スタッフブログ

ロッド交換 / Gibson J-45 (山口君のページ)


スタッフの山口です。今回はコチラ!GibsonJ-45(1967年製)のロッド交換です。写真はすでに指板を剥がしたところです。マホガニーネックの真ん中にメイプルの埋木、そのメイプルの下にお目当てのロッドが埋まっています。


ドレメルルーターを使って埋木のメイプルをある程度削って行きます。ちなみに自分が所有していた国産オールドギターでロッド交換は経験していましたが、その時は埋木のないMartin式ロッドでしたので、埋木のあるGibson式の所謂トラディショナルロッド交換はこれが初めてです。


ドレメルルーターで取り除ききれなかった埋木を手作業で慎重に削って行きます。


約50年ぶりにロッドさんが外界にお出ましです。ガッツリ錆びています。まだ僕が生まれるずっと前にアメリカでこのギターのネックに埋められ、それから50年余り。複数のオーナーの手に渡り、その間に海を越えて、こうしてこの日本で最期の時を迎えることとなりました。きっとこのギターで奏でられたたくさんの音楽をずっとこのネックの中で聴いてきたのだと思うと、そのロマンを感じると共に「お疲れ様でした」と言いたくなります。


これからはこちらのロッドくんにこのギターのネック調整を担ってもらいます。このロッドは師匠が知り合いのバイク屋さんに掛け合って作成(溶接)してもらった特注品。長さを合わせてカットし、ロッド頭はねじ切りダイスで加工します。ロッドエンドは少しだけ大きくなるため、それに合わせて溝も調整します。

ロッドを溝に合わせてしならせた状態で埋木もそれにピッタリに沿うように作ります。埋木は修理前と同じメイプル材、工房で10年以上シーズニングされた材です。この後は埋木をネックに合わせて削り平らにして指板接着。接着後、指板とネックの境目を均してから師匠が塗装を修正、という流れになります。

 

 

無事にロッドのアジャストが可能になり修理完了です。ネック角度が狂っている場合は一緒にネックリセットを行いますが幸いこのギターは元起きもなく、ロッド交換だけで良い状態になりました。

実はこちらの修理は2年前のもので、まだ弟子入り2年目。横で指南しながら見守ってくれているとはいえ、本物のヴィンテージギターで大掛かりな修理経験を積ませてくれる師匠、そして修理依頼元である某ショップに感謝です。

アジャスタブルサドル特有のパーカッシブルな音、60年代後半の赤みのあるタバコサンバースト。まさに僕が欲しいGibsonのアコギ。修理前から密かに目を付けていましたが、当時は「これから先さらに良いギターに出会えるかもしれない」と思い購入はせず。。。案の定、ショップ納品後2〜3日後には売れてしまいました。人も楽器も一期一会、「これは!」と思ったら迷わず買っておくべきだと痛感させられた思い出深いギターです。今頃どんな人が弾いているんだろう。

「ヴィンテージギターなら価値が下がる事も少なくむしろ上がっているので、貯金や投資のつもりでとりあえず買っちゃって手元に置いておくのも全然有りですよね」と師匠と度々話します。同時に「宝くじでも当たらないかなー」とも話します。笑

逆に気入っていたギターをちょっとした状況や気分でポンと売ってしまい、すごく後悔しているなんて話もよく聞きます。ギターフリークあるあるですね♪( ̄▽ ̄)

ネックリセット、リフレット / Gibson L-OO


 

古いギターは古いギターらしく、ギブソンはGibsonらしく、マーチンはMartinらしく、そんな風にらしく仕上げられればカッコよいなと思いつつ仕事をします。

そう思いながら修理完了するギターは、皆川ギター工房がやった修理となるのだと思いますが…。

先生はこう言ってた。本に書いてあった。ここは何ミリで。習ったやり方はこうで。など等、習ったり、勉強する事は勿論大事で、それだけでも修理は出来ると思いますが、私が思うカッコ好さで仕上げたいのです。

このカッコよさは、しみ込んだ感覚なので説明は出来ないのですが…。

何度となく修理を繰り返してるオールドギター等は、なんかカッチョ悪い物もしばしば見ます。

 


指板の厚みを足す場合、バインディングが無ければ馴染みやすいです。


フレットのエッヂは斜めにし過ぎず丁寧に処理します。


サドルの高さが、ナイスです。


エボニー(黒檀)ナット。


 


 

 

元に戻す事が第一で第二がそれの欠点を改善出来ればもっと良い、それが修理屋の仕事なのではと思っています。

それをその人のセンスでカッコ好くしようとして、第三にしちゃってるのを見るとゲンナリしてしまいます。

オールドカーやバイクなら第三のセンスも非常に大事な気がしますが、ギターの修理屋はオリジナルに沢山触れて知っている事と観察力を駆使する事が最も大事で、芸術的センスは特に必要無いのでは…と思っています。

経験と観察力が足りないと意に反して、第三の状態になってしまう事も。

 

などと、書いてみると、大層な事の様で、正解でもなんでもありません。

悪しからず。

それを持つ人が第3でも4でもよしとするならば、それが良いのです。

ネックリセット / Gibson J-45 (山口君のページ)

スタッフの山口です。50年代のGibsonJ-45、写真はすでにネックを抜いたところ。ダブテイル部に見えている丸いのはアジャストロッドの終端部です。60年代以降はこのようにダブテイル部分まで終端部が貫通していません。写真のような貫通型の方が製作工程で手間がかかると思われますので、効率化の為に設計を変えたのだろうと勝手に思っています。このロッドの仕様変更は正確にはいつなのでしょうか。もしかしたら師匠なら分かるかもしれません。

ネック角度が大きく狂っている個体は適正な角度に直すと指板のハイフレット側がお辞儀をしてしまいますので下駄を履かせてあげます。見た目ももちろんですが、ハイフレットがお辞儀をせずに弦と指板が最後まで平行に沿う事で、音もより共鳴するようになるのではないかと思います。ただそれを聞き分ける程の耳はあいにく持っていませんので飽くまで理論上のお話です。


センターもズレる事なくできました♪初めからズレているオールドギターもたまにありますのでその時は出来る限り修正してあげます。


少しずつですがネック接着前に接着後のサドルの高さをイメージできるようになってきました。これも良い感じ!

溢れ出る男臭さ、渋過ぎます。60年代はミニスカートなど派手目のカラフルなファッションが流行した時代、それに合わせてかJ-45もチェリーサンバーストなど少し派手目に変貌しました。このギターが作られた50年代はロカビリーファッション全盛期、リーゼントにはやはりこちらの方が似合う気がします(● ˃̶͈̀ロ˂̶͈́)੭ꠥ⁾⁾

 

指板修正(リフレット)/ 手工品(D-45コピー)

D-45 を模した手工ギターです。

フレット抜いて、指板を修正します。

想像するに、調整しないでそのままフレットを打っちゃったという感じだと思うのですが…

指板の雰囲気としては、なしてこんなに歪んだ?という感じ。

 

フレットのすり合わせをする機械というのがあるらしいのですが、とりあえずそれでやってみてもらったようですが、問題解決にならなかったようです。

物事には各々の基準や物差しが違いますので、判断が異なるのは仕方ないと思います。

当方であれば、この状態でフレットのすり合わせという選択は無いのですが、この状態でビリつかない様にすり合わせをするのであれば、ポジションによってはフレットがぺったんこになるような調整になったはずだと思います。

 

 

 


 


 

ご依頼人のお話によれば、「この先はネックリセットが必要なので、アコースティック専門の修理屋で、」と言う事で、プランの流れが良くわかりませんが、当方をお勧め頂いたようで嬉しかったですけど、こちらのギターは当方の見積もりではネックリセットの必要はありませんので、ショップによって判断基準の違いを改めて痛く感じた仕事でした。

ですので、逆にうちで納得いかなかった人が他所で見てもらったら「こんな事したの?」なんてことが無いとも限りません。

判断基準が違うのですから、当方を信頼して頂くお客様には本当に感謝いたします。

 

弦高も下げられて弾き易く、サドルもこの位あれば十分です。

指板のアールはMartinよりフラット。

さだまさしさんのこういうギターありませんでしたっけ。

 

さださんで 一つ思いだした話があります。

私(葛飾区出身)が中学生の時、中川中学から転任して来た、理科の中島先生が授業中に話していたこと。

「彼(さだ君)はね、授業中一切ノートは取らないけど、全部、記憶している。集中力がすごい。」

「キミ達もそうしなさい。」位の勢いで話されていましたが、無理です。

ただただ、ノートを書かない子になるだけです。

バイオリン以外の事はやらなかったという、さださんの天才っぷりがほんとによくわかったお話でした。

 

 

Martin OOO-21 / ブリッジ交換、ネックリセット

ブリッジがちょっと薄いのでネックリセットにつき、ブリッジの厚みを戻します。

年代的にはロングサドルですが、ショートサドルで作り直し。

ハカランダの在庫は、まだ少しあります。


ブリッジが出来ましたので、ネックリセットします。


後ろが剥がしたブリッジ。

交換せずとも個人的には十分と思いますが、色々拘りがあります。


通常のネックリセットより多少高いサドルです。

 


 


 


 

リフレットして、ピックアップを付けます。

完全にご自身が使いやすい、好みの状態を想像しての修理依頼、という感じです。

個人的好みではサドルは高く出ていない方がカッコよく思っていますので、通常はもうちょっと低くなる様に角度を直すのですが、サドル高目がよろしければ言って頂いて全然かまいません。

但し、たまに見る現行品ですごくサドルが出てる、イヤミの出っ歯(アニメおそ松くん)みたいなのは勘弁してください。

そのリクエストは、他の修理屋さんでお願いいたします。

修理画像を過去にどこかで見た記憶がありますので、やって頂ける所があるはずです。

 


 


 


 

今回はサドルが高目になるように狙って調整しましたが、最終的に弦を張って調整してどちらに転んでも良いようにネック角度を直しますので、結果いつもより高目なサドルになる場合もあります。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正あり) / Gibson ES-335


 


 


 

割れの跡は、大なり小なり残るのですが、いずれにしても跡は目立たない方が良いのは言わずもがなであります。

割れの跡は多少でも目立たない様に、でも、出来るだけ自然な色合いに、といつも着色の際に迷います。

今回はこの位。


 


 


 

いつも一番良い位の濃さ(着色)でやれば良いんでないか、とお思いでしょうが、毎回丁度良さが分からず着色しながら、「ここまで!」とか「ん・・・もちょっと・・」

とか言いながらやります。

ナチュラルの場合は、どうにもなりませんので予め、色を付けるか否か相談いたします。

 

 

 

 

フレット交換 / Gibson LP jr.


 

こちらのギターは、依頼人様のご友人の形見。

ご自身は左利きでこれから、このギターで練習する予定。

フレットを交換して、左用に直したいとの事でしたが。

今後転売する事は無いにしろ、今となっては非常に貴重なギターですので、これから練習するのであれば、右用のこのままで練習されてはいかかですか、と言う流れでリフレットのみのお預かりとなりました。

特にこのTVカラーは昔からサンバーストより高価でしたので、このまま残して頂ければ幸いです。

 

 

私が持っていた57年のサンバーストのjr.は、委託で17万円で売りに出しましたら、お店の方々に「皆ちゃん、高いよ。」と言われたのが、今から33~4年前。

スタンダードは昔から古い物は高かったのですが、いつの頃からかレスポールと名前が付けば昔では考えられないような値段がついています。

 

 

 


オールドギターの指板調整は出来る限り最小限に、もしくはやらずに。


オールドギターのナットは、交換せずに残す場合もあります。


その場合は高さが足りなくなりますので、底上げします。


目立たない様に出来れば良いですが、線が見えます。

画像だと余計に目立ち


フレットのエッヂは斜めにし過ぎず立てて仕上げます。


オールドの場合、ナットの1弦、6弦の溝がエッヂに近めなことが多い為、尚の事フレットのエッヂは立てて弦が落ちない様に。


リクエストがあれば、エッヂは斜めに落としますが、基本この形です。


エッヂを立てて仕上げますと処理が面倒ですが、この方がカッコよいと思っています。


どこを見てもカッコよい。


どこ見たってカッチョイイ。


いいですな~。

 

 

ネックリセット / Epiphone Texan FT-79 (山口君のページ)

皆川ギター工房スタッフの山口です。今回のギターは1966年〜1969年製と思われるエピフォンのテキサン FT-79のネックリセットです。ナローネック+ハカランダサドル。当時はもうすでにGibson傘下ですので、ミシガン州のカラマズー工場で製作されたギターです。Gibson同様、基本的にヒールが太く、木工精度も高いのでスムーズにネックが外れると本当にホッとします。ちなみに画像はもうネックを外したところ。なんかネックブロックに数字がスタンプされていますね。

 


 

ネックの角度がいい具合に決まり、いよいよネックを着けるぞ、というところでパシャリ。接着後のフレットすり合わせや弦を張った時の雰囲気など、様々な要素を想像して角度を決めます。その後さらに師匠に見てもらいGOサインを貰ってから接着です。


 

写真が少なくてすいません。最後はフレットのすり合わせをして完了です。かっこいいですね〜!セクシーで綺麗な赤色です。僕は60年代のJ-45が大好きなのですが、60年代のTexanの方がなんか「通」っぽい感じがします。ロングスケールなのもいいですね!欲しい!!

、、けどこの後無事にSHOPに納品されました( ;∀;)/

 

フレット交換 / Ovation 1768

私(皆川)の方のブログは、続いてもOvation のフレット交換です。

前回のは、カスタムレジェンドと言うモデル、4桁のモデルナンバーの最後に9が付いたモデル。

 

こちらは、エリートという機種名が付いたモデル。

4桁のモデル番号の最後が8です。

こちらの方がリフレットは面倒です。

 

 

このギターは黒なので、1768-5となります。

以前にOvation のカラーナンバーの事をどこかのブログの記事で書いた記憶がありますので、記事を探してみました。

Ovation 1881-NBBG ←ここに書いてあります。

 

モデル番号に関しては、ややこしすぎて説明が不可能です。

 


ここの部分フレット打ちがとても難しくて処理も面倒なのです。


他の部分は、通常のギターと同じ作業。


ナット交換も同じ。


エポーレットの色が退色してる感じがカッコよいです。

 

ネックリセット/Martin D-18(山口君のページ)

初めまして、山口と申します。僕はお得意先のギターショップの在庫の修理が主なのでほとんどが自分のお小遣いじゃ買えないような価格のギター修理です。


記念すべき初ブログは1970年代のMartinD-18。今回の修理内容はネックリセットとブリッジの作成交換です。

 


指板をトップから剥がしてからダブテイルジョイントを温めます。僕が弟子入りした当初は師匠もプシュープシューと蒸気で温めてネックを外すと言う方法でやっていまして、初めて見た時は熱い蒸気を絶えず拭きながらネックと格闘している感じがすごく職人ぽくてかっこよかったです。

しかし修理において修理風景のカッコ良さが優先される訳ではありませんので2年ほど前からより効率的なヒートスティックに転換されました。Martinは良くも悪くも素直にネックが外れてくれます♪

 


 

ネックの角度を調整する前にブリッジを作成します。

基本的に指標となるブリッジがないとネックの角度調整ができませんので。

右が薄く削られてしまった元々のオリジナルのブリッジ。

左はアメリカから取り寄せられるマーチン風の既製品のブリッジ。

真ん中は僕の作成途中の新ブリッジです。0.1mm単位で師匠に相談しながらディティールの調整をしていきます。

 


ちょっと飛んで、ネックが接着されました。外した時の温める用の穴の穴埋めです。木目をある程度合わせないと「リセットしました!」と言っているような15フレットになってしまいますので、やはりエボニーよりもD -18のようなローズ指板の方が難しいです。

 


ブリッジのディティールもサドルの高さもいい感じに仕上がったのではないでしょうか。(師匠がOK出してるので多分そのはず。)


いいギターだね~!何年製でしょ。(皆川)

すいません忘れてしまいました汗(山口)

 

そうですか。

画像ではもっと古い物と思って見てました。