
ナットの形はメーカーによって様々です。それぞれのメーカーや年代に合わせた成形を心掛けます。例えばギブソンなのにヤマハっぽいナットだったりするとカッコ悪いのです。逆もまた然り。多種多様なナットのディティールは未だに苦戦します。
こちらはフレット交換してオーバーバインディングにします。
隙間に詰め物をして挟まらなくなっても、そこの段差部分の違和感は残りますので交換してしまった方がスッキリしてよいでしょう。
このフレットバインディングと言うのは、見た目から手間が掛かって高級ギターなんだろうな、と言う感じは醸し出していますが・・・
やはり高級感だけの為のものなのでしょうか・・・
私、このあたりの理由や歴史的な背景が勉強できてませんので分からないのですが、なんのメリットがあるのでしょうか、分かる方は教えて頂ければ幸いです。
多分、たぶんですよ、マンドリンばかり作っていた時代、指板がやせた時にフレットが出てチクチクするのでなるべくチクチクならない様に考えたのがフレットバインディングなんじゃないかなー。
そしてそれは高級機種の証、なんて思います。
それがギターに引き継がれて、特に良い事も無いのが分かっていながら誰も「もうやめようよ。」と言う人が現れずに現代まで続いている・・・
だってGibsonの伝統なんだもん。
そういう事なんじゃないかなー。
伝統はいつも、尊重して、重んじて、尊んで、アンタッチャブルなのは、そこの年寄りが許してくれないからなんだよね。
若者を中心に仕事をやらせなければ、絶対に発展なんて無いのはわかっているのに(分かってないのかな…)、居心地が良い年寄りはそこから退かないんだ。
「あんた、そら違うよ!」と言う方は真実を教えて頂ければ幸いでございます。
ネックリセットやネック折れ、ボディ破損等はビフォーアフターの絵面が良いので修理ブログでは、ついつい多くなってしまいます。
実際、当方ではネック折れとネックリセットは多い事は多いのですが、力木剥がれやトップクラック等、アコギに多い修理もいかんせん、画が地味…。
それに対して、このネックを取っちゃってるところなんて、”えぢから”あるもの!
それとかネックが折っ欠けちゃってる画なんて怖いでしょ。
絶対に自分のギターで想像しないもん。
幅広く画像残さないと…とは思ってはいるのですがつい・・・申し訳ないです。
1. この位が個人的に理想的なサドルの高さ、リフレットの際に指板を削り直したり、使用する弦の張力によってどんなネックの反り方、起き方になるか計算しなければならない(実際に計算式があるわけでは無い)のですがなかなか思い通りなサドルの高さにする事は難しく、少々どっちに転んでも良い感じなる様に調整します。いずれにしろ出っ張り過ぎないように気を付けています。
2.薄板で指板の厚みを足しているのですが、バインディングがあるのでバインディングも足さなければなりません。
3.フレット交換していますが、バインディングがありますので、フレットのエッヂ部の足はカットしてバインディングの上に乗るように加工しなければなりません。バインディングが巻いてあると何かと面倒になります。
4.新しいフレットなので、基本ナットも新しく。
ラッカー塗装にありがちなベタベタ劣化は、大分ひどい場合はリフィニッシュ。
リフィニッシュしないまでもの場合は、劣化したベタベタを辞去してオーバーラッカーします。
但しその場合、着色部分も往々にして剥げてしまう事があります。
サドルの話に戻りますが、折角ネックリセットするのだからサドルが低くてはお得感が無いとお思いの方が多ございます。
私の場合、出っ張っているサドルがカッコ悪く見えてしまうのでサドルは高く無くて弦高も低いのが理想なのです。
サドルは高く無くても弦高が低いのでそれでよいのです。
あとは弦をちゃんと緩めて管理すればネックの角度が狂ってしまう事は無いのですから。
ようやくOM-42(CV.)の完成です。仕事の空いた時間に少しずつ進めておりましたので完成までなんと2年近くかかってしまいました。
完成してから思ったのはヘリンボーンにしたことでジョンメイヤーのシグネイチャーモデルのOM JMに似ているな、と。良く言えばですが縦ロゴだったりポジションマークやブリッジのインレイが入っている分少し豪華版な感じでしょうか。
音はアディロンダックのスキャロップドブレイシング、ちゃんとMartin、だと思います。工房に展示しておりますのでお越しの際はぜひ弾いてみていただければと思います。
買取価格と材料費、手間賃を計算しても販売価格ではペイできませんが、とても勉強になったので思い切って買い取って良かった!と思います。コンバージョン、世界に1本だけのOM-42と考えたら何だか達成感もあり、リペア学校を出ていない自分としては卒業作品みたいなギターです。
、、かといってまだまだ未熟な部分も多く、皆川ギター専門学校卒業には全く至りませんので、これからも日々精進して参る所存でございます。
番外編、最後までお付き合いいただきありがとうございました。
トップ板がほぼほぼ完成しました。美しい、、と思い記念撮影。長くなってしまうので前編はここまでです。空いた時間を使って進めているということもあり、ここまでで半年以上経過しています。修理というより製作に近いですね!「修理は製作の逆の工程になることが多いので製作工程を知ることはとても大切」という師匠の言葉が印象に残っています。
後編では完成までを載せたいと思います。完成品はHPのメニュー→在庫販売から既にご覧いただけますが、、
今回も最後までご覧いただきありがとうございました。
スタッフの山口です。今回もネックリセット、Gibson J-45です。
ネックリセット依頼の多くはビンテージギターです。その理由は長い年月が経ってネック角度が狂うから、というよりも修理費をある程度かけても採算が取れるから、だと思います。新しいギターでも保管方法によっては数年でネック角度は狂ってしまいます。
ネックリセットは時間も費用もかかりますが効果も抜群です。一度ネックリセットしたギターは当工房オーナーが推奨する「弾かないときは弦を緩める」を守っていただければまたリセットが必要になることはほとんどないと思います。
ちなみに今現在僕が担っているギターは少し変わったネックリセットをしています。一度ネックリセットした際に角度を付けすぎてしまったらしく、サドルが恐ろしく高くなってしまった状態を適正に戻す、言うなれば逆リセット。ヒールを削りすぎてしまっているため逆にヒールを足すという修理です。いつかそちらもアップしたいと思いますが写真のストックがまだまだあるので忘れた頃にアップすると思います。
最後に一応、、ネックリセットは経験豊富な当工房、皆川ギター工房にお任せください。
今回も閲覧いただきありがとうございました。
ネックの角度が狂えばリセットしなければなりません。
角度が狂ってしまう原因は大きく二つあります。
ひとつは製造不良、もう一つはチューニングのしっぱなしで放置。
このOvation は後者。
張力が掛かり続けボディが分かり易く歪んで(つぶれて)います。
歪んだ分角度が狂いますが、これはセンターもかなりずれちゃって、1弦がはみ出しちゃってます。
剥がれを直して、隙間を補強して、アジャストナットはグリスアップしてついでにワッシャーも足しておきます。
ネックをセットしたらすり合わせをします。
ネックの角度、センター良くなりました。
昔はそんなことは無かったのですが、Ovationの弦高が数値の割りに高く感じたり見えたりするようになりました。
感覚も時の流れとともに変わっていくのでしょうか。
ですので、Ovation は通常の弦高よりも少し低めに調整します。
若い時はJ-45よりもTexsan、B-25よりCortezが好きでしたが現在は逆です。
多分に年齢的に聞こえる音が変わったので、好きな音が今はギブソン寄りなのかなと思ったりします。
分かり易く剥がれています。
これ位剥がれていれば簡単に剥がれてくれそうですが、油断して行ってはいけません。
言い換えれば、こんだけ剥がれていて外れなかったんですから、慎重に抜かり無く行って損は無いです。
結果、簡単でした。
それなら尚良。
ブリッジを剥がすだけでもGuildのようにある程度修理経験のあるブランドならいろいろ分かっているので困る事はあまり無いのですが、分からないブランド等では、「何でこれで取れないんだ?」とか、剥がす為のヘラが中々思うように入って行かない等、あせったりイラついたりしない様に出来るだけ下調べします。
ブリッジならまだしも、ネックを抜くとなると大掛かりなので途中で疑問が湧いてしまうと大変です。
下調べをしたにも関わらず緩む気配がなかなか来ないと、「間違えてるのか?私…」そうなると結構あせります。
私、せっかちなもんですから、出来るだけあせらない様に心掛けて行かないといけません。
たまにマイペースだ。と言われますがそうではないんです、そう言われるように努力しているのです。
ブリッジの底面とブリッジが乗るトップ側の凸凹を修正して貼り直しますがGuildにありがちなのは、トップの状態によってはクランプしても全面が密着せずに両サイド(ウィング部分)に隙間が出来てしまう事があります。
その場合は、アーチトップギターのブリッジベースを合わせる要領でブリッジの底面を修正します。
いい感じで出来ましたが、これで直ったからもー大丈夫!では無く、日頃の管理は弦はしっかり緩めておきましょう!
緩めるのは…半音1音?そんなことはどうでも良いのです。
しっかり緩んでいれば良いのですよ。
但し塗装が下地に密着していない事がありますので、その場合は取り除く必要があります。
エポキシ系の接着剤は接着力の強さに加え、硬化しても質量が変わらず段差のある部分も接着剤が充填され非常に強力な接着力があります。
その中でもアラルダイトは昔から1番信頼しているブランド。
但し、昔からの定番のスタンダードが廃番になってしまい、それに近い品番の物を選んでいますが価格が倍、容量が半分になってしまい、実質値段が4倍になってしまい、カートリッジ式になりそれを使う専用ガンもまたいい値段がしたのですが、それで何とか使い続けていますが…
今まで仕入れてたお店で取り扱いが無くなってしまい、メーカーに問い合わせても要領を経ないので、この先はあるだけ使ってしまったら今後アラルダイトは使えなくなってしまうかもです。
30年も使ってたから、代わりは何にすればよいか…
他のメーカーだって進化していると思うのでアラルダイトでなくても大丈夫かと思うのですが…
やはり安心感が私の中では全然違うのです。
何とかならんかな~…
Ovationもタイトボンドや他の類では難がある為、アラルダイトを使用します。
Ovationの場合は塗膜が分厚過ぎてエポキシ以外では、いろいろと無理なのです。