スタッフブログ
リフレット(フレット交換)/ Gibson L-OO
古いギターのリフレットです。
当方のリフレットの料金は、各工程を分けて設定せずに、指板調整、フレット交換、ナット交換等、必要な作業は込みの料金になっています。
ネックバインディングは有る無しに拘わらず同料金です。
指板調整の有無やバインディングネックに新しいフレットを打つ前の処理等、単純に手間が掛かる方が料金が上がる事が多いようですが、バインディングの無い場合のネックサイドの処理であったり、指板を調整せずに(触らずに)仕上げる場合も返って手間でもありますので、基本的に通常のリフレットでは料金に差は付けていません。
昔は、バインディングの有無で料金を分けていたのですが、それも然程大きな差は付けていなかったのですが(3千円差だった記憶)、バインディング付きのリフレットの方は得した気がして、バインディングなしの方はなんだかもらい足りない様な気がしていたので、十数年前から差を無くしています。
当方は圧倒的にアコースティックギターの修理が多いでのでナットを作り直したり、ネックの角度を直すと同時にブリッジも作り直したりすることは良くあります。
作り直したパーツはオリジナルの雰囲気できれいに出来ている事が前提ですが、アコースティックの場合はそれで価値を大きく下げない様な気がします。
それはアコースティックの場合エレキと違い、修理しながら後世にのこしていくもので、特にソリッドのエレキギターが遺っている事と、アコースティックギターが遺っている事の意味が違う為ではないかと考えています。
そんな理由から、消耗パーツであってもオリジナルを遺して行こうとする変な価値観がエレキの世界についてしまったのではないかと思います。
エレキの世界しか知らない人は、取って置いても仕方ないアコギのパーツに拘ってみたり、アコギの世界しか知らない人は、エレキのオリジナルパーツに対しても特に未練がなかったりします。
理解はしていてもエレキの世界から来たアコギの修理依頼には時折、多少戸惑うことはあります。
(もちろん、アコギもオリジナルで状態が良い方が価値は高いです。)
エレキとアコギのオリジナルパーツに対する価値観の温度差があるな~、と感じている今日この頃。
ピックガード交換 / Gibson Dove
ネック折れ修理(塗装修正無し)/ Epiphone EB-2
Martin D-28 / ネックリセット
ネックリセットは、昨年から蒸気を使わない方法でネックを外しておりますが、蒸気を使って外している修理例の画像がまだある為、順次紹介させて頂きます。
サウンドホールからタオル(汚れている)が見えますが、アジャストロッドの付いたマーチンの場合、アジャストナットの為に開けた窓から蒸気がボディ内に入ってしまわない為にタオル等で塞いでおきます。
ネックを外して修理と言う事態にならないよう、お返しの際に必ず伝える事は、どのギターであってもアコースティックの構造であれば弦を緩める習慣を付けて下さい。と言う事ですが、感覚で5割以上の人が弦を緩めるか否か迷っています。
「必ず緩めます。」と言う方は3割位、1割位の人が「張りっぱなしです。(でした。)」と言う感じでしょうか。
張りっぱなしにしてもらった方が仕事が出来てありがたいのですが、こちらにお訪ね頂いた縁ですので同じ事を言いますね。
経験上、弦は緩めるに超したことはありません。1音・・・、ペグ1回転・・・、いろいろ言う人もいますが緩い分にはいくら緩くても構いません。
ギターの状態によっては1音だけの場合もあるかもしれませんが、良い状態であればしっかり緩めた方が良いと思います。
弦を緩めて逆反りを心配する方もいますが、逆反りを嫌って緩めなければネックだけでは無く、ブリッジ、トップ、ジョイント部に問題が出るリスクが増えてしまいます。
Martin D-28 / マーチンクラック修正+ピックガード交換
フレット交換(リフレット) / Gibson LP
※フレットバインディングと言うのは、ギブソンギター等に見られるフレットの延長のようになっているバインディング
※オーバーバインディングは、画像のようにフレットがバインディングの上に乗ってる一般的な状態
当然ですが、フレットバインディングでリフレットしたいと言う人は今までいない。
フレットバインディングと言ってもフレットとバインディングが一体になっている訳では無いので、時間が経ってバインディングが痩せてくればフレットとの間に隙間や段差が出来ます。
特に1弦側は、弾き方によってはその隙間に弦が当たった場合、パチパチ音がしたり、弦が挟まって演奏不可能になります。
今思い出して、同じ画像をもう一回貼り付けてますけど、こちらのオーナーにリフレットをすんごい褒められちゃった。
頻繁に褒めて頂く事はあるのですが、もういいから。って言うほど、今まで出したどこよりもいいし、SNSでもみんな褒めてるって。
私、そんなの目撃した事ないので、かなりお世辞が入っていますが、それにしても褒められるって言うのは嬉しくて、人を幸せにしますな~。
うちのお客さんは、ホントにいい人ばかりで助かります。
長年やってきましたが物理的に無理な場合は除いて、完全拒否した人は一人。
レストランでもどこでも、どちらが上では無く、対等と言う事をわきまえている大人がうちのお客様。
この一人は酷かった、なんだかんだ言って、最後にやっておけと置いて行こうとしたので、ギターをドアの外に出しても帰ろうとするから、「落とし物で綾警に持って行くから、取りに行って下さ~い!」と、叫びましたら戻って来て「な、なんでそんなことするんだ!」と言って、幸いそれきりです。
ピックガード貼り直し / Gibson J-45
このピックガードを貼り付けると言う作業は単純ですが、とても難しくもあります。
一旦貼ってしまったら簡単に貼り直しは出来ないので、貼る位置を決めたらポイントに印を付けたり、貼り方のシミュレーションをしてみたり、1発で決めなければなりません。
ちょっとずれて気に食わない場合は、なんとか剥がしてまた最初からやり直しです。
ヘッド折れ修理(塗装修正あり) / Epiphone LP
貼ってあるシールで分かるように、中国製のギターですから幾分材料の質も落ちますので、折れ方にも脆さが表れたりします。
木目に沿わず、お菓子を折ったような折れ方をしています。
そうは言っても、色もきれいで、音だって悪いわけではありません。
気に入って買ったギター、まだ新しいんですから、出来るだけきれいに修理します。
修理が完了したら強度も十分、また以前と変わらず使い続けます。
ネック折れの修理後、「ネックハンガーに掛けても大丈夫ですか?」と質問される事がよくありますが、勿論問題ありません。
以前と同じ使い方をして下さい。
気を付けるのは、アクシデント、ぶつけたり、倒したり、踏んじゃったりしないよう気を付けて下さい。
ネック折れ(ヘッド分離、塗装修正なし)/ Gibson FV
ネック折れ修理は、修理者によって区々ですので、初めて当サイトにお越しの方に多少説明いたします。
簡単に申しますと、補強が無くても折れない接着をします。
なぜ補強が要らないか、タイトボンド等補強が必要な接着剤ではなく、ネック折れ修理に耐える接着剤を使います。
補強をする作業が無く、さらに塗装がなければ、コストが抑えられます。
補強のあるネックで再度アクシデントに見舞われた場合、折れ方が複雑になったり、修理しにくい部分で折れないようにする為。
折れた所同士であれば1番密着できている為、削り取って別の材を足さない為。
等々。
過去の記事にも同じようで異なるような修理がありますので、いろいろ見て頂ければ幸いです。