので冬場の乾燥にはお気をつけくださいませ。














































































































































