フレット
リフレット / Gibson J-45
フレット交換(リフレット) / Gibson J-45
古いギターのフィンガーボードは、大幅に修正する事はほとんどありませんが、新しいフレット打つ前には軽く調整します。
そして軽くオイルで潤いを与えれば、質感もとても良くなります。
勘違いしてはけないのは、オイルをたっぷり塗ってしまったり、頻繁に塗ってしまわない事。
オイルも水分ですので、中まで浸透するほど与えず、軽くすり込んで残った表面のオイルは乾拭きで拭き取りましょう。
そして乾いたら、また塗れば良いのです。
フレット交換 / 古い国産ギター
リフレットです。(フレット交換、指板調整、ナット交換、他調整)
ピックガードは浮いてしまっていたので、貼り直します。厚みのあるP/Gですのでリフレットの際は外してあると都合が良いです。
一見 Gibson のDaveですが、グレコのギター。
塗装がウレタンなので、やはり雰囲気は違いますが、ぱっと見Dave。良く作ってあります。
40年近く前は、Gibson 等は買えませんから、こういったギターが私達に夢をみせてくれました。
この方、GibsonのDaveも持っていて、グレコも大事にしている、素敵です。
物の価値は、携わり方で違いますが、思い入れのあるものは値段は関係ないです。
なかには、「二十何万円以下はギターじゃない。」等と言う同業者もいますが、では、それ以下は何なのか教えて欲しいです。
この人とは面識はありませんが、割と有名な同業者なので知っていますし、私の師匠筋の所にも居た人なので、間接的に繋がっちゃっていますが、これからも私と接点が無い事を願います。
現状はちゃんと伝えないといけませんけど、大事にしているから修理したいのに、悲しくなる様なこと平気で言う人が居るんです。
でも昔、アメリカの中古バイクに乗っていた時は、そこの店主も辛口でずばずば言うが腕も良いので、納得していた自分を思い出せば、頼りがいがある気持になるのは分かる気もしてしまいます。
毒舌、辛口だとその方が 「この人、ちょっとすごいのかな。」等と考えてしまいます。
フレット交換 / Gibson Southern Jumbo
サザンジャンボのリフレットです。
オールドギターの指板は、軽く調整する程度でリフレットできる物は多いと思いますが、時折、結構削らなければならない場合や過去に大分削られていて、もう少し削らなければならない場合に、指板のインレイが消えてしまう事を心配しなければいけない時があります。
それなりに古い貴重なものですから、パーツも出来るだけ残った方が良いとは思いますが、そのものをどうするかはオーナー次第です。
出来るだけ状態やパーツを温存したい人。 使う道具(ギター)ですから余計なコストは掛けずに出来るだけ使いやすい状態に、パーツが無いとか、壊れたりすればその時は、それなりの物を付ければ良いではないか、と言う人。
(もちろん、しっかり修理して、オリジナルパーツも大事にする人も沢山いますが。)
アコースティックギターの場合は、エレキのオールドとは違い、「オリジナルパーツじゃないと、価値がさがっちゃう~。」なんていう人は少ないですから、修理する場合、多くは後者。
何故なら、ほとんどのアコースティックギターは修理しなければ、使い続けることが出来ないからです。
ストラトやレスポールの様にただ、板にネックがくっ付いているだけ(ちょっと言い方が乱暴。)のギターであれば丈夫ですし、パーツはビスで留まっていますので、修理暦が無いものもあり、オリジナルパーツの有無で価値にも差が出ると言う訳です。
私が楽器店のアルバイト時代、”1957年製Gibson LP Jr.”を17万円で委託に出していた時に、店員の先輩に「高けーよ。」って、つっこまれていた時代からオールドギターと付き合ってきたおじさんは、古いのは気を使って弾くものではない、と思ってしまいます。
やはり現在は、所有するだけでもいいのかな。 高いもん。
フレット交換 / 部分交換
フレット交換は、基本的に全部のフレットを交換しますが、出来る条件であれば部分的に交換する事もあります。
ただし部分的ですので、指板調整などの作業はありません。
交換後、第1フレットの高さが上がりますので、これ以上弦高が下げられない状態の場合は、弦高が上がります。
部分交換の方が、料金は安く上がりますが、内容を考えると割高と言えるかもしれません。(料金は、お問い合わせ下さい。)
フレットを交換した場合は基本的には、第1フレットに合わせて新しいナットを作り直しますが、その雰囲気や象牙等を残したい場合は、底を上げて調整します。
底上げは、きちんとやれば音には影響は出ないと思っていますが、理屈で言えば音にも影響はあると言えるかもしれません。ですので敬遠される方はいらっしゃいます。
ですが、こう言う事にうるさいくせに、リフィニッシュの相談などされてしまうと、私達、楽器屋さんは心の中で、ズッコケています。
「この人、いい加減だな。(なんも分かっとらんな。)」と思われてしまうので、気をつけましょう。
金属などで底上げした場合は、質量が大分変わりますので、音の変化は出易いかもしれません。
指板に凹みが見えると思いますが、この凹みは指板調整などで、きれいになってしまえばそれで良いと思いますが(画像の凹みが消えるほど削ることは無いです。)わざわざ埋めてまで平らにする必用は無いと思います。
平らでも、凹んでいても、演奏性は変わりません。
埋めるとかっこ悪いです。
埋めない方が断然かっこよいです。
フレットすり合わせ / J-45の続き
フレットが減っていようが、低かろうが、演奏上問題なければ無理にお金おかけなくてもよいですし、「チョーキング命ですから、フレットが低いのはイヤなのです。」という方もいますし、他の部分の修理なども同じ事ですが、オーナーが問題を感じていなければ、無理にお金を掛けなくても良いのです。
ギターの詳しい人や、お店等で、ギター診断みたいな事をやられても慌てないで大丈夫です。
現在まで弾いていたのですから、壊れたら直せばいいんです。
フレット交換(指板、サドルのアールの変更)/ Martin D-45
D-45のリフレット(フレット交換)です。
指板を修正して、新しいフレットを打ちます。
このギターの場合、過去のオーナーの好みか、職人の癖か、指板のアールがマーチンにしては付き過ぎていますので、アールを少し戻します。
アールは削られて変更されていますので、戻す方向にしてもまた削らなければなりません。段階で言えば2段階位戻ればマーチンらしくはなりますが、あまり削らず雰囲気をマーチンらしく修正します。
指板のアールとサドルのアールは基本的には同じアールでそろえます。
下の画像は、指板修正して、フレットも交換済みの状態です。
サドルのアールはまだ元の指板のアールのままですので、サドルを修正します。
リフレット(フレット交換) / Ovation 1985-1
Ovation 1985-1 のリフレットです。
久しぶりに出してみたら、音も出ず、弾けなくなっていたという事で、ネックリセット他オーバーホール中のリフレットです。
フレットを抜く際に指板が欠けてしまわないように、半田ごてでフレットを暖めながら抜いていきます。
このオベイションのエリートと言うモデルは、アダマスと似ていますが前にアップしました方法とは違い、ネックはついた状態で、私なりの方法で打ちます。
構造上トップ部分(ハイポジション、指板エンド部)のフレットは強めの力で、打ったり、押したりしない方がよいので、長年でたどり着いた方法で打ち込みます。見せないけど。
フレットの溝を多少広くしてやれば、フレットを打ち込んだり、押し込んだりしなくてもフレットは”着けられる”のですが、フレットはしっかりと溝に食い付かせたいので、”私なりの方法”で打ち込みます。みせませんが。
指板のアールの確認。
大体同じになってますので、このアールを崩さず指板(フィンガーボード)を調整をします。
調整する際の注意は、端が下がってしまわない様に、フレットを削る時も同じ注意が必要です。
指板もフレットも端が下がるとカッコが悪いです。
(この画像の指板は悪くはないですが、多少下がっています。)
端が下がってカッコ悪くなる事と、もうひとつの形がフレットのエッジの形。
左は新しく打ち直した方、右は抜き取った古い方。
左はエッジが立っていますが、右はエッジが斜めに奥まで削られています。
エッジの処理は斜めに削ってしまったほうが処理(整形)に時間が掛からなくて作業的には楽で良いのです。
ですがこの分、弦が内側に乗るようにナットを作ります。
別にこの辺は好みであったり、気にしない方も多いのでかまわないのですが、個人的には弾き難く、何よりもヒジョーにカッチョ悪く見えてしまいます。
私も大昔から大好きな方の春からのツアーで使用予定のギターです。
その人を感じられるほど、弾き込まれたギターではありませんでしたが、このギターで歌っている姿を想像いたします。
このように、弦が多少でも張られた状態で放置されますと状態が悪くなります、お気をつけください。