スタッフブログ

ブリッジ剥がれ修理 / Rosso Arumard

大概ブリッジは反ってしまっているので、接着面は平らに直して貼り直します。 

勿論トップ側も平らに直して隙間無く貼ります。

 

 どちらも平らでピタッと戻るのであればそのまま貼って良いかと言えばダメなんです。

古い接着剤はきれいに取り除かなければ接着力は半減してしまいます。

 


いつも言っている事なのですが、弦は緩めましょう!


緩い分にはいくら緩くても大丈夫です。


ほとんどの皆さんは、ネックの事を心配されます。

しかし、その70Kg以上の張力は他の部分にもかかっているのです。
 
 
 
 

 

お世話になっているギターショップで、当方以外にも修理屋が入っているのですが、そちらでネックリセットしたMartin が弦を緩めたにも関わらず半年でまたネックが起き上がってしまった、という事らしいのですが・・・

その修理屋さんは良心的ですから、それは何かあるかもしれない、と無償でやり直すらしいです。

仮にうちの仕事でしたら、うちももめるのは嫌ですから、渋々 同じ様にしていると思いますが、多分その人は緩めたつもりでちょこっとペグを動かした程度なのだと思います。

弦を緩めておけば、ネック角度が狂う原因は無いのですから。

皆さん、いろんな考えがあります。

ペグを1回転緩める、半音下げる、緩めてはいけない、等々、緩めないよりも良いですし楽器によってはどれかが当てはまるかもしれませんが、アコースティックギター(ボディが空洞)なら弦はしっかり緩めましょう。

経験上、当方ではこのように言っております。

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Ginson SG jr.

古いSG jr.のネック折れです。

このままではもったい無いですので、直して弾きたいと思うのは、皆さんも同じでしょう。

昔にもネック折れの修理を補強を入れてしてあったようです

2本入れてある補強の片側が無くなっていて、それに欠けてくっ付いた部分も無い状態です。

元々補強を入れて修理してあったものなので、無くなった補強部分はやり直さなければなりません。

先ずは欠けちゃって無い所と補強部分も掘り直します。

・・・

 

 


正面は普通のネック折れ修理に見えます。

裏はネック折れ修理遍歴が見えます。


これだけ荒々しい見た目なので、どんだけ修理跡があっても何てこと無いです。


亀裂部分もしっかり接着をして、埋木します。


・・・

 

荒々しいね~。

バダス、付けがちです。

私のLP jr.にも付けておりましたが、見た目がなー。

 

 

 

ピックアップ交換 / K-Yairi OY-88


ピックアップを交換します。

Ovation型のヤイリギター


貼り付けP.Uからもっと良い貼り付けP.Uへ交換。

 


 貼り付けP.Uはピエゾピックアップ

サドルの溝に敷くピエゾP.Uと種類としては同じで付く位置が異なる。


LRBaggsのibeam

貼り付けP.U なら、やはりLRBaggsが良い。


コードはいつもの様にライニングに沿って止めます。


Voコントロールは、サウンドホールへ。


最近はOvationを預かる事がとても増えましたが、そっくりさんも来てくれました。

ボディの深さ等、ディテールがよく似てます。

 

 

 

トップ割れ修理 / Ovation 1768-X

Ovation のトップ割れ修理です。

オベイションに限った話ではありませんが、弦はしっかり緩めましょう。

 

弦を緩めるか否かで迷う人も多いですが、ネックの心配と同じ分、他のいろんな部分にも弦の張力がかかっています。

次の画像に行くまでの間は、ブリッジを剥がして、エポーレットを剥がして、ネックを取って、割れを直して、塗装面を調整して、はがしたエポーレットを直して、と言うようなことをやっております。

今回の修理で最もやりたくない作業は、次の画像の塗装、その後のエポーレット貼り。

なるべく元の感じの、どす黒い感じで、サンバーストの幅が割と大き目なそんな感じを目指してやってみます。

どす黒さを目指すと黒くなってしまいます、薄めにどす黒くなる様に回数重ねてみると杢目がみえずらくなってしまい、何度か塗っては消してやり直し。

塗装が下手、調色が下手、苦手意識に拍車がかかります。

どす黒さが再現出来ず、割と多くある1768-xらしい色でやってみる。

サンバーストで失敗したら、またやり直しになります。

 

 

 


トップコートまで終わった所。

 


普通のサウンドホールならここまでくれば先は、すぐそこなのに…


剥がしたエポーレットは元の位置には絶対に戻りませんので、出来るだけ丁度良い所へ。

割れを直したエポーレットなら尚更合いません。


アクリルのジグを乗せて(先端部分はその上に木)エポーレットもアラルダイト(エポキシ系の接着剤)で貼ります。

拭き取りにどれだけ時間がかかるかわかりません。

 

エポーレットの接着は、ピックガードの様に両面テープでは全く持ちません。

アラルダイトを使えばまず心配はありませんが、どれだけ時間をかけてもきれいには拭き取れません。

ならばタイトボンドならどうか、それなら硬化後も拭きとれます。

風呂で考え、布団で考え、寸前に考え、やはりアラルダイトで接着。

タイトボンドでも大丈夫のような気がしますが後々めくれてきたらと考えると…誰か…教えてくれ…

 

 


ブリッジについている丸い木がボルトの目隠しになっています。


Ovation の場合ブリッジプレートがありませんので、このブリッジについているボルトを強く締めすぎると、トップが割れやすくなる原因にもなりかねます。


エポーレットを貼る際のジグは今から25年位前、中尾貿易時代に作った物、なんでも経験しておく事と持っておく事って大事だなと改めて思いました。

 

 


私が検品したこれをCharさんが弾いてくれてました。

ナイス思い出だなぁ~。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し)/ Gibson Hummingbird

塗装の修正は無しで仕上げます。

ロッドカバーは交換します。

手触りに違和感が無いように仕上げます。

黒い塗装が剥がれてしまっているところは、筆で黒くタッチアップ。

 


塗装修正しなくとも、修理した跡がかえってカッコよいと私は思うんです。


欠けている部分は、透明ですがちゃんと埋まっているので、手触りには違和感はありません。


ボディがメイプルのハミングバード。

 

ネック折れ修理(塗装修正あり)/ EPIPHONE Pro-1

よーく聞く話ですが、「どこそこで見てもらったのですが、買い替えた方が良いですよ。」と言われました、と。

せめて見積もり位、出してくれてもいいのに。

直したくて持って行ってるんだから。

 

でも「修理しないで、買っちゃった方が安いですよ。」と言うお店の気持ちも分かる。

私の場合も値段関係なく、気に入った物は修理に出して使い続けますから、「そーじゃなくて、修理、しゅうり。」と言う気持ち。

どちらの気持ちも分かる。

ただ、修理を受ける側としては安いギターの場合、2年に1回位、修理完了のお知らせの後、連絡取れなくなっちゃう事があるので、怖いと言えば、怖いんですけど。

そうなると、一所懸命やった分、泣きたくなります。

 

 


割れ跡は目立たない様に、濃い目に着色。

(ペグ部の色の境は何かの影です)


塗装修正してもシースルー部分は着色せず、割れ跡を隠さない場合もあります。


お任せ頂ける場合とオーナーの意向によって色合いを決める場合があります。

 

ネック角度修正 / Jose Ramirez 1a


 

クラシックギターのネックジョイント(スペイン式)は、フォークギターのネックジョイント(ドイツ式)の様に抜けません。

アイロンかけちゃえ!っていう声も聞こえなく無いですが、アイロンでは不確かで根本的な修理とは言えません。

これの修理はどうすれば良いのか、クラシックギター専門で頼りになる人はクロサワ楽器の山口さん以外知り合いがおりませんので、もう何年前になるか覚えてませんが新大久保店に聞きに伺いました。

その昔は、お茶の水駅前店で私がアルバイト時代に山口さんには大変お世話になっておりました。

そしてこの仕事を始めてから、仕事が無かった時にギタープラネットの秋野さんを紹介してくれたのも山口さん、あ、でも秋野さん紹介してもらったのは2度お願いに行ってから、最初は「キミに預ける仕事なんか無いよ。」「フォークギターは、今井君や村山がやってるんだから。」…そらそうだ。

今井さんと村山さんだもん。

分かっちゃいたけど、また行きましたよ、こっちは仕事取らなきゃ干上がっちゃうんだから。

後にお礼をしに伺った際は、「あいつ(秋野さん)いいだろ!」とおっしゃった山口さん。

なんだかんだ言っても優しいお方。

 

 

前置きが長くなりましたが、

「指板の厚さで調節するしか無いんじゃないか。」

山口さんに教えてもらったのが、うちのやり方。

 


すっかり皆川ギター工房のやり方になりました。

 


リセット出来れば1番良いのですが、そうなるとボディもばらさなきゃならないので、よっぽどでない限り、現実的ではないでしょう。


色々調べてみるとヒール切っちゃったり、乱暴なやり方してるのも見ます。

 

以前預かった、古いB.Cリッチの限定生産のフォークギターのジョイントが分からず、ネットでたどり着いたのがアメリカの修理屋。

(フォークギターでもジョイント方式が区々な為、ダブテールジョイントとは決め打ちは出来ません。)

ダブテールジョイント(ドイツ式)で無い事が分かったのでそれだけで良かったのですが、「こーやってヒール切っちゃって、ボルトオンジョイントにしちゃうんだ!Good Luck! 」なんつって、教えてくれたので、フォークギターならいいかなとちょっと思いましたが、ジョイント切っちゃう勇気は無かった。

そのB.Cリッチも画像がありますので、そのうちブログにアップさせて頂きます。

 

 
 

画像でもわかるようにハイポジション側の指板がある程度厚くなっています。


厚くなりすぎる場合は、1フレット側を予め厚みを落して調整する事も必要になるかもしれません。


サドルはこれ位あれば十分。

将来下げられなくなってしまうのではないか。と、心配する人もおりますが、弦を張りっぱなしにしなければ大丈夫。


多少の湿度の気遣いと弦を緩めて管理すれば、大概の不具合は出ないと言って過言ではありません。

弦を緩めないから、こういう事になります。

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Epiphone Super Nova

塗装修正無しプランで仕上げます。

塗装修正無しで、ちょっと助かった感と残念感があります。

 

15~6年前になるかと思いますが、全く同じ状況のこれを預かりまして、色がなかなか合わず最後まで合わず仕舞いだった記憶があります。

調色の技術がちゃんとあれば、どんな色でも部分修正で仕上げられるかもしれませんが、がんばっても馴染まない色があります。

色だけが難しい訳でなく部分修正でやる場合は、元の着色部分へ修正部分が乗っかた感じが無いように塗装しなければならないのですが、最近は自分の技術が向上した為なのか、老眼がひどい為か、細かい事は気にならなくなってきました。

後者か・・・。

 

 


日常の仕事の大半は忘れてしまいます。

ですが、忘れてしまっているようでも折に触れ思い出す仕事があります。


上手く行った仕事と言うのは、時間もかからず満足の行く仕上がりになるのですが、記憶に残らない物がほとんどです。

 


最近はさすがに試行錯誤も減っては来ていますが、この試行錯誤をやって来た分だけ、現在の糧になっていると気付きます。

 

塗装の事もそうですが、他の仕事も昔は断れ無かったんです。

仕事が無く、ビンボーでしたのでやった事の無い仕事でも「ありがて~」となります。

ただし、どうやって直すか分からないですから、いろんな人に電話で教えてもらったり、本を見て想像したり、それでも分からない時はやってみて想定と違ったりして、試行錯誤します。

試行錯誤しますと、時間かかって面倒くさいですが、面白がれればその分、妥協点が上がって、糧も増えるんです。

 

今でもお断りする事は多少怖いんですが、すごくお待たせしてしまってる修理もありますし、断る事も大事かなと今は思えます。

これからは、出来るだけお断りしていきたいと思います。←「そんな事言ってるとまた仕事なくなるぞ。(天の声)」

 


今回は塗装修正無しなので、過去の自分自身との比較は出来ませんでした。


でしたが、15年位前の記憶が蘇りましたので、昔より上手く行く可能性はあった、と都合好く考えて終わりにします。


 

 

 

トップ割れ / Gibson Country Westem

割れがある場合、力木も剥がれていますので、必ず確認して接着します。

割れがしっかり接着出来ればクリートは必要無いのですが、より強度が欲しい場合は、気休め程度と分かっていても裏に貼り付けます。

 

 


 

ビフォアフターはいつもと同じですが、今回は最小限バージョンで。

こんな感じでやってみると分かり易くて、とても楽なので、時々はこんな感じも試しながら続けて行ければよいと思います。

最初の頃はこんな感じだったと思いますが、だんだん色いろ書くようになり、画像も多くなってきて、毎回毎回書ける新しい事も無いのですが、基本は毎回今、書いている物を見て当工房を知ってもらえる最初のページと思って書いています。

にも拘わらず、毎回見て頂いている方々の為にも出来るだけ、思い出した事柄や考えている事や、ちょっとした知識等、書き加えていければ良いのですが、そう都合よく書ける事も無いので、あった時は「当たり!」と思って、なんか良い事がありそうだと思って頂ければ幸いです。

 

 

 

ネック折れ修理(塗装修正無し) / Epiphone Casino

アクシデントはつきものです。

折れてしまったなら、くっ付ければ良いのです。

 

何もいじらず、現状維持してください。

破片があれば取っておいてください。

慌てて、くっ付けたりしないでね。

 

接着後、割れ部分に多少の段差が出来ますので、手触りに違和感を感じない様に研きますので塗装修正無しの場合の仕上がりは区々になります。 

 

塗装修正無しの仕上げでも塗膜が厚ければ、剥げずにきれいに仕上がります。

塗膜が薄ければ塗装は剥げます。

 

ネック折れ修理は、修理屋によってやり方は区々です。

当方では補強はせず、タイトボンドは使わず、しかるべき接着剤でしっかり接着するのみ。

通常通り使えればそれ以上の強度はいらないからです。

違和感無く演奏出来て、いつも通りに取り回し出来て、ネックハンガーにかけたり、修理前と同じ様に使えればそれ以上はいらないのです。

 


修理方法に決まった正解はありません。


修理屋十人十色です。

 


料金、納期の事。

技術の事。


お電話かメールにてお問合せ頂き、ご検討頂ければ幸いです。